答申第89号の概要

◆ 諮 問 「(苦情・相談等受理処理票(受理日 特定年月日)」の部分開示決定に対する審査請求についての諮

      問事案

◆ 諮問実施機関 奈良県公安委員会

◆ 事案の経過 (1)開示請求  令和4年2月9日
        (2)決定    令和4年3月8日付けで部分開示決定
        (3)審査請求  令和4年3月14日
        (4)諮問    令和4年4月14日
        (5)答申    令和5年2月3日

◆ 諮問に係る不開示部分

 ア 「関係者」欄の一部及び「苦情・相談等関係者一覧」の一部

 イ 「処理内容」欄の一部

 ウ 「処理結果」欄の一部

 

<不開示理由>

 ア 諮問に係る不開示部分のアからウまで

    条例第14条第2号に該当

    あなた以外の個人に関する情報が含まれており、開示することにより、当該個人の権利利益を侵害するお

   それがあるため

 イ 諮問に係る不開示部分のイ

    条例第14条第7号に該当

    あなた以外の個人に対する聴取に関する情報であって、開示することにより、今後、率直な申述を聴取す

   ることが難しくなるおそれがあるなど、警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため

    苦情、相談等の事実関係の確認先及びその回答内容に関する情報であって、開示することにより、今後、

   必要な協力が得られなくなるおそれがあるなど、警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため

 ウ 諮問に係る不開示部分のウ

    条例第14条第7号に該当

    あなた以外の個人に対する聴取に関する情報であって、開示することにより、今後、率直な申述を聴取す

   ることが難しくなるおそれがあるなど、警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため

    警察官による指導事項に関する情報であって、開示することにより、今後、担当者が率直かつ詳細な記載

   をためらうおそれがあるなど、警察業務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため

 

◆ 審議会の結論 
   
  実施機関の決定は妥当である。

 

 <判断理由>

 ・実施機関が、「関係者」欄の不開示とした部分には審査請求人の○○の住所が、「苦情・相談等関係者一覧」

 欄の不開示とした部分には審査請求人の○○の住所並びに審査請求人の○○及び○○の住所、生年月日、年齢、

 職業及び携帯電話番号が、「処理内容」欄の不開示とした部分には審査請求人の○○及び○○の言動が、「苦情

 ・相談等関係者一覧」欄の不開示とした部分には審査請求人の○○及び○○の関係先の担当者の言動が、「処理

 結果」欄の不開示とした部分には審査請求人の○○の言動が記載されており、これらの情報は、条例第14条第

 2号に規定する開示請求者以外の個人に関する情報に該当する。そして、これらの情報は、審査請求人の○○、

 ○○及び○○の私的生活に関する内容を含み、通常他人に知られたくない性質のものと認められる。したがって

 、これらの情報を開示することにより、その者らの権利利益を侵害するおそれがあると認められる。

 

 ・諮問実施機関によると、相談事案の処理については、一次的には相談受理者が相談内容を専門的知識や過去の

 経験を用いて評価、判断及び指導を行うものであり、その業務を適正に遂行するためには事実を正確に把握し、

 適切に判断する必要がある。しかしながら、相談事案の記録を開示されるとなると、その影響を懸念して、相談

 事案の担当者が相談内容に基づく指導内容の率直かつ詳細な記載をちゅうちょし、その結果、指導内容の記録が

 当たり障りのないものへと抽象化することにより、正確な事実の把握や適切な事案判断が困難になるとのことで

 ある。

  当審議会が、「処理結果」欄の不開示部分を見分したところ、不開示部分には、条例第14条第2号に必ずしも

 該当しない、警察官による審査請求人以外の個人に対する指導事項及び警察官の行動が記載されていることが認

 められる。一般に警察への相談は相談者のプライバシーに関する事項についてのものである場合が多く、警察官

 にも相談者の権利利益を侵害しないために慎重な対応が求められているといえる。したがって、上記指導事項や

 行動についての記録が開示されるならば、相談者のプライバシーへの配慮などの理由から、正確かつ詳細な記録

 がなされなくなるおそれがあるといえる。それゆえ、当該部分を開示すると、実施機関の苦情、相談等に係る事

 務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。