平成30年2月7日(水)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は案件がございませんので、その他の質問からよろしくお願いいたします。
 幹事社さん、どうでしょう。


質疑応答

鹿の捕獲について

読売新聞:
 奈良の鹿の捕獲の関係ですが、昨日、16頭だったという報告があり、自然相手のことなので難しい面もあったかと思いますが、その数字についてどのように捉えていらっしゃるかということと、今後どのようにしていくかということをお聞きしたいです。

知事:
 鹿の捕獲ですが、鹿を何頭かとって、鹿肉にするのではなく、農産物の被害を防止しようという目的で捕獲にも踏み切ったというのが背景です。従って、その農産物の被害がどうなっているのかというのが、鹿が賢くて、仲間が捕獲されるようだったらやめとこうと思ってくれれば一番良いのですが、かかしみたいなもので、なかなかそうもいかないかもしれない。ただ、農産物の被害を別途注視していますが、捕獲したら余計にまた食べに来たとかということもなく、遠慮し始めたかという情報もない。そういう農産物被害を抑制するための試みということであり、食肉にするために捕っているわけではないので、被害の状況というのが最大の関心事です。被害の状況が何か捕獲が少ないからどんどん増えているという状況ではない。だから捕獲の状況と被害の状況をちょっと注視してというふうに思っています。少なく捕獲して被害が少なければ、それにこしたことはないと思っています。

読売新聞:
 そういう意味では、そのアンケートを去年の11月にされたというのを昨日お聞きしまして、意識調査というか、被害状況についてもこれから継続してやっていくということですか。

知事:
 そうです。奈良公園近辺だけではなく、鹿の被害が発生していますので、それを防止するのに、皆がてんやわんやしている。イノシシ、猿、鹿ですが、防護柵を作ったり、網を作ったりということですが、地方では捕獲をしている。鳥獣との共生ということになります。共生できなくなってきているという実態が日本の山野にあるから、ちょっと根本的な解決策が見つかればいいのになと思います。動植物生態系というのは大変奥深いことです。人間よりも彼らの生存しなければという考えはとても強いと思います。奈良は鹿に餌をやって周りの公園にたくさんいるのが特徴ですので、そのような中での近隣の捕獲ということに踏み切ったのですが、農産物被害、特に山の奥のほうでやはりまだ発生はしていると思います。それと、その調査を並行してやっていかなければと思っています。

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海外の仏像展示における学芸員の採用について

日経新聞:
 海外の仏像展示に向けての期限つき学芸員の採用で、まだ1人採用が決まらないという点について、今後の対応ですね、例えば県の職員の方を補充するとか、どういうふうにお考えですか。

知事:
 学芸員の方は、パーマネントでずっといるという増員ではなく、仏像展示をする時の学芸員ということで募集しました。2年間頑張っていただきたい。まだ来られないが、理由はちょっと分からない。仏像展示というのが、学芸員の方は割と専門性が高いので、仏像展示というような学芸分野についてなかなかぴったりとされた方がおられないのかなとも想像します。誰でもいいというわけにはいかないと思っています。

 「2年間は短い」という報道もありましたが、学芸員や専門性の高い人はパーマネントに雇ってほしいという気持ちはあるが、今、全体的に人手不足の中で専門性のある人が実は売れているのかもしれない。そこはわからないが、専門性のある人が2年間空いていたよということになればいいのだが。今、人手の状況はそうでもないような感じもします。もし後でわかれば、そういうことだったのかとなるかと思っています。学芸員の方が出てこないと、何かやりくりして他で雇われている人を、とも思いますが、仏像の専門性というのはやはり大事です。ですので、展示をどのようにするかというのを、ほかの専門性のある方で代替するわけにはいかないので、できるだけ仏像の専門性を表現できる人を採用したいのですが、これは割と難しいんですね。精神的な面を表現できる学芸員というのは余りおられないかもしれない。これは勝手な想像です。

 あまり応募がなかったわけですけど、専門性の高いものを求めるとそんな学芸員は日本にいないよと言われるかもしれない。仏像とか日本の仏教の紹介ということにもなるので、しかも奈良の仏教の紹介ということになると、ヨーロッパに行くと大乗と小乗は違うんだと、どう説明するんだろうなと思うんです。奈良としては京都と違うんですよと説明したいですよね。それは国際性ということなんですが、学芸員の方は勇気を持ってそのようなことを説明してくれるのかなと個人的には思っています。

 仏像の顔が、私の感じだとギリシャチックな感じがするね。初期のガンダーラとバーミヤン、あのウズベクにあった国は、ギリシャ人の国だったんですが、ギリシャ語を話している国だった。それをインダス川にずっと沿って南下をしてガンダーラ付近まで行った。インドのカニシカ王かな、それが仏像の思想を西のほうへ持っていった。仏像が、像が仏教でなかったのが、ギリシャ人が南下したのでできたのが最初の仏像だと、ガンダーラ仏だと、こう想像して、ガンダーラ仏がバーミヤン仏と一緒になって、当時は国際交流が割と唐の王国、唐帝国で盛んだったから、あっという間に日本に来たというふうに想像してるんですけど、それは日本にとっては初期の仏像ということだから、輸入された仏像の雰囲気が残っている。そういうなのをどう説明するんだろうかと。

 思想的な面でもどう説明するんだろうかと。興福寺の仏像は唯識ですが、インドの無著(アサンガ)等が集めた唯識の世親(ヴァスバンドゥ)の教えを、玄奘三蔵が645年に長安へ持って帰って、そのお経を書いた。仏像が来たときに、そのお経とこの仏像はどう関係するんですか、どういう神様の祈りを表現しているんですか、その奥深いことを日本で説明できる人はあんまりいないんです。

 ちょっと全くおこがましい発言ですが、奈良はそういう歴史があると思うと、それを包含して、奈良の仏像はこうなんだと説明できる人がいれば、日本人に対してでも、教えを請いに行くんだけどなと思うんですが、何となく我々はわかった気になっているんですが、外国の人は一から知らないという非常にフランクな態度で出てこられると、来られた人にどのように説明するかについては、本当に難しいんです。だから日本は文化財をちゃんと説明してないといろんな人に言われるんですよね。日本に来た文化、あるいは日本人がつくり出した文化の説明力が少し不足していると日ごろ感じています。それと学芸員の応募がないというのは、直接関係ないかもしれませんが。

