平成28年12月27日(火)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、平成28年の県政の主な出来事をまず知事から発表していただきまして、続きまして、今年の漢字を発表していただきます。それでは、知事、よろしくお願いいたします。


案件:「平成28年県政の主な出来事」

知事:
 今日が今年最後の記者会見です。恒例ですが県政の主な出来事を、なかなか客観的に主な出来事というのは難しいですが、主観的なことですが、県政を担っている者として、今までと違って今年はこのようなことがあったと、それは大きな出来事だと、県の立場から思うようなことを並べてみたところです。事項がいろいろありますが、同じ性質のものをまとめさせていただき、最終的に10個にまとめました。

 簡単にご説明いたしますが、1つ目は、県がいろいろつくってまいりました県営レストラン、あるいは公設民営のようなレストランで、ミシュランの星が今年はたくさんとれました。「オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井」は、オーベルジュとレストラン、一つずついただきましたし、甍~I・RA・KA~の奈良公園の中の「リストランテ オルケストラータ」も開業したばかりですが星をいただきました。また、東京のアンテナショップ・レストラン「ときのもり」でも、東京のミシュランをいただきました。地方が東京に出しておりますレストランで星がついたのは、これが初めてのケースで、まだ唯一であります。

 それから、2つ目は、奈良は夏枯れ・冬枯れの観光地ですので、オフシーズンのイベントで盛り返すことをしておりましたが、奈良大立山まつり、あるいはムジークフェストのファミリーコンサートなどでたくさんの人が来られました。一番たくさん来られたという点では、平城京天平祭で、同じ日にブルーインパルスが来た時の8万人というのが一番大きいですけれども、祭りだけに来られたわけではなかったので、今年の主な出来事のなかには入れておりません。

 それから、長年努力してきて実ったのは、県営プール跡地に、JWマリオットの初進出を決めていただいたということです。

 それから、道路の開通がいろいろありましたので、それぞれは3キロ、4キロの道路ですが、とりわけ国道168号で続々開通いたしましたので、そのようなことを書いております。農道も開通いたしました。また、事業化の決定もありました。大変うれしいことですので、主な出来事としてまとめて挙げました。

 それから、医療施設の整備が、建設中のものもありますが、開院いたしましたのが南和の南奈良総合医療センターです。開院後の成績は大変好調に進んでおります。それから、同じように大きな拠点になります医大のE棟が全面供用開始になりましたので、病院施設の整備が進んできたのが今年の大きなことだと思います。

 それから、天皇皇后両陛下がご来県されました。これも奈良ならではの、我々にとりましては大変大きな出来事でございました。

 それから、奈良にとりましてうれしいことは、オリンピックで金メダリストが2人出られたということが大きなことでございました。

 大宮通りの起工式ということも特記しております。大宮通りでは、いろいろな事業展開をしておりますが、バスターミナルと朱雀大路西側地区の交流拠点の起工式が済みまして、工事が始まっております。

 それから、国際交流の面でサマースクール、東アジア地方政府会合、回を重ねておりますが、今年はスイスのベルンのリース林業教育センターと覚書を締結いたしました。新しい展開になったと思います。紀伊半島のフォレスト・アカデミーをつくるという構想のもとでの協力関係の構築です。

 それから、今年良くなった指標がいろいろございます。ここに書かれているほかにも、出生率が上がったことも大変大きかったです。とてもうれしかったです。

 それから、工場立地件数が非常に上がってきました。

 それから、うれしかったのは、障害者雇用率が1位に、しかも2位以下と大きな差で1位になりましたので、これは山口県と違って、大きな会社がこのようなまとめて障害者雇用されているのではなく、奈良の場合は小さな授産所などが障害者を雇用していただいて、これは地域でとてもうれしいことだと思っておりましたが、1位になったということで、本当にうれしいことです。

 それから、教育委員会で、なかなか成績が上がらないのですが、体力が全国17位で本県にとっては過去最高になりました。まだ不満ではありますが、主な出来事に入れさせていただきました。また下がらないように願っています。

 以上が今年の、大変主観的ですが、県から見た、うれしかったことというテーマになります。

 他には、いろいろと報道されました月ヶ瀬とか、虐待とかもありましたが、災害が起こらなかったのはありがたいことであります。これはニュースにはなりませんが、災害が、熊本など、いろいろありましたが、奈良県に起きなかったのはありがたいことだと思って自然の神様に感謝をしております。社会的な事件の報道については、これは出来事というより報道でされたということで、私どもの出来事のランクには入れておりません。

