平成28年5月24日(火)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日の発表案件は、お手元の1件でございます。知事より発表していただきます。よろしくお願いいたします。


案件:サマータイム及び定時退庁(一斉消灯)の実施について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 サマータイムを今年も実施いたします。

 去年と同じですが、8時30分から17時15分の勤務時間を30分前倒しにするということでございます。7月1日から8月末までの2カ月間で、原則、出先機関を含む全ての所属官庁で実施しますが、市民、県民の方との接触の多いところ、あるいは調査・取り締まり機関などは例外になる予定でございます。それから、去年と同様ですが、定時退庁を水曜日と金曜日に実行するといった内容でございます。奈良県庁夏スタイルをやっていくうちにアンケートも実施しましたが、良いから続けようという職員の回答が多いので、実行を続けることにしました。省エネルギー、電力消費も減る傾向にございますので、夏の暑いときにあまりクーラーをかけないということですけれども、そのようなご報告でございます。

司会:
 それでは、本日の発表案件につきましてご質問ございましたら、よろしくお願いいたします。

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質疑応答
時事通信:
 前回と変わったところはありますか。

知事:
 去年とほとんど同じです。サマータイムをやっているのは、平成24、25、26、27年と4回行って、今年が5年目です。23年度は昼休みの時間を変えたりしましたが、サマータイムを導入し始めたのは節電のことがあって、24年度からです。早期出勤、早期退庁というのは24、25、26、27と4年間行っております。そういう意味では、夏の8時出勤というのは定着しているのかなと思います。それと、当然ですが、職員組合とも交渉して了解を得ております。

時事通信:
 仕事の効率はよくなりましたか。

知事:
 そうですね、効率というか、やはり夏は疲れやすいので、休むのが仕事の効率を上げるに一番いいのかなと私は思います。公務は、年がら年中忙しいというよりも、部局によりますけれども、季節性があって残業が多いというのと、プロジェクトが盛り上がるときに多いです。イベントするときは、残業が多くなります。そのときに代替休暇とか、働き、休み、働き、リズムということになりますので、効率性を達成するのに仕事ばっかりしててもいけないし、休んでばっかりでもいけないし、リズムをうまくとるように、それが役所の中のリズムをどうとるかという課題であります。夏はちょっとクールダウンして休むようにしようよというのが、役所の効率性を上げるリズムかな、ということを実験しているということです。夏は働くほうが元気なんだという人もいるかもしれませんけれども、総じて夏は休んだほうが元気になるんじゃないかというように判断してきています。職員もサマータイムを続けるほうがいい、という意見が多数なので、もう少し、具体的にどんな調子なんだろうか、ということは、またサマータイムを実施しながら、アンケートなどで職員の反応を聞きたいと思いますが、職員の組合も「続けよう」ということで合意していただいて、折衝して合意というよりも、むしろ職員の組合のほうもこうして続けようというふうに対応していただいていおりますので、労使ともにサマータイム定着を進めようというふうになったと理解しています。

時事通信:
 今、休むのが仕事の効率を上げるのに一番いいとおっしゃったのは、16時45分で仕事が終わって、早目に帰って早く休めるようにというスタイルのことですか。

知事:
 そうですね、ゆっくりするということですね。

時事通信:
 発表案件につきまして、他にご質問ございませんでしょうか。

 それでは、他にないようでしたら、その他の案件につきましてもご質問のある方、よろしくお願いいたします。

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質疑応答

奈良県の参議院選挙区1議席減について

産経新聞:
 先日、衆議院選挙区の議席でゼロ増6減の法案が成立しましたが、奈良では1議席が減になるということで、改めて受けとめをお聞かせください。

知事:
 国政の、参議院もそうですが、衆議院で定員削減と、その削減箇所の特定ということが、区割りはこれからだと聞いております。地方行政の立場からすれば、数で地方の意見が反映されないよという声もあります。地方の声が反映されるようにという趣旨には私も賛成しておりますが、しかし、何といっても最高裁の「1票の格差是正」ということが憲法上の問題でもありますし、「2倍以内」というように、大変強いものでございますが、その中でのやりくり、と言ったら失礼ですけれども、選挙区の定員調整だと思います。だから定員削減と、定員調整という二つの考え方があって、定員削減の要請も国民の側からは強いですよね。政治の効率性と、地域の声の反映と、1票の格差是正というような、それぞれ違う目的を、一つの選挙制度で達成しないといけないということだと理解しています。そのようなことからすれば、どういう言い方すればいいんでしょうかね、立場上、反対と言うわけにいかないように私は思っています。

 いろいろ意見のあるところだと思います、定数削減をもっとしろという意見もあるし。最高裁の判決は、1票の格差を是正するために、立法府のアクションを早くしなさい、という要請が「違憲状態」という形で随分出ておりますので、それは絶対に必要なことだろうと思います。1票の格差に対する司法の立場はとても強力なですので、それにアクションしない立法府というのは難しい関係、だから司法と立法府との関係というのが、基本的なラインだったと思います。

 だからその中で立法府が判断なされたと受けとめています。「地方府」というのはありませんが、地方行政の立場からの希望はあります。しかし、地方の意見が、日本のような場合だと、どのように満遍なく反映されるのがいいのか。参議院の場合は意見を言いに行きました。私は合区反対の立場で意見を言いました。都道府県ごとに最低1人は置くように、と言うと、その地方の代表、今の、都道府県という行政区画の代表を1人は確保、という考えもあるんですが、それは「1票の格差」とバッティングします。それは憲法の改正が要るんじゃないかというような解釈もあります。私の気持ちは言いましたけれども、権限的には司法と立法府のご判断というように、多少クールな言い方かもしれませんが、思っております。

