意見書第4号

意見書第4号

 

性犯罪に関する刑法規定の見直しを求める意見書

 

 性犯罪は、被害者の人格や尊厳を著しく侵害し、心身に重大な後遺症を残す深刻な犯罪です。にも関わらず、その悪質性、重大性に対して、これまでの刑法の規定では不十分であるという声が高まったため、平成29年6月の刑法改正において、性犯罪に関する規定の見直しが行われました。
 しかし、今年3月には、被害者の同意のない行為だと認定されながらも無罪とされる判決が相次ぐなど、現行の規定でも不十分であることが指摘されています。
 平成29年の刑法改正においては、改正の目的を実現するために政府及び最高裁判所に格段の配慮を求める附帯決議が衆参両院で採択され、また改正法の附則においても「施行後3年を目途として」施策の在り方を検討し、必要があると認めるときは所要の措置を講ずることとされています。政府におかれては、この趣旨を尊重し、施行後3年にあたる来年7月に向け、次の点を踏まえた上で性犯罪に関する刑法規定の見直しに取り組まれることを求めます。

 1 脅迫や不利益を示唆しての強要などによる不同意の性行為を刑法に位置付けること。

 2 地位関係性を利用した性犯罪について、規定を設けること。

 3 現行では軽犯罪法または迷惑防止条例等によって対応されている盗撮行為について、刑法に位置付けること。

 4 子どもや障害者など、社会的弱者が被害者となった事案について、司法面接制度を関連法に位置付けること。

 5 平成29年改正時の国会附帯決議の内容を遺漏なく実施し、必要に応じて運用を見直し、次期法改正に反映させること。

 
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和元年7月3日
                      奈良県議会


(提出先) 衆議院議長
      参議院議長
      内閣総理大臣
      内閣官房長官
      法務大臣
      厚生労働大臣
      国家公安委員会委員長

 

 

意見書第4号 性犯罪に関する刑法規定の見直しを求める意見書(印刷用)(pdf 50KB)