第8回 奈良県食品安全・安心懇話会

第8回 食品安全・安心懇話会議事録



第8回   奈良県食品安全・安心懇話会
 
  平成19年9月13日(木)
午前10時30分~午後12時30分

 於:猿沢荘(奈良市池之町)  

 
出席委員
  車谷委員 小松原委員 上田委員 柿内委員 吉本委員
  山本委員 森委員 木村委員 田中委員 (9委員)

次第

  • 食品・生活安全課長あいさつ

  • 意見交換

    1. 輸入食品の安全性について
    2. 20ヶ月齢以下の牛に対するBSE検査について
    3. 食品企業における企業姿勢の在り方と品質保証体制の確立
    4. リスク評価におけるリスクとハザードの認識

  • 報告

    1. 平成18年度奈良県食品衛生監視指導結果について

資料

     



○事務局
 皆さんお早うございます。
 本日第8回目の懇話会を開催するに当たりまして、委員の皆様方及び庁内関係各課の皆様方には何かとご多忙のところにも関わりませずご出席を賜りまして、本当にありがとうございます。
 本日の議事につきましては後ほど改めてご紹介させて頂きますが、お手元にお配りしております次第のとおりでございます。委員の皆様におかれましては限られた時間ではございますが、忌憚のないご意見の交換を頂けますよう宜しくお願い申し上げます。
 さて食の安全安心に関わりましては皆様もご承知のとおり、相も変わらず次から次へと様々な不祥事が発生しております。
 世界的な問題と致しましては、中国から輸出されております食品や工業製品の安全性についてのことが大きな事件となっております。有毒物質が含まれた風邪薬で死者が出たり、ペットフードを食べた犬や猫が死んでしまったというような事件が起こっております。
 もちろん食品におきましても、健康被害を引き起こしかねない残留基準を大きく超える薬品や添加物の使用が、次々に明らかになっております。
 その結果、アメリカでは原材料として中国由来のものは一切使用していないということを大きなセールスポイントに致しました、「チャイナフリー」の商品が販売されておりまして、通常より2割か3割も価格が張るにもかかわらず、よく売れているという状況も出ているようでございます。
 儲けの為なら他国の消費者の生命や健康など全く顧みることのない企業と、それをまともに規制しようともしない政府の姿勢、それから「段ボール入り肉まん事件」などに見られますように、ちょっと日本の常識では考えられないような非衛生的な食品製造現場など、中国の現状が報道等通じまして次々と明らかになっております。今や「メイドインチャイナ」に対する信頼は地に落ちてしまったというような感もございますが、先日のAPECにおきましても、中国政府は中国製商品の信頼回復に躍起になっているようでございますが、一度失われた信頼を取り戻すのはそう簡単ではないだろうと思っております。
 日本でも消費者の中国アレルギーは過去とは比べものにないぐらい強いようでございまして、私も休日には近所のスーパーによく買い物に参りますが、以前は国産品と並べて堂々と売られておりました中国産の野菜やウナギを、今は全く目にすることはございません。
秋になりまして季節ものとして松茸が中国産ということで若干粘っているようでございますが、この頃は中国産という表示があれば消費者が手に取るのをためらうという状況になっているようでございます。
 安全が確認できない食品に対しましては、私たち消費者には買わないという自衛手段しかございませんが、改めて安全性が納得されないという限りは当然の行動ではございますが、その結果として中国からの食品輸入は今や昨年より3割から5割も減ってしまっているという情報もございます。
 しかしながら食料自給率はカロリーベースで40%に過ぎない我が国が、これからも中国産の食品を抜きに暮らしていけるかというとそれもまた非常に難しいことで、ただただ中国バッシングだけやってれば事が好転するということでもありませんし、現段階でも日中両国の食品の安全性に対する認識の相違も相当に大きいものがございますが、非常に悩ましい問題を抱えてしまっているのではないかなと思っております。
