第12回 奈良県食品安全・安心懇話会

第12回 食品安全・安心懇話会議事録



第12回   奈良県食品安全・安心懇話会
 
  平成21年11月30日(月)
午後2時~午後4時

 於:猿沢荘(奈良市池之町)  

 
出席委員

  今村委員 小松原委員 上田委員 福原委員 竹村委員 岡山委員 山本(將)委員

  森委員 木下委員 早﨑委員 南城委員 矢藤委員 井上委員 (13委員)

次第


  • 議事

    1. 平成20年度奈良県・奈良市食品衛生監視指導結果について
    2. 「食品のリスクとのつき合い方 -食中毒をテーマに-」の開催について
    3. 総合衛生管理製造過程(HACCP)制度の推進について
    4. 食品安全に関する条例の策定について
    5. 食品の安全性について
    6. 食品の表示について

  • 報告

    1. 食の安全・安心行動計画(平成20・21年度)について

資料

     

  1. HACCPシステムパンフレット



  2.  



○事務局
 定刻の時間でございます。それでは只今より第12回奈良県食品安全・安心懇話会を進めさせて頂きます。まず事務局よりご挨拶申し上げます。

○事務局
 本日は何かとお忙しい中、第12回奈良県食品安全・安心懇話会にご出席頂きまして、ありがとうございます。当懇話会は本県におきます食の安全、保護政策全般につきまして、県民を代表して委員の皆様方にご意見を頂き、施策に反映させていこうという目的の為に開催されております。よろしくお願いします。
 ところで、ここ2・3年におきましては、中国の冷凍餃子事件等を始め、食の安全・安心を揺るがすような事件が多発しております。業者の方のモラル低下も浮き彫りにされている時期でありまして、県民の皆様の関心もかなり高く大きなものとなっているところでございます。国におきましても、幅広い見方をしますと消費者安全法なり、具体的な話で申し上げますとJAS法の虚偽表示等に対する罰則の強化などの対応法案について制定されて動きかけているところです。また来年には米穀に関しましてトレーサビリティ法というものも予定されているようであります。県におきましても、食品衛生に関しまして営業者の皆様方が守っていかれるべき管理運営基準等を定めております県の条例につきまして、具体的に厳しく改正をし、この7月から施行させて頂いたところであります。
 また食中毒に関しましては、夏にO157の関係で全国に発生した事案を含めまして、奈良市を除きまして本県では8件という状況です。例年に比べまして多少多いという状況です。今後とも食中毒予防の啓発に努めると共に、12月には保健所と連携し年末一斉取締りを実施する予定です。
 なお来年1月には当懇話会でもご意見を頂いておりましたが、「食品のリスクとのつきあい方-食中毒をテーマに-」を表題としまして、シンポジウムを開催したいと思っております。詳細については後ほど報告させて頂きます。
 ところで本日の懇話会では、平成20年度奈良県食品衛生監視指導結果をご報告すると共に、委員の皆様から頂きましたご意見につきまして意見交換等をして頂く運びとなります。よろしくお願いしたいと思っております。
 限られた時間ではございますが忌憚のないご意見を頂きまして今後の県政に反映させて参りたいと考えておりますので、よろしくお願い致します。簡単ではございますが開催にあたってのご挨拶とさせて頂きます。

○事務局
 それでは資料のご案内をさせて頂きます。皆様のお手元にありますのは第12回奈良県食品安全・安心懇話会次第でございます。それから委員名簿、座席表、意見交換の提案事項をまとめたものでございます。次に本日の会議資料がございます。順に確認させて頂きます。資料1が平成20年度食品関係営業施設数及び監視指導件数で、こちらは奈良県全体を取りまとめたものになります。資料2は昨年度の奈良県食品衛生監視指導結果及びその概要です。資料3は昨年度の奈良市食品衛生監視指導結果及びその概要でございます。資料4は食の安全・安心行動計画でございます。資料5は今年度の奈良県食品衛生監視指導計画でございます。資料6は今年度の奈良市食品衛生監視指導計画でございます。資料7は今年度の食中毒発生状況の速報でございます。資料8は後ほどの意見交換のご提案にありますエクゼクティブ・ワークショップの資料でございます。資料9はHACCPシステムのパンフレットでございます。資料10は食品健康影響評価の結果の通知についてです。資料11は11月1日付けの毎日新聞の記事です。資料12はJAS法改正の資料です。最後の資料13がリスクコミュニケーションのちらしです。添付資料は以上でございます。過不足等々ございましたらお願い致します。無いようですので、座長、議事進行をよろしくお願いします。

○座長
 よろしくお願いします。今、事務局からご紹介のありましたとおり、食品への県民の思いというのは非常に熱いものがあると考えております。今日お集まりの皆様は、各々の分野で代表される方々でありますが、皆様のご意見を是非集約して県の方に伝えて行きたいと思っております。今回もたくさん意見交換の議題を頂いております。皆さんのご協力、心から感謝申し上げます。限られた時間の中ではございますが積極的にご意見を賜りまして、奈良県の食品安全行政を少しでも支援して行きたいと思いますので、ご協力の程よろしく申し上げます。
 それでは議題の方に移らせて頂きます。まずは最初に事務局からの報告事項、それについての議論ということで進めたいと思います。では最初に監視指導結果の報告からお願いします。

○事務局
 平成20年度の奈良県における監視指導結果について報告させて頂きます。
 監視指導計画は食品衛生法で年度毎に策定することが規定されております。原案を作成し、1ヶ月間意見募集し、修正した案を3月の懇話会でお示しし、意見調整した上で策定しております。中核市である奈良市は独自に計画を策定していますので、ここでは県の監視結果概要についてご説明致します。
 配布しました資料2をご覧下さい。1枚目~3枚目までが概要になっています。1枚目の上段は、許可を有する施設に対する監視指導状況を示した表です。業種ごとに監視回数を決めており、それぞれの年度の達成率を示したものです。全体の達成率は年々増加しておりますが、法違反等行政処分施設(食中毒)やその他行政処分施設において、平成19年度の監視達成率が前年と比較し大きく落ち込んでいるのは、平成20年1月の中国餃子事件の対応に追われた結果であります。平成20年度はこの結果を踏まえた上で立入検査を行い、事故米穀不正規流通事件等の発生にもかかわらず、達成率が前年を上回りました。
 下段は食品等の収去検査、いわゆる抜き取り検査の実施状況です。厳しい財政状況の中で、検査件数の維持に努めております。
 裏面をご覧下さい。食品の検査のうち農産物等の残留農薬に係る検査について示したものです。上段は県産モニタリングで、出荷前の生産段階における残留農薬の検査検体の推移です。平成20年度は45検体実施しました。下段は、流通段階での県産、国産、輸入品の検査件数で平成20年度は46検体実施しました。検査項目は116を予定しておりましたが、年度途中の検査機器の故障により116の検査項目中44項目しかできない時期がありましたが、有機リン系農薬等主要なものの検査は実施させて頂きました。この件については、新たにガスクロマトグラフ質量分析計を導入し116項目の検査が可能となっています。上段の県産モニタリング及び下段の流通段階の合計91検体の内訳については、県内産67検体、県外産8検体、輸入品16検体です。
 平成20年度も、収去検査で県内産野菜「ふだんそう」において違反が1件ございました。内容は、昨年度と同様、EPN等について使用基準を確認せず使用した結果、食品衛生法の残留基準及び農薬取締法の使用基準に違反したものでした。県は、農林部局と保健所が合同で調査指導を行い、未出荷のものは出荷停止、既に出荷されたものは廃棄処分を指示しました。違反者には法の遵守と生産者としての責務について説諭したところでございます。
 2枚目は、消費生活センター及び食の安全・消費生活相談窓口に寄せられた内容別の相談件数及び講習会等の開催状況を記載しています。これを見ますと、穀類の相談件数が前年と比較して大幅に増加しています。
 3枚目は、残留農薬検査件数の推移を示したものです。県内産モニタリング検査は平成16年度から実施しています。先程平成20年度の検査検体数を91と申し上げましたが、表では129検体となっております。これは検査機関で独自に検査したものも含めております。輸入冷凍餃子事件により加工食品の検体数を増加させましたが、さらに平成21年度は前年度1.5倍増の195検体の検査を予定しています。
 今後も引き続き、輸入食品の検査はもとより国内産食品の安全確認を図る為、県内流通やモニタリング検査の増強に努めてまいります。以上が県の輸入食品、残留農薬等の検査結果、今後の方針等でございます。また昨年度は、事故米に続き輸入食品のメラミン混入事件がありました為、本年度の監視指導計画において、輸入食品の菓子についてメラミン検査を追加し、実施を予定しております。以上が監視指導結果の報告です。

