第11回 奈良県食品安全・安心懇話会

第11回 食品安全・安心懇話会議事録



第11回   奈良県食品安全・安心懇話会
 
  平成21年3月18日(水)
午後2時00分~午後4時00分

 於:猿沢荘(奈良市池之町)  

 
出席委員

  今村委員 小松原委員 上田委員 福原委員 竹村委員 山本(八)委員 岡山委員

  山本(將)委員 森委員 木下委員 南城委員 矢藤委員 井上委員 (13委員)

次第


  • 議事

    1. 平成21年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)について
    2. 県と協働を行う農産物直売所について
    3. 体細胞クローン牛、豚等及びこれらに由来する食品の安全生について
    4. 食の安全・安心に関する消費者向けの報告書及びセミナーの開催について

  • 報告

    1. 奈良県食品衛生法施行条例の一部改正について 

    資料

       



    ○事務局
     お忙しい中お集まり頂きまして、ありがとうございます。平素は県政の推進にご理解とご協力賜りまして、ありがとうございます。
     当懇話会は、本県におきます生産から消費にわたる食の安全確保政策全般について、県民の理解と信頼を頂けるものにする為に、県民の代表である委員の皆様方からご意見を頂く場であると共に、それぞれの立場におかれました意見交換を通じ、関係者の相互理解を深めていく場でもございます。
     今年度は、再任を含め2年任期で新たに15名の委員に就任をお願いし、去る11月12日に第10回目の懇話会を開催させて頂きました。その際に、事故米、メラミン、冷凍インゲンの農薬混入事件に関する委員の方々からのご質問等につきまして、国や県の対応等をご報告し、また意見交換をさせて頂いたところでございます。
     本日は、来年度の監視指導計画(案)及び委員からご提案のあった議題、並びに食品衛生法施行条例の改正案についてご報告等させて頂く予定でございます。よろしくお願い申し上げます。
     さて、昨年は1月の中国冷凍餃子事件に始まり、産地偽装など、事業者のモラル低下等がクローズアップされた1年でありました。そこで県としては、食品による健康被害の発生或いは拡大防止を図り、更なる食の安全・安心を確保するべく、食品関係営業者が遵守すべき管理運営基準をより具体的に且つ厳格なものとする為に、奈良県食品衛生法施行条例について所用の改正を行いますと共に、有事発生の際は速やかな検査や回収命令等の対応ができるよう、最新の検査機器等を導入し判定期間の短縮を図ることと致しました。また検査体制等についても、農林水産省並びに奈良農政事務所や県下保健所、関係自治体等との連携を強化するなど一層の整備に努めていきたいと考えております。
     ところで、当課におきましては消費者相談、消費行政などの事務を所管致しております。同じく昨年は、消費者の視点、消費者のための行政の変換、そういったことが打ち出された年でもありました。諸施策の財源手立てもなされることとなり、本県におきましても身近な市町村における相談窓口の整備・充実、或いはその解決に導ける相談員の確保・養成など消費者行政強化に取り組むとともに、県の「食品・生活相談センター」につきましても分かり易い名称ということで「消費生活センター」に改称することと致しました。また当課の名称につきましても、来年度より「消費・生活安全課」に改称する予定でございます。本日はよろしくお願い致します。

    ○事務局
     それでは議事に入ります前に、本日お手元にお配りしてます資料について、ご確認させて頂きます。まず最初に本日の懇話会の次第、次に出席委員の名簿、続きまして座席表でございます。次に本日第11回懇話会の議事概要をまとめております。最後にこれまでの懇話会開催状況を取り纏めましたものを添付しております。
     次に添付資料でございますが、資料1は平成21年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)の改正ポイントと平成21年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)、資料2は「平成21年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)」に対する意見募集の結果について(案)で、パブリックコメント実施において提出されました意見に対し、県の考え方をお示しし、ホームページ等で公開することになっています。資料3は平成21年度奈良市食品衛生監視指導計画(案)について、1枚目に概要、2枚目以降が素案です。資料4は平成20年度食中毒発生状況(速報)で、その裏面に、参考までに平成19年度の発生状況を添付しております。資料5は奈良県食品衛生法施行条例の一部改正について、1枚目に概要、2枚目以降が改正案です。資料6は県民だより奈良3月号の県政スポット記事で、「地の味土の香」です。資料7は体細胞クローンの食品安全委員会専門調査会の審議結果について、3月13日朝刊の記事です。資料8は同じくその食品安全委員会「審議結果(案)についての御意見・情報の募集について」で、ホームページに掲載されているものです。資料9はその安全性評価書(案)に関するQ&Aです。資料につきましては以上です。ご不足等ございませんでしょうか。
     また本日の傍聴については、ホームページ等でご案内させて頂きましたが、申込みはございませんでした。
     それでは、懇話会要綱で会長が座長を務めることとなっておりますので、これからの議事進行を会長にお願いしたいと思います。それではよろしくお願いします。

    ○座長
     それでは事務局に変わって議事を進めさせて頂きますのでよろしくお願いします。本日の議題は4つございます。資料にあります「第11回懇話会議事概要」にそって進めていきたいと考えております。まず1つ目の議題ですが、平成21年度食品衛生監視指導計画(案)について、多くの委員からご意見を頂いております。まずご質問の主旨についてご説明をお願いします。