 もう一つ、参議院の場合、6年の任期ですが、3年に1度半数改選です。これが、アメリカの場合は上院は2年に1度選挙があります。下院と同じタイミングで2年に1度やります。6年任期は同じですから、3分の1ずつが改選です。だから、上院で3分の1は選挙のない州があります。だから、日本でも時期によっては選挙のない県があってもいいじゃないかということを主張したんですけど、それは投票の権利を奪うからという理屈があります。これが憲法違反かどうかはわかりません。アメリカでされていることは日本ではしない、できないという、憲法の性格が違うのかもしれないけれども、そうでもなさそうな感じ、余り議論も進まなかったままであります。選挙の仕方というものにも関係すると、衆議院と参議院は違いますけれども、それぞれの国で工夫をされているわけでありますので、どういう趣旨が大事かということの判断だと思います。地方の趣旨が展開されるためには、憲法改正も要るかもしれない、というところまで議論はありましたので、望みはありますが、定数についての主役ではもちろんありません、というような感想であります。

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奈良県の合計特殊出生率の上昇について

時事通信:
 きょうの朝刊に掲載されていましたが、出生率が下げどまったように見えますが、どんな印象をお持ちですか。

知事:
 うれしいニュースです。奈良県の出生率が上がりました。平成22年から27年までの6年間、多少上がったり下がったりですが、この6年間で一番出生率が上がりました。22年には1.29だったのが、1.27に下がり、1.32に上がり、1.31に下がり、26年、1.27に下がり、今度は1.35に、何かちょっと気まぐれな動きでありますけれども、とりわけ26年から27年は0.08ポイントも上がりました。全国の順位も39位まで上がりました。26年はワースト3位でした。だからうれしいことですし、上昇率は27年に限れば近畿でトップだということで、これが定着する勢いなのかどうか、下げどまってといいますか、これから上がっていくぞ、というようなことであれば大変うれしいなと思います。

 出生率の低い原因は、全部はわかってないんですけれども、若者の雇用状況というのが大きなファクターだと見ております。若者の正規雇用率が上がり、所得が上がるということが、何よりも大事だと思っています。奈良県は、住居とか住みやすさという点では、他の県と遜色はない。特に同じような人口の滋賀県といつも比較していますが、滋賀県の出生率の方がずっと高いんです。それは若者の正規雇用率が高いからだと見ています。若者の正規雇用率が滋賀県でなぜ高いかといいますと、高速道路の通り道になっていて、奈良のパナソニックが草津に行ったということが象徴的でありますけれども、大きな工場の雇用はやはり若者だと思います。また、製造業は正規雇用が多いんです。草津あたりの出生率が高いのかも知れない。滋賀県でも琵琶湖の北のほうと琵琶湖の南のほうでは、やはり出生率が違うかもしれない。奈良でも同じようなことがありますけれども、県全体とすれば滋賀の出生率の方が高い。

 だから出生率を上げるためには、若者の雇用の安定というのが大事だと数年前から思っていて、工場誘致と仕事の場の確保が最優先課題だと叫び続けております。若者の雇用、企業誘致が昔よりは進んでおりますので、若者の雇用が安定してきて、それが出生率にはね返ったということであれば大変うれしいなと思います。それであれば、若者の雇用確保のために、産業興しや企業振興等をしてきたことが、出生率にこんなに早くはね返ったとすればとてもうれしいなという、今の時点でのぬか喜びかもしれませんが、いっときの喜びをこの数字で持ちました。

 仰ったように、これで下げどまって、ここから上がっていくかどうかという判断は、まだ来年の数字も心配しながら見なきゃいけないと思いますが、その相関関係を見て、若者の雇用を安定させるというのが、出生率を上げるためだけでなく、大事なことでありますので、それはそれで出生率にはね返るというのがよくわかれば、低出生率で悩んでおられる地域と、仕事の場の少なさで悩んでおられる地域は、同じ悩みになりますよ、ということがわかってきますので、奈良で起こっていることがいい傾向として定着をすれば本当にうれしいなと思います。

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国道168号線の土砂崩れの状況と今後の道路整備方針について

毎日放送:
 国道168号でまた土砂崩れが起きていて、迂回路はもう設定されたということなんですけれども、改めてアンカールートも含めて、状況とか知事のお考えをお伺いしたいです。

知事:
 国道168号も、169号もそうなんですが、紀伊半島の2つがアンカールートと言われる大幹線になっていて、その大幹線がしばしば崩落で通行止めになります。崩落危険箇所というのは奈良県の中で約2,000カ所も確認されていますので、その小さな迂回路の崩落危険箇所だけではなく、幹線の崩落危険箇所もあります。現実に起こっているということは、168号は大幹線で、今、道路の整備を進めておりますが、一言で言えば新しいトンネルと橋で強化しようということでございます。その強靱化の区間が残っているのが、今度の崩落が起きた、以前にも起きた天辻地区と、桑畑という十津川の南の地域、その2カ所が、改良の事業化がされてない区間であります。

 天辻のほうは、新天辻トンネルがあるんですけれども、少し狭隘ですので、「新・新天辻トンネル」を造ることが抜本的な道路整備であると考えます。それに向かって、国が随分応援していただき、南のほうにいろんな十津川の道路ができかけてきておりますので、まだ建設中のものが残っておりますが、次は「新・新天辻トンネル」の事業化だと思っています。国道の整備で直轄道路という、国が直轄代行という制度で、他県に比べて、大変恩恵的な道路整備をしていただいていますので、「新・新天辻トンネル」を造るということが、もう少し安定した道路対策だと思っています。そうすれば、大体、崩落の影響を受けずに南まで行ける道路整備ができると思います。

 もう一つは、そうは言っても、どういう原因で通行止めになるかもわかりませんので、迂回路の整備というのも大事ですが、大変不便なところをぐるっと回ることがあります。代替道路は一つは確保していないと生活として困りますが、今度は迂回路が崩落していたところを、速攻で整備ができて、迂回路としては確保できましたが、これもずっと迂回路として使うというわけにいきませんので、最初の崩落の復旧が当時から2カ月経って、もうあと一月ぐらいはかかりますけれども、それであれだけの崩落ですから恐ろしいことであります。山の崖を見ながら暮らして、道路を見詰めているというのが奈良の南の道路の現実であります。