奈良テレビ:
 今の続きでいいますと、結局いなかったら欠員のまま何らかの工夫をされるのか、最後まで募集し続けるのですか。

知事:
 僕の気持ちとしては、学芸員の方の質を落とすことで妥協したくないというようなことを思っています。もう私ごときが言うのは失礼なことだと重々思いますが、できれば日本の仏像、仏教を説明できる人がいればいいなと、こう思うわけです。

奈良テレビ:
 恐らく県の美術館の中に専門家っていらっしゃらないですよね、ぱっと回せるような、県立美術館とか万葉文化館とか。

知事:
 よく存じませんが、こんなことを言ってると、余りおられないかもしれません。知らないで言うと失礼になるかもしれませんが。

奈良テレビ:
 というか、人事異動の範疇で動かせるような方は多分いらっしゃらないですか。

知事:
 だからということで募集したんじゃないかと思います。

奈良テレビ:
 根本的に言うとそういうわけですね、確かに。

知事:
 こんなことをあまり話すとおこがましいと思うんですが、それほど奈良の仏像というのは奥深いので、それを知った人は、日本人でも會津八一でも、岡倉天心でも、すごく感銘を受けた人はいるわけですね。それをどんなふうに展示するのかというのは、日本の文化の展示のすごく大きな根本問題だと個人的には思うので、いいカタログをつくってほしいと、カタログに語らせようというのが主催のほうの気持ちなんです。それは一学芸員で書き上げられるような人はなかなかいないのではないかというふうに思うので、根立さんとか、青柳さんとか、西洋の文化にも精通した人が、彼らにどのようにこの歴史、文化を表現すれば、この仏像の意味をわかってもらえるんだろうかというのが大きなことかと思っています。いいカタログができればいいのになと思います。

日経新聞:
 追加で、募集要件の緩和ですよね。期限を延ばしたり、ほかの博物館との兼務を容認したりとか、そういうお考えはあまりないんですか。

知事:
 いや、今のことをちょっとおこがましい言い方でしたが、ちょっと違う分野の学芸員を連れてきてやってくださいというのは余りしたくないと思っております。いい学芸員を採用して、相当な説得力のある立派なカタログをつくれたらなと思うもんですから。募集は引き続きします。

日経新聞:
 今の要件のままですか。

知事:
 そうですね。

読売新聞:
 関連することで、制度的にできるかどうかわかりませんが、例えばそれこそ奈文研ですとか、そういった文化庁のほうに協力を要請して、いわゆるレンタルという形など、なかなか一からぱっと県に飛び込んでくれるという人が難しいのかなというのは思うんですが、そういった関係先のほうに協力をお願いするというのは難しいのでしょうか。

知事:
 大学などにおられるかもしれないですが、いろんな大学におられる人を、県の学芸員に今なってくれというわけにいかないから、カタログの作成に参画してもらって、その表現の仕方を説明員が身につけて説明をするというパターンがいいのかなと思います。カタログつくるのにいろんな人の、そういう学識のある人がいないわけじゃないと思いますが、そういう方に県の学芸員にもなれる方というのは現実的にはなかなかおられないのかなと想像しますけどね。

奈良テレビ:
 カタログ自体は予算化そもそもされているんでしょうか。

知事:
 それは当然ですね。

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旧優生保護法について

共同通信:
 今、訴訟になっている旧優生保護法の関係なんですが、知的障害などある方が96年までに強制的に。

知事:
 不妊手術。

共同通信:
 はい、強制的に受けさせられたと。今、各地で、きのう福島のほうでも県が保管していた個人的な資料が見つかったという話もありましたし、弊社の報道で、奈良でもそういった資料があるというのは伺っているんですが、北海道では知事が今後の訴訟の助けになるように年齢など公表するという話もありましたが、奈良県として、そういった資料を探すという話であったり、そういう資料に関して何かしら公表するというような動きはありますか。

知事:
 そうですね、探したらいいかもしれませんね。そういうことを北海道の例はあまり知りませんでしたが、旧優生保護法は、少し思想的にも人権的にもおかしいところがありますので、ハンセンでもそうですが隔離をして、昔の肺結核もそうだったですが、優生保護法の歴史の資料を収集するんですか。

共同通信:
 県に、その当時の優生保護審査会ですかね。お医者さんが判断されたものであったりとか、それで手術を強制的に受けられた方の資料が県によってはまだ。

知事:
 ああ、実証があればと。では、探しましょう。県の資料、昔は公衆衛生という分野で、公衆衛生の分野は内務省の管轄で、都道府県知事が、ハンセンの隔離もそうだけども、してきた経緯がありますので、優生保護法の不妊手術の、あるいはその優生保護法の実態もね、歴史が、これはアーカイブズで歴史があれば文書で探して保存するというのはどのような分野でも基本的な動作ですので、そのような分野の話題になっているところは探して、あれば残したいと思います。

共同通信:
 その資料があるだけで、今後もし訴訟をしたいという方がいらっしゃったときに、公的に認められる資料になるのかなと思って。

知事:
 ああ、そうですか。

共同通信:
 県によってはその保存期間が限られているところもあると思いますので、もう処分されたという県もあるみたいで。

知事:
 ああ、なるほど。歴史文書の保存というのは物すごく大事ですから、アーカイブズですね。アーカイブズがとても大事ですから。そういうきっかけで、もし見つかれば保存したい思います。見つけるようにちょっと探してもらいたいと思います。

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日本遺産認定申請について

奈良新聞:
 この2月1日で文化庁の日本遺産の申請が締め切られました。平成27年度からやってる分だと思いますが奈良の薬に関しては28、29年度、2年間チャレンジして認められなかったわけです。そのこと自体というよりも、日本遺産の考え方というのがやっぱり歴史とか、文化とか、ストーリー性とかということで、いわゆる県が方針として出してきた文化資産をどう活用するか、観光の方面にもということで、今回日本遺産への申請がなかったということで非常に残念に思っています。その辺どういうふうに知事は見ておられるでしょうか。

知事:
 世界遺産でもそうなんだけど、日本遺産で大事なのはストーリー性です。どういうストーリーで、そういう歴史はストーリーだと思いますが、その中で物があったり無形の文化財があったりして、どういう意味があるのかとストーリーの中での役割というのが一番求められるわけだと思います。