    ○委員
     事務局のご挨拶にありましたように、去年の1年間において消費者は教訓を得ることになったと思います。現在、保健所等では24時間365日体制が整い、健康危惧情報の迅速な把握ができる体制になったと聞いております。これは消費者にとって非常に喜ばしいことであり、また営業事業者においても把握について努めている次第です。今回、かなり、そういった経験を踏まえて計画自身に色々な改善が行われたことが関係していると思います。その上で、なおかつ意見を述べさせて頂きます。
     まず1つ、立入検査の問題がございます。現在の条例等でも、県からの食品等事業者等への働きかけとして日常監視が行われていますが、結論として県独自の食品安全条例の制定について、考え方を聞かせて頂きたいと思っています。
     現在、食品等事業者による自主回収が行われる事例が、ここ1年大変増えています。奈良県の関係業者の中にはかなり大規模な事業をされてる方もございますので、いろいろな発生事例があると思います。それから昨年の大きな出来事としては、米の不正規流通がありました。そういった健康被害が懸念される事態に、事前に対応が可能なように色々な仕組みの整備が今後は必要になると思います。
     現在は、奈良県行政においては既存条例等の中で解決をされたいとお考えのようですが、自主回収届出制度、危害情報申出制度、安全性調査制度、自主的に衛生管理を進めている優良事業者の支援の意味での認証制度の定め等をイメージしており、対象商品は奈良県内で生産・流通・加工が行われている食品、対象事業者としてはそれらを担当される事業者に、こういった食品の安全推進を図っていく必要があると思います。
     立入検査について、現在原料の仕入れが多岐にわたり、私共の取扱い商品の中でも商品によっては100種類ほどメーカーがありますが、原料のトレースという意味で原料の指導をしなければならない、原料偽装が多くなっています。その点で、都道府県等との連携、情報のネットワークが欠かせないと思います。流通は広域化がどんどん進んでいきますので、国産品でも多くの産地から原料が供給されていますから、立入検査といっても、県行政が把握されている内容を他の県とのリレーでもってやらなければならないと思います。そういったネットワーク連携の推進をして頂く必要があるということです。
     次に相互の意見の交換や情報の問題について、マスコミ報道がある意味で必ずしも正確でない情報を報道されますので、行政機関から報道機関に対し積極的な関与や情報提供をお願いしたい。とりわけ輸入食品は広域流通食品だと思いますので、健康被害発生が予測されたり恐れがある場合は、行政機関から正しい情報を何らかの形でマスコミ機関に対して発信をしていくことが望ましいと考えています。またリスクコミュニケーションが今後非常に大事になってくると思います。消費者に正しい情報を提供するという意味で行政の役割は大きいと思います。
     それから一番最後に、兵庫県・京都府・大阪府、また我々が情報を入手しているところでは滋賀県でも食品安全条例があり、全国的に20府県で既に条例があり、また市でも条例を設置しているところも増えていますので、今回管理運用基準を整備されるのは非常にありがたいですが、その先に食品安全条例制定の方向性を是非持って頂きたいということでございます。私の方からは以上です。

    ○座長
     ありがとうございました。
     今、県独自の安全条例と食品衛生施行条例のご意見がございましたが、今回報告事項に食品衛生施行条例改正についての項目がありますので、ここで施行条例の改正の話も合わせて県の方からご説明を頂き、その中に事業者による自主回収の報告もある程度記載されていると思いますので、そこも併せて県の方からご説明をお願いします。

    ○事務局
     それでは、まず条例改正についてご説明させて頂き、次いで計画案について説明させて頂きます。
     資料5をご覧願います。まず、1番目の改正理由ですが、厚生労働省が示している「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」の趣旨を踏まえ、管理運営基準を改正し、営業施設等の衛生管理、食品等の適切な管理等に関する基準をより厳格なものとする為、奈良県食品衛生法施行条例の一部を改正するということです。
     食品衛生法の管理運営に関する基準については各自治体で定めますが、各自バラバラになってしまいますので、国である一定の準則、基準となる指針が出されており、それに基づき自治体が条例を制定する形になっています。そのことによりある程度は、一つの企業が他府県に工場を持っていても、方向性や基準が全く違ってくることを防いでおります。今回、昨年の中国産冷凍餃子事件を受けガイドラインが出された為、それを踏まえ、県においても改正案をお示しさせて頂いております。この3月までに改正する自治体が圧倒的に多いということで、進めさせて頂いております。
     2番目の改正の概要について、まず営業施設等における衛生管理についての管理運営基準の改正についてですが、これは以前から設けていた事項ですが、改正のポイントとしては、今までは適切に管理して下さいとなっていたところを、計画的に、手順書を作成し、適切であるどうかを評価すると、大きく中身が変わっており、新規の内容になっております。
     次に、施設の衛生管理についてですが、当たり前のことかも分かりませんが、施設内で動物を飼育しないことを明文化し新たに盛り込んでいますので、一部改正となっています。
     機械・器具の衛生管理については、消毒剤や洗浄剤等の取扱い・誤りによる食品への混入事故が発生している為、その点を盛り込み厳格化したということです。ねずみ昆虫等の防除対策についても殺虫剤・殺鼠剤の食品への移染などの問題も発生しており、そのような取扱いについて注意することを明文化し盛り込んでいます。
     廃棄物等の排水処理については、手順書の作成を明文化し盛り込んでいます。
     食品等の取り扱いについては、原材料の適切な仕入れや管理に関する事項を、食品等への異物混入を防ぐ措置として明文化し盛り込んでいます。
     使用する水の管理については、前回の準則では特に水については記述がありませんでしたが、昨今関東のハム工場における工場用水の事件や、県内でもヒ素が検出された井戸水がありました。「飲用適の水」については水道法によることとなっていますが、食品衛生法上においても「飲用適の水」が、規格基準の告示の中の清涼飲料水のところで、工場用水で飲用適とはどのようなものか規定されております為、それを明確化し事業者に検査を義務づけるということで新たに盛り込んでいます。
     食品衛生責任者については、新しい知識の習得に努めるという点を盛り込んでいます。委員の方より、この件について食品衛生責任者に、年に一度講習会を受講するといった内容の規定を設けてはどうかというご意見を頂き、本日は時間の関係で議題としては取り上げていませんが、習得に努めて頂くということで、各保健所など関係者で講習会の開催呼びかけをし、対応させて頂きたいと考えています。
     販売食品等に係る記録の作成・保存については、食品衛生法第3条に努力規定として定められていますが、先程お話がありましたように、流通食品を扱う事業者については、その購入元、出荷先などの記録を作成し保存することを規定するものです。また、流通食品で健康被害が発生した場合については、その記録を県等へ提出を促すということを盛り込んでいます。
     販売食品の回収及び廃棄については、これも新しく盛り込んだ項目ですが、回収に係る責任体制や回収方法、保健所長への報告書提出の手順を規定し、回収や廃棄その他の必要な措置を講じました。
     事業者で作成して頂いています管理運営要領については、これの作成を促し、検証・見直しを行うことを、新たに盛り込んでいます。
     保存検食については、国のガイドラインでは仕出し屋・弁当屋等について保存検食を48時間とるように記載されていますが、県においては、50食以上については2週間冷凍保存すること、また300食以上を一度に調理する施設では原材料と調理済み食品を2週間以上冷凍保存することを既に規定しています。それ以下の少量の調理施設においても、ガイドラインの48時間について、土日を挟む場合72時間以上は必要ではないかということ等から、そういった小規模の調理施設について72時間保存して頂くことを明文化し条例に盛り込んでいます。
     情報提供については、国のガイドラインで触れております昨年の中国産冷凍餃子事件で、事業者等で情報の把握が十分に出来なかったという経験を踏まえ、健康被害に係る情報についてメーカーで色々な情報をお持ちだと思いますが、医師等から食品に起因する疑いがあると届出等があった際は保健所長へ届けることを、今回新たに盛り込んでいると共に、事業者が把握する食品の安全性について、情報の提供・公開を進めることについても、併せて盛り込んでいます。
     食品取扱者等においての衛生管理については、若干修正し、健康診断の実施等を盛り込んでいます。
     食品取扱者等に対する衛生教育については、営業者が食品取扱者に対し衛生教育を実施することを明文化し盛り込んでいます。
     食品等の運搬時における衛生管理については、原材料から消費者の口に入るまでに流通や販売の段階がありますので、運搬等の衛生管理についても新たに規定を設けています。
     最後の表示については、弁当等の消費期限について、必要に応じて時刻についても記載する旨、食品衛生法上の行政指導の文書が出ておりますので、これを明文化し条例に盛り込んでいます。
     改正の内容は以上で、現在、議会に上程しており、予定と致しましては平成21年4月1日に公布、手順書や各書式等の普及が必要となるという判断に基づき周知期間を3ヶ月とり、施行については平成21年7月1日ということで進めさせて頂きたいと思っております。条例改正については以上です。

