意見書第2号

国会における憲法論議の推進と国民的議論を求める意見書

 日本国憲法は、昭和22年5月3日の施行以来、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の三原則の下、我が国の発展に重要な役割を果たしてきた。この三原則こそ、現憲法の根幹をなすものであり、今後も堅持されなければならない。

 現憲法の制定に係る昭和21年6月28日の国会審議において吉田茂首相は、我が国においては、国際平和団体の樹立によりあらゆる侵略を目的とする戦争が防止されることを前提として、正当防衛権を認めることそれ自身が有害である旨の答弁を行い、先の大戦の反省の上に立って世界平和への我が国の国際貢献の方向を明確にした。

 この経緯を原点として、今日も我が国は現憲法の理念を堅持しなければならない。しかし、今日に至るまでの約70年間、一度の改正も行われておらず、この間、我が国を巡る内外の諸情勢に大きな変化が生じていることに鑑みれば、憲法について護憲、改憲、加憲、創憲など様々な意見がある中で、直面する諸課題から国民の安全を確保し、福祉の向上を図る内容であることが求められる。

 このような状況の中、国会でも、平成19年の国民投票法の成立に伴い、憲法審査会が設置され、憲法論議が始められている。

 憲法は、国家の基本規定であり、その内容については、国会はもちろんのこと、主権者である国民が幅広く議論し、その結果が反映されるべきである。

 よって、国会及び政府は、日本国憲法について、国会において国民投票法の透明化等を盛り込んだ改正を含め、議論を推進するとともに、国民的議論を喚起することを強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   令和2年3月25日

                      奈良県議会

 

 (提出先) 衆議院議長

       参議院議長

       内閣総理大臣

       総務大臣

       法務大臣

国会における憲法論議の推進と国民的議論を求める意見書