○座長
 リスクコミュニケーションも併せて説明されますか。引き続きリスクコミュニケーションについても説明お願いします。

○事務局
 資料13のピンクのちらしをご覧下さい。「食品のリスクとのつき合い方-食中毒をテーマに-」というちらしになります。昨年度2回目の懇話会でシンポジウムの開催についてご提案がございました。このご提案を受けまして、平成22年1月29日に奈良県文化会館小ホールにて、内閣府食品安全委員会との共催で食中毒をテーマに開催することとなりました。経験に乏しいということもありますので、先生方とも相談させて頂いて、皆様の関心が深い食中毒をテーマとさせて頂きました。座長の今村先生にご講演頂きます他、上田委員、森委員にもご協力頂き開催致します。皆様もご参加下さいますようお願い致します。以上です。

○座長
 ご説明ありがとうございます。今の2点につきましてご意見、ご質問等ありますでしょうか。

○委員
 質問でございますが、輸入食品の16件の検査の実施というのは、増やして頂いた結果だと思いますが、このことの評価と、今後の件数をどのようにお考えかとお願いしたいと思います。

○事務局
 平成22年度の残留農薬に係る検査件数についてのご質問でございます。具体的な計画につきましては12月から2月くらいに各保健所、保健環境研究センターと収去会議を開催し、件数の調整をしまして、来年度監視指導計画の意見募集については2月ぐらいを予定しており、2月くらいまでに素案を決定させて頂きたいと考えております。なお、現在、検体数をどのように動かすかについては具体的には案が出ておりません。
 平成21年度の輸入食品の内訳に、冷凍食品30件、冷凍野菜15件、輸入青果20件と書かせて頂いていますが、この輸入食品の抜き取り検査にあたっては、他の保健所と同じ製品が重ならないことを考慮しつつ、事前に保健所がスーパー等へ事前調査に行っております。昨今の輸入食品、特に中国産の輸入冷凍食品や残留農薬基準違反について報道等があり、国の検疫所における輸入食品検査でも若干減少していますが、収去する対象を探すのに一苦労するというくらい市場流通している輸入品目が少ない状況もございます。そういったことも踏まえ、検体数の検討を考えております。

○座長
 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

○委員
 はい。

○座長
 他にご意見、ご質問ありますでしょうか。
 リスクコミュニケーションの件ですが、私恥ずかしながら、講演をすることになりまして、皆様方の普段の熱い議論をお伝えしたいと思っております。今日議論に出たことも参考にさせて頂いて、よいリスクコミュニケーションにしたいと思っております。

○委員
 輸入食品の検査についてお聞きしたいのですが、今、検査項目とされているのは主に冷凍食品と輸入青果ということですが、ゴマやくるみ、アーモンド、干し葡萄とかもかなり輸入されていると思うんです。そういうものの検査は、今後どのようにしていかれる予定なのか教えて頂きたいと思います。

○事務局
 ご指摘のとおり現在実施していますのは冷凍食品と輸入青果ですが、一部、小麦粉等も実施とさせて頂いております。県全体の流通状況を踏まえ、ご指摘のように一次加工品でありますそういった乾燥製品についても、検討させて頂きたいと考えております。

○座長
 よろしいでしょうか。

○委員
 はい。

○座長
 では、次の議題に移らせて頂きます。
 HACCP制度の推進について、議題が提出されています。ご説明お願いします。

○委員
 どうぞよろしくお願いします。資料8をご覧下さい。エグゼクティブ・ワークショップについて、このエグゼクティブというのは企業の上層管理者層のことで、それらの方を対象とする研究、研修会の提案になります。
 開催主旨が書いてございますが、先程座長からお話がありましたように、いろんな偽装問題等、消費者の信頼を裏切るような食品事業者の事件が発生していますが、それの根幹はやはり経営者層、エグゼクティブ層のいわゆるコンプライアンスの遵守や社会倫理への適応にそもそも問題があるのではないか。その辺をしっかりと皆さんに認識して頂くワークショップを開こうという提案でございます。
 資料の(2)に名称を案として書いてあります。エグゼクティブというのは堅苦しく聞き慣れないので、もっと簡略化して括弧内に書いておきました。主催はこの懇話会として、共催については、既に市販されているワークショップのプログラムを使うと言うことで、「月刊HACCP」という雑誌の関連会社である、日本HACCPトレーニングセンターを共催に入れております。後援は県担当のご担当課、特に、主旨にも書いてありますが昨年3月に農林水産省関係から「食品業界の信頼性向上自主行動計画策定の手引き-5つの基本原則」が各食品業界団体に通知されており、これに基づいてということから農林部にも参加頂くという形で書きました。
 対象者及び定員については、懇話会委員の所属団体や企業団体の中で、特にこれから中心的な活動をして頂けるのではという方を念頭に、企業のトップ、経営者、工場長等のエグゼクティブメンバーを対象とし25名。時期については出来れば今年度中。場所については奈良市内。開催内容は、一からプログラムを組むと大変なので、実績のある市販のプログラムを有効に活用と考えています。このプログラムについては資料8の3枚目にございますので後で見て頂けたらと思います。
 開催費用については、既に国が食品産業HACCP等普及促進事業として補助金を出しており、ワークショップ開催の主要な費用の大半はこの補助金からまかなえます。受講して頂く会員の方には、講師の食事・お茶等を補助的にご負担頂く程度で済みます。その他、事務局は懇話会事務局に設け、去年の冊子作成時と同様、専門部会を設置し対応頂ければどうでしょうか。
 受講者の募集については一般公募と致しますが、実際にはなかなかエグゼクティブ・ワークショップの意義を理解願うのは難しいだろうと思いますので、懇話会委員の所属団体等の中で、これから中心的に活動頂けると思われる団体から推薦頂くやり方で実施するのが実際的ではないだろうと思います。
 本ワークショップの開催のポイントについては、まず来年の遷都1300年祭記念事業の一環とし奈良発信ということで。2番目には農林水産省通知の実践となること。3番目は懇話会の実績の一つになること。4番目は国の補助金が活用でき受講者負担が一般開催の10分の1程度で済み、また市販プログラムの活用により事務局の負担も省けること。それから、このテーマは今後中小企業さんを中心に非常に重要なテーマであり、HACCPの導入・普及を図るとしても、最初はいわゆる企業ガバナンスを含め、コンプライアンスや社会的倫理の問題になり、参加頂いた食品業界団体の基盤作りになること。これをもってエグゼクティブ・ワークショップ開催の提案をさせて頂きます。開催主旨の詳細は時間の関係もございますのでこの説明では省かせて頂きますが、取り上げテーマは国の方針のひとつでもありますので、奈良県においても取り組んで頂ければということでございます。
 続けて、先程事務局からご紹介頂きました「奈良県における農産物生産現場の安全・安心の取組について-地産地消、食糧自給の課題を含めて-」について、冊子の作成、或いはシンポジウムの開催を提案させて頂きます。
 一つめは、奈良県における地産地消、または農産物直売所の農産物の安心・安全への取り組みに絞っています。今後消費者が、こういう地産地消や直売所に対して関心をますます高められる可能性があり、実際にうまく安全管理されているか疑念をお持ちになっていくのでは。単に売場への写真展示だけではなかなか本質というものはつかめないこともあり提案させて頂きました。
 二つめは、昨年作りましたこの冊子の延長線上での取り組みになるということです。冊子ではJAならけんさんより生産者の立場から、ならコープさんより流通の立場から、その実態をご紹介頂きましたが、具体的な狙いとしては、地産地消関係では、他府県も含めJA関係やその傘下で実際に農産物を生産している生産者、それを流通させている流通業者において、農産物の安全に向け取り組まれているシステムの実績を紹介頂く事で、より地産地消や直売所農産物の安全情報につないで頂けるのではないか。例えば生産者指導の現状ですね。現場ではいわゆる栽培歴、ドリップ等の問題があり、これをどういった形でシステム的に取り組まれておられるか。生産者においては管理の実際の現状、JAさんや流通関係者においては、試験検査等のシステムの検証、そういったものをご紹介頂くということでございます。冒頭にも申し上げましたが、現在の直売品というのは現場で写真を貼るだけで済ませる所が多いのではないか。それに対し奈良県下ではそうではない取り組みがたくさんありますので、そういったことをご紹介頂けたらと思います。
 三つめは、食料安全保障の観点からの、食糧自給の問題を含めた食の安全・安心の取り組みの将来展望です。奈良県において主体になりますのは、JAならけんさんを中心とする生産者、ならコープさん等の流通関係。そういったところが実際にどういう形で取り組まれいていくかご紹介頂き。それをシンポジウムか冊子で伝えていくという提案でございます。以上でございます。