 奈良のは有名だけどストーリー性が多少低いのかなと、日ごろ思っています。ストーリーは、よく歴史を端的に見てやっていると、古代史なんか随分変わってきます。我々が教えられた、押し込められて教えられたパターンが、もう少し見ると全然違った古代史になると、中世史になるということを経験してます。過去の歴史の検証というのはすごくフロンティアだと、これでこうだからと思い込むのが一番いけないと私は思います。

 新しく発見したものに基づくストーリーをつくる想像力があるのかということが試されるのかなと思っています。そういう活動を、これ文化活動そのものなんですけども、そういう活動がもっと盛んになればと。古代史でも、物部、蘇我の争いとか、天武、天智の争いとか、古代になればなるほどありきたりの思い込みをずっと存在しているのを、今どんどんどんどんほじくり返されているですよね。新しいストーリーができつつあるのが楽しみです。

 今週、土曜日に東京で「古代歴史文化賞」授賞式を行います。それは奈良が記紀・万葉でやり出してたのを、島根、宮崎、和歌山、三重、奈良、5県で古代文学の大賞をつくろうということで、今週末いたします。古代の新しい本がどんどん出ております。すごく楽しみです。それをその日本遺産ということに結びつけると、本は日本遺産じゃないけども、日本遺産という昔あったものに新しいストーリー性を付与することが必要と思っています。薬にしろ、太子道にしろ、そこまで深く考え、なるほどなと思われるようなストーリーを与えられるかどうかが必要だと思っています。

 それを、そのゆかりの人が勉強して出してくるというのが日本遺産の狙いだと思います。足元の文化財、文化を見つめ直しなさいと日本遺産プロジェクトでは言われている気がします。ありきたりをランクで並べるじゃなしに、今までわからなかったのがわかるようになったよというのが日本遺産のあのプロジェクトの狙いかなと私は思います。奈良はそういうのはまだいろいろすればいいなというふうに思います。

奈良新聞:
 今後も日本遺産への認定申請は、続けていくおつもりですね。

知事:
 審査員があっと驚くような日本遺産のストーリーができればいいなと思います。先ほどの仏像の展示と多少関係しますが、奈良の仏像はこうなんだということを、例えば余り日本遺産に申請しないけども、高松塚のソグド人のスカートとか、藤ノ木の王冠とか、どうして藤ノ木にアフガニスタンのティリア・テペにあるような王冠があるんだろうかということ。今の時点ではストーリーは誰もつくれません。藤ノ木ストーリーつくれたらすごいなと思っております。松本清張みたいな人が出ると立派な小説になるように思います。

 それは仏像の、先ほどのアレキサンダー東征と、ギリシャ人の中央アジアの置いてきぼりと、ああいうギリシャチックな仏像、昔言っててあまり最近言わないのは法隆寺のエンタシスです。ギリシャの柱と同じように膨らんでいるんだと、子供のころよく教えてもらいました。

木の柱と大理石の柱が違うんだ、ギリシャの影響だと昔教えてもらったけど、今あまり言わないですね。ギリシャストーリーというのはもう死んだんだろうかと思ったりしております。

 仏像の種類がおもしろいです。日本もそうだけど、四天王とか、どこの誰だろうみたいな顔されてるではありませんか。あのストーリーを誰かいいようにつくってくれればすごいこと、そのいわれを何か奈良で続けているのがあれば、すごい日本遺産になるように思います。

 今、古代ばかり言いましたが薬とか、古代からもう少し中世になってくると思います。中世もおもしろいとこがたくさんあると思います。

奈良新聞:
 課題としては、日本遺産は基本的には市町村から上げてくるということになってます。要するにいろんなそれぞれの地元の創意工夫というか、それと県との連携、そういうものも必要でしょう。それからもう1点は、日本遺産の考え方でいくと、薬のときもそうでしたが、今でもその趣向自体は変わってないと僕は思っております。あのとき、薬のときも協議会をつくって、ちゃんとその結果として観光なりなんなりに反映させるという効果として目に見える、そういう意図もあったように思います。その辺のところの仕組みの組み立て方というのを期待していますが、そういう点ではどうですか。

知事:
 今おっしゃったように、日本遺産の発信元は市町村にしなさいよというのは、先ほどと同じように足元文化を見詰め直しなさいと、日本遺産をつくったプロデューサーがそう言っているように感じます。足元文化を見詰めなさいよということは、いろんな仏像など、そういうなのとまた違って、足元文化というのは総じて言えば生活文化だと思います。

 生活文化が、氏神さんで踊ったりいろんなことを、伝わった形式を温存したりいろいろしているわけですが、生活文化の由緒を、いわれを確認しなさいよというのが日本遺産の意味だと思います。また、そういうのを長年日本はずっと穏やかな人が外国に大きく征服されたことがないから、徹底的に破壊されたということなしにどっかで残ってるという特色があると思います。ただ、その特色を忘れてしまう特徴もあるから、思い出していつも記憶にとどめなさいよとそう言っているように思います。

 さっき別の記者さんが言われたように、何かの記憶を、もう1世紀もたたないうちにどっかにやってしまうんじゃなしに、伝承するという春日大社、とにかく形を伝承するという奈良の特徴もありますのでね、その伝承の中の内容の意味をまた知るという知的な活動が必要かなと思います。

 それは市町村で知的な活動を広くしなさいといっても、なかなかそういう分野の奥深い人を呼んで検証してもらわなきゃいけないから、一緒に勉強しましょうよというようなこと。

 大立山でも、だんじりを出して、立山のいわれをそのイベントしながら地元で深掘りしてくださいよという奈良の行事になってきております。イベントを実行しながら意味を考えましょうと、目の前でやりながら考えましょうよというのも、日本遺産に通る通らない以前で、地元でしたらいいことだと思っています。だからイベントと意味の深掘りといいますか、意味発見というのを並行してやるのがいいのかなと、私流には思います。

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奈良大立山まつりについて

産経新聞:
 大立山の話が出たので、関連で質問します。大立山は今年3年目でした。私はてっきり大立山まつりって夜の大立山、光る四天王像を見ることが一番のメインなのかなと思っていたのですが、担当課に聞くと、確かにメインイベントは大立山巡行なのですが、一番見せたいもの、見どころ・主役は、大立山ではなく地域のお祭り、伝統行事の披露、あったかもん、だというお話があって、ああ、そうなんだって3年目にして初めて知ったんですけれども、知事自体はこの祭りをどのように育てていきたい、どういう祭りにしたいとお考えなんでしょうか。