    ○座長
     引き続き、事務局から監視指導計画についても説明をして頂き、一連の項目とさせて頂きたく思います。

    ○事務局
     平成21年度奈良県食品衛生監視指導計画について、改正の主なポイントは、まず1つ目は重点的に監視指導を実施すべき項目として、平成21年度全国高等学校総合体育大会及び平城遷都1300年祭に関する事項を追加しました。
     2つ目は中国産冷凍餃子事件等を受け、来年度の残留農薬検査調査件数について、今年度の1.5倍にする計画で進めさせて頂きます。また、計画に特に文言としては入れていませんが、本年度は年度途中にガスクロマトグラフ質量分析計を導入し、残留農薬検査結果の判定が3~4日に短縮されたところですが、中国産冷凍餃子事件のような有事の発生に際しては、さらなる速やかな対応が必要とされるところである為、平成21年度に残留農薬超臨界流体抽出システムという残留農薬検査の為の前処理システムを増設し、検査体制の自動・省略化を進め、残留農薬検査の結果判定を1日に短縮できるように取り組みたいと考えています。
     次に監視指導計画案の中身については、アンダーラインでお示ししております変更点を説明させて頂きます。
     「基本的な方向」の中の「食品供給工程(フードチェーン)の各段階における監視指導」のところでは、社団法人奈良県食品衛生協会におかれまして、自主管理運営で食品衛生指導員が巡回指導されており、県が実施している監視指導の補完的な役割を担って頂いておりますことから、この部分について県が支援するということを盛り込んでいます。
     次に「関係機関の連携確保」について、食品表示行政における連携の項目をつくり、JAS法や健康増進法、景品表示法の関係について連携することを明確に致しました。
     次に「重点的に監視指導を実施すべき項目」の「一般的な共通事項」の8・9の項目について、食品衛生法第50条第2項に規定する基準については奈良県食品衛生法施行条例第3条が該当すること、食品衛生法第51条の規定に基づき定められる基準については奈良県食品衛生法施行条例第4条の施設基準であることを分かりやすく記述させて頂きました。
     次に監視指導の項目について、来年度は平成21年度全国高等学校総合体育大会が奈良県で開催され、また平城遷都1300年祭が平成22年1月から各地でイベント開催される為、計画に盛り込んでいます。また生協連様からご指摘頂きましたが、この計画で実施した結果についても食品衛生法で公開が決められており、結果の評価に関して県の食品衛生監視員・指導員等の人数を発表していましたが、計画を評価する点でも監視員の数が必要ではないかとご意見を頂きましたので、計画にも監視指導に携わる人数について記載させて頂きました。
     次に「収去検査等実施計画」について、先程も申し上げましたが農薬検体数を増やし、メラミンの検査についても行います。また、残留農薬検査判定を原則として24時間以内に行うことを考えております。
     次に、中国産冷凍餃子事件に関して報道等で風評被害が発生し、報道機関との絡みが必要ではないかと、昨年ご意見を頂いた件ですが、県及び関係自治体等が行った原因究明及び再発防止策についても併せて公表するよう努めると共に、処分・回収の範囲や健康影響の有無などを明確にする等、いわゆる風評被害の防止について十分配慮した形で違反食品等の公表を行っていきたいと考えております。
     このページの一番下については、先程申し上げましたイベント関係になります。
     最後になりますが、「食品等事業者が実施する自主的な衛生管理の推進」の箇所で、条例改正の説明を先程させて頂いた内容が盛り込ませています。平成21年度奈良県食品衛生監視指導計画の改正点は以上となります。

    ○座長
     ご説明ありがとうございました。委員からの指摘事項も既に、改正案に一部は反映されているのではないかと思います。特にご意見・ご質問等いかがでしょうか。

    ○委員
     理解できる部分で、かなり具体的に盛り込んで頂いています。国政の判断もあり、旬な部分であると思いますが。
     例えば、前回申し上げました事故米の流通の実態等、非常に曖昧な結果のまま終わっていたり、昨年ありました、あるメーカーが賞味期限について自らの基準を設けて再流通させ、回収した事件で、その回収はどうなったのかがよく分かりませんでしたが、行政側が調査、検査に行く判断が何によっているのかについては、なかなか曖昧なものでした。今回一応ガイドライン的に基準が作られますので、指導の結果どうなったかについて義務があることになると思いますので、消費者においては、行政の体制上の問題もあるかとは思いますが、やはり、そういう事態をちゃんと把握・管理し、結果については最終報告しないといけませんことから、条例が定められるのは前進だと思います。
     しかし、いざというときの体制を整備されることはいいことだと思いますが、そのことをもう少し保証をするということに期待しての食品安全条例の整備もお願いしたい。ともあれ、今回の改正は大きな前進だと思いますので、実行を保証するような条例の制定を、これが消費者の願いだと思います。我々も流通業者の立場で、原材料の仕入れや調達等色々ありますが、そういう実態をちゃんとつかみ、もし回収が行われる場合は結果も把握して頂く体制をお願いします。