○委員
 私からは、今ご説明頂きましたエグゼクティブ・ワークショップまでは行きませんが、食品衛生協会の食品衛生指導員部会で巡回指導の取り組みで、いわゆる町中の製造会社、販売会社、また外食のお店を回らせて頂いておりまして、その中で、いわゆる5Sの基本に従った、安心・安全の指導をさせて頂いてますが、そこで前回からもご説明頂いておりますHACCPの概念が必要になってきます。実際現場を回っておりますとよくそういう話になるのですが、事業者の方がHACCPのハードルはあまりにも高いであろうと。取り組まれる以前にそういう風に理解されて、チャレンジが出来ないと感じられておられます。
 その中で他の県では、茨城県や滋賀県、埼玉県、栃木県、愛知県、その他いろいろところで、県独自の認証制度をつくっておられます。その県のミニHACCPということで、厚生労働省が認証するHACCPよりハードルを少し低くすることによりチャレンジ、チャレンジャーを増やしていこうということです。ハードルが少し低ければ、積極的に頑張って自分の所もチャレンジしてみようというようになってくるのでは、巡回指導を通じて特に感じているところでございます。
 特に茨城県では、商品の製造過程毎にその認証を与えられます。通常でしたら事業所単位に与えられるものを、商品毎に割り付けられることにより、一つずつの商品の製造過程が明らかにされます。一方、認証の付与と同時に、独自にマークを作成しそれを使ってよいという形にすることにより、大いにチャレンジャーが増えていくのではと思い、ご提案させて頂きました。以上でございます。

○座長
 ありがとうございます。今のご提案は、HACCPについてどう推進していくかというところですが、これは前回の議論でも出ていた話題であり、前回の経緯とその後の進捗を含め県の方から回答をお願いします。
 まずエグゼクティブ・ワークショップの方から。

○事務局
 エグゼクティブ・ワークショップの2点のご提案ですが、これにつきましては事務局で検討させて頂きます。資料8の3枚目、こちらは日本HACCPトレーニングセンターで行われているプログラムということですが、県で実施する場合もこのような形でということでしょうか。

○委員
 これはサンプルとして付けたもので、こういったものに準じるというようにご理解頂ければと思います。日本HACCPトレーニングセンターのプログラムを利用する、県独自で全部やる、と2つの方法がありますが、実際にワークショップを奈良県並びにこの懇話会でやりますと相当の労務が必要ですので、私は最後に書きましたように市販のプログラムを新たにアレンジして取り上げるのがいいのではと考えております。

○座長
 ありがとうございます。

○事務局
 私たちの方も、ご提案頂きました奈良県版のHACCPについて、業種毎の色々な資料がお示しできる段階になっておれば、こういったものも活用してワークショップの開催という順序になるかなと考えておりますが、そういったものがない中で、以前から申し上げておりますが、なかなか県内では大きい団体さんを巻き込んでの都道府県版のHACCPの作成が進みにくい状況があり、都道府県版HACCPについて取り組みが若干遅れている状況がございますので、今のご提案にありますように、トレーニングのソフトを利用し、県内中小企業の社長さんにご参加頂いて、こういった取り組みについてPRし、積極的にHACCPに取り組んで頂ける効果を考えますと、このワークショップについて懇話会で検討させて頂いてはどうかと考えています。
 それと2点目にありました農産物のリスクコミュニケーションですが、来年1月に食中毒の関係でリスクコミュニケーションを開催させて頂き、第2回目として懇話会で開催というご提案と理解してよろしいでしょうか。と申しますのも、追加議題ということで資料を内部で十分検討させて頂く時間がなく、大変申し訳ございませんが、来年平城遷都1300年事業ということと、農林部の方でも県内産の安全性のアピールを実施しておりますがリスクコミュニケーション計画があればその中に組み込むのか、懇話会で独自にやっていくのかということについても検討をさせて頂きたく思います。

○座長
 エグゼクティブ・ワークショップについて懇話会としても取り組んでいくかどうかということですが、私はとてもいい取り組みだと思います。

○委員
 エグゼクティブ・ワークショップの方は、HACCPを導入するという将来目標に向かって、まず経営者の方に意識改革をやって頂こうという考えです。それから農産物の方については、事務局からご説明ありましたように1月29日のリスコミの第2弾としてやって頂くと、流れとしてつながりますし、去年のこの冊子にもつながってきます。私はそういう位置付けが有意義であると思っております。

○座長
 県からの回答としては、最初に普及事業をして機運を高めるべきだという方向だったと思います。また、地産地消の問題、産地の安全の問題はHACCPと一線を画す問題になりますので、この安全をどう確保するか、それにも増してリスクコミュニケーションが難しい問題ではあるかと。これこそ今後の検討課題で意見を集約することが必要と思います。

○委員
 産地の問題については主役は農家になりますが、農家についてはシステム的な管理がなかなか行き届かない。実際にはJAさんの方でも取り組まれていますが、一般の消費者の皆様方にはそういう情報が全然入ってこない。消費者の関心事にもかかわらず情報が入ってこない状況ですので、今後取り上げて頂きたいと思います。

○座長
 農業現場での安全性確保については、GAPですとか色々な新しい国際的な取り組みがありますが、日本国内では普及しているとはなかなか言い難い状況です。HACCP制度の推進において、システムの中で議論を深めていければと思います。
 他、この件について意見ございますでしょうか。

