意見書第10号

意見書第10号

     郵便投票制度等の改正を求める意見書

 平成14年11月28日、在宅療養中のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者らが、「郵便投票において代筆が認められない現行の選挙制度は法の下の平等に反する」として、国家賠償等を求めていた訴訟の判決が、東京地裁で下された。判決は原告の訴えを退けたものの、その傍論の中で「原告等が選挙権を行使できる投票制度が設けられていなかったことは、憲法違反と言わざるを得ない」と指摘した。
 また平成15年2月10日、不安神経症等で外出できない男性が、「郵便投票制度を重度身体障害者等に限った選挙制度は、憲法違反である」として、国家賠償等を求めた訴訟においても、大阪地裁で判決が下され、原告の訴えは退けられたが、判決の傍論において「現行の在宅投票制度は憲法の趣旨に照らして必ずしも完全なものとは認められず、その対象の拡大や投票方法の簡略化などの方向で改善が図られてしかるべきものであると認められる」と指摘されたところである。
 よって、国におかれては、法整備を含め所要の措置を早急に講じ、もって投票権の行使の障壁を一刻も早く取り除くために、次の事項を実現するよう強く要望する。
1 障害者や難病者、要介護の高齢者等、郵便投票の対象者の拡大を図るとともに、郵便投票においても自筆が困難な人のために代理投票制度の導入等、投票機会の確保を図ること。
1 現在の郵便投票制度における申請手続等の簡素化を図るなど、障害者等が容易に投票できるように改善を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成15年7月2日

        奈 良 県 議 会
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