意見書第6号

意見書第6号

          国産原木シイタケ生産の安定及び安全性確保に関する意見書

 今般の東日本大震災に伴う原子力発電所の事故により、東北地方の原木を利用してシイタケ栽培に励んできた生産者は、非常に困難な状況に直面している。
 ナラ類の木が放射性セシウムを樹体に蓄積すること、シイタケが放射性セシウムを子実体(きのこ)に移行しやすいことについては、すでに学術論文にて発表されているところである。原木シイタケ栽培は、まさにナラの木に菌を繁殖させ、きのこを出させる作業である。本年度生産される東北地方の原木には、量の多少はあるが、危険な放射性物質が含まれることが懸念される。
 これに対し国は、「平成23年度安全なきのこ原木の安定供給対策事業」を立ち上げ、きのこ原木の安全性について指針を出すための努力をされているところであるが、その結果が示されるのは来年2月以降の計画となっており、原木伐採時期である10月よりずっと遅れることになる。
 「安全・安心の国産原木シイタケ」にこだわって生産してきた生産者は、放射能に汚染された可能性が高い原木を使ってシイタケ生産を行うわけにはいかない。しかし、原木の大産地である東北地方から購入できない場合、他の地域から原木を仕入れようにもまとまった数量は手に入らず、質や値段も問えないという状況となり、原木シイタケ生産者は危機に瀕することになる。
 よって、国におかれては、次の事項に取り組まれるよう強く要望する。

1 きのこ原木伐採時期である本年10月までに原木の安全性について指針を示すこと。

2 原木業者及びその原木を使用してきた原木シイタケ生産者に対し救済措置を講じること。

3 不足する原木の新たな供給源を早急に確保すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

   平成23年7月4日

                           奈 良 県 議 会

(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