○委員
 消費者側の意見として言わせて頂きたいのですが、HACCP、総合衛生管理製造過程について、ハードルの高い状態ではなく、言い方がよくないかもしれませんが県としてある程度のラインへハードルを下げ、奈良県の中小企業の方が導入できるラインを設けて入れていきませんと、製造過程の品質管理が維持できず、消費者は安心できるものが入手できないということは問題があると思うのですが。
 これは過程として必要だと考えますので、おっしゃったとおり一つの過程として検討頂く必要があると思いますが、消費者に対し、きちんとお返し頂く必要があると思いますがその点はいかがでしょうか。やはり貴重なご意見ですし、我々消費者としても非常に重要なことだと思いますので。

○座長
 県の方のご回答は。

○事務局
 ミニHACCPについて、先程も委員からお話がありましたとおり、国の6品目以外で、身近な商品、身近な工場で扱えることになってます。そして、どれだけの手順書を規定するかやその他の決めごと等を業種毎に考えて行かなくてはならないのですが、一般的に行われているものは、例えば御菓子の関係のHACCPであれば、御菓子の業界さんを交えてこれぐらいのレベルでやりましょう。飲料の関係でしたら、飲料の組合さんや業界さんを集めて、これぐらいのレベルでいきましょう、という形でとり決め、保健所の職員が実際の現場や書類を見て、その報告を第三者委員会に上げ第三者委員会でOKがもらえれば、都道府県知事が都道府県版HACCPの認証を与えるという取り組みが、全国的に一番多い状況ですが、奈良県の場合は、そういった業界の一緒に取り組める団体が非常に少ない状況です。今後ミニHACCPを取り入れていこうということであれば、何でも懇話会の委員さんということで申し訳ありませんが、懇話会で小委員会を作るなりして同意を得て頂いた内容で進めて行くという形で、取り組んでいくという方向になるのではと思います。都道府県だけで出来るというものではないので、いろいろな皆様方、流通、販売、生産の団体の方と一緒に取り組んでいく形がベストといいますか、一番多い取り組みでございます。

○座長
 どうでしょうか。

○委員
 そうしますと、それぞれの業界毎に総合的な衛生管理が必要ということですので、その過程を業界からあげて頂き、ここで審議をして、「これを一つの基準です」として定めればいいわけですから、ここで審議をしたものを基準ですとしてしまえば、いいわけですね。極端に言えば。
 いきなりは出来ないということですが、一概に駄目となるよりも、そういった形をとることで出来ればということで、前向きに考えていいのかもしれません。信頼できるということではないのですが、進めていければと思います。

○座長
 何かございますでしょうか。

○委員
 そんな大層には考えてないのですが、まずは、やはりチャレンジャーを増やしていく。今現在でも、販売はされているし、お買い求めになられて、食されている状況なんですね。でも、もっともっと食品衛生の意識を向上させてもらいたい。経営者はもちろんのこと、おっしゃっていた「まずは、経営者からトップダウンからやっていこう」というお考えだと思いますが、中小に関しまして、当然のことなんですよね。やはり、ハードルが高ければチャレンジしたくても頭から出来ないだろうと思いがちのところを、少し緩和して段階を経て、勉強をして向上心を持って、食品の安全・安心につなげていければという気持ちで、ご提案させて頂きました。

○委員
 このミニHACCPについて、京都府が導入したときに当該プロジェクトの専門委員として私も担当させて頂きました。三重県の場合も取り上げの当初から参加しておりまして、非常に実績が上がっています。このようにミニHACCPの地方自治体における立ち上げにおいて経験をしておりますが、現在、都道府県のほとんどのところ、また政令指定都市を含め約100自治体くらいは制定しているのではないかと思います。
 現時点におきましては、取り組みとしては本当にいいことなのですが、実績は思いのほか寂しいものになっています。立派な制度ができても、実際にその認証や登録を受けられる業者さんはまだまだ少ないのが実態と思います。三重県の場合は少し異なりますが。そういう面で、なかなか普及が難しい。
 既にもう全国の100に近い自治体がやっておりますので、後発として奈良県でやるのでしたら、今から県がやるのは色あせておりますので、奈良県食品衛生協会におかれては会員さんのレベルを分かられておられるので、県がバックアップし、協会が主体となられて積極的に、全国初の形をもって取り組まれると、私は新しい取り組みスタイルとして面白いのではと思いますし、奈良県としての特色が出るのではないかと思います。
 今まで地方自治体がやっておられます、都道府県、政令指定都市のHACCPの登録制度や認証制度は色々ありますが、残念ながら実績が上がっていないように私は思います。個人的な意見ですが、同じやるなら、例えば今申し上げたような、信頼については県に後ろ盾になって頂き、運営は民間主導の形で取り組むというのは、それなりに意義があるのではないかと思います。

○座長
 HACCPの深い部分に入っていきますので、ちょっと解説させて頂きます。食品衛生法においては、基本、基準、最低限を決めています。それに対し、より高見を求めるものとしてHACCPという自主認証制度ができました。色々なHACCPの制度が出来ていますが、結局、取得する側としては取得するのが面倒なだけで、何もいいところがないということがあり、つまりHACCPを取得する機運を高めないとHACCPの制度が無意味になりますというのが今の議論だと思います。
 県民の立場からは、底上げをしてもらわないと困るということと、いいところをもっと延ばしましょうということが、なかなか分かりにくいですが、今の議論は、いいところをもっと延ばしましょうということです。HACCPというのは、宇宙飛行士の食中毒を防ぐ為に出来た制度です。そのような宇宙飛行士が食中毒を起こさないという高いレベルではなく、普通に我々が食中毒を起こさないレベルでミニHACCPをつくればよいという流れです。それを認証する機関については多くの認証機関がありまして、ミニHACCPの認証するところもありますが、公共性がより高い方が、県全体の機運を高めていくことから、より公共機関に近い食品衛生協会が県本体に代わって認証を与えるという話です。
 食品安全・安心懇話会でも、エグゼクティブ・ワークショップについてご提案がありましたが、せっかく費用を向こうが持つということでしたので、大いにやって頂いて、少しでもステップアップできればいいですね。
 だいぶ二つ目の議題で時間とってしまいましたので、議題を進めさせて頂きます。ご質問等ございましたら、まとめて時間をとりますので最後にお願いします。
 それでは、三つ目の議題でございます食品安全に関する条例の策定について、説明よろしくお願いします。