    ○座長
     今のご意見に対して、事務局から何かありますでしょうか。

    ○事務局
     条例があればどういう形になるかについて説明申し上げます。
     事故米の件については、農林水産省のJAS法の範囲となりますが、前回の懇話会でも報告させて頂きましたが、流通の段階で捕まえ検査し、残留農薬について私共で検査しホームページで公表させて頂いております。しかし本県では検査をした検体について不検出であり報道されませんでしたので、現在、ホームページでの公表に留まっているところです。
     そうめんの件については、食品衛生法違反かといえば違反ですが、賞味期限の改ざんというJAS法違反に該当し、そのような形で報道されています。一旦賞味期限が設定されている返品された商品や在庫に対し、もともと通常3年持つものを2年で出荷した為、本来3年持つという業者の考えであと1年持つからということで、1年引き延ばしたということでした。保健所からも指導していますが、措置は農林水産省から出されており、その結果等も農林水産省から報道へ提供された為、県では報道されなかったという状況です。
     所管する法律の違いがあったのですが、そういった点からも、ご指摘ありました条例においてそういうことも決めてしまえば、事業者が回収した情報について情報提供できるのではという点もございます。私共も条例について、施行条例で対応し食品安全条例を作らないということではありませんので、まずは基準条例の定着を進めるのと並行的に、もし食品安全条例を進めるという流れに懇話会等でなれば、そのときは別に委員会なりを設けて進めるべきであると。そういった点も含め皆様からご意見を頂ければと思います。

    ○座長
     ありがとうございます。今の委員のご意見と県からの条例改正の説明について、皆様から何かご意見・ご助言ありましたら。

    ○委員
     それ以外でもいいでしょうか。

    ○座長
     この議題の範囲であれば。

    ○委員
     それでは、ちょっとお願いします。
     先程事務局から説明がありました改正案について、既に議会に上程されているので、内容についての改正は今から不可能と解釈してよろしいでしょうか。

    ○座長
     そうですね。

    ○事務局
     これは食品衛生法に基づく条例改正ですので、この分については議会に上げ、審議頂いているところで、修正はできません。平成21年度奈良県食品衛生監視指導計画(案)については修正可能です。

    ○委員
     分かりました。別に改訂をして頂く必要はないのですが、少し質問させて頂きます。
     国のガイドラインと照合しますと、最初に農林水産物に関する項目が出てきます。平成21年度奈良県食品衛生監視指導計画の食品供給工程の各段階における監視指導の箇所で農林水産物の項が出てきますが、県の条例改正については農林水産物について触れられていないことについて、他に補完する基準等があるのかご説明お願いします。
     次に食品等の取り扱いについて、非常に重要なところですが、国のガイドラインには具体的に記載がある、いわゆるCCPやオペレーションPRPに関する項目が全く出てきません。
     次に教育について、今、非常に重要だと言われており、プログラム化して記録を残すことについて、過去の懇話会でも重要項目として述べてきたところです。この項目は、国もあまり明確ではありませんが、懇話会で今後強化する項目として取り上げられていたと思いますが、そういったものが入っていません。
     最後に販売について、国のガイドラインに記載のある販売の内容について、奈良県の改正案にはないと思います。改正案に出ている他の項目で一部触れられてはいますが、販売の項目についても明記するべきではないかと考えます。
     今回は改正案で触れられていませんが、監視指導計画(案)との整合性や国のガイドラインとの関係から、こういったことも記載すべきではないかと考えます。今ここで訂正する必要はないですが、我々のこれからの要検討項目ではないかと思います。

    ○座長
     それでは今のご意見について、事務局から何か。

    ○事務局
     まず、フードチェーンの農林水産物の採取から始まっているのに条例には盛り込まれてない点ですが、この食品衛生法の条例について国から文書が出ており、違反措置について、農林水産物の採取に係る点については食品衛生法の対象外であるということです。ガイドラインに記載はありますが、ガイドラインが出た以降に、食品衛生法対象外であることが通知で来ており、外させて頂いています。

    ○委員
     監視指導計画(案)の中に農林水産物の生産からということを入れることによって、監視指導の内容が具体化し、責任が発生すると考えますが。

    ○事務局
     今申し上げましたことが条例に盛り込まれていない理由です。勿論、農林部の方でも農薬の適正化や農薬取締法といった農林水産省所管のものについて、連携を図るということで引き続き進めて参りたいと思います。

    ○委員
     分かりました。

    ○事務局
     次に2番目の項目であります、HACCPの概念が明文化されていないことについては、今、即答はできません。申し訳ございません。
     3番目の教育の記録については、教育には触れていますが、記録までは及んでいません。国のガイドラインでは、手順書と教育訓練の効果についての評価となっており、教育・訓練の記録は入っていませんでしたので。

    ○委員
     国には入っていないですね。

    ○事務局
     国のガイドラインに含まれておりませんので、県もそういった考え方で。

    ○委員
     私が申しましたのは、非常に重要ですので懇話会の場に上げさせて頂いたということです。あくまでも国のガイドラインは国のガイドラインであって、他に都道府県の事情がありますので、国の基準にプラスして都道府県でアレンジした方がよいという考え方により、また今までの懇話会の場で討議されていますので、必要性があると認識しています。

    ○事務局
     その点につきましては、以前より、大きい企業ではそういった教育についての記録を作成するよう指導させて頂いていますが、全ての事業者を対象としては明文化しておりません。
     また販売については、本県の法務部門とのやりとりの中で、「食品等は、製造、処理、加工、調理、保管、運搬及び販売の各過程において、当該食品等の特性に応じ、加熱等の時間及び温度の管理に十分配慮し、衛生的に取り扱うこと。」の箇所に盛り込むこととし、項を起こしてはいません。販売については表示のこと等も関係してきますので、必要に応じその箇所に入れる対応で進めさせて頂いております。

