知っておきたいデジタル性暴力のこと
令和7年11月7日(金曜日)14時00分~16時00分
講師:追手門学院大学 教授
横浜思春期問題研究所 副所長 櫻井 鼓 さん
スマートフォンやインターネットを介した性暴力は、誰にでも起こり得る深刻な社会問題です。本セミナーでは「デジタル性暴力」、特にSNSによる性被害に焦点を当てて講演いただきました。
SNSの普及により、性的問題は顕在化しやすくなり、加害者は年齢や地域を問わず広範囲で被害を生むようになっています。加害行為はマニュアル化され、ネット掲示板で対象者を募ることで互いに関係性のない複数加害者による事件も発生しています。特に子どもの性被害は、身近な人による権力勾配や脆弱性を利用するケースが多いと指摘されました。
さらに、セクスティング被害やセクストーション(性的脅迫)、性的ディープフェイク、オンラインゲームを介した性被害など、加害の手口は多様化しています。SNSでは、加害者が年齢や性別を偽り、複数アカウントで「なりすまし」を行い、時間を問わず接触できるため、偽の関係を築きやすく、子どもの承認欲求や孤独感を巧みに利用します。さらに、子どもや若者は画像共有への抵抗が低いことも問題です。このため、被害体験への単なる寄り添いだけでなく、居場所の提供や教育的支援による再被害防止が重要と強調されました。盗撮被害についても、画像が完全に消えない不安や後から気づくことでショックが大きい点が指摘されました。
最後に、被害後の対応として、警察やワンストップ支援センターなどの相談先、学校や保護者ができる初期対応のポイントが示されました。
動画や架空事例を交えた講演はわかりやすく、参加者は深い学びを得ることができました。