奈良祭時記

県民だより奈良 2020年2月号

奈良祭時記
国栖奏(くずそう)
吉野町 浄見原(きよみはら)神社
吉野町南国栖に伝わる神事。
国栖奏保存会 会長の松田 利宏(としひろ)さん、会員の和泉 安修(いずみ やすのぶ)さんにお話を伺いました。
国栖奏(くずそう)
皇室と国栖奏
 国栖奏の歴史は古く、応神天皇に国栖人が歌舞を奏したことが『日本書紀』に記されています。また、大海人皇子(おおあまのみこ)(後の天武天皇)を、国栖人が歌と舞でもてなし、喜んだ皇子が「国栖の翁(おきな)よ」と呼んだことから「翁舞(おきなのまい)」とも呼ばれています。古代から大嘗祭(だいじょうさい)や節会(せちえ)など、皇室の重要な行事で奉奏されてきました。
 現在は、浄見原神社と橿原神宮(神武天皇祭)で、年2回定期的に奉納しています。浄見原神社は天武天皇をおまつりしている神社で、神社横を流れる吉野川の淵は「天皇淵」と呼ばれています。皇室との深い縁を感じつつ、奉納しています。
厳かな奉納
 旧暦の1月14日に国栖奏は行われます。当日の朝から保存会と自治会が舞台の清掃や受け付け、飾り付け等の準備を始めます。13時、狩衣(かりぎぬ)や烏帽子(えぼし)などの装束に身を包んだ12人が、舞翁2人、笛翁4人、鼓(つづみ)翁1人、歌(うた)翁5人の順で参道を歩きます。道中でお祓(はら)いを受け、笛翁がみやびやかに演奏する中、険しい参道を舞殿へと進みます。
 舞殿では、祝詞(のりと)の後に一歌、二歌、三歌の順で和歌が謡われ、舞翁が鈴と榊(さかき)を手に立ち上がり、舞いながらゆっくりと1周回る所作を4回行います。その後、四歌が謡われ、全員が手を口元に当てて体を反らす「笑いの古風(こふう)」をして演舞は終わります。厳かな雰囲気の中で響く笛や鼓の音、独特の所作は古くから伝わるものです。
国栖奏(くずそう)
伝統を守るために
 歴史ある神事をできる限り昔のまま行っており、奉納するご神饌(しんせん)(お供えもの)は、山菓(さんか)(栗)、醴酒(こざけ)(一夜酒)、腹赤の魚(うぐい)、土毛(くにつも)(根芹(ねぜり))、毛瀰(もみ)(赤蛙)を、奉納の度に、地元で準備してお供えしています。
 明治天皇や大正天皇の前で奉奏した話を聞いており、また、私たち自身も平城遷都1300年記念祝典で、当時の天皇皇后両陛下に奉奏する機会が得られたことを光栄に思っています。
 新しい「令和」の時代も、この地に伝わってきた神事を大切に、守り、継承していきたいです。
保存会の和泉さん、松田さん
保存会の和泉さん、松田さん
行ってみよう!
浄見原神社 旧暦1月14日(2020年は2月7日)
吉野町南国栖1
浄見原神社
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