 だから、国に対しても、皆、大都市に住んでいる人は、もう道路は必要ないだろうと言われるんですが、まだ道路、先ほどの雇用のために京奈和自動車道のような平野を走る高速道路も重要ですし、山の中を走るトンネルの整備も、まだ奈良では大事なんですよと、東京に行っては叫んでいるんです。東京に住んでいる人は、あんなに高速道路がたくさんあるんだから2本も要らないだろうと、こう言われるんですよね。奈良県だけじゃなく、ほかでもそういう地区はあると思いますが、奈良県では、あるいは紀伊半島、三重、和歌山では、アンカールートというのは極めて重要です。それから災害のときに、南海トラフの大地震が起こったときに、津波がもし起こったら救命救助の道になりますので、大事だと思っています。

 どうするかという点については、抜本的には「新・新天辻トンネル」の事業化が正しい方向だと思っています。早期に事業化できるように努力したいと思っています。

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奈良市月ヶ瀬の違法な土砂掘削について

関西テレビ:
 奈良市月ヶ瀬の土砂の違法掘削現場では専門家の方が調査に入られて、前回の時点では急を要する危険性は無いということだったんですけれども、梅雨の時期を前に調査を継続されて、今どういう状況ですか。変わりはありませんでしょうか。

知事:
 本日時点で報告受けましたが、その調査については継続してもらっています。危険度が上昇しているかどうかという点には、複数の専門家の方に行っていただいたと聞いておりますが、危険の兆候はまだありませんと報告を受けています。しかし、継続監視をしていきたいと思っています。

関西テレビ:
 あと、奈良市月ヶ瀬での対応の件について、工事期間の終盤から違法状態の発覚直前まで、奈良土木事務所で所長をされていた方にお話を聞いたところ、そもそも工事の許可を出していたことさえきちんと把握していなかったということです。その辺を含めて、改めて当時の対応について、今、知事どのようなご所見をお持ちでしょうか。

知事:
 工事の許可は出していましたので、それはその職員が知らなかっただけで、今度の奈良市月ヶ瀬の問題をもし知らなかったら、おまえが問題だとその場で言っていただいて結構です。私のほうは、知らなかったというよりも、許可の内容とその許可内容の遵守という体制が不十分ではなかったかということを、この場で再三お問い合わせいただき、お答えしており、こういったことが私の行政対応の責任かと思っています。マニュアルをつくると言っていますが、砂防の法令は少し曖昧で複雑なところがあるように思っています。日本は土が平べったいところだけではなく、傾斜地もあり、民有地があるところの、山あり谷ありという場所の土を触ると崩れるかもしれない、それを防がないといけない、ということが、砂防法の目的であるように思います。民有地であっても砂防指定地になれば、自分の地面を掘るにしろ、土を積み上げるにしろ、行政許可をもらいなさいというのが、砂防指定地の制度の根幹になっているように思います。

 今までは、どちらかというと、どこまで掘れば危ないのかという、土の話ですからわからなくて、自主的な運用が中心であったように思います。砂防法の歴史もそのようなことであったと思います。自分の地面を掘るんだから、危なくないように掘っていますと言われたら、そうですか、というような運用が、奈良県だけではなく、ずっと続いていたのではないでしょうか。そういう砂防指定地に住宅がだんだん進出して、土を採る量が半端ではなくなってきたりということがあって、砂防法の行為制限許可を強化しようという動きになってきているように思います。

 奈良県でも、7月1日から施行する新条例では、これまでは「この場所で、期限はこれだけです」という許可だったものを、許可条件をもっと明確にしようということになります。新条例では初めて、許可条件に違反すると罰則がかけられることになります。それと、許可条件というのは、危ない行為はしてはいけない、技術基準をどうするかということが大事なんですが、そういうことをやっと達成できるようになるということです。もとからそういう厳しい条例があって、許可条件を守らせることができなかったのであれば私も怒りようがあるんですけれども、もとの砂防法が少し緩かったのかなという感想が正直あります。ただ、それは指導に行かなかった言い訳にはもちろんならないわけで、行ったほうがいいに決まっているんですけれども、今は、そういった移り目のときであろうと思います。

 これから、マニュアルを作ろうということは、形状変更など、私有地の中で、自分で行う行為の許可に関する対応を明確にしようという、技術基準を明確にするということと、その見守りをしなければいけないということです。それを法令遵守の変更、具体的には許可条件の遵守の見守り、確認ということになりますので、今までは、奈良市月ヶ瀬の場合もそうだったんですが、見に行っても大丈夫ですかといった、指導という立場のおつき合いしかできなかった。今度は法令違反ですよと、遵守しなきゃだめですよと、強い立場で行けるというように立場が変わります。ただし、確認行為というのは不可欠になると思いますので、それはマニュアルで確認しようと思います。

 見守り確認の励行というのは、今までと違っている面もあることも踏まえて、遵守するマニュアルということに志向しており、そのようなマニュアルをつくるように今、指示をしています。そのマニュアルは、今度の7月1日に条例が施行されますので、それに間に合うように、6月に議会がありますので、議会にも説明できるように案を作るよう、催促をしています。6月上旬にマニュアルができて、このようにしますということを議会にも説明できるように、急がないといけないので催促をしています。

 このような場で質問していただくのも、催促の追い打ちになるので、きちんとやっているのか、ということを職員に言っています。マニュアルの原案が出てこないと私の判断もできませんので。そのマニュアルで大事なところは現地の「確認」ということで、奈良市月ヶ瀬では「確認」をしていなかったということは、法令が緩かったのも一つの原因だと思います。全ての原因ではないと思いますけれども、そういったことが職員の意識にも反映していたのではないかと、今のところは見ています。条例が強化されれば、それは必要不可欠な行動規範にすべきだということで、この際、マニュアルをしっかりと作ろうと考え、今やっているところです。