 今年の主な出来事は以上です。

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案件:「今年の漢字」

知事: 
 続きまして、今年の漢字ということですが、これも主観的であります。客観的に今年はこういう漢字で言いあらわすべきだとかはあると思いますが、よく世相が反映されているというよりも、この1字に頼って仕事をしてきたという、大変主観的な漢字を出しました。(今年の漢字:「学」と書かれた色紙を提示)
 それはこのような漢字ですが、いろんなことを、主な出来事もそうですが、県政は小さなことを積み重ねて前へ進みます。小さな見落としがあっても、大事なことですので、その小さなことを改善する、あるいは前へ進むということは、学ぶことからしかなかなか進まないと私は思っております。今年は特に「学ぶ」ということが実を結んだように思いますが、その「学ぶ」という気持ちで1年やってきたように振り返って思います。大変主観的な字ですけれども、「学ぶ」という漢字を挙げさせていただきました。また来年もこのような気持ちで仕事をしたいと思っております。以上です。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、県政の主な出来事と、今年の漢字につきましてのご質問をお願いいたします。

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質疑応答

「今年の漢字」『学』について

奈良テレビ:
 知事、もう一度今年の漢字を出していただいた状態でお聞きしたいんですけれども、その「学ぶ」というのは、県政からどういうことを学んで、またご自身学ばれて県政にどう生かされたのか、もう少し具体的に教えていただきたいんですが。

知事:
 そうですね、県政を担わさせていただいている者にとりまして、いろんな事例が奈良県で発生する場合もありますし、他県で発生している場合もありますし、遠く外国で発生している場合もありますが、なぜそういうことが起こるんだろうか、未来に発生することが多少前もって伝わってきているんじゃないかということも、「学ぶ」姿勢がないと感じられませんので、もし悪いことであれば予防しようということになりますし、いいことは勝手に起こるわけはないと思って、いいことを積み上げるには努力をしなければいけない。どのように積み上げるかというのは、先行者から「学ぶ」というのが基本的な姿勢であります。

 よく県庁で言っているのは、ベンチマークをして先進県に学ぼうということです。奈良県が全てでトップランナーであるわけではありません。ラストランナーの場合もありますし、ミドルで走っているランナーの場合もあります。いずれにしても、トップランナーから学んでそれを県政に反映させるということが基本的な姿勢であります。パクリと言われることになるかもしれませんが、学んでこの地域に実行することは、私どもの立場からすれば、それは特許法違反にはならないです。他県で行われているいいことについては、情報がたくさん出ておりますので、よく調べながら、あるいは、外国も含めて学びに行ってくれています。

 先ほどのスイスのフォレスター養成学校であるリース林業教育センターにも学びに行って、同じようなことを紀伊半島でできないか。あるいはパリのランジスという市場に学びに行って、奈良の市場でできないか。まだうまく進みませんが、錦織さんが出たIMGというテニススクールに奈良県の職員が行って、奈良でテニスアカデミーができないか、スポーツアカデミーができないかということを職員が展開してくれています。また、民間の人と一緒に東京に売り込みに行くとか、エキスポに展示するというのは、競争相手がその場所にいますので、学ぶことがすごく多いです。民間に学ぶことがすごく多い。奈良はそうやって展開して、外で競争して、学びながらでも競争しようという気風が、僣越ですが、今までの奈良県は多少低いかなと思ってきましたので、率先して学ぼうという姿勢をとってきました。県も学ばなければいけない。県が優れていて民間が低いというわけでももちろんないわけでありますけれども、県が率先して他の地域に学ぼう、優れた人に学ぼうということでやってきました。

