あの憧れの人から奈良へのエール

県民だより奈良
2022年10月号

あの憧れの人から奈良へのエール
【vol.13】
里中 満智子(さとなか まちこ)さん
里中さんが揮毫(きごう)された歌碑がある万葉文化館にて
里中 満智子(さとなか まちこ)さん
大阪府出身。高校在学中に『ピアの肖像』で第1回講談社新人漫画賞を受賞し、プロのマンガ家として活動を開始。500タイトル以上の作品を描くとともに、大阪芸術大学教授や(公社)日本漫画家協会理事長など多方面でも活躍。
奈良は歴史を体感できる場所で思いをはせるには最適なところ
 奈良は子どもの頃から身近で、家族と生駒山の遊園地に行ったことや、小学校の遠足で友達と若草山でお弁当を食べたことを思い出します。小学生の頃は、マンガから世界名作全集までさまざまな本に親しみました。いろいろな文章を読んで、自分なりの映像を頭の中で作ることは、ものすごく大事なことです。私も本を読みながら自然に映像が浮かんでいましたね。また、百人一首が好きで、和歌のリズムの心地よさにも憧れていました。
 中学生になると、国語の授業で『万葉集』の額田王(ぬかたのおおきみ)や有間皇子(ありまのみこ)の歌を習ったことをきっかけに、自分でも学校の図書室で『万葉集』の解説本を読むようになりました。そこには、男性が恋に悩む様子がすごくストレートに素直に書かれている歌があったんですね。自分が想像していた昔の日本男児のイメージと随分違って、ちょうど初恋の年頃だったこともあって、どんどんのめり込んでいきました。『万葉集』に収められている歌には男女の差や身分の差がありません。このような歌集が存在し、現代の私たちも日本語として読めることは素晴らしいと感じています。
 マンガ家になってからも、いつかは万葉の時代のマンガを描きたいと思っていました。『天上の虹』の主人公は、いろいろと考えた末に持統天皇に決めて、1983年から連載がはじまりました。最初は高校生くらいをターゲットに万葉集の世界が描ければいいと思っていましたが、話が進むにつれて50代や60代の読者からのお手紙をいただくようになりました。そこで読者のターゲットを気にせずに、自分なりの解釈を全面に出すことを意識して描きました。皆さんに支えられて2015年に最終巻を刊行し、完結まで32年かかりました。最初はこんなに長くなるとは思っていませんでした。
 奈良は万葉の時代からの風景が残り、『万葉集』のゆかりの場所も数多くあります。あの人が、あれを思いながら、この場所に立っていたのかと感じられ、本当にバーチャルなタイムマシーンといったところですね。イメージだけでもタイムスリップできるので楽しいです。歴史的な景観を維持している地域の方々には、大変なご苦労があると思います。それでも、ずっと大切に見守ってきたからこそ、今に残っているものがたくさんあります。時々でいいので、大人はその土地のことを子どもに話しておくことが大切です。今は分からなくても、「ここはこういう場所なんだよ」と子どもに伝えると、きっと覚えているものです。大きくなった時に、あの時こういうことを教わったなとなりますから、一緒に昔を振り返るきっかけにもなります。奈良は歴史を体感できる場所が多く、昔に思いをはせながら歩くには、非常にいいところだと思います。私も時々、歴史を楽しみに奈良を訪れてみようと思います。
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