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生駒市西松ヶ丘の違法な土砂盛土について

関西テレビ:
 一方で、4月の会見の際には、奈良市月ヶ瀬を含めて5件を県の条例違反で指導しているというお話があったと思いますが、昨日からの一部報道で、生駒市の私有地で、住民からの通報があったにもかかわらず、結果的に危険を防止する措置をとっていなかったりとか、弁護士さんのほうからも何らかの対策を講じるようにというようなご助言があったにもかかわらず、取り立てて現状が変わってはいなかったりというところもありますが、この辺に関してのコメントはいかがでしょうか。

知事:
 ちょっと見方が単純なように思います。砂防法はなかなか難しいんです。生駒市の事例は、私有地が砂防指定地で、土を盛られたということで、土の盛り方が悪いので隣地に影響が出そうだと。これは民民の話なんですけれども、公がどれだけ民民の土地形状の変化に介入できるかという、砂防法上の根幹にかかわる話であります。

 生駒市のケースは、無許可で土を盛ったということは間違いないです。それは(申請があれば)許可が出たのかどうかというと、盛り方によっては、出ていたかもしれないんです。盛ってはいけないという原則ではなく、安全に盛りなさいよ、あるいは安全に切りなさいよというのが原則です。私有地内の行為で、隣がうるさいからとか、危なそうだからやめさせてくれという話があっても、はい、やめさせますという法体系にはなっていないということをまず前提としてご理解をいただきたいと思います。危ないというクレームがあるのに役所が出ないのはおかしいとか、そういう単純な話ではないということをまず言っているだけなんです。それは、どういう場合にどういうことを役所がしなければいけないのか、ということを、訴えや告発も含めて、この法規の内容を確認しなければいけないという立場にあります。

 生駒市のケースは、無許可という点では、行為を行った人が見つからないので、許可を出してない、許可を出したらオーケーかと言われると、技術基準で判断するということになります。奈良市月ヶ瀬もそうですが、危ないか、危なくないかということは、見るからに危ないけれども本当に危ないか危なくないかは土のことなので、これはまた根本的なことですけども、技術基準で安全性をどう確認して許可するのかという、基本的なところになるんです。生駒市の場合は、亀裂があるのが、本当にその土を盛った結果かどうかというのもまだ検証されていないので、直ちに亀裂が入ったことが危ない、と決めつけはできないと思います。もし、その行為が原因であるということがわかれば、これは民民の訴訟にもちろんなるわけですし、さらに進めば、危ない私有地が隣に迷惑かけるときに、これも法制上用意されていないんですけれども、民民の関係で行政代執行ができるかどうか、これはあまりまだされていないんです。

 隣地の上のほうが公衆用道路であれば、公衆用道路に亀裂が入るといけないから、下のほうの土を整備するという代執行はできるんですが、上が民有地であって、民有地の地面を守るために、その行為者がいなくても行政代執行ができて、行為者が出てきたら費用を求償するというようなことができるのか。それができるのかどうかは研究させていますが、砂防法の法益の範囲に入っているかどうかというのが大きな課題です。砂防法は、公衆用道路の形状が変わるとか、河川の流水が止まるというときは代執行ができるというところまでは確立しているんですが、茶畑にしろ、住宅地にしろ、私有地の地面がちょっと歪んでくるという時に、行為した人に代わって、あるいはしない人に代わって代執行できるかということはまだ確立していません。しかし、それは検討課題として、できるかどうかを検討をしたいと思います。生駒市のケースでは、行為者本人がいませんので、代執行できるかどうかというのは、一つ大きな手当ての決め手になるのではないかと思います。

 そのような状況ですので、繰り返しますと、土を積み上げた行為が亀裂の原因かどうかという調査は継続していますけれども、特定できないということと、無許可の土盛り行為であることは確かなんですけれども、無許可の行為が住宅地の亀裂に影響したかどうかはわからないという状況ですので、これは住民のクレームでは影響あるよと言っておられるんですが、本当にそうなのかはわからないので、これは調査を続けないとしようがないんです。

関西テレビ:
 住民からのそういった声に対しては、迅速に反応して、亀裂が盛り土によるものなのかということをすぐ調査したということなんでしょうか。

知事:
 今していますが、まだ、盛り土によるものかどうかわからないんです。盛り土によるものであるという確率は、そんなに高くないという、とりあえずの反応を聞いていますが、これは他の原因かもしれない、ということがまだ不明なんです。住民の方は、隣の盛り土のせいだと言っておられるんですが、その通りかどうかが、ちょっとわからないということです。調査についても、どちらも民有地ですので、これも権限があるのかどうかわからないんです。ただ、隣が砂防指定地だということが、公的な介入の大きな拠り所ですので、砂防指定地の中で、何か土をいじるときには許可をもらわないといけないということに違反しているのは確かです。その無許可の行為が、その亀裂の原因かどうかというのも、まだわからないということです。

 そういった違反行為が亀裂の原因だったら、今、行為者本人がいない中で代執行ができるかどうかということが、行政の手段として大事なことになると思いますが、砂防法自身が、復旧、あるいは安全確保ということについては、あまり整備されていないような印象があります。しかし、土が崩れると大変ですので、民民でも、砂防法の法益が及ぶのではないかと感じるところもありますので、今までは公物に影響すると代執行ができると言ってきており、執行もしたことはあるんですが、民民の場合の代執行というのはあるのかどうか、研究が要るんです。おわかりいただけましたでしょうか。

関西テレビ:
 いつまでにこの調査を終えたいとお思いでしょうか。いつまで、亀裂が盛り土によるものなのか、そうでないのかという、ふわふわした状況がいつまで続くのでしょうか。

知事:
 現実的には、ずっと見ていかないといけないような感じがします。その亀裂が進行するかどうかも大きなことです。土の亀裂が、何の原因かというのは、往々にしてわからないので、診断で言えば経過観察みたいなことをずっと続けるということが一つあると思います。