    ○委員
     平成21年度は、全国高等学校総合体育大会や平城遷都1300年祭が開かれ、そこで弁当が売られるといった機会が多くなると思いますが、国のガイドラインによると、直射日光にさらして長時間不適切な温度管理したものは売ってはならないと、非常に重要な項目がありますが、現在の改正案には入っていませんが、その点はどうでしょうか。

    ○事務局
     指導に関しては、教育委員会と連携し、会場における弁当の販売等については保健所へ名簿の提出を受け、指導させて頂く形になっています。

    ○委員
     こちらの方で指導は行き届くということですね。

    ○事務局 
     はい。

    ○委員
     ありがとうございます。

    ○委員
     CCP等に関しては、専門的には抜けている感がありますが、議論するとなると相当時間がかかる思いますので、今後の課題として提案させて頂きます。

    ○座長
     他に何かご意見等ありますでしょうか。

    ○委員
     県民の方に協力して頂くモニター制度がありますが、奈良県での食品の安全・安心に役割を果たして頂いていますが、このことが記載されていませんが、どういう位置付けでお考えになっていますか、ご説明頂けたらと思います。

    ○座長
     食品衛生のモニター制度があるのでしょうか。

    ○事務局
     今ご指摘頂きましたモニター制度は、国の事業としては農林水産省が食品表示ウォッチャー制度を運営しています。県においては食品表示サポーター制度を運営しており、大変申し訳ありませんが謝金が出ないボランティアで、日頃のお買い物の中で、食品衛生法やJAS法、景品表示法等の上での疑問点等がありましたら報告頂き、また明らかにおかしいものがあれば随時報告頂くという制度です。
     私もご指摘を受けるまで気付きませんでしたが、重要な部分が抜けておりましたので検討させて頂きたいと思います。

    ○座長
     是非そうして下さい。

    ○委員
     県民にとって大切な部分だと思いますので、そうして頂けるとうれしいですね。

    ○座長
     そういう制度を運用しているのでしたら、その取り組みのPRや進行管理が重要と思いますので、ぜひ記載して下さい。

    ○事務局
     食品衛生協会さんの自主活動であります食品衛生指導員の巡回指導が、県の監視指導の補完的な役割を担っていることから盛り込まれていますので、今のサポーターの活動についても合わせてこの部分に盛り込ませて頂く方向で、考えさせて頂きたいと思います。

    ○座長
     ありがとうございます。他にご意見ありませんか。

    ○委員
     食品衛生指導員について、食品衛生指導員の立場でお話させて頂きますが、この監視指導計画(案)について、より一歩踏み込んだ具体的なところをあげられていると思いますが、私たち実際の現場を回っている側としては、現実を認識して頂きたいということです。
     巡回指導の中心になるのは飲食店ですが、現在奈良県では大半の飲食店が零細個人商店で、このような指導を受ける水準ではないんですね。指導の多くを食品衛生指導員が担っており、各飲食店に伺って保健所から指導を受けた内容を伝え、指導させて頂いておりますが、現実問題、今、食品衛生指導員の人員が足りません。また実際巡回しています施設というのは食品衛生協会に加入頂いている飲食店が中心ですが、その協会に入られない飲食店も多数ございます。健康被害が現実起こっていますのはそういうお店で、食中毒を出されています。生の食肉、生の食鳥肉をできるだけ避けるようにということですが、小さい飲食店が生食用のレバーを出し食中毒が起こった、鶏肉のさしみを料理で出し食中毒が起こった、これが現実なんです。
     そこで先程ありました食品衛生責任者について、設置義務がありますが、これは一度講習を受ければ一生涯適応されます。食品衛生責任者の講習を受ければ期限がなく、そのプレートを店内に掲載しておけば、食品衛生責任者がいると認識し、県民の方が安心されるのですが、現実これだけ色々食中毒の事件が出ている中で、一向に衛生教育が進まないのも現実です。それでこの度、食品衛生責任者が年最低でも1回講習を受け、少しでも従業員にフィードバックできるような衛生講習会の制度にして頂けたらと県にお願いしてます。

    ○座長
     県の方から何かありませんか。

    ○事務局
     ご指摘については、条例改正に伴い、本年2月に開催された食品衛生協会の常務理事会で、条例改正について報告させて頂いております。
     食品衛生責任者について、新任の講習会ではなく定期的に聴講頂く講習会について条例に盛り込まれている他自治体では、ほぼ食品衛生協会が実施されている自主活動となっています。食品衛生責任者の新任の研修会について、各自治体から食品衛生協会にお願いし知事が定める講習会を食品衛生協会が実施する講習として、これを受ければ新任の食品衛生責任者になれるという形になっています。また定期の講習会についても同様、各自治体が食品衛生協会に定期講習会を開くようお願いし知事が指定するという形で実施されております。
     県も食品衛生協会の方でも非常に重要であることを認識しておりますが、今回の条例に盛り込んで直ちに食品衛生協会の各支部の末端まで出来るかということについては県の金銭的支援が十分に出来ず、据え置きということですが、条例には入ってなくてもこういった懇話会等の意見を踏まえ、今後とも食品衛生協会と連携し進めさせて頂きたいと考えております。

    ○座長
     2つのことをおっしゃりたかったのだと思います。1つ目は食品衛生協会だけで県内のこれだけの数をカバーするのは非常に難しい為、保健所等による監視件数を増やさないといけない。2つ目は食品衛生責任者を設けている施設でも、更新がないライセンスである為甘いのではないかということ。しかし、更新制にして更に厳しくしても、従業員全員へのフィードバックが行われるかという問題があり、2つの方面に施策を打ってもらわないといけません。
     いかに裾野を広げるかということで、やって頂くと県全体のレベルアップにつながりますので、是非県にやって頂きたいと思います。
     他にご意見はありませんか。

    ○委員
     今の意見に関連しまして、国のガイドラインを見ますと、基本理念は色々と書いてありますが具体的ではありません。一方、県の条例改正案の中には入っていません。都道府県の条例は国より具体的でないと。実際の監視指導は勿論ですが、食品供給事業者にとっては具体的な方が理解しやすいと思います。その点で今回の改正内容は、国のガイドラインに比べて具体例が非常に削除されています。また先程申し上げましたCCPについても、国には入っていますが、改正案には入っていません。
     こういう考え方から申し上げますと、県として今回、改正案の内容をご検討される際に、より簡略化して条例化するのが本来の筋なのか、それともCCP等の重要事項についてより具体的に分かりやすく設定するのか。しかし具体的に記載した場合、非常にボリュームが多くなります。基本的な管理運営基準の設定について、どちらを優先されているか。改正内容をみれば国よりも簡略化されていますので、答えが既に出ているのかも分かりませんが、その件についてお尋ねしたいと思います。

