優良賞1

 受け入れる

                              生駒市立鹿ノ台中学校 1年 𡧃野 帆風
 
 みなさんに質問です。
 「自分は、いつもこんなことはしないのにどうしてあの子はこんなことをするんだろう。」
そう思った経験は、ありませんか? 自分はしないのに、どうしてあの子はするんだろう?…そう思うとだんだん怒りたくなってしまいます。
 小学六年生だった私には、とても仲の良い友達がいました。教室での席も近かったし、教室移動の時には、いつもその子と一緒でした。
 ところが、私達の関係に、少しずつひびが入っていきました。そのひびはだんだん大きくなって、いつの間にか私達は、お互いに口もきかなくなってしまいました。
 その原因をつくったのは、私達二人の他の誰でもありません。私達は、私達の関係を、私達の手で壊してしまったのです。
 あいさつはしない。目も合わさない。いつも離れたところにいる。そんな日々が続きました。
 意地になっていたところもありました。でも、そんな感情はいつの間にか消えていきました。
 私は、考えました。 このままでいいのかな、このままで卒業するのかな と。
 そして私は決めました。謝ろう、自分にも悪い所があったはずだから。前ほどではなくても、もう一度仲良くなれたら。そんな気持ちもありました。
 私が 今まで本当にごめん。もう一度、仲良くしてくれないかな? と伝えると、その子は、 一週間待って と言いました。
 一週間後、返事は手紙で返ってきました。もう一度、仲良くしよう。そんな内容の手紙でした。
 ところが次の日、私は机の中に、小さなメモを見つけました。中には、 やっぱり仲良くするのやめよう。 と書いてありました。
 その時私は、思ったのです。
「あれ?何で私だけ謝ったんだろう。相手にも悪いところはあったはずなのに。何で相手は私に謝らないんだろう。」
 お母さんに、その思いを話してみました。話しているうちにだんだんと腹が立って、私は、自分が何を言いたいのか分からなくなりました。
 その時、お母さんが口を開きます。
「別にいいんじゃない。あなたが勝手に期待してただけでしょ?自分が謝れば相手も謝ってくれるだろうって、思ってたはずだよ?その子が謝らなくっても、それがその子の考えなんだから仕方ないんじゃないの?」

 人は、 誰か を基準にして物事を考えることがよくあります。
 もちろん、ルールは絶対に守らなければいけません。ですが人には、 誰かだけが正しい なんてことはありません。それなのに、
「あの子は変」
と決めつけるのはおかしいと思いませんか。
 その時の私もそうでした。自分を基準に、あの子はおかしい、と勝手に決めつけていたのです。
 人は、それぞれに違う考えをもっています。自分と同じ考えの人、違う考えの人がいます。もし、皆それぞれが自分と違う考えを受け入れることができたなら、それは、とても素敵なことだと思います。難しいことかもしれませんが、私と一緒に 受け入れる 努力をしてみませんか?
友達との関係がもっと良いものになるかもしれません。