平成26年7月に着手しました県指定文化財 談山神社東大門(たんざんじんじゃひがしだいもん)保存修理工事がこの度竣工しましたのでお知らせします。全解体修理を施し、談山神社の表玄関の威容を取り戻しました。
●談山神社東大門の修理について
談山神社東大門は昭和44年(1969)に半解体修理を受けてから45年が経過し、屋根に落葉が堆積したことにより雨漏りが生じていました。また、地盤は恒常的に湿潤な状態で、礎石の沈下、柱足元の腐朽が進行していました。今回の保存修理では、建物全体を覆う枠組足場による素屋根を建設し、すべての部材を解体しました。また、東大門の地盤の水はけを良くするために西側に雨落ち溝を設け、礎石が沈下しないようにコンクリート基礎を設け、その上に礎石を据えなおしました。扉の金具はできる限り再用し、欠失したものは新たに作成して取り付けました。
●談山神社東大門について
談山神社東大門は多武峰谷(とうのみねたに)一の橋の西に建ち、旧妙楽寺護国院(みょうらくじごこくいん)の惣門(そうもん)として創建されました。谷の入り口を木柵塀(もくさくべい)で塞ぎ、そのやや北寄りに高麗門(こうらいもん)と潜戸(くぐりど)を備えた袖塀(そでべい)を構えます。旧妙楽寺は藤原鎌足の子定慧が鎌足の墓を摂津国阿威山より移し、その上に十三重塔を建立したのに始まると伝えられます。
東大門の規模は高麗門の間口4.65m、棟高6.25mで木柵塀の両端の長さが19mになります。
建立年代は不明ですが、化粧垂木に享和3年(1803)の墨書が発見されています。
なお、 昭和41年1月13日に奈良県指定文化財(建造物)に指定されています。

県指定文化財 談山神社東大門 竣工正面全景