    ○事務局
     HACCP概念のCCPの部分等ですが、ガイドラインには、当該食品等の特性、水分活性、PH、微生物による汚染状況等、かなり具体的に細かいところまで書いてございます。従業員の衛生管理についても、マニキュアといったところまで記載があります。法務部門と協議する中で、条例の中にマニキュア等を記載する必要があるのかというところから簡略化しており、その部分については、全て逐条解説に盛り込むこととなっています。当課と法務部門で、逐条解説を含めた形で一本の条例として扱うと考えています。先程の冷却、加熱、乾燥等細かい工程についても、規則なり逐条解説に盛り込むということで考えさせて頂いております。

    ○委員
     分かりました。

    ○事務局
     逐条解説については、条文の一つ一つに対し、例えば「必要に応じて」とはこういうことであるとか、「定期的」とはこういうことである等、具体的に説明したものになります。条例、逐条解説で一本になります。逐条解説は条文一条ごとに記載されます。

    ○委員
     それでは、管理運営基準に並列された形で、逐条解説と一本化されるという解釈でよろしいでしょうか。

    ○事務局
     そうです。一条一条それぞれの解説ですね。

    ○委員
     はい。分かりました。

    ○座長
     ガイドラインは、ほぼ網羅しているということですね。

    ○委員
     そうですね。基本的には網羅されていますね。

    ○座長
     今の議題について、特に監視指導計画の修正が必要である等、ありませんでしょうか。
     それでは、後でまとめて全体の議論について受ける中で進めたいと思います。次の議題に進めさせて頂いてよろしいでしょうか。
     では次の議題に進めたいと思います。次の議題は、県と協働を行う農産物直売所について議題提案頂いてますが、本日体調を崩されお見えになっておられないので、県のマーケティング課から内容説明をお願いします。

    ○事務局
     県と協働を行う農産物直売所について、提案事項について事務局で代読させて頂きます。
     県民だよりなら3月号に農産物直売所と協働協定を結んだとありましたが、その内容、及び販売されている商品の安全・安心についてどのような方法で保証できるのかをお尋ねしますということで、資料については、県民だよりのその該当部分を用意させて頂いております。

    ○幹事課
     資料6をご覧下さい。ご質問のありました農産物直売所の安全・安心について、近年色々と輸入品等の不安があり、地産地消といいますか、極力顔の見える農産物等を購入し、安全・安心なものを食べたいという、消費者の動向があります。
     県内においても、我々が把握していますところ、農産物の直売所が現在108箇所ございます。消費者の要望に合わせ、今後こういう農産物直売所等が、県下にこれからどんどん増えていくのではないかと思っております。
     今回、ここに掲載がありますように、県内108箇所の内、19箇所の農産物直売所について県と協働協定を締結しています。その中身で、先程の奈良県食品衛生法施行条例や法律を遵守することも条件に入れています。あと、農産物の生産履歴の記帳や、農薬の使用基準の徹底等があります。
     今回は販売額等の条件を付けていますので19箇所になっていますが、今後こういった協定を結ぶ県下の直売所をどんどん広げていき、この19箇所をモデルに、安心・安全というコンセプトで来られる消費者の皆様方の期待を裏切ることのないよう、色々な形で関係各課と協力しながら、努めていきたいと思っております。

    ○座長
     ありがとうございます。今の内容についてご意見等ありますでしょうか。
     具体的な内容を紙面で渡し、これを守って下さいという形で、農林部門からお話しされているのでしょうか。

    ○事務局
     はい。今回協定を結んだところについては、協定条件として書かせて頂きました。なお今回の資料にはお付けしておりません。

    ○座長
     その他ありませんでしょうか。
     それでは、次の議題にいきたいと思います。
     3番目の「体細胞クローン牛、豚等及びこれらに由来する食品の安全性について」について、議題提案のご説明をお願いします。

    ○委員
     先日から、体細胞クローンについて安全という方針が決まったと、食用として流通している牛肉と差がないとニュースで報道されていましたが、頭では理解しているのですが、どうも消費者からすると気持ち悪い、嫌悪感を感じるというところがあります。クローンを食べるということに対する抵抗について、皆さん一般の方でも同じ様な感情をお持ちではないかと思います。
     そのようなものが食品として本当に流通するのか、国民に理解されているのかということを踏まえ、県の方向性をお教え頂きたいと思います。

    ○座長
     対策等について、事務局の方から説明をお願いします。

    ○事務局
     クローン牛の関係について、まず畜産課からお答えを頂きたいと思います。

    ○幹事課
     体細胞クローン技術で作られた牛や豚が一般の技術を用いた牛や豚と同等の安全性があることについて、一定の評価がされたということですが、現在倫理的な問題から消費者の理解が十分に得られていないこと、また妊娠期間中に死産したり出生直後に死んでしまう率が高いことの報告があり、技術的にもまだ実用化段階には至っていないところがありますことから、一般的にはすぐに体細胞クローン牛の牛乳や牛肉が流通することはないと言われております。また、農林水産省の方から引き続き出荷を自粛するという方針が示されているところです。
     ちなみに奈良県では、平成10年に体細胞クローン牛の作出に成功しており、4頭作出しておりますが、やはり倫理的な問題から平成13年度以降、都道府県段階では中止しているところが多いようです。国の一部研究機関では引き続き研究されていますが、情報公開をきっちりと行い、消費者の意識を調査しながら、慎重に進められているところです。
     私の個人的な見解になってしまうかもしれませんが、家畜の場合、やはり経済的に、消費者が拒絶反応を示すものを作っても仕方がないですし、この技術は優れた家畜を効率的に作ることを目的としていますが、現在効率的には作れていませんので、将来的に体細胞クローン牛が食品として流通する可能性は低いのではないかと考えます。ただ、この技術を使って優秀な種畜をつくり、後代の牛乳や牛肉が流通する可能性はありますが、こちらも倫理的な問題があり、すぐに流通するということはないかと考えます。

