優秀賞2

「広い世界へ」
天理市立福住中学校 3年 岡西 紗知

 五月に、先生が用意してくださった新聞記事を読んで、意見を述べ合う授業がありました。記事の内容は、沖縄の米軍基地、領土問題やネット上の攻撃、少年法など様々でした。そのとき大変驚いたことが二つあります。
 一つは、クラスメート七名が誰一人同じ記事を選ばなかったことです。私たちはひと月後に沖縄修学旅行を控えていました。だから、私は、当然みんな沖縄のオスプレイの事故に関心があるだろうと思っていましたが、違ったのです。
 もう一つは、それぞれが説得力のある意見を発表したことです。私たち三年生はたった七名ですが、人が関心を示す内容は様々で、意見もいろいろだなと実感した出来事でした。
 六月は、道徳の時間に、「バリアフリーとユニバーサルデザイン」について全校生二十三名で三班に分かれて話し合いました。話題は、学校の中でさらにバリアフリー化を進めるなら何ができるか、また、社会に出たときに心がけたいことは何か、などです。私は司会として、できるだけ下級生にも意見を言ってもらおうと、例を挙げたり、分かりやすい言葉に言い換えたりしましたが、初めはなかなか意見が出ませんでした。どうやって進めればいいのか悩みましたが、徐々に意見が出るようになりました。話合いの後、ほかの班の発表を聞くと、私たちの班にはない発想があり、みんなで話し合うと、いろいろなアイデアが出るものだと驚きました。また、一年生が、「先輩がいる前で話せなかったけど、次は発表したい。」と授業の感想を書いていたのを見て、少しうれしく思いました。
 私は英語が好きで、二年生の夏にオーストラリアに短期の語学留学をしたことがあります。教室に行くまでに、「そこから先は英語しか話してはいけない」というゲートがありました。様々な国から集まった生徒が、共通の言語である英語で自分の思いを伝えようと、一生懸命話します。私はなかなか言いたいことが伝わらず、もどかしく思いましたが、次第に一つの言語でつながれる喜びを感じるようになりました。
 現地の中学校を見学したとき、強く目に焼きついた光景があります。それは、生徒が好奇心旺盛で、今知りたいことを今すぐ知ろう、今という時間を思いっきり楽しもうとしている姿です。つい受け身になりがちな私たち日本人との違いに、圧倒されました。オーストラリアで出会った人は皆優しく、しかし周りに流されず、「自分」をしっかりもった人ばかりでした。その姿に、私はあこがれを抱くようになりました。一方、日本人はみんなと同じように行動し、一人だけ目立つようなことはしたがらないように思います。「みんなと違う」ことがいじめの原因になることもあります。でも、みんな考えていることは様々です。
実際、社会に出ると、年齢もばらばらの人たちと一緒に働くことになります。そこでもいいと思ったことは、勇気をもって発言することが大切だと思います。
 今の私にできること。そして、皆さんにも実行してほしいこと。まずは自分が今いる小さな集団が、実は様々な考えをもった人たちで構成されているということに気づいてください。年が上だからとか下だからということは関係ありません。国際社会に置き換えれば、国籍も関係ないと思います。そして、みんなが幸せに生きられる世界を目指し、それぞれ意見を出して粘り強く話し合うことが大切だと思います。そこには対立も生まれるかもしれませんが、そこからまたお互いに考えを深めていけばいいのです。
 広い世界に目を向け、積極的に人と出会い、もっともっと成長していきたい。今、私はそう考えています。