 そのメカニズムは、少なくとも、土を盛ったから亀裂が起こったということは、すぐには決めつけられないという報告を受けています。だから原因探索をいつまでにといっても、わからないことを早く決めつけろとか、クレームがあるから決めつけろとおっしゃっているわけではもちろんないと思いますので、家が傾いたりすると大変なことになるということはわかりますので、それを行政が代執行で止められるかどうかということになります。

 もし、盛り土が亀裂の原因であったとすれば、これは民事訴訟になるんです。隣の無許可行為ですので、行政ができるのは、無許可についての行政罰しかないわけで、家が傾いた費用補償を国がするという法律はどこにもないわけです。だから行為の制限をしているわけなんです。奈良市月ヶ瀬もそうですけれども、崩れた場合は、今の法制では民事訴訟でその原因者に求償するということですので、これは弁護士さんも入っておられ、当然そのように仰っていると思いますが、行為者本人を見つけて、ここが崩れたら訴訟にする、ということが今の法的な関係だと見ています。

 だから、公法、行政がどのように介入できるのかということが一つの焦点です。砂防指定地の無許可行為ということは間違いなく行政罰の対象になりますので、地面の形状が変わったという、財産の損害を公が補うという法律は、今、憲法上もありませんので、民民の争いになる可能性が強いと思います。それはご理解していただいていると思いますけれども。

関西テレビ:
 やはり無許可ですので、そもそも盛り土を行わなければ当然亀裂は生じないと思うのですが。

知事:
 いや、そう決めつけられるかどうかというのは分からないので、すぐに決めつけないほうがいいですよと言っているわけです。少なくとも、県は盛り土しないと起こらなかったとはまだ決めつけていないということは明言しておきます。

関西テレビ:
 ただ、盛り土がなければ、そもそも亀裂とか、そういったこと自体は生じないわけで。

知事:
 いや、わからないんです。他の原因かもしれないと報告を受けていますので。

読売新聞:
 住民のクレームを受けて、今、調査しているということですが、クレームはもっと何年も前からあったと思うんですけれども、なぜ今、調査することになったんですか。

知事:
 ですから、クレームのその基本的な構造を、先ほど、説明していたわけです。クレームの相手が、本当は隣地の住民との紛争になるのが基本だということです。砂防指定地だから、砂防指定地内のその行為が影響があったかどうかというのは、住民のクレームについて、その原因が正しいかどうか、すぐにはわからないということが大きな原因だと思います。だから、住民のクレームがあったら、それはどういうことですかと対応するのが行政の責任でもありますが、しかし不公正にならないように対応しないと、法の精神が歪んでしまうといけないと思います。法の精神というのは、原因者に求償するとことが基本だと思います、
 それと、これは危ないんじゃないか、ちょっと調べて助けてくれと言われて、これは県がするのか市がするのかわからないですけれども、砂防指定地の管理は県の責任になっているので調査しましょうということになったと理解しています。

読売新聞:
 行為をした業者もいなくなっているので、生駒市とその辺りの調整などをしていて、今の時期になったということですか。何かこう、大分前からあったと思うのですが。

知事:
 私の印象では、砂防法による砂防指定地の行為制限と、隣地の亀裂の関係に、行政がどう介入すべきかという点に曖昧なところがあり、大きな原因があるんじゃないかと思っています。それが、隣が土を盛ったからうちの地面が割れた、というのが正しいのかどうかというところから、これは誰が判断するのかということも含めて、まだ体制ができ上がっていないんです。どちらかというと県が押っ取り刀で、それじゃ調べましょうか、と言って調べているというように見えるかもしれないし、実際、職員の意識もそうだったかもしれませんが、砂防法上の無許可の盛り土ではあったんです。もしその程度であったら、許可申請があれば、私有地に土を盛るということは許可していたかもしれない。すると、許可した結果そうなったのか、これは許可した責任者として調べなければいけません。今回の件は、無許可でしていたときの無許可行為の責任を県がとるのかどうかという判断にもなります。そのような法的なことが念頭にあって、現場で十分対応できなかったのかなと思っています。

 だから、砂防法の、砂防指定地におけるその行為の、例えば許可行為であっても、許可行為の条件を逸脱して切り取った、切り取り過ぎたときの行政介入、今回は無許可で土を盛ったときの行政介入の対応をどうするかが、まだ曖昧ではっきりしていないということです。しかも、罰則も今までかかっていなかったということですので、今度は罰則の条件を明確にするということです。これは技術基準で条件をしっかりするというのが大きな基本になると思います。条件違反であれば、その条件に違反して土を盛ったりしたら、それだけで行政罰はありますし、行政罰があるということは、隣地との民事訴訟にも影響があると思います。民民の土地の紛争という形態があらわれますと、それに行政が直接介入する道は、今までの法制上はなかったように思います。それを住民のクレームが心配だから、できるだけそれに対応したいと思いますけれども、その住民が望まれるような対応になるかどうかは、法制の体制をしっかりする中で対応していきたいと思います。

関西テレビ:
 何度もすみません。法のたてつけの悪さや、行政の介入の難しさというのも一定の理解はしているんですが、それでもクレームがある以上は、県民の生命や身体の危険性という観点から、県民を守るというのも行政の仕事ですので、そういった見地に立てば、どういうことをすべきなのかというのは自ずと、介入の難しさ等はあるとは思うんですけれども、見えてくるのかなと思うんですが、どうでしょうか。

知事:
 教えてください。自ずと見える、というのはすごくいい言葉ですが、自ずと見えないから困っているんです。今、砂防指定地の難しさを言っていますが、自ずと見えないから困るということが基本にあると思います。これは別に行政の不介入の言いわけではないんです。県民の心配に真摯に対応するのは大きな役割です。ではどう対応しようかと。極端に言えば、隣との紛争を皆、県に持ち込めば、自分にいいようにしてくれるかということはあり得ないですよね。法のたてつけの悪さもありますけれども、俺の財産が何かで壊れたのかという時に、助けてくれるのは行政だろうと言われても、そうはなっていないということなんです。