知事:
 今おっしゃったとおりなんですが、大立山はすごいだろうといって見せることは一部でありまして、地元で存在している伝統芸能のようなもの、特に御所のススキ提灯が最初から出て、ああ、ああいうものがあったんだ、我々も知らなかったし、御所でやってたんで、鴨都波神社でやっていたのですが、みんなの前に出てくることによって認知されて、ほかと比べて、ああ、こちらは随分古いぞとか、そういうような認識が発生する。いわれは何だと知識が広がる、集まるということはすごく大きな、その地域でちゃんと残す、いわれのある地域で残すということが大事なので、人口が移動して人がいなくなっているという日本の実情があるので、場所を多少移してでも続けるということも知恵だと思いますが、あるいは集まって一緒に見せようということも知恵だと私は思ってきました。

 その伝統行事をどのように見せるか。出てきてもらう人に経費も要るし、努力も要るのですが、どうもこの3年間やってきて、伝統行事が出ると、やる人が増えたり、元気が地元で出たりという話も聞きます。そうやって舞台があると役者さんは張り切るという面が必ずあるもんですから、舞台を用意するということが大立山の2つ目の意味だったと思います。それは伝統行事を持ち寄ろうという中で、あったかもん持ち寄ろうという、お祭りの構成の中であったかいものを食べることもよいからというので、そういう三本立てで来たわけであって、だからおっしゃるように大立山は巡行がメインイベントでありますけれども、本当の唯一の主役ではなくなっているように思います。

 それは、冬は難しいことがあるんですけれども、お祭り仕立てとする、これもストーリーで、冬のお祭りのストーリーをどう作るのかということを、立山という概念を生かして、身がわり地蔵とか、神様に祈るのは身がわりになってくださいって自分の災難を、厄よけと同じことですね。身がわりになってくださいということを神様に祈ることが人間の心情であるから、厄よけの札を引くと、張っておくと神様が厄をとってもらうと信じて行うわけなのですが、立山もみんなで、強いんだから厄はみんなとってくださいといって見ることが、それは心理なんで強制できないですが、そういうものですといってやり始めているので、そういう心理的なものまで定着するのは時間かかると思いますけれども、新年行事ですので厄よけ、一番近いものが無病息災ではないかとストーリーをこしらえたわけです。

産経新聞:
 とするならば、例えば大立山まつりという名称であったり、あの四天王像のポスターであったり、あれだけを見るとどうしても夜のお祭りなんじゃないかと、日中の伝統行事にまでなかなか足を運びづらいじゃないかと思います。

知事:
 ああ、なるほど、鋭い指摘だなと思います。大立山の立山というところから行事のストーリーを作り出しているので、今みたいに主役三本柱に、クリーンナップトリオになってくれば、その構成をどうするかということはありますが、大立山まつりという基本的な概念、理念は発祥のきっかけなので今の時点では残したいなと思いましたけれども、ほかの要素もあるんです。それとキッズランドみたいに車走らせたり、お子様の遊園地みたいな、これも新しい要素です。お子様も遊ぼうというのもね、新しい、これはにわか遊園地みたいになってきてる。だから伝統行事一辺倒ではなくなってきてる面もあるので、そういうお祭りを総称するとどうなのかというのは少し課題だと思います。大立山フェスティバルかな、そうちょっと突っ込まれたのでにわかに思っただけですが、そういう複数要素が出てきていることは、昼間要素ということでありますけども、確かなように思います。また検討します。

朝日新聞:
 よそのお祭りと比較することは抜きに、大立山まつりに初めて行かせてもらって、意外に大立山って小さいんですね。それは感想です。お祭りは、地域のお祭りは皆さんとても勢いがあって、ステージでやるのかなと思ったら会場にわあっと出てきたりして、会場の皆さんも喜んでいたと思いますが、僕は土曜日に行ったんですが、人はたくさんいたと思います。後で集計の結果を見ると、人数が初日はかなり少なかったり、土曜日も若草山焼きがあったのでそれと連動して効果が出たのかなと思いますし、日曜日もそんなに伸びなかったということで、県費をかけて行った事業、政策の効果としての指標として入り込み客数はかなり重要だと思います。今回の入り込み客数について知事はどう考えているか教えてください。

知事:
 議会でもそういうストーリーの質問があります。それに反論してます。お祭りというのは、よく議会でも言われるのは、これだけ投資してお祭りしてどれだけ儲かったのか。大阪風ですね、どれだけお客が来たのかという直接的に聞かれる。それも大事ですが、お祭りはそういうものでなく、気持ちを持続する、作り上げるということがまずあって、そうでないとお祭りって、これだけ儲かったからやってるんだということだけでは、そういうご質問でもないと思いますが、しかし、お金をこれだけ使ってとおっしゃったから、そういう類いのされる質問と同義かなと思ったわけでありますが、それには、お金だけではないですという言い方が一つです。

 では、何のためかということを全体としてやると、奈良は、いろいろアミューズメント、アトラクションが少ないですね。仏像見て帰ればいいというような観光地だった。四季折々の楽しみを作ろうということをやって、四季折々のお祭りを作ろうと。いつ来ても何か楽しいことがあるぞということは観光地のブランドなんです。一言で言えば観光地のブランドをこのような形で作りたいということが返事になります。

 おいしい食、奈良はうまいものなしと言われてましたが、今週の月曜日にガストロノミツーリズムというとても大きなイベントが東京であって、なんと、うまいものなしの奈良の知事である私がプレゼンターで出てきた。今までうまいものなしといって志賀直哉さんに言われて冷やかされた地から、うまいものありということにだんだん及ばずながらなってきましたという報告をしてきました。それは、うまいものありというブランドを作りたい。うまい食材もあるということが続くことがブランド戦略なんです。

