優良賞5

言葉の力

生駒市立緑ヶ丘中学校 2年 竹田 美結

 朝、「おはよう」と声をかけられると、貴方は「おはよう」と返すでしょう。また、「ありがとう」と感謝されると、多分貴方の心はぽかぽか温かくなるでしょう。だとすれば、突然、「嫌い」と言われたら、貴方はどう感じるでしょうか。
 言葉には人の心を動かす程の大きな力があります。ほめられるとうれしく感じ、逆に怒られると悲しく感じます。このように言葉は使い方によって、太陽の光をあびたときのように人の心を温めることもあれば、雪が衣服にしみこんだときのように人の心を冷やし、言葉の氷柱が深々と人の心を突き刺すこともあります。
 自分が言われている訳でもないのに、周りで「嫌い」や「消えろ」と言う言葉を耳にしたとき、冷たい石が心の奥でストンと重く落ちる感じを体験したことはありませんか。確かに私に向かっては言っていません。笑いながらその人は冷たい言葉を言っているのです。多分友達に向かってじょう談で口に出したと考えることができますが、使い方には十分気をつけなくてはならないと思います。たとえそれがじょう談だとしても、友達がじょう談だと理解しない限り、それはじょう談ではないのです。
 私はあるとき、友達を笑わせようと考え、ふざけて悪い言葉を使ったことがありました。彼女はかんかんに怒り、先生に言い、私は注意を受けました。そのときの私はまだ幼く、注意されている意味も分かっていませんでした。「どうして自分は怒られなくてはいけないのか」そんな不満をあの頃の私は抱えていました。しかし、今考えれば簡単なことです。そのとき私は笑わせる方法を間違え、さらに彼女に誤解を与えていたのです。彼女はおそらく、真正面から自分を馬鹿にされていると感じていたことでしょう。あんなに顔を赤くさせ、荒く、強い口調で話す彼女を見たことはありませんでした。
 言葉とは恐ろしいものであると同時に相手に物事を伝えるうえでは一番わかりやすく、理解されやすいものです。だから、書くときや声に出す前には一呼吸おき、考えなくてはならないことが三つあると私は思いました。
 まず一つ目は、伝える相手は誰かを確かめることです。親しい人ならば、くだけた言葉を使いますが、目上の人には敬語を使います。もし目上の相手に突然くだけた言葉を使ってしまうと、失礼にあたり、自分自身の第一印象も悪くなってしまいます。二つ目は、伝えることは何か確認することです。これは相手に誤解を与えないか、気に障らないかなど少しの気遣いが必要になります。しかし、今あげた二つのことをいつも、常に考えるのは正直とても難しいと思います。だから、これだけは最低でも考えていてほしいです。最後に三つ目、それは、相手のことをきちんと思うことです。相手のことを思うと自然と言葉は出てきます。例えば、友達がおしくも試合で負けて、落ちこんでいるとします。そうすると、貴方ならどうしますか。多分そこで友達をせめる人はいないはずです。そっと側に寄り、「大丈夫。頑張ってた、よかったよ。」と優しく声をかけるなど友達を励ます人がほとんどだと思います。ただそれだけでも友達の気は軽くなるはずです。
 言葉は重要なコミュニケーションの一つです。使い方を一歩間違えれば、トラブルが起き、取り返しのつかないことになってしまうこともあるかもしれません。しかし、言葉は人の心を温めたりすることができる位、大きな強い力を秘めています。冷たい言葉を減らし、相手のことを思い、温かい言葉を増やしていくという単純なことこそ、現在のこの複雑な社会に光を与えるカギになると思います。