 災害のときにも、だんだん公の責任が拡大しているように思います。少し事例は違いますけれども、空き巣が、泥棒が入って、どうも隣の奴らしい。県が助けてあいつをしょっぴけといったところで、これは証拠がないといけないというのが原則です。今回の事例は、空き巣ではないですけど、無許可行為で隣が何かしたからうちの財産が壊れたという点について、原因者かどうかを特定するということを、今やっているんですね。クレームを解決するという役目はもちろんありますけども、仰るように解決できるかどうか、法のたてつけの悪さだけではもちろんないと思います。事例の複雑さというのも、砂防については特段あるように思います。

 法のたてつけと、その現実の認識の能力といいますか、技術基準をちゃんとするというのは、多少難しい分野だと思います。私どもは法の執行機関なんです。法を通じて県民の財産、生命を守るというのは大前提でありますので、法の要請しないことはできないという、逆の「市民の活動の自由」ということもありますので、大げさな言い方になっていますが、その現場をどうつくり上げるかというのが、今の法のたてつけ、法執行のたてつけという意識はとても鋭敏に持っております。自ずとわかると言われたら、いや、そうじゃないんですよ、ということぐらいは言っておきたいなと思います。

 ただ、誤解しないでいただきたいのは、じゃあ住民のクレームは無視するのかと、そんなことじゃありません。クレームはクレームでわかっていますが、どのように解決するのかという、法執行の立場としての方途がすぐに見つからないので悩んでいます、というのが正直な気持ちです。

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奈良市月ヶ瀬の違法な土砂掘削について

毎日新聞:
 先ほど月ヶ瀬の件で、専門家の方が現地に行っていただいたと仰いましたが、いつごろに行かれて、現地視察してどうだったのかということを詳しく伺いたいです。

担当課:
 専門家の方には、(前回の報告から)現地にはまだ行っていただいておりませんが、私ども職員が現場に行ってます。専門家の方には、5月の下旬か、6月の頭にもう一回見ていただくことになっています。

知事:
 前回の報告では、一度行ってもらって、その後も引き続き行ってもらうという予定を言いました。今の報告では間もなくということでありますので、その報告をまたしてもらいます。

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生駒市西松ヶ丘の違法な土砂盛土について

NHK:
 また生駒の話に戻ります。行為者がいない中で、行政がどこまで介入できるかという悩みはすごくよくわかるんですが、一方で現場の住民に話を聞くと、現場ではその亀裂がどんどん増えてきているとか、深くなっているとか、たまりかねた生駒市が、そこにブルーシートを被せてそれ以上侵食しないように緊急的な対応をしていって、もう住民は不安で、知事は安全かどうかがわからないと仰る。ならば、調査をもっと早くできなかったのかと。昨日住民に説明したところだと、ボーリング調査をします、伸縮計って亀裂の幅を計る装置をつけます、という話があったので、ならばその調査をもっと早く、この2年間の間でもっと早くできなかったのかと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか。

知事:
 その調査を早くすべきと仰るわけですが、住民のクレームですぐに動き出す児童虐待等は即効性を要しますが、今度の件では、心配ごとの原因の調査が土というので、大変難しかったと思うんです。何度も言いますけれども、民民の境界における土地の形状変化、しかも砂防指定地の形状、これが砂防指定地でないならば基本的に行政介入の余地がないんです。民民の話なんです。だから、砂防指定地の中で、うちの地面が隣の奴のせいで変わったから行政が出る、という原則はないということはもちろんご理解いただいていると思います。砂防指定地で、無許可で土を盛ったから、亀裂が発生する原因に決まっているじゃないかと仰ったけど、「決まっている」かどうかまだわからないから、まだ調査をしなくてはいけません。砂防指定地の土を盛ると、隣の地面の土が割れるというケースを、職員は余り経験していなかったので、そういうことがしばしば起こるんだとすれば、そもそも許可ができなかったでしょう。だから今回、住宅地のそばでこういうことが起こったので、住民の方がおられるので、余計深刻だと思っています。

 だから、今やり始めてもわからないことが多いんですが、昔からやっていればすぐにわかったか、というものでもないと思います。初動ということになりますが、亀裂が、どんどん急になって危なそうだということと、その原因者らしい者がいなくても何かしないといけない。そのときに誰がするのかというのは、まだ復旧にもなりませんが、民地の亀裂の予防の責任は誰になるのかということも、まだ法的に確立してないんです。だから調査責任も確立していなかったと思います。クレームがあれば調査ということになると思いますが、砂防指定地の中での行為制限と、その影響に対する対応というのが、正直でき上がっていなかったので、今度は作ろうと思います。それは責任関係、行政の責任が明確でなかったところにあるように思います。

 月ヶ瀬のような、許可を受けて、安全だからといって掘っていたら、今のところ法令では「指導」しかできないんです。条例があると、最初の条件をしっかりして、これ以上角度をつけてはいけない条件だったじゃないか、といってストップさせることができるようになると思います。想像ですが、生駒のケースで、旧法でしたら条件もつけられなかったので、自分の地面に盛り土するという、月ヶ瀬のような、面積の範囲だけの許可なら、許可があっても同じようなことが起こっていたかもしれない。だからその技術基準、安全にやるかどうかというのは難しいように思います。

 だから、調査に行かなかったのが、今となっては行ったほうが良かったと思うけれど、住民の方の心配に、解決に沿うような調査ができていたかどうかはわからないと思います。砂防指定地の中での行為が、民民の隣地への影響ということ、砂防法は曖昧な気がするんですけど、条例ができることでもありますので、技術基準を確立すると、勝手に土を盛ったり土を採ったりする行為は抑制されると思います。それを期待しています。

 今までは皆許可を出して、自分の地面を掘るのに、この期間、この面積の範囲で掘りますよというだけの許可だったんです。これはほとんど「お任せ許可」みたいな感じが、今となってはいたします。やっと、掘る対応についての条件をつけて、掘ってもらおうというようになってきました。とりわけ住宅地が傾斜地に、砂防指定地に建つようになったら、より大事な法の根拠になってきていると思います。

