優秀賞

 世界を変えるためにも

                         下市町立下市中学校 3年 米澤 瑞希

 私が今、社会と世界にお願いしたいことは「私たちの言葉を助けて下さい。言葉を聞いて下さい。」ということです。私たちはまだ、多くの言葉を知りません。言いたいこともうまく言えません。しかし、柔軟な思考をもち、大人への階段を上りはじめています。そんな「今」しかない私たちの思いを伝えるため、私たちの言葉を助け、そして聞いて下さい。
 私は作文を書くとき、「これを伝えたい」「あれも知ってほしい」と思って書きはじめます。しかし、「これもあれも伝えたい」と思い、自分が一番伝えたいのは何なのか、一つにしぼることができなくなってしまいます。そして、何を言いたいのか分からない文になります。
話をするときもそうです。「これも、あれも伝えたい」と思って話したとき、「何を言いたいのか分からない」とよく言われます。友達とならば、その後、時間をかけて話すことができ、わかってもらえます。しかし、大人は皆、忙しそうで、時間をかけて話すこともできず、わかってもらえずに話が終わってしまうことがよくあります。だから、違う解釈で決めつけられてしまうこともあり、「そのことは違う」と声をあげることもできにくく思ったこともたくさんありました。でも最近、私たちの言葉は大人にはないものだから、違うということをはっきりと言ったほうが良いのではと思うようになりました。
 私にはせっかちなところがあります。友達と話しているとき、その子がうまく言葉を見つけられずにいたことがありました。私は、勝手に相手の言葉を想像し、決めつけてしまいました。話をはやく進めたかったがためです。友達は、困ったような、寂しいような表情をしていました。昔の私は、悪いことをしたような気になりながらも、理由を分かっていませんでした。今思うと、それはその子から言葉を奪っていると心の片隅で考えていたからなのだということが分かります。
 また、こんなこともありました。班活で考えを発表し合ったとき、発表後に同じ班の子がとても良い考えを言いました。そのとき私は、「なぜ今さら言うの。発表前に言ってくれれば良かったのに」と言ってしまいました。その子は、「ごめん、時間が足りなかったから」と謝りました。このときも私は話し合いをはやく進めようと急いでいました。だから時間が足りなかったことに気付かなかったのです。一つの良い考えが、みんなの耳に届くことなく消えてしまったことに、今でも罪悪感を抱いています。
 近年、マララさんがノーベル賞を受賞、シールズが注目を集め、選挙権の年齢も引き下げられました。このように、若い人の言葉や考えに注目が集まっています。
私には、自分の考えを大勢の人に聞いてもらう勇気がありませんでした。でも、関心がない訳ではなかったのです。そんな人は多いのではないでしょうか。
 若者は多くの言葉を吸収して、たあいない話の中にも自分の考えを伝えようと、言葉を探しもがいています。そんな私たちにもっともっと言葉を教えて下さい。そして私たちの言葉にじっくりと耳を傾けて下さい。
 お互いが分かり合うために、分かったふりや、決めつけられることがないように。これからの人生、いろいろな人と知り合い、語り合うためにも。お願いします。私たちの言葉を聞いて下さい。世界を変えるためにも。