 すると、いろんな点でランクが上がってきたり、多少ユニークで先進的な、先駆的な取組だということで注目されるようになってきました。不思議なことであります。遅れていると思って学んでいたら、奈良県は先駆的な取組だと言われる面も出てきました。思い出すのは、地方行政の中で、奈良モデルは大変先駆的な取り組みですということで総務省で講演させていただいたり、最近では、総理直轄の未来投資会議で、奈良のPPPとかPFIのやり方は他にないおもしろい取組だと言っていただきました。私が知事になったときは全くそんなことはやっていなかったんですが、財政の投資が少なくて、民間活力を導入して地域が活性化するのではないかと思って、東京の養徳学舎のPFIから、県営プールの移転でもやってきましたが、全てうまくいってきましたので、それが注目されて、今度は少年刑務所のPFIに利用できないかということが、中央での大きなシンボル・プロジェクトになってきているので、プレゼンをしてきました。目を見張るような大きな成果ではありませんけれども、そうして学ぶことから前へ進んで、先駆的な取組だと注目されるようになってきたのかなという印象はございます。学ぼう学ぼうと思っていたのが、そういう教える立場になってきたのかなという思いもございます。それで、一番心にとまっている字として、大変主観的ですけれども、この字を挙げさせていただきました。

奈良テレビ:
 ありがとうございます。

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「平成28年県政の主な出来事」について

NHK:
 県政の主な出来事を10個挙げていただいているんですが、一番目に来ているものは、一番感慨深かったとか、そういう意味なんですか。

知事:
 ランクや順番、主観的なランクもあるのかということのご質問でもあると思いますが、正直あんまりないです。主観的でもいいから順位をつけたらどうか、と言われたらつけられないわけではないと思いますが、先ほど申しましたように、一つ一つの積み上げで、まとまって見ると「主な」という形容ができるような成果があったようにも思うので、このように10個にまとめました。主観的でうれしかったというような意味でもし勝手にご質問を解釈して、何が一番「主な出来事」かどうかは、県民の皆さんにとってそれぞれ関係ないこともおありになると思うんです。

 だから県政にとって何が一番うれしかったかと言われ、そういうご質問の趣旨だと仮に解釈いたしますと、3番(JWマリオットの進出)が一番うれしかったです。長年いろいろ苦労してきたという、苦労という私の立場から言う言葉じゃありませんけれども、努力をしてきて、このような形で実ったのはうれしかったなと思います。

 それから、別の意味で、うれしかったというか、ありがたかったと思いますのは、6番ですね。両陛下が、神武天皇の2600年の山陵の儀で、2600年の大遠忌は奈良県しかそういうことがありませんので、これは奈良ならではの出来事と思います。マリオットとは、またちょっと違うように思います。

 もう一つだけ続けますと、10番ですね。指標ランキングの工場立地件数がこんな上位に、半期だけですが、とにかくうれしかったのと、障害者雇用率がうれしかったのと、出生率が上がったのがとてもうれしかったです。

 主観的な喜びの順番ということであれば、そういうことであります。

NHK:
 1番目にミシュランが来てますが、これは思い浮かんだのが最初という意味ではないんですか。

知事:
 この順番の並べ方は、事務的に、元にあった資料が1月から順番に並んでいて、例えばときのもりの開業が1月7日で資料の一番先に並んでいましたので、ときのもり関連は1番になってしまったというのがこの並び方の事情であります。したがってこの主な出来事の順番は余り意味がございません。普通は1月から順番に出来事を並べることが多いんですけれども、ちょっと幾つか重なっていますので、ときのもりが1月7日に開業したということは、元の資料の中のトップに来ていたので、ときのもり関連だったら星がついたということで他もまとめると、10月にはオーベルジュ(オーベルジュ・ド・ぷれざんす桜井)にも星がついた、オルケストラータもついたので、一つにしようと。ときのもりが1月だったので、たまたまトップバッターになったという事情であります。

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今年の全国の世相を振り返っての感想

奈良テレビ:
 知事、県政はもちろんなんですが、今年一年の世相を振り返っていかがでしょうか。

知事:
 そうですね、奈良県から、日本の出来事で熊本や、火事とかというものを上げるのは僣越だと思いますが、その他で、日本全体で、何が大きかったのかということでありましたら、オリンピック・パラリンピックで日本選手が大活躍されたのがとても印象的ですね。特に東京オリンピックが次に控えていますので、リオデジャネイロのオリンピックというのは海外で行われたイベントで、日本選手が特に活躍したので、とても印象的であります。