NHK:
 マニュアルの中で早めに告発するとか、無許可のケースであっても告発をして対応していくとか、そういうようなことも考えていかれるんでしょうか。

知事:
 そうですね、法違反であることが明白であります。今までは「許可」という行為自身が大変薄いものであったということを言っているわけです。月ヶ瀬のケースの告発の内容は、許可面積の外で掘ったということだけで、あれだけ深く掘ったのが、告発の対象にはなっていないんです。今の法規では、あれだけ角度を深く掘ったのが許可違反になっていないんです。それは不起訴になる可能性があるから、その部分では告発をしなかったと聞いています。昔、土をたくさん盛ったケースがあって、一度告発をして、しかし、土をたくさん盛るな、というのは許可の条件になっていなかったから、法執行の観点から違反じゃないということで、不起訴になったケースがあります。

 これは、そんなような反省で条例が強化された面もあると思うんですけれども、自分の敷地にこれだけ盛っても、そこまで盛ってはいけない、という条件が明確でなかった。しかも、その条件をつけるという条例にもなっていなかったというのが今までの歴史であります。だから月ヶ瀬のケースでも、これだけ掘ってはいけない、というのが条例違反になっていないということは、告発の対象にもなっていないと。これからは当然条件を、30度以上掘ってはいけないと、もし決めれば、それ以上掘ったら告発の対象になると。許可条件違反ですと、罰則もかかるし差し止めもできるようになると思います。それに沿ったマニュアルを作るということになると思います。

NHK:
 無許可で勝手にやっている業者がいたら、どうされるんですか。

知事:
 砂防指定地は許可を取らないと自分の地面を掘ることはできないので、今までの無許可行為の罰則は、今度初めてつくんだったか。

担当課:
 無許可では、今までも罰則はありました。

知事:
 今までもついていたと。だから、今度の生駒のケースは、無許可で砂防指定地で盛り土をしたと、それだけでも行政罰の対象にはなるわけです。そのときに、もちろん無許可で掘ってはいけないと、これは差し止めの、行政指導を超えた強制執行の対象にもなると思います。罰則を食らうと二度と同じような許可は出ないと思います。産業としてやっている方にはとてもリスクになると思いますので、しっかりと守られるはずであります。生駒のケースは、それが民事に関係する、月ヶ瀬の場合は隣の茶畑に関係するというのが、行政で取り締まりと民事との関係というのはまだ解決されておりませんけれども、マニュアルの中で詰められるところは詰めて、今のことを確立したいと思います。取り締まりについても確立、確認して励行させたいと思います。

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関西広域連合での議論の様子について

奈良新聞:
 19日に関西広域連合の委員会に久しぶりにご出席になられたと思いますけど、加入してからここまで関西広域連合を見て、議論の様子などは、どんな感じでしょうか。

知事:
 議論の最初のテーマを挙げてご報告したいと思いますが、地方創生推進交付金が関西広域連合におりないというクレームを言おうというテーマでした。おりない理由は、関西広域連合がこの交付金について一人前の地方公共団体と認められていないということになっているわけですけれども、これは内閣府の判断。

 これは基本的な広域連合の権限の限界ということが出てきているということです。それを乗り越えるかどうか、あるいは今は交付金の受け皿の話ですけれども、権限の受け皿になるといってスタートして今も頑張っておられる。これは権限の受け皿は明確に法律で確立しなければいけないが、国に拒否された形になっている。県や市町村に出す交付金について、かわりに広域連合が事業をやるよといったようなのは、広域連合は基本的に「持ち込み連合」ですので、これは県が広域連合に仕事を預けるからというので、それなら仕事を預けてもらったのは自分でするよと、こういうことなんです。井戸連合長は、仕事を預けたので元のところに権限がなくなっているよ、仕事がなくなっているからと、こう仰るんですけれども、実は仕事がなくなっていない。一部広域連合でやってもいいよと、うちもやるからというのが、実は「連携」みたいな関係なんです。「持ち寄り」というのは、みんな預けますよということで、これは「連合」と「連携」の曖昧なところ。井戸連合長は、もとのところに仕事の場がなくなっているから、それが連合というものだと、こう仰っているけど、そうはなっておらず、基本的なところでまだ問題があるんだな、という印象を最初の議論で受けました。まだ路線問題が残っている中で、連携の事業をどんどん進めようということだと印象を受けました。

 国の予算をもらって、広域連合で配分するよと、配分権があるよと、災害のときも配分権をもらおうという動きがあったけれども、それは市町村、全国市長会から大反対されて潰れたわけです。広域連合に交付金を出すとなると、広域連合自身が行政主体として「広域連合事業」というのがあるのかどうか。地方創生は、できるだけ現場に渡そうということです。広域連合に渡すと配分するだけではないかというのが内閣府の見方だと思います。やっぱり現場に交付金を直接出したほうがいいと思うんですけれども、そのような議論がまだ続いていたというのがエピソードでもありますし、本質的な広域連合内の議論であります。 

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東京都知事のお金にまつわる問題について

NHK:
 東京都の話ですが、東京都知事がお金にまつわる問題で非常に報道されていて、公用車の使い方とか海外出張費の使い方とか、そのあたりは知事はご自身と照らし合わせた上でどのように見ていらっしゃいますか。

知事:
 舛添さんはよく知っている方でありますが、私が舛添さん個人のことについて言う立場にはないと思います。同じ知事でありますので、照らし合わせての印象というお問い合わせであると思いますが、「人のふり見て我がふり直せ」という言葉がある。我がふりを直す必要があるのかどうかという点であります。人のふりは参考になりますので。今、舛添さんの問題、舛添さんの資質が問題になっているのを我がふりに振りかえて思いますのは、「公用車の使い方」の公務、政務を分ける。公務、政務と、政務の延長で「私用」というのに分けるかどうか、というのが一つの課題。それから、「助成金」といいますか、参議院の話でありますと政党助成金が入っていますので、それの公用と私用の使い分けというのがあろうかと思います。それと、「海外出張の豪華さ」という3つが問題になっているのかなと、考えています。もっと他にもあるかもしれませんが。