    ○委員
     おっしゃることは分かりますが、感覚として、クローンが因子として入ってしまうことがよくないのではないかと思います。因子を持ったものが親として、他の通常のものと交配させることで雑種化し、一般のものと区別なくなり流通していくことは否定できず、クローン同士の牛がいつの間にか交配し、出来てしまうのは避けて欲しいという思いがあります。
     品種が絶えるということを防ぐという意味では、大事な技術であることは我々も分かりますし、その高い技術を保持していることは大切なことと思います。品種を絶やさないという意味で技術を維持していて、必要になった時にこの技術を使ってその品種を作り出せるということを、今、国民に周知しておき、将来食の安全が保てるということで十分だと思います。

    ○座長
     今はあまり流通していないようですが、近い将来流通してくる可能性あるでしょうね。今の説明にありましたとおり、核移植をした本体を食べるというよりは、その子供を食べるということが近い将来考えられます。今回、安全委員会から安全性については大丈夫だということで結論が出ましたが、次はマネージメントのところ、流通させるのかというところで、行政機関がもう一度検討する必要があるかと思います。
     まだ流通していいとはなっていませんが、その段階で、たぶん気持ち悪いという意見があると思いますが、その気持ち悪いという感覚を基準レベルで作るのか、そうでなく大丈夫ですよと説明できるのかということかと思います。
     まだ、どんなものが流通していいかというところまでは決まってなく、ただ、食べても健康被害はないですよというところまで来たということですね。
     他に、ご意見はありませんか。

    ○委員
     倫理上や品種の保存の問題で、クローンの意義がありますという話でしたが、食べると毒性があるとか、そういう意味での危険性はどのように議論されてきたのか、教えて頂きたいです。

    ○幹事課
     急性毒性と考えてよろしいでしょうか。

    ○委員
     はい。

    ○幹事課
     普通の牛と比べて毒性が増えているかということで議論されてきました。その結果として、普通の牛と、食べる分には変わらないという結論が出たということです。

    ○委員
     その毒性というのは、具体的にどういうことを調べているのですか。

    ○幹事課
     新しい蛋白質が出来ているかや毒性物質が出来ているか等、一つ一つつぶしていった形になります。

    ○委員
     分かりました。

    ○座長
     県の方から情報を持っていますか。

    ○幹事課
     基本的に病理学的あるいは理化学的に検査等を行い、或いは遺伝子組換え自体を行っていないので、新しい蛋白質は基本的には無いと思っております。

    ○座長
     ミトコンドリアの遺伝子が2つ入るんですね。2つ遺伝子が入った時に蛋白質がどういう変化をするのかということですね。

    ○委員
     何故危険なのかということが分かりません。

    ○座長
     体細胞クローンを作ると流産率が高いんですよ。5割くらい流産率があり、普通流産した牛は食べないんですね。ですので、その流産率の高い牛を食べても大丈夫かという議論から始まったと思います。

    ○委員
     巨大化するということですか。

    ○座長
     サイズが変わるということも言われています。

    ○委員
     ミトコンドリアに遺伝子が2つ入るんですか。

    ○座長
     2種類の遺伝子が入る為に悪さが起こらないかということを最も検討されていたようです。
     他にご意見ありませんか。

    ○委員
     科学的にその食品の安全性は担保されているのでしょうか。

    ○座長
     基本的に、科学的に食品が安全ということは証明できないと思います。それは、例えばジャガイモが危険であるかどうかということを確認できないのと同じだと思います。今の科学で、認識できる危険が無いということですね。
     他どうでしょうか。よろしいでしょうか。
     この件については、最終的には行政側のガイドラインなり規格基準化されると思いますが、その時もう一度議論されると思いますし、その基準に合わせてクローン牛を作るかどうかと、2ステップくらい踏むことになると思います。
     それでは次の議題に行きましょうか。食の安全・安心に関する消費者向けの報告書及びセミナーの開催について、議題提案が出ていますので、よろしくお願いします。

    ○委員
     3つ提案させて頂きます。
     1つ目は、昨年度に冊子を作成し県のモデル的な食品の安全・安心のレベルをある程度決めましたが、ひとつの理想的なモデルですが、内容的に専門的になり過ぎ、一般の消費者や、先程食品衛生協会の話がありましたが小さい食品企業には、専門的になり過ぎるのでないかと思います。これより、次に、消費者や中小零細の食品企業向けに書いてはどうかという提案です。
     座長は食の安全について取り組まれていますが、出されています本をテキストとして委員の皆さんにお読み頂いて、各々の委員の立場において、現在の奈良県の食品企業のレベルや消費者の皆さん方のレベルに合わせ、書いて頂いてはどうかと思います。一部の委員から、難しくて現実的でないのではというご指摘も頂いていますので、それも受け、提案させて頂きます。
     2つ目は、内容が専門的過ぎるということから、当該冊子の解説のセミナーを行えばよいのではという提案です。
     3つ目は、独立したセミナーについて、もっと分かりやすい、消費者と奈良県の中小零細食品企業さんを中心として、「食の安全とは何か」というテーマで行えばということです。
     これら3つを全部行うということではなくて、皆さんの同意を頂けるところで行えればと思っています。

    ○座長
     食の安全についてリスクコミュニケーションをして、今までの施策のもっとかみ砕いた説明をということでしょうか。

    ○委員
     そういうことですね。

    ○座長
     県や委員からのご意見はありますでしょうか。

    ○委員
     何か食品を買うときに、これは絶対安全だと思い買うのが一般消費者だと思うのですが、生産者側や流通・販売者側はリスクはゼロではない、食品は絶対安全ではないという認識を持たれていると思います。消費者からはそれが見えて来ないのですね。そういうことを踏まえ、消費者の学習の場、言わば賢い消費者になる学習の場があればよいと思います。今、ご提案がありましたが、消費者側としてもよいと思います。

    ○座長
     いかかでしょうか。

    ○委員
     加えて消費者はマスコミの報道を信用しがちですので、マスコミの方たちに対する学習の場、本当の意味を知らないで報道されている恐れもありますので、関係者の学習の場があればよいのではと思います。

    ○委員
     消費者の立場で参加していますが、私はマスコミの意見を信用していた方ですが、前回寄せて頂き、マスコミの意見を信用していない方も多いことを知りました。作られる方の考えやご苦労を踏まえ買い物をする自分自身の立場における役割といいますか、マスコミは営利目的でやってられますので、営利目的が関係しない場をつくり、お話を聞くことは必要だと思いました。私は、疑問があればこの場で聞くようにしておりますし、そういったものは必要と考えています。

