優良賞

 夏は寒くて冬は暑い

                       奈良学園登美ヶ丘中学校 2年 樋口 果波

 今の時代は、便利なことが多いです。夏は冷房、冬は暖房が効いていて、ということが当たり前になってきています。お店に行っても冷暖房完備のところが多いでしょう。確かに、とても暑いときに冷房が効いていれば快適で熱中症になりにくくなりますし、寒いときに暖房が効いていると快適に過ごせます。しかし現在の環境は本当に快適でしょうか。
 例えば夏。外では暑くて半そでなのに、部屋の中に入ると冷房が効きすぎていて寒い。そして寒いため上に上着を羽織る。外では暑くて薄着にしているのに、わざわざ電気を使ってまで寒いくらい涼しくし、厚着をする。もちろん個人差があると思うので、ある人は寒いと思っていても別の人はちょうどよいと思っている、ということもあると思います。しかし私は寒いように思いますし、実際に、冷房が入りすぎて寒いと耳にすることもあります。このようなことは私の学校にもあります。私の通っている学校の夏服には長袖のカーディガンがあります。何のためにあるかというと、冷房が効きすぎて寒いとき用の防寒具です。もちろん外は暑いので使いません。
室内用です。そして寒いときにこのカーディガンをはおり、外に出て暑くなるとまた半そでになります。冷房により室内と外との気温差が激しくなり、いくら人間には適応能力があるとはいえ体調を崩すこともあるでしょう。仮に室内を25度くらい、外の気温を30度と見積もってみると5度もの差があります。お店だとドアの開け閉めも考慮してもう少し低いと思いますが大体25度と見積もってみてもかなりの気温差があります。さらに外と中では直射日光などもあるため体感ではもっと気温差があるでしょう。夏は熱中症者が多いのは急に暑くなったから、ということも考えられはしないでしょうか。
 冬の寒い季節にも同じようなことがあります。外に外出するときは基本的に寒いため、長袖を着たり、上着を着たり、マフラーや手袋をつけたりします。少しでも暖かく快適に過ごせるような工夫です。しかし室内では別。暖房が効いています。外で凍えそうなときに暖かいところへいくと確かに快適です。が、暖かくなりすぎて暑いということはありませんか。そのおかげでマフラー・手袋が不要になり、上着が必要なくなり、どんどん薄着になっていきます。お店の中で歩きながら回っているときなどは脱いだものが荷物となって少々邪魔になってしまうこともしばしばあります。そしてまた外に出るときには先ほどはずした防寒具を着けなおして寒さ対策をします。この場合にも気温差はあります。冬の室内を仮に20度、外を5度と仮定してみると、なんと15度もの気温差が存在します。これでは逆に室内が暑すぎて体調不良に、なんてこともありうるかもしれません。上着を脱げば体調不良にはならないとしてもその上着を持っているのは大変ですよね。
 今確かに、文明が発達していて、便利なこともとても多いです。インターネットは、何か分からないことを調べればすぐに分かります。冷暖房も、うまく使えば体調を整える上ですごく役立ちますし、健康にも、熱中症対策にもとても便利になります。しかし、今の使い方ではあまりよいとは思えません。いうなれば夏は寒く、冬は暑い生活をしているのではないでしょうか。先ほども述べた通り夏にはとても寒い冷房がかかっていて防寒具が無くてはならない始末。冬は上着を、防寒具を脱ぎ、薄着でなければならない。本来ならば夏こそ薄着になり、冬こそ厚着するべきなのではないでしょうか。今はクールビズやウォームビズという環境に良い取り組みが実施されているところもあります。このように環境も考えた上で、本来の気候に合わせた、夏は薄着であり冬は厚着である生活が出来ることを、私は提案します。