「生駒の火祭り」は火を司る神さまとして古くから信仰を集めてきた往馬大社のお祭りです。生駒谷(いこまだに)の氏子が北座(きたざ)(以前は上座)と南座(みなみざ)(以前は下座)に分かれ、さまざまな行事で競争するため、かつては「勝負祭り」「けんか祭り」と呼ばれることもありました。もともとは旧暦8月11日、その後は体育の日に行われるようになり、現在は10月のスポーツの日の前日(祭り当日)・前々日(宵宮(よいみや))に開催されています。 起源は定かではありませんが、鎌倉時代の「生駒宮曼荼羅」、室町時代の「生駒曼荼羅」には火祭りに使われるお旅所の建物が現在と同じような形で描かれており、18世紀には火取り行事が行われていた記録もあることから、その頃には既に火祭りが執り行われていたと考えられています。平成23年3月には奈良県の無形民俗文化財にも指定されました。
祭りの一週間前になると古儀(こぎ)に倣って火をおこし、神社の畑で栽培した麦わらで全長約2.3m、重さ約35 kgの大松明、伊勢振興協会から奉納された麻柄で縦90 cm・横35 cm・重さ5.5 kgの火松明を作り上げます。 宵宮は子ども神輿や祈願木のお焚き上げが行われ、最後に宮太鼓を奉納。火祭り当日は神さまを本殿からお旅所にお迎えする神輿渡御(とぎょ)の後、南北の座が向かい合い、神饌(しんせん)を御供所(ごくしょ)からお旅所に手送りで供える早さ、大松明の上に4本の御串を突き立てる早さを競います。燃えさかる火松明を担ぎ、高座前の階段を南北どちらが早く駆け下りたかを競うクライマックスの火取り行事は迫力満点です。
「生駒の火祭り」はこれまで氏子が中心となり行ってきましたが、農家の減少などを受け、平成14年に保存会を発足。新規住民が参加しやすいよう保存会の中に青年会も組織しました。平成17年には長らく途絶えていた人形(にんぎょう)と呼ばれる子どもたちの神輿を復活。北座では祭りで役を担う人を青年会から選出するなど新たな流れも生まれています。 今後は氏子の方々に火祭りの大切さを改めて感じてもらうとともに、新規住民も気軽に参加できる仕組みを整え、受け継がれてきた火祭りをさらに盛り上げていきます。
左から谷野智重さん、上埜作治さん、谷野浩重さん
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