 お祭りも、お祭りの素材がものすごくある。日本遺産にうまくストーリー作ったら、出していいというお祭りがたくさんある。儲かったのかと言われたら、そういう努力が最初でぷっつんになってしまう。私はとてもそういう発想が嫌いなんです。県しかそういう持続力のある投資はできないのではないかと思います。民間だと、お客来ない商店街は何だと言われたらやめなければいけないですが、民間の瑠璃絵でも10年たってあんなレベルになって、すごくいいお祭りになってきました。瑠璃絵と燈花会って、奈良の民間の若い人の努力だった。最初は同じようにどれだけお客来たのか、儲かったのかって、彼ら自身とても冷やかされていた。今のご質問と同じような質問がわんさと雨のように降ってた。それに反発してやってくれたからえらいなと思っています。こちらは県費をつぎ込んでいるのですが、持続力のあるお祭りをするには公共団体がしなければいけないと思います。それはブランド力を作るという、観光地をグレードアップするという大きな努力だと思います。

 大立山がどんなブランドになるかはまだこれからですが、そこそこよくなってきていると思います。ねぶたと同じではないかと最初冷やかされましたが、今のご質問でねぶたより小さいからいいのではないかと思った。ねぶたはすごく大きくて迫力がありますが、意味が全然違う、大立山の意味がね。中で光出てるのは同じなのですがというようなことでありますが。同じものを作って儲からないから税金は使ってはいけない、そういう意見は少数ですが、あることはある。それは認識してますけれども、そういうのに屈してはいかんと私は思います。

朝日新聞:
 観光地のブランド化のためにもということですが、そうするとブランドをどう作るかという話になります。ブランド化するならば、よその県から来ても分かりやすいように、例えば今のポスターの大立山というものはありますよね。ただ、あったかもんなどいろいろ増えて、何が主役なのかぶれるということ、そうするとブランド化づくりはまだまだ課題あるのかなと思います。

知事:
 そうですね。ブランド化はおもしろいと思います。発展するので。決まったものを、これのブランドをこうこうとやろうというようなブランド化というのはあまりないです。ああだこうだ言いながら、結果的にこういうブランドの認識になったというものが多いです。地域の、ねぶたもそうだと思いますが、七夕もみんなそんなことだと思います。種は地元にあって、ないものはなかなかブランド化できないが、それをまちの人が寄ってたかってああだこうだ言ってると、すごく大きなブランド祭りになってきたということが実態です。新しいお祭りも結構多い。そういうお助けを随分したことがあります。おもしろいものです。たくさん来ればブランドという意味もある、沖縄の大綱挽なんていうのも、昔やってなかったが、沖縄で大綱挽かと言われるかもしれないが、今、秋の沖縄の祭りですごく人気を、国際通りで大綱挽するとかっていうことが定番になって、これ最初はそういう発案してやろうと言った時は何でっていうようなことが多かったが、しかし関西ほど沖縄は無茶言われないから続いてきたように思います。

奈良テレビ:
 続きで、批判するわけではないですが、当然これから増えていくものであって、やっぱり少ないというのはお考えなんですか。単純に今年の来場者数はどうか。

知事:
 少ないか大きいか、土曜日1万6,000、3日で約2万4,000か。去年が5日で約2万6,000だったんですが、夜の平日というのは難しいなということは2回目で気がついてという、だから昼間にいろんな充填をする。それでも寒いが、よく言われるのは、あそこでとんどとか、あったかいもの、火が焚けないかというのですが、焚けないから、寒さ対策とよく言われるので、寒さ対策をどうするかということがお祭りの一つのポイントかと思います。

 平城宮跡の前へ来ると、来年からはちょっと寒いと交流館へ寄れる。暖かい交流館へ寄って、お祭りを見に来て。今はテントの中でも結構寒いから、そういうお祭りが場所も進化すればと思いますが、そういう冬でもできるお祭りって、あまり奈良はなかったんですね。外でやるのが、ねぶたでもみんな夏にわっと発散する、冬にチャレンジした、奈良の冬には温泉がないというハンディがあります。山焼きとか瑠璃絵とか、そういう暖かいイメージもありますが。各地でイルミネーションのイベントを随分やり出しました。あれも一つのパターンで、神戸のルミナリエは随分定着しましたが、非常に新しいものです。だからそういうものをうまく今の集客にどうつなげるかということになります。

 冬の寒い時に何百年もやっているようなおん祭を、集客力の点から見れば、USJか、ああいう閉じ込め型の大きな迫力あるほうがよっぽど集客力があると思いますけれども、やっぱり地域の伝統芸能にシーズがあって、それを地域の観光資源として利用しようという、地域のやり方を続けなさいという、さっきの日本遺産でもいろんなもので言われてる、それは地域の文化の継承とか誇りの持続とか、そういうものに繋がるように思いますので、そういうものをあわせて実行できたらと改めて思います。

奈良テレビ:
 担当課さんは来年度も続けたいとおっしゃっていたみたいですが、知事のご意向はどうでしょうか。

知事:
 もうじき予算の発表をしますけれども、そこに入っていたと思います。

朝日新聞:
 誘客がメインなのか、地域文化の伝統を継承・保全することがメインなのか、どっちなんですか。

知事:
 両方です。

朝日新聞:
 そうすると、お嫌いかもしれないですが、どれだけの効果があるのかということをやっぱり考える上では、ぶれるという批判が出てくるわけです。

知事:
 それだけ見てる人には意味がないじゃないかという意見が出てくるということで、もう一つを見ないがために出てくる意見じゃないですかということを言っているわけです。両方見るとちょっとまた違って、その継承という、半分は文化予算だと思えば、国だって日本遺産でも文化の継承ということに国の予算をつけてるのだから、地域がつけてはいかんということではない。お祭りと文化の継承というのは、これは相性がいいので、二つ一緒になってやらないですかということはもうあらゆるところで出ているわけなので、儲かりまっかだけではいかんということはあると思います。儲からなくてもいいんだと威張るほどではないともちろん思います。

奈良テレビ:
 知事のスタンスはとてもよくわかるんですけれども、実際単純に数字としての評価は何かありますか。例えば、シンプルにもっと増える余地があるだろうとか、平均してどうだったとか。そういうものを評価すべきではないかもしれないですが。

知事:
 昔奈良に来てて、平城宮跡に久しぶりに行ったらすごくきれいになったなって、この月曜日の東京での会議で言っていただいた。うれしいことであります。大宮通りプロジェクトのおかげだと思いますが、そういうこともあわせてまちづくりであると思います。先ほどのお祭りとまちづくりというのは実は関連してるんです。まちづくりやるからお金を使っていいとまでは、そういう言い方はしなくてもいいと思いますが、あそこでやっているのは平城宮跡というサイトがあるんだから、まちづくりの一環として使わない手はないだろうと。それは大宮通りということになるのですが、大宮通りとか、あの平城宮跡の遣唐使船が前に出てきてびっくりしたと、東京で、久しぶりに行ったらということを言っていただいた。