○委員
 今話がありましたHACCPについて、これは実際、奈良県の食品企業さんにとって大事な問題であり、奈良ブランドを今後形成していって欲しいと思いますので、他の行政でやってられる制度を参考に、奈良独自の素晴らしい形にして頂きたいと思います。私共も取引先を集めて検証し、そのような取り組みを行っております。この関連で、資料4の食の安全・安心の行動計画が大変見やすくなり、この間奈良市も積極的に取り組んで頂きまして、この懇話会のおかげでですね、奈良県行政と中核都市である奈良市の、衛生管理の活動計画と報告が県民に広くオープンされて、素晴らしい状況に近づきつつあると思います。
 それで、先程からございますとおり、奈良県の活性化を是非とも実現したいという立場でご提案したいと思っておりますが、他の行政でも取り組んでおり既に近畿圏でも、滋賀県が知事の強い指示もあって、また先程の三重県の取り組み、中核都市におかれましても、それぞれ条例が制定されているという全国的な動きがございます。
 実は生協県連の方でも、この件はかねてより、県行政といいますか県知事宛に要望している事項であります。韓国においては、FTA貿易自由化のヨーロッパ向けの動きが盛んになっており、農林水産行政と食品安全行政が一体化して新しい行政機関が既に出来ております。一方、日本では今後、消費者庁が作られた後に食品安全庁という構想も出ている状況であり、現実的には、食品安全の行政が農林水産行政と連携しながら進めていく必要があります。その課題に対し、条例の実現を委員として強く要望しますということです。
 国際的な流通関係の外交においても、食品安全イニシアティブということで国際的に食品安全の問題を取り組んでいくという強い動きが出ております。やがて日本の国内でも出てくる大きな流れだと思います。前年に取り組んでパンフレットを発行して頂きました「コープのフードセーフティー」も、実はこの流れの中に位置付けられたものでございます。
 色々な努力をされているのですが、現実的には、去年から今年にかけて、何年も前からそうだったという話も含めて、偽装事件が大変増加しています。私共も、既に取り扱った商品の中に、何年も前に実はあったということが分かったという事例もございます。生協では自らの基準があり、公表し組合員にも必ず全員にご連絡をして対応しておりますが、食品安全の問題はいろんな意味で県民の強い関心でありますし、時代の大きなテーマでございます。これから食糧の奪い合いになるという、大変悲しいとらえ方もありますが、食料安全保障という問題もついて回りますので、安心して食料が食べ続けられることが大切です。こういう視点からいいますと、食品の安全の確保について国家レベルでも急ぎ対応が必要ですが、地方の時代に変わりますので、県行政が、地方行政としてこのことの具体化をする責任が課せられるということになります。ご報告もありますように、食品衛生法の改正において具体的な施策がとられたということで、この4月から大きな前進があるとは思いますが、それらを更に進めていく立場でご提案申し上げたいと思います。
 内容につきましては、今も議論になりましたが、優良事業者を育てていくという視点も大事です。まさに来年は、年が明けて1月から、平城遷都1300年のいくつかの記念事業が取り組まれますが、世界から奈良が注目され、国内だけではく広い世界からお客様が来られます。知事も、もてなしの心や大和ブランドの発信について、強いご意向を示されておりますので、地産地消、それと先程から出てます食糧の県内自給を高めるというところも含め、この条例を作ること、そういった立場を県の行政がとることを、多くの県民が期待をしていると考えております。
 私共の調査でも、依然として食の安全に対する不安は大変多く、調査では8割を超える方がこのことに関心があり、行政への要望に食品安全の施策がとられることが強く入っております。県民の健康の保護ということで条例でもうたわれていますが、市民消費者と事業者との関係、この関係作りが大変大事だと思いますので、県の知恵を尽くした、自主的な衛生管理の優良事業者を育てる支援制度をですね、それが必要だと思います。
 ほとんどの業者は、何か事故がありますと自主回収を行われますが、それは消費者の大変大きな力が及んできたということで、内部告発も多くなってきました。ただ、この回収についても、改正された食品衛生法の中でもきっちりとうたわれていますが、結果の報告や公表といった点で、まだまだ考えが尽くせていないと思いますので、回収に伴います制度の整理が必要だと思います。
 また被害情報の申し出ですので、マスコミもたたくということが多いことから、不安な場合には隠したりすることも考えられますが、むしろ積極的な情報公開が安心を作り出す前提にもなりますので、県民が危害情報を入手できるという意味でも、申し出制度をちゃんと位置付けする必要があると思います。
 それともう一つ大事なことは、監視といいますか行政の検査についてうたわれていますが、これが知事自らの判断で、調査の実施について判断ができるよう、根拠付けとして条例の中で明確にうたうことが今後必要だと思います。
 今、他の多くの県や中核都市で行われている制度では、自主回収の届出制度、危害情報の申出制度、企業に安全性の調査に入るといった制度や、自主的な優良事業者を育てる認証制度があり、知恵をこらして奈良県独自の姿勢を示すことは、広くは県内の事業者を育てることにもなると思いますので、お願いしたいと思います。
 県行政の方もご存じだと思いますし、インターネットで検索すれば他府県の条例の整備状況がつぶさに分かります。多くのところで、今、動かれていますので、是非ともこの機会に奈良県でも、具体的に色々食品安全行政頑張って頂いてるのは分かるのですが、農林水産行政の方と力を合わせ取り組んでもらいたいということです。資料は、書物とかいろいろな情報がたくさん出ておりますので、提出させて頂いておりません。

○座長
 ありがとうございました。
 これも前回の議論に供したものでございます。その後の県での検討状況を、県の方からご説明お願いします。

○事務局
 県と致しましては、挨拶でも話をさせて頂きましたが、業者の方が守る管理基準的なものについて、条例等でより具体的な定め方に変えさせて頂いて、今おっしゃられた何点かの項目については、それの条項でもって対応しているという状況です。それを7月から施行させて頂きましたが、それから間がない状況です。
 それとそもそも、ご提案頂きました項目について、色々検討すべき事項があるのではと思っています。例えば、どういう条例、理念条例に留まらず規制条例といった意味合いで話がありましたが、そこら辺をどうするのかということや、有事に際しては法令で、ある程度定めが当然なされており、県なり国において動くべきという定めがなされていますが、そこへ上のせ横出しするのか、強化するのかといった話にもなってきます。一般的には、法令等に規定のない場合に先導的にとなりますと、それなりに効果が高いところなんですが、果たして今の段階でどうなのかといったところについても心配な点としてあります。
 それと、議題に戻りますが、地元の方を育てるという意味でのミニHACCP等取り組み的なものを含めてといったことになりますと、今どこにも定めてませんので、検討となってくると思いますが、今申しましたように、検討させて頂く部分がかなりあるという状況ですので、また引き続き、他府県の実際の運用状況などももっと詳しく調査した上で、一定の方向なりを決めて参りたいと思っております。

○座長
 はい。ありがとうございます。
 この件について、ご質問ありましたら。

○委員
 私は消費者、主婦ですので、条例とか法律とかなかなか理解しにくいところがあります。新聞等を見ていますと、社告という形で自主回収をしていることがよくありますし、テレビでも自主回収をしましたという報道を聞くことがよくあります。
 そういった何か起こった時に、自主回収という方法で企業が対応しているということだと思いますが、食品の安全が、法律の規制や企業のモラルに圧倒的に負うところが多いのであれば、法律とか条例でそれを定めて頂くということにより、企業のモラルが向上するのであれば、消費者として安心ですし、そのような方向にもっていってもらえると消費者としてはうれしいことです。
 それから回収の基準について、ある企業ではここまでのレベルで自主回収をして、別の企業では別のレベルで自主回収をするという状況であれば、消費者としては、一定の基準が決められている方が見ていて安心ですし、食品の安全の精度が高まるのではないかと思います。

○座長
 ありがとうございます。なかなか核心を突くご指摘なんですけれども。
 県の方からは。

○事務局
 安全基準面では、食品に含まれていては危険であったり、健康被害が生じるようなものについては、一定の基準が定められております。それは、危険として存在するんだということを認識して頂きたいと思います。
 あと自主回収の中には、大きく分けて2種類あると思います。今申し上げました基準に違反している、法に違反しているもので、本来は行政なりが回収命令なりを出せるのだけれども、それより先に自分で回収するというもの、また、法令に明確には違反しないですが多少恐れ的なものがあり、違反するとは言い切れなさそうといったものについて、自主的に回収される場合があります。
 後者については、行政として、条例で縛って規制をかけていいのかどうかという部分がありますので、やはり基準というものに即して、基準に違反すれば行政が手を出す。そうでないものについては、行政は手を出さない、かかわるべきではない、その線の部分があると思いますので、全部一律に一緒にというのは異なると思います。
 また、新聞等での自主回収の社告が大変多くございます。先程の2点の大きな違いは、一方は、例えばアレルギーの「卵」や「小麦」の表示が抜けていた為、社告を行い自主回収をされるような事例です。アレルギー体質の方にとっては命にかかわりますので食品衛生法上は違反になりますが、流通しているものを行政機関が見つける前に、社内の点検で自ら見つけた場合は自主回収としてされているだけであって、流通しているものは食品衛生法違反ですので、回収しないことは食品衛生法上は認められません。しかし、被害の拡大防止の為にメーカー自ら回収し、社告に載せられていることから、流通品そのものは食品衛生法違反ですが、自主回収とされています。それぞれの工場を所管する自治体の保健所では、そういった社告がでると後追いで、食品衛生法の措置を実際に行うことになります。
 他方は、例えば、品質保持期限、賞味期限等、印字インクが薄い状態のものが発見されたような事例です。そういった時に、分かりにくいので念の為に回収するという自主回収で、直ちに健康危害を起こす蓋然性があるかどうか不明という部分もありますが、念の為に自主回収するものです。
 従いまして、前者につきましては条例云々ということではなく、法による積極的な取り組みが、行政、業者でも必要であるというところです。