 それから、もう少し広く日本に影響があるという関係でいえば、国際関係、トランプさんが勝ったとか、イギリスがEUを離脱したとか、皆そういう観点、大きな出来事で述べられていますけれども、英文の「エコノミスト」を時々見ますとトランプさん、何号も何号も悪玉扱いだったんです。欧米のメジャーといいますか、クオリティーペーパーにとってもすごく悪玉扱いだったんですけれども、それが当選しちゃったから、個人的にはそういう意味のショックがあります。トランプなんかになったら世の中もう地獄に落ちるぞみたいな言葉で書いてあった。どのように書いてあるか興味があって、そういう記事を読んでたぐらいなんですが、だから欧米の論調の雰囲気が少し陰るというぐらいなんですが、それと日本のマスコミの方がトランプを追い、欧米の論調の焼き写しみたいな論調が日本に入ってくるもんだから、もとの論調を読むと、どうして入ってきてるのかよくわかる面もあります。しかし欧米の記事ははっきりと、こうだこうだと理由を立てて言われます。多少、アメリカの大統領選は注目していましたので見ていたら、とてもひどく書いてあったのが印象的で、ころっと変わってしまったので、しかし民主主義だから、別にクオリティーペーパーがすごいことを言っててもどうってことないような感じでありますので、政治っていうのはそういうものなのかなというふうに思いました。

 それと、政治と選挙のマスコミとの関係というのは、アメリカなんかはそんなふうに割り切られているのかなと思いました。また後、余波があるみたいですが、それがどのように民主主義の国で進むのかなという感じもします。身近ではありませんけれども、アメリカの大統領選は印象的でありました。

 日本での印象的な出来事は、何かすぐに思い出さないです。

奈良テレビ:
 SMAPの解散はどうですか。

知事:
 SMAP、とても知識が薄いです。スマホのニュースを時々見るんです。そこにエンタメ、主要ニュース、速報ニュース、国内、政治、経済等があって、エンタメって書いてあるところをざっと見ても正直知らない人ばかり。少し世代が古くて申しわけありません。嵐もあんまり知らないです。さだまさしさんとか、あのような方とおつき合いがあります。奈良に来られた方のおつき合いですが少し世代が古いですね。

司会:
 それでは、ほかの質問につきましてもよろしくお願いいたします。

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ホテル誘致に関するこれまでの成果と、観光施策を含めた来年の意気込みについて

奈良新聞:
 先ほど、1番目にJWマリオットの進出を上げられていて、今年1年間、星野リゾートの進出や、12月に吉城園と高畑町裁判所跡地のホテル誘致の公募に入ったんですが、振り返ってみてこれまでの成果と、来年公募が始まって民間投資が始まるんですが、そのことに対する意気込みと、観光に対する意欲を教えていただければと思います。

知事:
 JWマリオットの誘致には少し時間がかかって、努力はしましたが、JWマリオットが来たということで、投資のマーケットとしてすごく注目が上がったような感じがいたします。その後、いろんな引き合いが民間の投資方面の方からありました。それで、その波に押されるような形で、適地ということで従来から考えていた、とりわけ県有地が中心になります。民有地、市有地もあるんですが、他人の土地をあっせんするというところまで県の仕事としてはリーチが伸びていませんので、県有地を中心にホテルに適したところは募集するフレームをつくってまいりまして、年内に募集にこぎつけられたという思いであります。

 JWマリオットの影響で、雰囲気のいい、今までも言ってきましたけれども、グレードの高いホテルのほうが環境維持にとても熱心だし、力もあるんです。そういうことでブランド力を維持されている面がありますので、そういうブランドのあるホテルがいいと思います。環境維持に力を発揮していただける、また国際的なマーケット力もあるホテルがいいと思います。そのような募集にこぎつけることができました。

 東京で未来投資会議に行ってまいりましたが、そのときに奈良で注目されたのは少年刑務所です。あれは文化財として認定をして、法務省が保存しながらホテルの誘致をするというので、奈良県に対して、また奈良市に対して協力を求められております。奈良県にとりましては周りの環境、周りの住宅地との折り合いをどうするかという、環境整備の配慮が役割かと思いますし、また、今度の吉城園や高畑の事業者募集でいろんな投資家が出てこられたときに、複数の事業者があぶれることになれば、適切な事業者さんがおられたら少年刑務所のほうにもあっせんをするといいますか、関心を向けていただくという役割が今の時期にあるように思います。そのようなことはしたいと思います。