 しかし逆に、西大寺駅汚いなと言われた。まだ汚いところは残ってるんです。それは残念です。西大寺駅ごちゃごちゃっとして汚いところへ突っ込んでいくような気がするから。もう他がきれいになって、京都がすごくきれいになっているのにだめだなって元観光庁長官から言われました。悔しいですが、それは事実だからしようがない。しかし、きれいにするというのも大事だから、まちづくりできれいにするっていうのを、大宮通りをきれいにしようというのと、もうずっと一貫した政策になって、お客が来ないときれいにならないのかって、そんなことない。お客も来て、きれいにしようと。お客が来るから大宮通りにも花を植えようという、大宮通りの自治会の人が努力してくれてるという面もあって、そのように動いているから、それは時間がかかる。奈良は割と遅いから時間がかかるのですが、それを絶やしてはいけない。お客が来ないからやめたらということには耳をかさないということです。

関西テレビ:
 集客の人数に関しては今お話しいただいたとおりだと思いますが、冬の寒い時期でいろいろ対策も必要かというお話だったと思います。今回の1日目の非常に寒い寒波が来た時だったと思います。倒れられた方もいらしたという事実があったと思うんですけれども、それに関しての受けとめと、今後の対策を教えてください。

知事:
 高校生の太鼓を演奏していただいた方がちょっと低温症になられたと聞きました。こちらが言ったほうがいいのか、ああいう格好で夏はやっているから、冬もほとんど肌をさらしてやりなさいという指導しないほうがいいんじゃないかと思いました。冬は太鼓をたたく人も温かくしてたたいてもらったらいいんじゃないかと思います。だから主催者として、太鼓たたきの中身まで注意する立場ではなかったんだけれども、来年からはそういう全体の主催者としてもそういうことを、寒い目に遭わせないようにということを学校の先生にも太鼓のリーダーにも言いたいと思います。もう本当に倒れるとリーダーの責任になってくる。熱中症で学校の先生が走らせたと同じように、寒い中で着ないでね、太鼓たたかせたというのはリーダーの責任になると思います。そういうことのないようにしないといけないと思います。

関西テレビ:
 あくまで奈良の冬の観光資源としてのお祭りだと思いますが、冬の時期を変えるという方針も別にないわけですか。

知事:
 ないです。

記者(関西テレビ):
 あくまで冬にやっていくということですか。

知事:
 うん、そうそう、四季のお祭りということだから。寒いから日を変えるんですかと、いや、寒いからやる、お客が来ないからやるということも一つのセンスだったということなんです。

朝日新聞:
 人数の受けとめだけ、答えてもらったようで答えてもらってないから。人数多いと思いますか、少ないと思いますか。

知事:
 立派な数字だと思います。日曜日、昼間どれだけ増えるのか、来年の交流施設だと、そこで暖をとる人でどれだけ増えるのかということだと思います。今は冬はとてもハンディがあるから、大きなお祭りでわあっとやるのではなく、ほのぼのとした雰囲気になってきた、先ほどの伝統芸能と、ほのぼのとしたお祭りになってきた。それも一つの大きな方向かと思いますけれども、それの参加人数というのは大きなフォーカスになっているんですが、一つのフォーカスだと思いますので、確実にホテルとか、奈良へ来る人の訪問の狙いが、おいしいもの食べようと、うまい冬の奈良という、ちょっとフレーズが間違ったけど、冬のうまし奈良めぐりというテーマでも、それも割と盛り上がっているんです。何でもイベントを仕掛けないと、観光地はみんなイベントを仕掛けてますから、遅れていると言われているんだったら嫌だなと。奈良は今まで遅れっぱなしだったから、この際ちょっと飛び出させてもらいたいというような感じです。

読売新聞:
 時期の関係で、冬の2月でということはもう常々おっしゃられているんでわかるんですけれども、あの時期がいわゆる大寒から立春までの一番寒い時期なので、例えばそれをなら瑠璃絵の後に持ってくるとか、そういったような微調整というのはどうなんでしょう。

知事:
 あるかもしれないです。瑠璃絵はいいお祭りなので、今年も瑠璃絵と一緒にならないのかなということをつぶやいたことはあるんです。朝堂院でも、今度は前の朱雀門ひろばでも、瑠璃絵と一緒、瑠璃絵のプレステージでもいいのですが、あるいはアフターステージでもいいんだけれども、瑠璃絵はすごく迫力があるので、それと冬のお祭りの先ほどの伝統芸能、あっかたかものと瑠璃絵とイルミネーションが、大宮通りイルミネーションやり始めてますけれども、また違う場所でのイルミネーションもしていきたいと思っていますけれども、まちのイルミネーションは、もう看板をやめてイルミネーションに冬はできたらと思うんですよね。観光地としてまちがきれいにならないと、お客さんの印象が全然違いますから本当に看板おろしたいんだけれども、京都の市長は辣腕家だったから、本当によくやられたって、東京で門川市長はえらいと言ってますよ。

読売新聞:
 時期の関係で、例えばその一番寒い時期を少しずらすと、出演者の方もそうは言っても、やっぱりあの寒い中頑張られているわけですから、それよりはやや1週間、2週間ずらしたほうが寒さの負担とかも和らげられる感じはあります。

知事:
 日程は要調整ということかもしれません。山焼きと一緒のほうが来やすいんじゃないかと。それで人数を稼ぐということは、人数はこの山焼きに、こちらを見られるほうが圧倒的に多いわけだから、向こうでも見れるよという程度なんです。山焼きはなかなかずらせられないので、瑠璃絵と一緒にするか、山焼きと一緒にするかという選択になるかもしれません。いい日程になればいいと思います。

朝日新聞:
 平城宮跡がぴかぴかになったら、何のお祭りか分からなくなるでしょうね。瑠璃絵なのか、大立山なのか、もう何でも、あったかもんの何とかフェスタみたいになっても。