○座長
 なかなか難しい説明だったですね。
 自主回収というのは難しいところがあって、例えば食中毒が起こって、明らかに腐っていますと食品衛生法で取り締まって回収が出来ます。でも、その食中毒が起こった状況というのは、ある会社のスナックを2人に1人が食べており、別の会社のスナックを3人に2人が食べていますという状態でスタートします。どちらの会社が原因か確定してしまえば命令をかければいいのですが、確定前だとどちらにも命令をかけれない。その段階で、疑いがありますがどうしますかという時に、自主回収というのが一番力を発揮して、念の為の回収が発動できるところが自主回収のいいところなんです。しかし、その代わり自主的にやってもらうので、強制できないというところがなかなか難しいところです。
 今回、食品衛生法の中で、自主回収したら報告してもらう制度が出てきておりますが、取り組んだところを表に出すという流れが出てきておりますが、強制力をもって自主回収の中に踏み込んで行くのは難しい状態です。だから先程のご指摘にありましたが、これを条例に定め、せっかく自主回収を報告するシステムがあるのだから、自主回収した事実を、もっともっと周知していくことを、県として取り組んでいったらどうかというご指摘になるのだと思います。
 ここで、県は自主回収をやってもらうのはいいのですが、それを表に出すところでどこまで踏み込めるかというところが一番の検討課題と思います。それを後押しするとしたら、こういう懇話会の中で、それは自主回収しているのであれば是非表に出しましょうというところを、この委員会から意見を出すとするれば、県としてはある程度制度化しやすいのだと思います。

○委員
 ちょっといいですか。大変、事情はよく分かるのですが、県の方でもですね、この監視の体制が分野毎に行われますね。色々なお金の使い方のところまで、懇話会ではつっこめないですが。行政に対する県民の期待分野の体制ですので、やはり見直される時期だと私は強く思っています。その意味で、関係当局のご奮闘は理解しているつもりなのですが、有効な機能になっているかというと、県内の食品業界、業者の方々の経営方針なり、実態とがですね。
 なかなかそれも難しいのは分かるのですが、明確に、民間の市民組織が調査する権限はもちろんありませんので、取引先に騙されれば馬鹿だったという反省をするしかないのが、今の立場です。ただ基本的に、行政が、決めたとおりにちゃんと行われているかどうかを見届けてもらうことを、消費者が望んでいるということです。
 そのことを、条例を含め体制整備やお金の使い方について、事業仕分けではありませんが、有効かどうかご判断をして頂きたい。こういったことをやっていかないと国の発展がありません。県産業の発展もありません。県民の幸せを考えれば、こういう分野で、ちゃんとした企業を育てていくことを、行政を中心にしてもらいたい。国に決められた法律をより細目に渡って具体化するにおいて、奈良県の行政としての考え方も盛り込んで頂きたい。
 こういう発信をしましたが、県民の取り扱っている食品の安全を、こういうスタンスを要望しておりますので、当局の回答はよく分かりますが、強く願います。そういう主旨で前向きに検討して頂きたいです。

○座長
 そういう意味では、まずやるぞという宣言の意味での条例、それだけでも意味はあるとは思います。実際の規制を伴うものは、改正で追加していくことが可能と思いますので。最初から全部詰めてということになるとなかなか条例というものは作りにくいので、まずは理念を盛り込んで、手順化を明確にするだけでも私は意味があるのではと思います。県の方でも、条例化の勉強をより深めてもらうということで、検討は始めているんですね。

○事務局
 難しいですね。

○委員
 食品衛生法は刑事罰の規定がありますが、その部分だけを捉えると刑法を補完するという意味合いもあると思いますので、条例でそれに対する罰則を設けるというのは困難かと思うのですが、刑事罰ではなく行政的な何らかの処分、表現がふさわしくないかもしれませんがペナルティーを課すということは無理ではないと思います。当初は警告などを課すというのは、県が条例をつくる部分で出来ると思うので、検討に値すると思いますので、お願いしたいと思います。何とか検討しなければいけないと思いますが、一概に難しいということではなく、法令の形でない表現で留めておく部分ではないと思いますので、お願いしたいです。

○座長
 なかなか条例で処罰条例を作るというのは難しいんですね。作れないことはないのですが、時間もかかるし調整も要ります。ただ、先程ありましたHACCPの許認可というものの位置付けや改善勧告、情報の公開に関しては、一斉に同時にクリアするとなると大変ですが、一つずつクリアしてはいけると思いますので、一つずつやっていくという意気込みを示してもらったらいいのではと思います。それで、実際の県内の事業者の皆さんも、県は本気だなというのが分かるというところに意義があるのではと思います。
 他、いかがでしょう。だいぶ、時間が過ぎていますが。
 では次の議題に進めさせて頂きます。次の4番目の議題です。食品の安全性について2点、議題の提出を頂いております。種類が違いますので、一つずつ進めていきたいと思います。まずは酸性水について、ご説明をお願いします。

○委員
 私たちの関係で食品の会議がありまして、たまたまその時に野菜を酸性水で洗っていると。その酸性水というものを始めて聞きまして、酸性水自体は機械で作られていて、それで洗浄をされて。その辺のことについて、資料を作って頂いていますので簡単に説明して頂きたい。今、学校給食や食堂などで使われていると聞きましたが、どこでも使われているのか、そういうものを扱うときには法律上の許可が要るのかということについて、お尋ねしたいと思います。

○座長
 それでは、県の方から回答をお願いします。

○事務局
 一般的に酸性水と言われていますのは次亜塩素酸水のことであり、食塩水または希釈した塩酸を生成装置内で電気分解することにより得られる、次亜塩素酸を主成分とする酸性の水溶液のことです。一応、県内の業者さんでも使われていることを、保健所で確認させて頂いております。
 次亜塩素酸水は、昭和34年12月28日付け厚告第370号食品、添加物等の規格基準で、規格と使用基準が規定されている添加物、つまり国で認められている添加物で、「最終食品の完成前に除去しなければならない」とされております。また平成14年6月10日付け厚労省医薬局食品保健部基準課長通知において、「使用後、食品を飲用適の水で十分に洗浄すること」とされております。また資料に付けておりますのは、平成19年1月25日に食品安全委員会から食品健康影響評価の結果について通知が出ており、「使用後、最終食品の完成前に除去される場合、安全性に懸念がない」と評価されております。ですので、使用後、飲用適の水で十分に洗浄して頂いたら、安全だという結果が出ております。また学会等で発表されていることを見ておりますと、水道水に比べ一般細菌や大腸菌群の除菌効果が優れているとのことです。