 また、猿沢池の周辺とか市有地があるところもホテルの対象に、ならまちのにぎわいというのは、随分グレードが上がってきておりますので、そのようなところにも観光地としてのたたずまいを向けたいと思います。昔は奈良の観光事業者の方が、商工会議所に依拠して新規ホテル事業者を排斥された歴史があります。そういうことは繰り返してはいけない。東京の未来投資会議で、三村さんという日本商工会議所の会頭が向こうのヒアリングの主催だった。商工会議所は邪魔しなかったですかって、いや、昔は邪魔しましたということを、昔のことなので差し支えないなと思ってそのようなことも言ってしまいましたが、だからホテルの質、量とも大変低いレベルになっていると思います。そういうことはあってはいけないと今は思っていますので、環境を維持しながら、グレードの高いホテルが来れば、奈良は観光地として本当に立派になるなと思いますし、またそうなることを願っています。

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北陸新幹線延伸について

時事通信:
 話は変わるんですが、北陸新幹線の延伸についてお伺いしたいと思いますが、四国や、よその県にこの方向を理解してもらうための働きかけをしたいとお考えのようですが。

知事:
 これからです。特に北陸新幹線の南下ということで出しましたが、一つはリニアを北に上げるのは愚策だと思います。リダンダンシーの観点と結節性の観点です。結節性というのは、違うフィールドの、フィーダーと言われる線路と結節するほうがいいということです。それは幹の幹線の栄養にもなりますから、枝と結節するのがいいと思いますので、奈良市附近のリニアまで北陸新幹線が、北からいえば下りてくる。逆に言えば、関西国際空港の国内二次輸送ということになりますが、関西国際空港から奈良のほうに入って、この前も言うように五條あたりから北上して、奈良市付近でリニアに接続する。関西国際空港から見ると、関西国際空港がリニアに接続するということはとても大きなことでありますので、それが北陸にも行く。南から見てみるととても意味がある線路のように思います。

 だから関西国際空港の、コンセッションになりましたが、民活というようなことで空港経営をされていますが、その鉄道もどんな経営方式になるか勉強して、来年の要求までに奈良県の考え方をまとめて、一緒に運動できるような体制が組めたらと思っています。来年の予算要求まで、来年の前半できるだけ早いうちに奈良県の構想をまとめて打ち出して、仲間ができる可能性もありますので、できたらと思っています。それは四国に仲間ができるかもしれないし、和歌山にもできるかもしれないということであります。

 逆に北陸からは、自民党の会議で北陸の先生は、南へ下りて関西国際空港と接続するのは大歓迎だとおっしゃいましたので、関西国際空港接続になると北陸に味方ができるかもしれないし、リニアの、東京は別に関西国際空港から東京に行かなくてもいいわけですが、中央アルプス、南アルプスの方面では、関西国際空港で降りた人が奈良市附近で乗りかえて中部山岳地帯に行くという旅行のケースも考えられます。

 日本は、空港に高速鉄道が入っていない珍しい国です。ヨーロッパはみんな入って、シャルル・ド・ゴールにも入っていますし、中国でも入っています。日本ではこんなに高速鉄道が発達しているのに、大きな空港もあるのに結節性がない。

 JR自身は、その目が、大きな流動が東京、大阪にありますので、そこが大変鉄道としては効率的なんです。空港までアクセスしなくてもそれが大変効率的なんですが、高速鉄道が空港に入れば、すごく違うタイプのお客さんがその高速鉄道に乗ってこられます。

 新幹線で今、ジャパン・レールかな、あれで売っているのは、のぞみは除外されて、のぞみは日本のビジネスマン中心でいっぱいになります。ひかりに乗られ、帰ってくるのにひかりに乗って名古屋まで来て、亀山で降りて、亀山はリニア通過の候補になっているので、亀山城址を見て、次、リニアが行くのはこちら(奈良市附近)だといって指さして、亀山城神社に祈願してきました。

 東海道があそこまで、亀山宿というとこに来て、ひかりに乗ると中国の旅行者の方が随分多い。いずれ中国の旅行者は空港にたどり着かなきゃいけないから、ひかりに乗って京都に行かれてバスで関空に行かれるか、大阪に行かれて泊まって関空に行かれるか、関空直行じゃないと思うんですけどね。いずれにしても空港に新幹線が乗り入れることになればね、インバウンドの人の行動パターンがすごく便利になることは間違いないですね。日本の高速交通体系というのはすばらしいところがありますので、日本の田舎がすごくアクセスが開けてくる。アクセスのいい大都市のアミューズメントに行かれる傾向が強いですけど、メーンの観光デスティネーションから分散させるというのが大きな観光政策の課題ですので、インバウンドから高速交通ネットワークで地方に行かれると。