 一方国内でございますが、北海道では皆様ご承知のとおり、6月にミートホープ社によります偽装牛肉ミンチ事件、続いて8月には全国的に有名なお菓子でございます、「白い恋人」の賞味期限表示の張り替えが発覚致しました。いずれも消費者が商品選択の為の判断の大きな拠りどころにしております原料や賞味期限の表示を偽っていたという、単純ではございますが極めて悪質なものでございました。
 雪印や不二家を始めと致しまして、これまで散々苦い経験を重ねております食品業界でございますが、それに学ぶこともなく、もちろん改められることもなく、このようなことを長年にわたって平然と続けていた企業があったという事実は、誠に衝撃的なことでございました。
 ミートホープ社につきましては、原材料そのものの表示を偽るだけでなく、期限切れぎりぎりの古い肉を新鮮な肉に見せかけるために血液を混ぜたり、水道代を節約する為に解凍用に雨水を使うなど、食品衛生法にも明らかに違反するという行為を重ねておりました。まさにあの手この手のやりたい放題で利益を追求していたようでございます。
 ついでに言いますと、「安い物ばかり求める消費者も悪い」という主旨の発言もございまして、ミートホープの社長さんにそれを言う資格があるとはとても思いませんが、言っておられることは一面の真実もあろうかと思っております。
 高い物には高いだけの理由がございますが、同じように安いものには安い訳がございます。どんな企業でも利益を得るために活動しておる訳でございますので、基本的にそれに反するような行動をとることなど本来あり得ないことでございます。
 いつもよりずっと安く売られているときは、きっと何かその値段で売っても採算がとれる理由があるはずでございまして、いわゆる「出血大サービス」ということで客寄せのための原価割れ販売ということもあるとは思いますが、たいていの場合は安い原材料を使って、特売用に作られた商品を売っているに過ぎないというのがどうやら実情のようでございます。
 そういったことも考えないで、いつもより安いのだから買わなければ損だとばかりに値段だけにつられて飛びついてしまうような私たちの消費行動が、ミートホープのような会社を生み出してしまった一因であるとの指摘は、決して無視できないのではないかなと思っているところでございます。
 またこの事件ではマスコミが揃って食品流通業者の食品検査体制が不備だということで攻め立てたような事実もございます。
 理屈から言えば当然なことでございますが、しかしながら検査にはお金がかかります。例えば牛乳100%という表示が本当にそのとおりなのかというのはDNA検査で確かめるところでございますが、その費用は1件でも最低で5万円程度かかるものでございます。もちろん農薬や添加物につきましても、1検体あたり数万円から場合によっては数十万円単位ということもございます。決して安いものではございません。
 食の安全安心の確保が至上命題ということでございましたら、検査の頻度や精度は上げれば上げる程それに越したことはないということになりますが、ではその費用は誰がどうやって負担するのかという問題が出てまいります。基本的にはかかったコストは商品価格に転嫁するということになろうかと思いますが、結果として検査に念には念を入れた商品ほど、価格競争力では劣ってしまうということが起こってまいります。
 従いまして同じような事件の再発防止の為には消費者が納得できるような検査をどこまでやればいいのか、また検査費用も流通業者だけに負担を強いるだけでなくメーカーや消費者も含めた各関係者がコストの適正分担といったことも冷静に考えていく必要があると思いますが、そういった方面の議論が一向に発展しないという現状は残念なことと思っております。
 私達は「食べる」という行為があってこそ命を繋ぐことが出来る訳でございまして、そういった意味で食品の安全・安心の確保は命の根源に関わるものでございます。誰かにそれを丸投げしてお任せでお願いしますというものではございません。生産・加工・流通・消費といった全ての面で、それぞれの関係者が情報や意見をお互いに交換することで理解を深め、安全と安心を確かなものにしていく為の不断の努力が必要でございます。
 県と致しましても、この懇話会を非常に重要なものと考えております。委員の皆様方から頂きましたご意見やご提言は今後の県政に是非とも具体的に反映させていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い致しまして、簡単ではございますが開会にあたりましてのご挨拶とさせて頂きます。本日のご出席、本当にありがとうございます。