○座長
 どうでしょうか。

○委員
 はい、ありがとうございました。そうしましたら、ほうれん草など色々ありますが、流通過程で全てそういうものを通しているのでしょうか。

○事務局
 通常スーパーで市販されているものについては、一般的には、次亜塩素酸水で洗浄されているということは、全くないとは申し上げられませんが、一般的には無いと考えております。ただ学校給食等につきましては、厚生労働省の大量調理施設の衛生管理マニュアル、堺の食中毒の発生後に出来ました、先程のHACCPを取り入れた集団給食の取り組みですが、そういったところでも、生食する場合の野菜等については、次亜塩素酸水で、どのくらいの濃度で、どのくらい漬けて、3層シンクで順次、最終的には飲用適の水で洗浄し残らないようにしなさいと勧めている洗浄ですので、先程申し上げましたように、一般的に用いられる手法であるとご理解頂ければと思います。

○委員
 はい。ありがとうございます。

○座長
 「次亜塩素酸水」と、いわゆる「次亜塩素酸ナトリウム」とは、別なんですね。「次亜塩素酸ナトリウム」はアルカリ性の物質で、消毒薬として普段使われているものですから、毒性があると考えていいと思います。それに対して「次亜塩素酸水」というのは、普通の水に電極を入れ電気分解するもので、少し塩を入れたものなんですね。酸性度だけが高くなるんです。その酸性度が高くなったもので消毒をするというもので、ある程度放っておくと酸性度が低下して元に戻ります。ただ「次亜塩素酸水」と「次亜塩素酸ナトリウム」の殺菌作用は同じなんです。
 そこで、残ると大丈夫かということですが、添加物の加工助剤としての認定を受けており、追加して後から除去してしまえば問題がないというものです。それの仲間として認可をされ、使ってよいと国が言っていると。「次亜塩素酸ナトリウム」を使うのと比べれば遙かにマシですし、適法の範囲であります。気持ちの面としては分かるんですけど。O157が流行し、「次亜塩素酸ナトリウム」に野菜を漬けていた時代がありますが、それに比べれば「次亜塩素酸水」の方がマシだと思います。

○委員
 ありがとうございました。

○座長
 よろしいでしょうか。

○委員
 はい。

○座長
 ではもう一つ、食品の安全性について議題が提案されています。遺伝子組換え食品についてですが、説明をお願いします。

○委員
 この議題は遺伝子組換え食品は安全だという話ですが、センセーショナルなニュースがあり、「飲料に遺伝子組換え」と新聞に載っておりまして、これだけ聞きますと怖いと思いますので、取り上げてみました。
 羊のドリーの話があり、日本人は、遺伝子組換えイコール怖いというイメージをもっておりますが、私にも以前はそのようなイメージがあったんですが、よく考えてみますと、遺伝子組換え自体は何ら危ないものではなく、口に入るものとして安全なものです。遺伝子組換えをしているのは遺伝子の中で本当に一部分で、DNAのほんの一個か二個であり、体の中では分解されて、何ら害のないものなんです。
 しかしこれだけ見ると怖いですよね。ブドウ糖や果糖にごまかして書いているかのようで、表示義務がないので危ないと書いてあります。なぜかというと、こういう風に書くことで、イメージとして怖いものであるかのような印象をもってしまう我々の意識があり、また非エコだというイメージをもってしまうと思うのです。遺伝子組換え食品のちゃんとしたアピールが出来ていないのではないかと思います。県も含めて行政側も、商品を売る側も、そろそろ逃げずに使っていることをきちんとアピールしていってもいい時期ではないかと思います。結果的に使っていて、安全だということを、きちんと消費者に訴えかけてもいいのではないかと思いますが、その辺のお考えをお聞かせ頂きたく思います。奈良県の方、業界団体の方、よろしくお願いします。

○座長
 県の方のご回答を、お願いします。

○幹事課
 遺伝子組換えのいい面として、食品難を救って、また地球環境問題を解決していく、また消費者ニーズに沿った農林水産物、食品の生産を行っていることがあります。例えば機能性成分、具体的には、日持ちのよい農産物、アレルギー原因物質を除き栄養成分や機能性を含んだ農作物が生産されます。また、生産力を飛躍的に向上させ食糧問題解決の貢献をするとのことで、超多収農作物、低温、乾燥、煙害などの不良環境、病害虫に強い農産物を作るという開発が行われています。
 遺伝子組換え技術についてはまだまだ不十分なところがあり、例えば、目的の作物の遺伝情報、染色体遺伝子地図が分かっていない状態でどこを組み替えたか分からず、もともとあった遺伝子がなくなった影響が分からない、まだまだ技術的に未熟なんだというところ、また遺伝子組換えした場合の事故は制御困難であること。一度作り出され環境に放出されれば、生物として増殖を続けるので、その点でも制御することが難しいなどございます。
 平成12年1月にコロンビアのカルタヘナというところで、生物の多様性条約、平たく言うと遺伝子組換え生物の輸入等の国際的枠組みを定めるといった条約、議定書が決まり、日本においても平成15年11月に締結し、カルタヘナ条約に基づいて対応しているというのが現状でございます。
 このカルタヘナ条約に基づいて、我が国では色々と実験をする場合に制約を加えております。例えば、初めは実験室等で研究開発、やや制限が緩やかになると隔離ほ場によって栽培、より安全性が確認されると一般的な使用に合わせていくというやり方をしています。
 そういった中での日本の状況ですが、遺伝子組換え作物の栽培規制について条例や指針等11都道府県で策定されており、条例規制は5箇所、北海道、新潟県、千葉県、それから京都府などです。奈良県の場合は、カルタヘナ条約の国の指針に沿って対応しています。

○座長
 委員からのご指摘は、遺伝子組換え食品は安全審査を通っていて安全であるのであれば、安全だということをもっと積極的に言っていったらいいのではということですが、今の話は遺伝子組換え食品が不安ということで、不安だから県としては出来ないということなのか、それとも安全性が確認されているので県としてもいいとして臨んでいくのか。安全として考えているんであれば、勧めてはどうか、リスクコミュニケーションをしてはどうかということについては。

○委員
 私も、安全だということをアピールして欲しいという主旨で、危険であるという報道がなされがちですが、実はそうではないと。輸入されているもののほとんどが遺伝子組換えでない訳ではないので、具体的にその辺はある程度認識がありますので、公開していってはいいのではないか。安全ですとアピールしていった方がいいのではないかということです。安全だといった方が、安心感が広がると思います。

○事務局
 消費・生活安全課です。この件については、BSEのプリオン関係で20ヶ月齢の検査を30ヶ月齢に引き上げた件で論議されているのと同じように、どうしても遺伝子組換えにつきましては、農業水産振興課から説明ありましたように意見が統一されない状況があります。どんな学術評価でも意見が統一されるということはなかなかないとは思います。
 そういう意見があるのは事実ですし、都道府県としては、国が安全ということを示していますので、輸入審査で許可を下ろしたものについては、安全だと食品安全委員会の答申を得て輸入を決定するということですので、都道府県のスタンスでは、安全だと理解をしているということです。
 ただ先程申し上げましたように、国民の方々が色々な意見により不安ということについて、油とか醤油とか一部の糖についてはDNAや生じたたんぱく質が加工工程で除去・分解されるので、遺伝子組換えの検査をしても分からない為表示は任意であり、また実際に食品に使われていましても、原材料の上位4位以降かつ全重量の5%未満の原材料であれば表示の義務はなく、その他容器包装の表示面積が少ない場合は表示が省略されます。そういったこともあって不安が煽られているということですので、今後とも国は安全だといっていることに対して消費者が不安だと思っている点については、機会がある毎に、国にリスクコミュニケーション等の開催で国民との意見交換をして頂くように、国に対して要望しているところでございます。

○座長
 可能ならということで、今、生協連はこの問題で苦しんでいると思いますが、実際には入ってきている現状で表示義務がなく、商品の中に書く義務はないけれども、それを使っている、入っていることをどんな風に伝えていくか。結構苦しんでいる問題だと思いますが。