 例えば関空におりて、小布施に行くんだとか長野に行くんだと、善光寺に行くんだというのはなかなか大変です。中部のアルプスの山を歩きたいと言われる方はなかなか大変です。スイスの山はとてもアクセスがいいから、あんなにスイスアルプスは愛される観光デスティネーションになっている。日本アルプスも、いいアクセスがあれば、日本アルプスは飛行場が近くにつくれませんけれども、港湾の東京湾とか伊勢湾にある空港から、高速鉄道で日本アルプスの麓に行って、一日で日本アルプスを。日本アルプスはアジアでは有力な山岳リゾートだと思います。温泉がそれにプラスになります。日本アルプスへ行かれる途中で寄り道して奈良も観光していただくという、「ついで観光」というのも大きなマーケットでありますので、サブメーンのデスティネーションに奈良がなっても、関空から新幹線が来てリニア接続の結節性があれば、全然違う観光地として発達すると私は思います。

時事通信:
 すみません、先ほど経営方式という言い方をされましたが、関西国際空港の経営方式によって、その入れ方を研究しなければいけないということですか。

知事:
 経営と言いましたか。新幹線はJRがするということに必ずしもなくて、もう少し違うコンセッションのようなものも考えられると思いますので、それも含めて知恵を出せたらと思います。まだ具体的に述べるほどの固まったアイデアになっておりません。

時事通信:
 知事が自民党、与党のその検討会で示された地図によると、大阪と関西国際空港を点線で結んでおられたと思うのですが。

知事:
 あれは奈良のプロジェクトではなく、大阪から関西国際空港に行く構想もありますので、北のほうも描いてますので、舞鶴とか小浜も北のほうは描いていますので、参考に描きました。それにプラス、こちらの上のほうはどうなるかわかりませんが、大阪-関西国際空港というのもアイデアとしてありますので、それに奈良県が直接タッチすることはありませんが、奈良県としては、関西国際空港から奈良市附近へのリニア接続、京都で北陸新幹線接続というのは奈良を通るプロジェクトですので、それについての要望はしたいと思います。その他については、京都から北回り、南回りというのもまだこれからですので、精華町から生駒経由は線路が通るだけで負担が大きいのでお断りしますと申しましたけれども、横に行くなら南へ下りていただきたいということを自民党の会議で言いましたので、それをもう少し具体的なアイデアを詰めて陳情の対象にしたいと思います。

時事通信:
 ありがとうございます。

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関西広域連合内の動きについて

奈良新聞:
 関西広域連合の話をお聞きしたいんですけれども、最近、「丸ごと移管」の話を、関西広域連合の第3期広域計画の中の文案から外すようなことになったのですか。

知事:
 ああ、そうですか。

奈良新聞:
 そんな報道があったような気がします。

知事:
 私自身はまだ確認してません。

奈良新聞:
 まだですか。それとその関連で、防災庁を広域連合で要望するかという話についてはどうでしょうか。

知事:
 国の移管。

奈良新聞:
 はい、防災庁という話が出ていたかと思います。県は防災分野のほうでは広域連合に入っていますし、その辺で何かお聞きになっておられることがあったら教えてください。

知事:
 国に防災庁はないんです。非常事態省というような組織が各国にあるんです。アメリカにも10年ほど前にできたんです。ロシアにもあります。非常事態省というのは、例えばサイバー攻撃や、安全保障にかかわることになればそういうところがやることが多いんですが、これは、国のほうで、内閣の危機管理が大変弱いと思っていました。危機管理監というグループが最近できましたが、大臣が仕切る非常事態省というのは、防災担当大臣という方がおられるんですけど、防災の担当がいろいろ分かれていますので、それをまとめて防災担当大臣にして、阪神の大震災のときは防災担当大臣は今年亡くなられた小里貞利さんがなられて、大臣としてお役目を果たされたことがあります。しかし、行政組織として防災庁的なものはまだないんです。だから防災庁ということでも、非常事態省ということでも、あったほうがいいかと思ってました。しかし、それは国の話ですので、国がまだつくっていないものを近畿で置いてはどうかということですか。