○議長
 皆さんお早うございます。
 それでは只今から第8回奈良県食品安全・安心懇話会を、予定では今から80分足らずですけれども、議事次第に従って進行させて頂きたいと思います。
 今日の懇話会の目的は大きくは2つあります。一つは意見交換ということで、事務局から先日テーマと討論課題についての提案依頼があったと思いますけれども、それに対して提案して頂いた内容に沿ったテーマについての意見交換です。もう一つは平成18年度の監視指導結果についての報告です。
 この懇話会は各層の関係者のご意見を積極的に賜って、県の行政施策に反映して頂く或いは意見を申し上げるという趣旨で行われているものでありますので、是非、積極的な又忌憚のないご意見を発言して頂きたいと思います。各委員のご協力を宜しくお願い申し上げます。
 それでは議事の最初です。意見交換ということで4つのテーマが用意されております。出席委員の名簿が付いた4枚もの資料がお手元にあると思いますが、その4ページ目に各委員からの提案事項を整理したものがありますが、それがその4つになるかと思います。
 それでまず最初に、複数の委員からご提案のあった、内容は個々に少し異なっているかと思いますが大枠で括ると、輸入食品の安全性についてをテーマに意見交換ということであります。
 具体的には、輸入食品の不安は消費者としての一番の関心事である、これに対して安全性の確認が行政・産業界で採られているのであろうか、或いは今問題となっている中国製の食品を、野菜・製品を安心して買えるような検査体制はどういうふうになっているのか、などのご意見だと思います。
 まずこの輸入食品の安全性についてというテーマで、事務局から現状報告的な話をして頂いて、その後で10分程時間をとって意見交換を考えております。
 それではまず事務局から、資料に沿ってこのテーマに関連した説明をして頂きたいと思います。宜しくお願い致します。

