答申第85号の概要

◆ 諮 問「苦情・相談等受理処理票(受理日 特定年月日)」の不訂正決定に対する審査請求についての諮問事案

◆ 諮問実施機関 奈良県公安委員会

◆ 事案の経過 (1)訂正請求  令和2年4月24日
        (2)決定    令和2年5月20日付けで不訂正決定
        (3)審査請求  令和2年8月14日
        (4)諮問    令和2年9月10日
        (5)答申    令和4年3月17日

◆ 訂正を求める個人情報の内容

  「苦情・相談等受理処理票(受理日 特定年月日)」(以下「本件個人情報」という。)のうち、「苦情相談の要旨(追

 加)」欄及び「処理経過(追加)」欄(以下、「「苦情相談の要旨(追加)」欄等」という。)の記載の一部

<不訂正理由>

  条例第28条ただし書に該当

  あなたが提出した訂正請求書及び訂正を求める内容が事実と合致することを証明する書類からは、訂正請求に係る個人情

 報の内容に誤りがあることを確認できないため。 

◆ 審議会の結論

  実施機関の決定は妥当である。

<判断理由>

 諮問実施機関は、弁明書及び口頭理由説明において、苦情、相談等受理処理票(以下「受理処理票」という。)を作成する

目的は、継続案件の対応時に以前の受理処理票を参考に活用することで、苦情、相談等の問題の解決に資するためであり、当

該作成目的からすると、受理処理票の「苦情相談の要旨(追加)」欄等に記載される情報は、苦情、相談等に従事する職員間

で内容が把握できるよう要点を押さえて記載すれば足り、申立内容を一言一句記載する必要はないと説明している。

 以上を踏まえて検討すると、受理処理票は、主として苦情、相談等に対応した職員が、苦情、相談等の申出者とのやり取り

の内容を記録するためのものではあるものの、受理処理票の作成目的に照らせば、苦情、相談等の申出者とのやり取りの内容

を一言一句正確に記載することまでは求められておらず、受理処理票の「苦情相談の要旨(追加)」欄等に記載する内容及び

その記載の程度は、当該作成目的のために必要な範囲内において、実施機関の判断に委ねられているというべきである。そし

て、受理処理票の「苦情相談の要旨(追加)」欄等に記載する内容及びその記載の程度が、当該作成目的及び受理処理票の性

格に照らし、許容できる範囲内であれば、条例第28条に基づく訂正義務を生じさせるものではないというべきである。

 審査請求人は、意見書において、受理処理票の作成目的に照らせば、事実でないことが明らかであれば、その都度正確かつ

最新の状態に保つように務めるべきであり、審査請求人が提出した審査請求人が実施機関に行った申出に対して、対応した県

民サービス課苦情・相談係警部補(以下「本件警部補」という。)とのやり取りを録音した内容が記録されているCD-R及び

当該録音内容を書き起こした面談記録(以下「本件面談記録等」という。)を照合すれば、内容に誤りがあるかは容易に判断

できるなどと主張して訂正すべきと主張している。

 これに対して、諮問実施機関は、実際に受理処理票の内容と本件面談記録等を照らし合わせたところ、一言一句は一致して

いないが、審査請求人と本件警部補がどのようなやり取りをしたのかという要旨の点ではほぼ一致していると説明している。

 この点について、当審議会において、事務局を通じて、本件個人情報を確認した結果、記載されている内容の程度は、当該

作成目的及び受理処理票の性格に照らして許容できる範囲を超えているとはいえず、審査請求人の主張を踏まえても、本件面

談記録等の内容と矛盾する内容ではないことが認められ、諮問実施機関の説明について、特段不自然、不合理な点はない。

 よって、審査請求人が本件個人情報が事実と異なると主張することについては、審査請求人が提示する根拠を持ってしても

、訂正請求者が訂正を求めている事柄が「事実でない」と認めることはできない。

 したがって、本件個人情報については、条例第28条に規定する「当該訂正請求に理由があると認めるとき」に該当せず、訂

正義務があるとは認められない。