奈良の輝く企業×起業

　元々ビールが苦手だった私がブルワリー（ビール醸造所）をはじめるに至ったのは、大学時代のバックパッカーの経験がきっかけです。海外で出会ったビールは優しくフルーティーな味わいで、今まで飲んだことのないおいしさに感動しました。大学卒業後は地元奈良で公務員として働きはじめましたが、当時は奈良にクラフトビールの店が少なかったため、時間を作っては大阪や京都にクラフトビールを飲みに行っていました。「奈良県でもクラフトビールの文化を広めたい」この思いをかなえるため、京都での2年間の修行を経て、2017年に創業しました。

　醸造を開始した2018年以来、毎年20種類程度の新商品を販売し、これまで100種類を越えるビールを作ってきました。これは企業コンセプトである「ビールを選ぶ楽しみを！」からきており、ビールの得意・不得意に関わらず、苦手な方でも自分にあうビールを探してほしいとの思いからです。国内で流通するビールは、ろ過や加熱処理がされている商品が多いですが、弊社のクラフトビールは酵母の豊かな味わいを活かすため、全て無ろ過・非加熱にこだわっています。一方で無ろ過にすることで雑味が残ることがないよう、1つ1つの工程を丁寧に行い、できるだけ雑味のないクリアな味わいを心がけています。また、商品によっては瓶詰め時に酵母と少量の糖分を加え、瓶の中で二次発酵させるビールもあります。年月の経過で味わいが変化するので、自分の好きなタイミングでコルク栓を抜いていただければと思います。
　商品のパッケージやホームページのデザインにもこだわっています。奈良といえば鹿や大仏をイメージされがちですが、あえてそれらは使用せず、良い意味で奈良のイメージを覆していけたらと考えています。

　「奈良醸造」という社名には、地元奈良を大切にしていきたいという決意を込めています。これまでも、県内の大和茶・大和橘・吉野杉・レモングラスなどの生産者とコラボし、素材の持つ良さを活かしたビールを作ってきました。ビールを通して、それぞれのファンを巻き込みながら、地元の良さを発信していきたいです。
　最近では、少しずつではありますが、海外への輸出も行っています。ビールは世界中で楽しまれるカジュアルな飲み物であり、現地に行って飲みたくなる地ビールも数多くあります。弊社のビールで奈良を知り、実際に奈良を訪れてもらえるきっかけになれたら嬉しいです。