知事:
 そうだね。

朝日新聞:
 大立山まつりというんだったら、大立山に集中投資して、4台を8台にするとか、何かこうスタンスがぶれますよね。

知事:
 そのメインの突き出るメインテーマというものがないということでありますね。

朝日新聞:
 うん、突き出るもの。

知事:
 あったかもんのまぜこぜチャンポン風だということで、実際そうだと思いますが、平城宮跡ということで、場所がとてもユニークだということが一つありました。あそこで食べさせてもらえなかったんだけれども、去年初めて朝堂院で食べさせてもらった。来年は朱雀門ひろばになると、もう悠々と食べていいよということになるというのが場所の特徴だと。

 東北はすごいが、関西は、例えばススキ提灯でも小さなお祭りをここで大集合みたいなテーマになってきて、これも割とおもしろい面はあろうかと思います。大立山は一つの中心だけれども、それほど大きな中心でもない、にわか仕立てみたいなところがあることは確かだし。すると朱雀門ひろばの冬のイベントというものをどんなコンセプトで再構成するのかとおっしゃっているような感じがする。それはとてもいいテーマだと思いますので、それを再構成する、どのようにすれば来る人もやっている者の意味もいい意識になるなということが、お祭りはとてもそういう意識が大事ですので、やり始めながら考えていくというのは、お祭りをお祭り仕立てにするということを、お祭りを作るということになります。皆お祭りは作られたたものだと思いますので、大立山がどんな風にこれからも作られるのかなと関心を持ってもらって、また研究を深めたいと思います。

 今週東京に行って、奈良にしばらくぶりで来たら随分きれいになったなとおっしゃっていただいたので。大立山もしばらく、記者さんが何年かたって東京か大阪から来たら、すごいな、あのときに記者会見で冷やかしたのがこんな祭りになったのかということを見せられるように努力をしたいと思います。

 努力にけちつけるのは大嫌いなもんだから、努力せよ、努力せよということを職員の人にけしかけてるもんだから。努力すると、今までお祭りでもみんな続いているのがそこそこ格好なってきているような自負はあります。やらないとならないというように、それは5年、7年とかかっているお祭りも多いんだけれども。しかし奈良らしさというものにこだわっている面があるからですね、奈良らしさというものをどのように認識をしてそれを表現するかという、奈良らしさは多岐的だからと思います。それをチャレンジして考えながらやっているということが正直実情であります。今まで埋もれてた、決まったすごいものをばんと出すという、そんな感じではないです。今までいろいろあるものを集めて奈良らしさの要素をとって、奈良らしく仕立てて出そうかというような格闘でありますので、どうぞ温かい目でお願いいたします。

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ホテル誘致について

日経新聞:
 ホテル誘致について、先週香港の商工会議所のメンバーが来て、その反応と、県として香港以外に外資系ホテル誘致に向けてターゲットにしている国や地域はあるでしょうか。

知事:
 随分行っていると聞きます。今まで奈良は来なかった投資者、インベスターが、これまで奈良はリサーチの外だと何度も言われて悲しいなと思っていたが、奈良もリサーチの対象だといって来ていただくのはとってもありがたいです。その中ではどこを行ってるのかという情報も入るわけです。

 感じとして、ちゃんとリサーチしてませんが、大阪・京都の場所がなくなってきた、飽和感があるような感じがします。それと関西では、兵庫や滋賀、和歌山、奈良など、周辺に物色が広がっている感じはします。すると周辺の競争となるじゃないですか。周辺も大事だと思います。民泊も一つのそういう対応の方向だと思います。都市の民泊と、この奈良みたいな、兵庫でも、田舎の民泊というのは雰囲気違うから、雰囲気をよくするような民泊が出れば、一つの宿泊キャパになってくると思います。

 ホテルもグレードの高いのから、バックパッカーでも来れるようなホテルも、猿沢インは、4,000円レベルで、ならまちの旅館・ホテルと共生するように、お客さんが来たらそちらを、ならまちのホテルを先に案内するようにという運営方針にしてます。そのような公的な施設の運営方針とまちの中での共生というのをやっていくと、小さいのも大事だし、大きいホテルでなくてもいろんなホテルの物色が来ています。そのため県有地を中心にホテル展開してきましたが、私有地も、私と公有地も含めて可能性があれば、ブローカーみたいですが、コーディネーターの役目を県はしていこうと思っています。引き合いはすごく多いように思います。

日経新聞:
 同様に海外の経済団体に交渉している、香港の第二弾みたいな、特に近々にはないですか。

知事:
 ちょっと僕が聞いてないだけかもしれませんが、人脈があるといろんな人が来てくれます。東京のプロモーションをやると、東京の大手施設なんか初めて顔を出して、その後、奈良に訪問されます。うれしいことです。東京の大手施設がそういう観光マインドがとてもあって、奈良にいい場所ないですかというようなことがあったりします。

 奈良監獄、少年刑務所が総理の所信表明演説の中に出てるので、びっくりしました。だから法務省は不退転ですねといって言ってるんですけどね。法務省と奈良市と一緒になってあそこの環境整備したいと思いますが。そういうなの一つ一つの投資の積み上げになってくると思います。そんなのを庁内のホテル宿泊施設の整備のコーディネーション、県庁内でもちょっと考えていこうと思っています。

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近鉄移設等について

毎日新聞:
 近鉄さんとの関係ですが、西大寺駅の改修だとか、あと奈良線の移設など、年度末にむけて進展はありませんか。

知事:
 私のところにはない、私のレベルではないんですよね。担当の地域デザイン推進課長が、折衝はずっと続けてますと言ってくれています。具体的にどうなるのかな。近鉄の西大寺、ほかのところで郡山とかね、近鉄とは今度の予算の中でもちょっと進捗をつくっていきたいと思っています、近鉄との関係ということであればね、ほかの駅ではつくっていきたいと思っています。残念ながら、西大寺駅については私のところにはあんまりありません。

毎日新聞:
 奈良線の移設に関しても、ボールは投げているけれども返ってこないという状態が続いているということでしょうか。これはあんまり続けてても意味がないように感じます。返ってくるのをずっと待つということでしょうか。

知事:
 そうですね。残念です。

 だから、近鉄の施設だからね、私がボールを投げたのは、県はこの時期に何も考えてなかったのかと言われるのがまず嫌だったからです。だから、こんな案を考えて出してるんだと投げました。向こうへ玉を投げたって返ってこないのは、向こうに投げたというのも、この時期に投げたと。あとどのくらいかかって動くかわからないけど、玉を投げたという、具体的に投げています。実現可能性があるとこちらでは思ったので投げております。