○事務局
 それでは説明させて頂きます。お手元の資料1をご覧下さい。
 こちらは平成18年度の厚生労働省即ち全国の検疫所が実施致しました、輸入食品監視指導計画に基づく監視指導結果の概要でございます。1の輸入監視指導計画ですが、食品衛生法に基づき検疫所が行う輸入食品の監視指導計画を、案の段階でパブリックコメントを実施しまして、最終決定した計画に基づき実施されております。その実施結果の概要でございます。
 都道府県等におきましても同様の手続きを踏み、都道府県の監視指導計画を作成致しております。平成19年度の県の計画につきましても、パブリックコメント実施後3月の当懇話会でご承認頂き、4月から1年間の監視指導を計画に基づき実施しているところでございます。
 それでは検疫所における監視指導についてご報告させて頂きます。
 3(1)ですが、こちらは輸入届出時における法令違反の有無について記載されております。届出件数全国で185万件のうち約20万件について、法に基づく規格基準等の適合性について審査が実施されております。
 検査方法は(2)のモニタリング検査と(3)の検査命令の、2つの手法を採っております。
 まずモニタリング検査ですが、※1として2ページに考え方を示しておりますように、国際的なサンプリング手法に基づき食品群ごとに計画的な検査を実施し、モニタリング検査を実施致しまして、1回目の違反が発見されますとその食品群のモニタリングの検査率を50%に引き上げます。検査率を引き上げ1回目と同一国で2回目の違反が発見されましたら(3)の検査命令に引き上げまして、その国に対しましてのその食品群の全品検査を命令致します。
 これらの手法により発見されました違反件数は、(4) 1に記載されておりますように年間1,515件発見されております。違反率は昨年と同じ、届出件数の0.1%でございまして、その内容は記載のとおりでございます。
 そして次のステップと致しまして、2ページの4(3)にございますように包括的輸入禁止規定がございます。こちらはある食品群の、同一国における検査命令による違反率が一時的に5%を超過致しますと、※3にございますように検査をせずに厚生労働大臣がその国の特定の食品の輸入を禁止できる措置でございます。有名なものに中国産のほうれん草がございます。
 次に3ページですが、これは今まで申し上げました輸入食品の監視体制を図式化したものでございます。
 最後に先程の違反内容でございますが、4ページをご覧下さい。
 違反内容を1枚で示しておりますけれども、アンダーラインで示しておりますように、例えば残留農薬では全違反455件中、中国が173件であり、また全違反数の455件ですが平成18年度からポジティブリスト制度が施行されまして、前年度の約8倍近い違反が発見されております。
 微生物におきましては全件で297件、中国が115件、添加物におきましては263件中、中国が105件、動物用医薬品におきましても246件中、中国が67件となっております。一方最後のカビ毒のアフラトキシンなどの有害物質では、242件中米国が152件と1位になっています。
 中国は我が国内に入っております輸入届出件数が世界のトップでございまして、総届出件数の31%を占めております。違反総件数におきましても1,515件中505件と全違反件数の33%を占めており、我が国ではあらゆる食品を中国から輸入していることから世間を騒がせているところでございます。
 しかしその中身をみてみますと、違反件数の多い国の2番目は米国でございまして、全体で239件の違反が発見されています。米国は我が国の輸入総件数の10%を占めております。中国は先程申し上げましたようにあらゆる食品群で違反が発見されておりますが、中国の輸入件数に対する違反件数の割合は0.09%でございます。ちなみに米国の輸入件数に対する違反件数の割合は0.12%でありまして、米国の方が若干違反率が高いという結果でもあります。
 以上が検疫所におきます輸入監視の結果の概要でございます。
 次に県ではどのような輸入監視体制をとっているのかというお話ですが、輸入食品につきましては添加物の検査と缶詰又ソース類につきまして、昨年度は36検体実施致しました。
 資料3をご覧下さい。今ご指摘のありました輸入食品の件ですけれども、5ページの表の8がございまして下から5番目に輸入食品ということで36検体検査を実施致しました。成分規格・使用基準等36検体で85項目検査を実施致しましたが違反は発見されていないというのが一つ、それとページで言いますと1ページから12ページが昨年度の実施結果でございまして、16年からの監視結果の概要につきまして主要なものを示させて頂いておりまして、それが13ページから記載させて頂いております。
 後程の報告のところでまたご報告させて頂きますので、14ページをご覧頂きたいと思います。
 添加物等の検査以外に、県での農産物の残留農薬等の検査についてはどうなっているのかを示したものは、この2番の2つの表でございます。平成16年度・17年度は91農薬、平成18年度は116農薬について検査を実施致しております。
 上の表はモニタリング検査として、JAさんや、ならコープさんにご協力頂きまして、出荷前の段階の野菜・果実について平成18年度は12種類38検体を検査致しましたが、違反は発見されていないという状況でございます。
 2番目の表は流通品を抜き取り検査した結果を示したものであり、16年度は1件、有機リン系のEPNが基準を超過致しまして違反として措置させて頂いております。昨年度は39検体の流通品を抜き取り検査致しましたが、何れも違反は発見されておりません。
 上の県内産モニタリングの38検体と流通品39検体、平成18年度はこれら77検体を検査致しました。その内訳は県内産64検体・県外産6検体、先程添加物については20検体と言いましたけれども、野菜等の輸入品については7検体実施致しております。全て違反は発見されておりません。
 以上は県におけます農薬もしくは輸入食品の監視状況の報告でございます。
 最後に県の生産の指導体制はどうなっているのかということでございますが、こちらは資料7をご覧下さい。
 こちらは農林部で実施されています、農薬の適正使用、ドリフト防止等、安全な県産農産物提供の為の取り組み状況について、とりまとめて頂いたものでございます。こちらの資料は3月の懇話会に提出致しましたものを修正させて頂いたものでございまして、担当課から説明させて頂いておりましたのでここでは資料の提示に代えさせて頂きたいと思います。
 以上で輸入食品に対する検疫所・県の監視状況、県内におきます生産指導について報告させて頂きました。

○議長
 はい、ありがとうございました。
 国レベルとそれから県で独自で出来るものがあり、県で対応しているものの説明をして頂いたことになるかと思います。何かご意見とかコメント等がございましたらどうぞご発言頂きたいと思います。