 我がふりという面でありますと、もちろん気をつけて行動しなければいけないと思っております。公用車の公務、政務、私用を分けるというのは、うちの秘書課は厳密にやってくれております。私もこれは政務なのか公務なのかということで判断をしておりますので、政務の場合になると、例えば県政報告会の送り迎えは私の事務所の職員が送ってくれることになっております。

 それから、支出の公用、私用というのは、参議院時代から公用、私用は私の意識では厳格にやろうと執行してきておりました。役人上がりですので、公用、私用を厳格にしないと、逆に公用らしいものを私費の給料から出すことが参議院のときはたくさんありました。文句は言えないんですが、議連の会費は500円とか300円とか、給料から差し引かれるんですけれども、議連は私的な活動か、公的な活動か、とふと思ったことがあります。何十とか入りますと、給料の手取りがなくなってしまうなと、こぼしていた先生がおられるんですけれども、なくなりはしませんが、随分減るなと。これはしかし、給料から差し引くということになっておりましたので、逆に給料から議連の入会というのは私用といえば私用という認識なんだなと思ったりしたことがありました。このように、私用と公用を厳格に区別するということは、参議院時代から励行してきたつもりであります。

 それから、海外出張は、県でも何回か行きました。特に平城遷都1300年を記念して設立しました東アジア地方政府会合の誘致には割と行きました。あるいは知事会からEUの会議に出ろと言われ、費用は知事会が出したり、去年ではオーストラリアの国立大学から講演に来てくれというので講演に行って、これも旅費は向こうが出してくれました。オーストラリアは、随行という形で職員がついてこられたんですけど、まあ、知事がちゃんと帰ってこれなきゃいけないというので、一人来てくれたんだと思います。ただ、海外出張のイメージは、私はもう一人で行けるんだからと、行動パターンは一人でできる。昔ほどはできないかもしれませんが、ちゃんとかばん下げて飛行機に乗れるんだからという意識で、そんなエピソードになりますけど。

 私の出張に多少人数がついてこられる時で、私の出張と一緒に向こうと折衝があるときは、担当が行くので私のためについてきているのか、自分の仕事のために同時出張しているだけなのかと、私自身は思うようなことであります。だから、我がふり、我が身に省みてと仰いましたので、我が身に省みてその3つについてはそのように心得ております。それが間違いじゃないと思いますので、舛添さんをそれでどうこうと言うつもりはありせんが、私のケースでは大事な点と思って、励行に努めてきておるつもりでございます。

NHK:
 念のためですけど、フライトがファーストだったり、ホテルがスイートだったり、そういうことはないということですね。

知事:
 残念ながらないですね。ビジネスクラスも今はよくなっているのでありがたいですね。エコノミーだと横になれないからやっぱりしんどいと思うんですけれども、ビジネスは楽ですね。オーストラリアに行った時は9時間か10時間飛びましたので、フラットのほうがありがたい。それはビジネスで確保できますので、もう正直十分ですね。職員はエコノミーで後ろのほうにおります。外国に行くと、空港のVIP室もなかなか使えないケースがあるんですけれども、カフェラウンジで座っているんだけど、ファイナルコールを聞き逃さないように、職員がいると助かるといえば助かるんですが。しかし、まだ一人でも出張はできると思っていますが、そのほうが気楽で行けますので。

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国道168号線通行止めの広域迂回路について

毎日放送:
 さっきの十津川の話に戻るんですけれども、広域迂回路を2パターン設定されていると思うんです。龍神スカイラインを通るルートと、国道169号を通るルートがあると思うんですけど、これは何か意味があるんですか。

知事:
 迂回路です。 遠いですね。前の紀伊半島大水害も大分広域迂回路になりました。だから、龍神スカイラインは景色はいいんだけれども、すごく遠いんです。しかし、ないよりは本当にあったほうがいい。169号のほうが使えたら強靱なんですけれども、425号だったか、横に走るルートが弱いんです。これを425号だったか、強化するというのもなかなか至難のわざですので、今、迂回路の強化は、2車線をなかなか確保できないので、1.5車線とか、迂回路でも崩落の危険があるので道路をもう少しずらして土が降りてこない、これはまた工事が要るんですけけれども、安全な道路をつくれないかと思っております。トンネルとか大きな橋梁はいいんですけれども、迂回路の小さな工事でちょっと崩落があり、道路の上に土があると、通行止めで除去しなきゃいけない。それでも道路を通行していた人に人身事故が起こらないようにということは、できたら確保したいなと思っております。道路を土の落ちるところからずらせないかというようなことをしているんだけど、ずらすにしてもなかなか大変です。

 川上の迫のように道路を外に移して、崩落しても川に土が落ちる、というようなことが随所にできれば、とりわけいいことになるんですけれども、崩落するのは、出ているところでもありますが、窪地になっているところは水がたまって落ちてくる。すると窪地のところはこちらに橋を渡すと、窪地の中はストンと下まで突き抜けるような道路づくりができないかというような、ちょっと多少夢みたいなことを言っているんですが、迫のようなケースで、そういうことを言っていると随所にそういう安全道路が小さな区間でもでき上がっていって、迂回路も安全度が増すということを、強く希望しております。一朝一夕にいかないですけれども、積み重ねで安全な強靱な道路づくりというのは、大きな課題であります。口だけではだめなので、一つ一つだと思います。だんだんよくなってきていることは確かです。168号ももう少しだと思っています。新天辻トンネルができると随分違うなと思っていますが、まだ事業化の一歩、二歩手前です。

司会:
 ほかにご質問ございませんでしょうか。
 幹事社さん、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、以上をもちまして知事定例記者会見を終わらせていただきます。皆さん、どうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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