    ○委員
     こういうことは積極的にやるべき一番大事な部分だと思います。私共が取引させて頂いているところは結構小さいところが多いですが、今のHACCPにしても、このままだと15%くらいしか普及しないと思いますが、50%くらい普及をしないと食の安全が保てないのでは。今おっしゃられた事業者は大きなリスクを抱えていますが、賢い消費者になって頂くといいますか物事を正しく見られる力を付けてもらうことが、よりよい社会作りにつながると思います。
     こういう活動にはなかなか予算が付かないと思いますが、是非とも頑張って頂きたいと思います。食品安全行政全体について予算的に厳しいとは思いますが、よりよい社会作りには有効な使い方だと思います。

    ○座長
     食品衛生協会の方ではこういったことに力を入れられているのでしょうか。

    ○委員
     はい。年に一度、食品衛生指導員の講習を行っており、我々も情報を踏まえた教育を受けていますが、いかんせん、先程述べましたとおり、指導員の高齢化が著しく進んでおり、なかなか高度な部分については対応に苦労するというのが現実だと思います。本当に分かりやすく解説を作って頂き、それをもって我々指導員がご案内させて頂くのであれば、今以上に進んでいくのではないかと思います。

    ○座長
     懇話会全体として、食の安全についてのリスクコミュニケーション推進のご意見に賛同します。特にかみ砕いた形の説明を、何らかの形でお願いしたいと思います。県の方でどのようなことが可能でしょうか。

    ○事務局
     まずマスコミの方の学習の場という話がありましたが、なかなか県政記者クラブを集めて行うのは難しいのが現状ですが、種々事件・事故が発生した際は、我々としては必要な情報を付けて発表させて頂いております。その際は、風評被害についても配慮させて頂いております。
     次に消費者の方の学習の場については、まず、私共や保健所にご相談がありますと、会場さえ確保頂ければ説明等に行かせて頂いておりますので、またご活用頂ければと思います。
     ご提案の2つ目、3つ目の、セミナーとパネルディスカッションについて、来年度には多人数参集型、自由参加型のものを、委員の皆様のご協力を得ながら開催できるよう検討したいと思います。報告書の方については、またご提案の詳細をご相談させて頂きたいと考えております。

    ○座長
     メディアへの説明については、事件が発生してからでは遅いです。経験上で分かると思いますが、加害者側が説明をしても誰にも信じてもらえませんし、いまどきは行政側も事件に巻き込まれることが多く、加害者の一人として扱われる傾向がありますから、なかなか説明しても、「嘘言ってるんだろ?」と見られます。
     今のシンポジウムについて、どれだけ出来るかは分かりませんが、メディアの方を集めて勉強会をするというのは無理だと思います。教えてあげるといって集まる記者さんはまずいないと思います。ですので、消費者の一人として各メディアの方にシンポジウム等参加して頂き、賢い消費者になってもらうのがいいと思います。
     本当に事件が起こってから「危ない」と説明すると、こんな状況だったのかとどんどん大きくなる傾向があります。例えばこの前のフグの食中毒事件でも、あれが大事件になったのは、フグで死亡するということを日本国民が忘れてしまっていることが理由だと思います。食中毒の世界で生きてきた人間としては当たり前のように知っていますが、それが忘れられていると、これほど死亡していると分かり、法律や条例が出来ていないと大騒ぎになるんですね。日頃から奈良県でも、食中毒による死因がフグであれば不幸な事件だったかもしれませんが、しかしそれ自身がその事件以上に風評になり得ました。
     食の世界では常識であっても世間では非常識なことが多くありますから、そういったことについて伝えていく、行政もそうだし、消費者側の方もだんだん常識の方がずれていってしまいます。消費者側に説明する機会がなくなってきますと、説明されないことはリスクがないと考えられるので、だんだん乖離していきます。それをなるべく繋ぐ施策を、その努力はやってもらわないと。この懇話会自身も、その中の一つとして繋ぎ役となれればよいと考えております。
     先程お話がありましたように、この冊子をブレイクダウンしたパンフレットや説明資料を作成するなり、是非進めて頂きたいと思います。これを一冊読める力のある方はそういないと思います。専門家でないと最後まで読み切れないと思いますので、それを付せば最後まで読めるようなパンフレット作成等をお願いします。

    ○事務局
     先程の2つ目、3つ目のご提案については、皆様のご協力を頂きながら、来年度の3月までに実施できるよう進めさせて頂きます。また1つ目の、消費者が分かりやすいパンフレットやチラシについては、例えば食品表示と併記したり裏面に食の安全の取り組み等を掲載するなど、出来ればと思います。こちらについてもご相談し進めさせて頂きたいと考えております。

    ○座長
     パンフレットの裏に思いっきり分かりやすく書かないと通じないグループ、そこそこ知っているグループ、ある程度詳しいグループと、対象の幅が非常に広いと思いますが、ある程度詳しいグループでHACCPの情報をある程度知っている人が読んでもこの冊子は苦しいと思います。読み手に応じて全部を一度に書くのではなく、少しづつブレイクダウンをやって頂けたらと思います。

    ○委員
     今回の提案はあくまでもたたき台でございましたが、今、皆さまから多くの賛同を頂きましたので、これをこのまま実行して頂ければと思います。今、3つ提案しましたが、その各々について実施計画的なものを作っておりますので、皆さまのご意見を頂いていきそのご意見を活かす形で、事務局と相談し具体化する形で進めさせて頂けたらと思います。

    ○座長
     ありがとうございます。だいぶ時間がたってしまいましたので、全体を通じて、この議題以外でも、ご質問・ご指摘があれば併せてお伺いします。
     皆様のご協力のおかげで議題は全て終了しました。これで終わりたいと思います。最後に事務局からご挨拶よろしくお願いします。

    ○事務局
     長時間にわたりありがとうございました。数々のご意見を頂きました。直ちに実施できるもの、若干検討を要するもの、段階を踏ませて頂きたいもの等ということで受け止めさせて頂きました。いずれにしましても、実現できる方向で考えさせて頂きたいと思っております。貴重なご意見等ありがとうございました。本日はありがとうございました。