飛鳥・藤原を世界遺産に

県民だより奈良
2023年10月号

飛鳥 藤原を世界遺産に
飛鳥 藤原
Vol.9
時間の支配と勤務管理
大和三山と藤原宮跡
飛鳥水落遺跡。北側には石神遺跡、南東には飛鳥寺跡など、官衙や寺院の集中した地域にあります。(北西から撮影)
 
国家統治と時間の概念
 飛鳥宮から藤原宮へ。2つの宮殿が政治の中心となった7世紀後半から8世紀初頭にかけて、国の形が整えられていきました。この時期、天皇を中心とする国家組織を整備し、戸籍、税制、貨幣や儀式、刑罰などの統治制度が定まっていきました。このときに導入された重要な概念に「時間」があります。共通した時間認識=時刻を定めることは、役人の勤務や民衆の生活などを統一的に管理する基準となりました。「時間」の支配は、ひとつの世界を支配することに他ならないのです。
畝傍山(標高199.2m)(北東から撮影)
水落遺跡の原位置に据えられた復元漏刻 
普段は飛鳥資料館で展示されています。
(写真提供:国立文化財機構奈良文化財研究所)
勤務時間の誕生
 実際、この時期に時間の管理が始まったことが、『日本書紀』に記されています。後飛鳥岡本宮(のちのあすかおかもとのみや)時代の斉明天皇6年(660年)に、皇太子である中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)が始めて漏刻(ろうこく)(水時計)を造り、民衆に時を知らせたとあります。この漏刻が設置されたのが、飛鳥水落遺跡です。天智天皇10年(671年)、飛鳥から遷った近江大津宮(おおみおおつのみや)(滋賀県大津市)にて、漏刻台を新たに設置し、時を知らせる鐘鼓(しょうこ)を撃ち鳴らした、この漏刻は天皇が皇太子時代に造ったものである、という記事があり、天皇とともに漏刻も移動しました。
 藤原京へ都が遷った後に定められた『律令』には、具体的な組織も定められています。陰陽寮(おんみょうりょう)に管理職である漏刻博士を2人、実務担当の守辰丁(しゅていちょう)20人を置く、とあります。具体的な位置は不明ですが、藤原宮内の陰陽寮に漏刻が置かれ、管理されたと思われます。
 今も昔も、勤務時間の管理は組織の運営に不可欠です。
 この「時」から現在の我々と同じように、当時の役人も「遅刻」や「定時」を心配するようになったのです。
飛鳥水落遺跡(あすかみずおちいせき)
明日香村
 飛鳥水落遺跡は、甘橿丘の東麓、飛鳥川沿いの平地に位置します。
 石貼りの基壇とその上に建つ総柱建物、さらに基壇内部には木樋が走り、基壇中央には漆塗りの木箱が据えられていました。前例のない構造のこの遺跡は調査の結果、漏刻台と時を告げる鐘を鳴らす鐘楼(しょうろう)の跡であることが分かりました。7世紀中頃の遺跡とみられ、斉明天皇6年(660年)5月に造られた漏刻台にあたります。
 最上段の給水槽から最下段の受水槽に水を流し、最下段の目盛りの上昇によって時間を観測する階段状の漏刻が想定され、唐から伝来し設置されたと考えられています。これらの遺構は、7世紀後半には廃絶しており、近江大津宮への遷宮にともない漏刻も飛鳥から大津へと移されたとみられます。
香具山(標高152.4m)(北から撮影)
飛鳥水落遺跡(明日香村飛鳥)
アクセス 奈良交通明日香周遊バス
「飛鳥」下車
南東へ約300m
「飛鳥・藤原」を紹介する動画を作成しました。
下記よりご覧ください。
URL www.youtube.com/watch?v=dEs_fbBoc9U&list=PL2vjyFirKts-NHScwoRMjSCmxHWvb0reX&index=6
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