奈良新聞:
 いや、関西広域連合として要望するのかどうかという話です。

知事:
 国の組織の要望ということですね。まだできてないです。復興庁というのはできた。その都度、人が集まって復興庁ができたり、熊本の組織ができたりという、それに担当大臣を置くということが日本の流儀です。それを恒常的なものにするというアイデアだと思いますけれども、防災というのは自然災害ですから、いつ起こるかわからないので、起こったときはすごく業務がふえます。日ごろは危機管理を専らするような所と、防災と、どう結びつけるのかなと思います。

 国の組織になりますので、僕は非常事態省みたいなものがいいかと思いますけれども、それに防災の機能も入れて、奈良県では危機管理監という組織があります。これは自然災害もあるし、何か大きな危機管理があれば、危機管理組織を発動するということになるわけです。国の危機管理監だけでは「細い」ということかもしれませんけれども、防災庁構想については、まだよく知りません。

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鳥インフルエンザに対する県の対応について

共同通信:
 鳥インフルの関係で伺いたいんですが、先週、京都でも陽性が確認されておりますし、きのう熊本のほうでも出ました。現在の奈良県の対応を教えていただいてもよろしいですか。

知事:
 はい、用心しています。何年か前に奈良も鳥インフルに感染しました。五條の鶏舎が感染して、郡山の家畜保健所の女性が獅子奮迅の活躍だった。それが初めてのことでありましたが、今年も用心してもらっています。日本全体も一気に感染するのではなく、多分、冬になると渡り鳥が来て、病原菌のついた糞を落として、散らばって感染すると思いますので、そういう外界との遮断ということがとても大きなことだと思います。しかし、その飛来する鳥はどこでも飛来する可能性がありますので、今、発生しているところも、鳥が気まぐれに行ったところで感染が広がるというようなことだと思います。

 もう少し具体的に発生予防策というご質問ですので、今、注意喚起と言いましたが、鳥などの飼育者、県内に99戸いらっしゃいます。その方たちの防疫指導、もし見つかったときはそこで止めるということが次のステップですので、その注意喚起を行っています。また、飼育者99戸ですが、100羽以上飼育されている農家が56戸あります。立入検査や消毒薬の配布などをして、臨戦態勢的な予防対策をしております。早期に、見つかったらそこでもう閉じ込めるという作戦になります。

 そして、発生した場合には、即時対応が大事ですので、どこで焼却、埋却をするかというようなことを事前にカルテに書いてもらって、どういうことをしたら良いかということが直ちにわかるようにして、そういう方面の用心をしようということです。飛来する鳥に「来るな」というわけにもいかないのが実情でありますので、万一見つかったときは、極力、局所的に抑えてしまうというタイプの予防対策を今とり始めています。用心をし始めたということです。来なければいいなと思いますね。やっぱり前回は大変だった。

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新潟県糸魚川市での大規模火災を受けた県の火災・防災対策について

毎日新聞:
 新潟県の糸魚川でかなり大規模な火災が発生しました。奈良でも結構密集で木造の家があるところもあると思います。今後あの火災を教訓にして、奈良ではどういうような防災体制を考えられますか。

知事:
 最近では、上北山村で山林火災が発生しました。山林火災は大きくなって、村の消防団や上北山村を管轄する消防署だけではなかなか食いとめられなかったので、奈良県広域消防組合内の複数の消防署からも迅速に応援出動し、最終的には自衛隊も呼びましたけれども、奈良県内の消防を広域化したことにより、消防の実効力が上がったというご報告を中本消防長から受けました。広域化した消防で複数の消防署から応援出動して迅速に大規模な消防力を投入するという広域化したメリットを生かした活動になりました。山の火災だけではなく、冬は特に本当に身近に人家でも火災が起こりそうで心配しています。

 火災があったときの消火というのは、今みたいに広域化により強化された消防力を頼りにしたいと思いますが、糸魚川のように、思わぬことで起こるんだなと思います。あのような、特に火が多い食堂とか密集しているところは、ああいうことが起こるのかなという印象です。家庭で起こった火事は大火事になりませんけれども、住んでおられた高齢者の方が行方不明になられたりしていますので、これも大変です。

 糸魚川の場合は、たくさんの家が焼けましたけれども、亡くなられた方はおられなかった。しかし、1戸だけ焼けても死者は出ることもあるというのが、今の火事の発生形態ですので、どちらも怖いと思っています。用心をしてもらうということが第一だと思いますが、いざというときになれば、広域化され強化された消防力を頼りにお願いをしたいと思っています。

