優良賞7

 地域とのかかわりを大切にしなきゃダメ。

                              香芝市立香芝北中学校 2年 辻田 優斗

 「おはようございます。」
 毎朝、道でかわす挨拶。妹の同級生の保護者や自治会の方々が通学路で立哨してくださっています。妹の同級生のお母さんで顔見知りだったりすると、
「今日は暑いねー。」
「気をつけてね。いってらっしゃい。」
などと、簡単な言葉をかわしたりします。この立哨当番の方々に会わなかったら、地域の人とかかかわることはあまりありません。この数秒にも満たない挨拶は、僕の数少ない地域とのかかわりの場所です。立哨は中学校のお母さんたちがやっているのではなく、小学校のお母さんたちがやっていることなので、最近になって、地域の人々の顔を少しずつ認識できるようになってきました。
 この立哨が始まったのはある事件が起きたからです。
 一昨年の秋、僕の妹と同級生の生徒が朝、小学校への登校途中で、見知らぬ不審者に突然声をかけられ、殴られたという事件がありました。幸い軽傷ですんだことですが、いつもと何も変わらない通学路で起こった、突然の事件でした。
 考えてみると、全国各地でこの事件の前後に同じような事件が立て続けに起こっていました。一体、誰が何の為にこの様な事件を起こすのでしょうか。こういった世間を騒がせた悪質な事件が続くのは、ある事件が起こったときにそれを何かで知り、面白半分で行うこともあるのではないでしょうか。
 新聞などの記事を見ている限りでは、他人事だと思い、自分自身の身の回りで起こることとは思われていない気がします。しかし、こういった事件が今、僕達の身の回りで起こっているのが実状です。
 現在、登下校中の事件は起こらなくなりました。その理由として、各学校や自治会で行われている立哨などの地道な活動が、大きく動いていると思います。では、このような悪質な行為が簡単にできてしまう世の中に、どうしてなってしまったのでしょうか。
 一つは、地域とのかかわりが、少なくなってきたからだと思います。一昔前までは、祭りや冠婚葬祭など、地域や隣近所での助け合いが活発に行われていたと聞いています。しかし今はメールやゲームなど、身近な人と触れ合わなくても娯楽ができる時代です。地域との交流が希薄になってきていますが、世の中が物騒になってきている今、ますます人と人との絆が大切だと思います。
 僕は家で一人で好きな事をしているときに、家族からの干渉が煩わしかったりすることがあります。しかし、誰からも注意を払われずに1人でいたら、家族の一員としての役割や責任をしっかり果たせるでしょうか。優しい挨拶や思いやりの言葉、ちょっとした注意の一言が、自分の責任や立場を明らかにしてくれるのではないでしょうか。自分は家族や集団としての1人なのだ、という意識を促してくれるのではないでしょうか。
 もう一つは今日、科学の発達によって遠くで起こっている大きな事件や事故が、リアルタイムで手に取るように伝わってきます。だから却って、身の回りの小さな出来事は、興味を引かなくなってしまいます。しかし、実際、僕達が生活していくうえで大切なことは、身の回りの小さなことに気づき、注意し、行動して、解決していくことだと思います。
 一つの例に、以前アメリカのニューヨーク市で悪質な事件が多発するのを防ぐ目的で、地域ぐるみで小さないたずらや犯罪を見逃すことなく改善し、解決することで、犯罪の数が急激に減少したという例があります。まさに僕が思うところはそこです。
 そして今僕達にできることは、地域とのかかわりを大切にし、身の回りのどんな小さなことでも見逃すことなく解決することです。それが僕にでも、誰にでもできる小さな活動だからです。そして、そのことが大きな社会貢献の第一歩に繋がっていくと思うのです。