優良賞

 食べる「幸せ」で笑顔を

                    智辯学園奈良カレッジ中学部 2年 尾崎 成美

 「帰ったら何を食べようかなあ。プリン?ビスケット?どっちも?。」ボーっとしていたら、つい食べることを考えてしまいます。そうして家に着いたら、もう甘いお菓子に食らいついているのです。私は、いつでも好きな時にお菓子を買ってもらって、また好きな時に食べることができます。逆に、納戸をゴソゴソ探っていると、古い賞味期限切れのお菓子が出てきて、「もうあかんわ。」とポイしてしまいます。「賞味期限」というのは、「美味しく食べられる期限」という意味なのに、賞味期限が切れると、それだけで、食べない方が良い、という考えがはたらいてしまいます。そうして、せっかく人の手によって、時間をかけて作られた食べ物が、無駄になってしまうのです。「もったいない」とは思うものの、「仕方ない」と、ゴミ箱に捨ててしまっていました。
 ところが昨年、「貧困と食料問題」について学校で学習をし、世界の食料事情の現状を知るきっかけがありました。まず、一日に、四~五万人もの方々が、飢餓により命を落としており、私のように、いつでも食料を手に入れられるのは、世界中の、およそ二割の人たちだけなのだと知りました。そして、本当は世界中の人々が生きていく上で必要な食料の、およそ二倍が生産されているということも知りました。「え!」と驚くことばかりでした。私は、世界の問題を知っていたつもりでいて、現実を理解していなかったのです。また、食料が多く生産されているにもかかわらず、貧しい国々に届かないのは、私たちが食べすぎていることも一つの原因であったのです。その上、私たちは好きなだけ好きな物を食べて、自分たちが買ったものすら食べ切らずに捨ててしまうという、非効率的なことをしていたのです。世界中の人々のことを考えずに、自分勝手に行動しているのです。そしてまた、私たち自身は食べすぎにより、ばかなことに自分たちの体を病気においやっているのです。もし、私たちが、スーパーで、きちんと自分たちが食べられる分だけを買い、食料の廃棄をなくすことができれば・・。もし、私たちが、少しでも食べる量を減らし、食べすぎをなくすことができれば・・。もし、私たちが肉食を減らすことができれば・・。実は、肉牛には、えさとして穀物が沢山使われています。また、無理矢理えさを食べさせる、という方法もあります。だから、私たちが肉食を少しでも減らせれば、穀物も、もっと多くの人たちに届くはずです。こうして、少しずつでも自分たちが意識づけて行動することができれば、世界中の貧しい人々に食べ物を届けるということに、少しでもつながるのではないでしょうか。「1人1人の心がけが、大きな力となる」。そうやって、食料問題を解決していかなければなりません。
 今後、食料の供給は減少していくと言われています。逆に、世界の人口は増加していくと考えられています。特に、貧困層が増加していく傾向にあるとも言われています。そんな中、私たちがこのまま何もしないということは、世界中に大きな影響を与えます。もし、私たちが飢餓に陥っている立場であれば、どう感じるでしょうか。何か、飢えを凌ぐ食べ物が欲しくてたまらないでしょう。もしかしたら、生きていく希望を失ってしまうかもしれません。自分たちと同じ、必死に生きている人たちから目を背けるという行為は、とてつもなくひどいことなのです。
 私たちは、ただ良い境遇に恵まれて、食べ物を好きな分だけ食べることができているだけなのです。食べることだけに限ったことではありません。でも、そうやって、一つずつ、まずは食べる「幸せ」を、もっと世界中の人たちと分かち合いませんか。初めの一歩として、無駄買いをなくすということから始めませんか。考えているだけではなく、自分たちで行動することによって、初めて実現すること。世界中の笑顔を、食べる「幸せ」で広げていきましょう。