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年末年始の過ごし方について

NHK:
 知事、年末年始はどう過ごされるんでしょうか。

知事:
 ほぼ、今日で仕事終わりであります。今年一年お世話になりましてありがとうございました。

 今、災害がどうですかと聞かれると、その都度どきどきとします。起こらなければいいと思います。災害が起こらないように、念を入れています。そういう風習になってきました。リニアも北に行かないようにと思って念を入れていますので、年末は念を緩めて、来年の念力が残るように、念力力が向上するように休養したいと思います。休養といっても、ぼうっとするだけです。

 皆さんはどうされるんですか。電通の事件が起こって、皆さんはどうなのかなと思って心配をしています。長時間、地方だとそうでもないですか。支局は楽ですか。

NHK:
 会社によるのかもしれません。 
知事:
 ペーパーと「ラ・テ(ラジオ・テレビ)」では大分違いますね。「ラ・テ」は、現場にぱっと行って映像撮らなければいけない。映像を外してしまうとインタビューでどうでしたかということになってしまう。現場の映像を撮れるかどうかはとても大きなことだと思います。東京へ行ったとき、たまたま東京のテレビ系の政治部の人が集まって、よもやま話をしていました。ああいう政治があるのと、地方はまた違うんだなと思いました。政治家も精力的に動かれるから、政治は大変です。プーチンを取材してきたというテレビの人がいて、取材一つするのもとても大変だったように思います。地方だと、いわゆる社会部系が中心になりますので、皆様が暇になれば、世の中、平安だというようにも思います。

 県政のニュースといいますか、構造的な、いろんな世の中が変わっているのをどこでどのように捉えられるかということもありますが、アンテナを上に上げたり、方々を見たりして、世の中の動きを、今年の漢字にした「学」ぶではありませんが、少しのコントロール、災害という厳しいシチュエーションになる場合もありますが、そうでなくても少しのコントロールをする努力をしていると、地域はよくなったり、先ほどの数値に差があるように私は思いますので、そのように努力するのとしないことの差というのはとても大きなように思います。アンテナだけでは別に何もいい入力はありませんが、アンテナで世の中の少しの動きをできるだけ解釈できるようにして、地域の波が、世の中の動きにできるだけ乗るように、「舳(へさき)理論」と言っています。へさきに乗るように、風に逆らってやるのも安定するんですけれども、なるべく世の中の潮を、予算もそういうほうでついてきますので、そちらのほうを地域に体現するというか、地域で実現するのは地域の知恵だと思います。そのような構造が随分変わってきている面もありますので、それをどのように察知するかということに、ない知恵を凝らしてます。

 少し後になると、ああ、こういうことだったのかということで納得いくこともあるんですけれども、なるべくその現場で納得いくようにして、その前のほうに立って歩むことができたら、県政が多少でもその先駆的な取り組みになったほうが随分違うんです。先駆的な取り組みというように多少言われるようになってきたのはうれしいことです。もちろん十分ではありませんけれども、そのためにはアンテナを張る必要があるかなと思っています。支局は、平穏無事が何よりだと思います。過労にもなられないようにしてください。

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県の合計特殊出生率について


知事:
 ランキングは、先ほどうれしかった指標ランキングの合計特殊出生率が26年から27年に全国順位が44位から39位に上がったことをお伝えしましたが、奈良県での平成26年の出生率が1.27が1.35に、0.8ポイント上がりました。全国が1.42から1.46まで上がって、0.04ポイントのアップでありましたので、奈良県の0.08は、倍のポイントが上がったということで、どうして上がったのか正直わからないんですが、出生率を上げようということであれやこれやとやっていたので、うれしいなと思いました。お手元のランキングの資料で出生率上昇のことが抜けてしまって残念だったのですが、ぜひ追加させていただきたいと思います。

 いろいろ細かい努力をして、どこで小さな花がぽっと咲くかわからないです。やっぱり努力しないと咲かないことは確かだと思いますので、積み重ねだと思います。来年も、具体的な小さなことを積み重ねてと思っています。

 皆様もよいお年を。

司会:
 幹事者さん、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。ありがとうございました。

知事:
 どうもありがとうございました。お世話になりました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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