○委員
 今日の資料にも出されているとおり、私どもならコープとしては、この点は、以前から、専門の学者のご意見を聞き、我々の判断を下してきました。今、報道されておりますとおり、生協もこの点では、情報が入手できて使用していないことがはっきり表示できる場合は、その情報を提供するという意味で表示してきましたが、昨今そのことを確認できなくなっているという実態をどう考えるかというのがありまして、我々の生協で、以前は卵の識別について、遺伝子組換えでないということを確認できていた時点では公表してきましたが、それは今は止めています。また牛乳の乳牛の飼料にも、以前は扱ってないものをということで限定してやってきましたが、今現在も、その努力を続けているのですが、その書かれている情報が必ずしも完全に証明できないという事態であり、その情報は出しておりません。
 このことについては、各生協で態度が違っており、それに固執して今現在も扱わないこととしているところもございます。色々な生協があり、そういった生協はこのことを売りにして発展してきましたが、大変な矛盾を抱えられていると思います。
 今、県の見解があったとおりですが、勉強すればなかなかどっちなのか分からないということもありますが、消費者としましたらその情報は不足していますので、出来るだけ情報提供ということで、ひとつの学識であったり、以前から取り組んできましたし、今も続けているところでございます。ですので、先程の県の見解のとおり考えております。
 状況は年々変わってきております。組合員から質問があったときに回答に苦労する事例なんですが、正直にこれは明確に出来ないと、メーカーによって努力を続けられている姿勢の違いはありますが、その点はそれぞれ各メーカーのスタンスをそのまま伝えていこうということでございます。

○座長
 ありがとうございます。なかなか答えにくい問題を答えて頂いて。要は、使っていないと言わなくなったというのが今の最前線ということですね。それを使っているぞと言えるかどうかというと、まだ生協さんでも使っていると言えるほど社会で熟していないと考えているということですね。

○委員
 使っていないものを明確に確保は出来ます。それをしたものは遺伝子組み換えでないということで、今も販売は続けています。全部がそういう訳ではないということです。

○座長
 この新聞に出ているメーカーの異性化糖とかは、このクラスになるともうたんぱく質が残っていませんからね。DNAが残ってないので、何から作っていたかについてはもう安全性の審査のしようがなく、検証や健康被害の立証ができません。ここに対して不安を持つのは、私は順番が違うと思います。まだ現物で残っているものをむしゃむしゃ食べて大丈夫かというのについて、不安があるというのはまだ分かりますが。当然無害だろうと、はっきりしているものに積極的にPRして頂いたらいいのかと思います。

○委員
 それともう一点、今と同じ話ですが、なぜこういうものを使うようになったかということです。遺伝子を組み換えても農薬を減らした方がいいのか、農薬が多い方がむしろいいのか。農薬を減らす為に使わざるを得なかったので、遺伝子組換え技術が発展していった経緯があり、やむを得ないと思い、肯定に変わっていった私自身の考えがありましたので、今回起案させて頂きました。

○座長
 この懇話会で、消費者の一般の代表である公募委員からこういった意見があったのは非常に重要なことだと思います。それだけ機は熟していると思いますので、この貴重な意見を活用していくようにして欲しいと思います。
 次の議題に移らせて頂いてよろしいでしょうか。続きまして最後の議題ですが、食品の表示について議題の説明をお願いします。

○委員
 私達の団体で食品の安全性について懇談会を開きましたところ、皆さんおっしゃりますのは、生産した方の顔が分かるなど結局は地産地消ということで安心できるものが欲しいということです。スーパーには他府県の品物が多いですが、なるべく奈良県内の農家で安全なものを作って頂き、それをスーパーに出して欲しいという要望が一番多くありました。今後も私達は表示を信じて買うしかないので、正しい表示を求めるということを要望します。

○座長
 この件について、県の方からお願いします。

○事務局
 直接的な回答にはならないと思いますが、正しい表示についての推進の取り組みとしてご紹介させて頂きます。
 原産地表示などJAS法にかかる表示に関して、当課では、農林水産省の出先機関である奈良農政事務所と連携をとり、県内のスーパー、コンビニエンスストア等食品取扱業者に対して表示の調査を行っております。奈良農政事務所では、年間約350店舗、5年間で県内全域店舗を回る計画をしていますが、それらに対して表示状況の確認を行い、JAS法における必要事項の有無の確認、特定の品目については情報の真正性、伝票等に基づいて正しく書かれているかということについて確認しております。その場で表示欠落等が判明した際は、店舗の配置状況に応じて指導を行っている状況です。
 資料12にありますように、平成21年5月30日にJAS法が改正され、これまでは是正指示、命令を経た後でなければ罰則が科せれず、罰則も1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっていましたが、改正後は重くなり、原材料を含めた虚偽の原産地表示をした業者に対して、2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科すことができると共に、違反業者に対して違反に係る指示又は命令が農林水産大臣から行われる時は公表を行うよう、規定が設けられました。これらより、表示違反をしにくい環境が作られ、違反抑止に一定の効果があると考えられます。
 また当課独自の取り組みとしては、奈良県食品表示サポーター制度を行い、一般の方にご協力願って、日頃の買い物の中で食品表示の状況をモニターし、その状況等を年2回定期定期に報告して頂き、その情報に基づき必要に応じて、店舗に対して調査及び指導を行っております。
 当課の食品表示の適正化の取り組みをご紹介させて頂きました。以上です。

○座長
 ありがとうございます。奈良県食品表示サポーター制度に参加されているお立場からご意見を頂けると。

○委員
 最近は特にそういったものはないですが、食品偽装が大きく問題になった時は非常に多く、どこ産か最初から書いていないことが多かったのです。最近は、きちんとどこ産と記載されていまして、そういったものを奈良県内で発見することがなくなりました。
 こうした取り組みは、私達消費者が一緒にやらせて頂く、見て送らせて頂くだけなのですが、よかったなと思います。県の方のご指導が徹底しているものと思います。ありがとうございます。

○委員
 ありがとうございます。このことを持ち帰って報告します。

○委員
 今のご質問に関しまして、去年作成しましたこの冊子の55ページに、今ありました食品の表示の制度について記事が掲載されていますので、そちらの方もご覧頂きたいです。

○座長
 ありがとうございます。他ご意見等ありませんか。今の議題以外でも、今までの積み残したところのご質問でも構いませんので。よろしいでしょうか。
 では、時間も過ぎてしまいましたので、わたしの座長をこれで終わらせて頂き、事務局の方に進行をバトンタッチしたいと思います。

○事務局
 ありがとうございました。先程お話がありましたが、報告事項として、食の安全・安心行動計画を作成させて頂きましたので、最後に若干、説明させて頂きますと、資料4をご覧下さい、これはリニューアルしました食の安全・安心行動計画でございます。以前に比べ、文字中心であったものを図や表を多用し見やすくなるよう変更しております。今後もこの方向でやって行きたいと思いますので、よろしくお願いします。
 例年、翌年度の監視指導計画の素案を2月に作成し、1ヶ月間パブリックコメントを行い、その意見を踏まえて懇話会の委員の皆様と最終調整をしたいと考えておりますので、次回懇話会は3月予定ということで、日程の方ご案内させて頂きたいと考えております。
 本当に長時間にわたりありがとうございます。項目につきましても、条例化の話、制度化の話、多方面にわたって、根本的なことについて、ご意見を頂きました。ありがとうございました。貴重なご意見を参考にさせて頂きまして、少しでも、いい方向に改善されるように取り組んでいきたいと思っております。本日はどうもありがとうございました。