 あとの進捗では、近鉄自身の進捗ではありませんが、西大寺駅の困難踏切が4つあり、平城宮跡の東も4つ追加されました。それはまだ報道届いてないか、新大宮の踏切、平城宮跡の両方困難踏切があるということになってます。前は西大寺駅周辺だけでした。今度は、これも困難踏切だということで東京に陳情に行きました。施設課というところですが、昔は運輸省は鉄道会社がうんと言わないと困難だと言わない風習がありました。だから、そんなことはないだろうねということを鉄道局長に念を押しに行きました。

 その結果ではないですが、困難踏切が平城宮跡の東でも4つでき、発表されました。またご興味あれば具体的な場所をお届けいたします。だから困難踏切解消の責任が近鉄と地方公共団体で発生している状況になってます。さあどうするんですかと、前よりも、県が言っているだけじゃなしに国からも言われている面ありますねという状況にはなってます。

毎日新聞:
 そうすると、新大宮も含めて一体という話に将来的になるかもしれないということですか。

知事:
 両方踏切を解消するとなれば、やっぱり移設か、東のほうにと県としては思います。西九条佐保線が新大宮に来ます。現在、事業化し買収にかかって、新大宮、大宮小学校の前を広げて、あの踏切を通りますが、24号バイパスの代替になると、そんな新大宮駅のそばの踏切があのままでいいのかと、市民の人は必ずそのとき思います。何も考えてなかったのか、うんともすんとも言わないと、そう市も県も近鉄もと言われるのは嫌だから考えて県は提示しました。

 身のあかしみたいなのだけ狙っているわけではありませんが、そのぐらいしとかないと恥ずかしいなと私個人的に感じております。

毎日新聞:
 朱雀門南側の積水さんの件は、何か進捗はありますか。

知事:
 発表できないけど、近鉄に比べたらはるかに進捗はあります。予算のときにはちょっと姿が出ると思う。

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登大路窯跡について

朝日新聞:
 窯跡の話があって、一旦戻しますよということの受けとめをお聞かせください。

今後あの施設の予定ですが、今現状どうなっているか、またどうしていくかという、2つお聞かせお願いします。

知事:
 あそこは遺跡調査して、記録保存でよかったら美術館のアネックスをつくろうという計画で進んできました。そのための遺跡調査でしたが、窯跡が出てきて、この窯跡が記録保存でいいのか、現地保存でいいのか、現地で埋めてやるのか、オープン保存なのか、その3つのパターンがありますが、その値打ち次第だと思います。あと、現地でその場所で保存するのか、移転して保存という手もあるんだよね。その形がわかればいいという保存の仕方があるものですから、その値打ちとその保存の仕方というのは、これからまだ文化財保存課は教育委員会の所掌だから、専門家に検討してもらうという段取りで、その結果を待ってからしか建築など動かないつもりであります。当然尊重しないといけないと思っています。

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三郷町東信貴ヶ丘擁壁崩壊事案について

読売テレビ:
 三郷町の住宅地ののり面が崩壊した件で、先日、調査結果を住民の方にお伝えしたかと思いますが、内容の受けとめいかがでしょうか。それともう1点、今後の県のかかわり方など、そのあたりをお聞かせください。

知事:
 調査結果というのは、原因の調査がありますので、それは責任の主体に結びつくというので必要なものであります。そのため、受けとめ方と言われても、これは学者の人にしてもらったため、政治的な受けとめは何もないです。そのとおりということだから、そのとおりだと思います。

 それを受けて、次はどうすべきかという2つ目の質問については、やはり復旧しなければいけません。復旧工事を、ではどうするのかというのと、誰の費用でやるのか、その2つ難しい課題が残っています。それは最初の原因者は誰なのかということと一連になるわけですが、学者先生の調査結果から今のところ原因者というのはそう特定できないそうです。

 そうすると、今の法制だと特定できないものは、所有者は権限がありかつ復旧責任も所有者という法制になっているので、住民の方、所有者に厳しいなと感じます。自分の地面が壊れたら、まず自分で処理しなさい、そういう法制になっています。それは所有者の権限はとても強いから、それを処理するのも売るのも捨てるのも俺の勝手みたいに日本の所有権法制の裏返しだと思います。だから全部自分の責任だというと大変厳しい、人の地面買って家建てたらこんなことになっちゃったというのがご心境だと思います。

 それで、その法制を乗り越える知恵が要るのが今の段階です。それには原因がわかればあなたの責任よと言えるわけだけど、なかなか難しいです。6者の関係者がいるんだけども、どのようにこの負担するのかというところと、その前にどういう復旧工事ができるのかという課題がこれから残されました。復旧工事はどんなものがあり得るのかということは、これは調査の延長ですので、コーディネーターとして県は復旧工事はこんなのありますよということを住民の方、関係者の方にお示しするのを、この年度内ということは、来月中ということにしたいと思っています。

 そこから、それを受けて、じゃあ誰の費用でやるのかというネゴがあります。所有者がやれよと言われても、あるいは矢作建設工業(造成工事施工者)がやれよと言われても、やっぱりそれぞれの法的な立場があるからそうもいかない。県だって同じこと、法的にクリアできたら公共団体だからある程度積極的になってもいいですが、逆に何でそんなことしたんだと法的な訴訟もあり得る立場であります。そのため法的な根拠が明確になったほうが極めていいと思っています。

 だから難しい案件ではありますが、復旧工事の手法と費用負担、費用負担はネゴになると感じとして思います。それのコーディネーターをずっと続けさせていただけたらと思います。関係者で、ほっといてもそんなに話し合うことは難しいんじゃないかと思います。ですのでコーディネーターとしては続けさせていただこうかと思っています。最終的にどうなるかというところまで行きつけば復旧工事、早く復旧工事が完了できたらと思います。

読売テレビ:
 まだその復旧工事の、ざっくりした中身など、まだそこまでは固まってないという感じですか。

知事:
 はい、まだはっきり聞いてません。この年度内に出すというところまでは報告受けてます。それも出てくれば報告があると思います。

土地の所有者は近鉄と住民ということだから、その方々にはこういう復旧工事になりますよということは、その復旧工事の手法を聞いていって引き出してきたコーディネーターの立場ですので、説明せないかんと思います。それが来月中というふうには思っています。

読売テレビ:
 ありがとうございます。

司会:
 幹事社さん、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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