○委員
 ここ何年間かの経過が書かれておるわけですけれども、全体の印象としましては検査の検数の推移がですね。

○議長
 資料3でしょうか、14ページ。

○委員
 モニタリング検体数の平成16年度、17年度、18年度の推移、それから下の流通品の検査、抜き取り検査の検体数の推移が出ておるわけでございますが、輸入量が全体としては増加している中で検体数が減少の傾向にあるというふうに読めますので、この点についてはどういった見解なのか、モニタリングですので重要点の検査を行うことについては大事な視点だと思うのですけれども、不安がこれだけ大きくなっておりますし輸入の量が増えていると思いますので、重点的にやるにしても検体数が増やせないのかどうかと、この辺りを県単独で行う場合と近隣の県との協力の体制で行う場合いろいろな対応が可能かと思いますので、予算の問題はあろうかと思いますけれども、検体を増やす努力を行ってもらえることが可能かどうかということでご質問したいと思います。

○議長
 今14ページの参考と書いてある表に従ってのご意見であったかと思います。検体数が40、39、39の推移であるけれども、輸入量の増加からみると検体数を増やせないのかというようご指摘と思います。事務局からまずはご返答を。

○事務局
 毎年度要求をさせて頂いておりますけれども、財政上の都合か私どもの説明不足か分からないですけれども現状維持若しくはシーリングがかかるということで、現状維持にもっていくのが精一杯というような状況でございまして、また現在ご指摘頂きましたように輸入品が増加しておるという状況等踏まえまして、何か取り組みを考えるなりし予算の確保に努めて参りたいと思います。

○議長
 委員の問で何かいいお考えはございませんでしょうか。検体数をなかなか増やしにくいというお話ですが、何かこういうふうな方法もあるのではないかというようなご意見ありますでしょうか。

○委員
 今ご指摘ありましたとおり、例えば中国、アメリカぞれぞれ特徴の産物があると思いますし重点的な検査をやらないといけないと思いますので、それぞれの都道府県におかれての検査は非常に大事かと思うんですね。国の方だけでやるんではなくて、その辺は近隣の府県とのネットワークをちゃんとつくったりして、広域の流通になっているという実態がございますのでそういう近隣の行政とのネットワークの中で、こういう検査の重点を定めて分担をされて有効な検査をされる方向がないのかどうか、意見として持っております。

○議長
 今のご意見ですけれども、他の委員の先生方如何でしょうか。その上でまた事務局にお尋ねしたいと思うんですけれども。何か、如何でしょうか。
 そしたら事務局の方で、今委員のおっしゃったネットワーク、都道府県間でのネットワーク、重点項目を変えながらというようなこと、ネットワークをつくることによって、重ならない形で検査項目を増やせるのではないかという趣旨のご意見だと思うのですが、そのあたりを、そうぞ。

○事務局
 ご指摘頂きましたように近畿府県のネットワークでございますが、近畿府県食品衛生乳肉担当に係ります会議、これも例年実施させて頂いておりまして連携の強化を図っているところでございます。その会議の中でも近畿府県で連携をとれないかという話が以前から出てますが、やっぱりそれぞれの自治体の県内産のものを検査するのが精一杯で、輸入品についてネットワークを張って協力するというようなことにまで、なかなか辿り着けていないというのが現状でございます。
 それと全国で厚生労働省の食品の安全に関するネットワークを、各自治体持っておりまして、そちらの方に違反状況を入れて、それが各自治体で検索できるというような状況もあります。しかしながらご存知のとおり、農薬等につきましては検査にかなりの時間を必要と致しまして、それがネットワークに載った時点では既に回収なりいろんな措置が全て終わっておりまして、参考にはなるんですが即座に対応できるという状況にはなっていないのが現状でございまして、即座に対応できないということで各自治体の入力がタイムリーに行われていないというような現状がございます。ただし輸入食品については、検疫所で実施されております結果がホームページもしくは各自治体には文書で送付してまいりますので、どういった野菜・どういった国のものについてはどういった違反が検出されたという状況は各自治体で把握しております。
 他の自治体のことを言うのは何なんですけれども、例えば奈良市さんではそういった監視速報とかを絞りまして、違反率の高い農薬の種類に絞って輸入品の検査をするというような取り組みをされています。以上です。

○議長
 ありがとうございました。
 今の輸入食品についての安全性についてさらにご意見、コメントございませんでしょうか。質問でも結構ですが。

○委員
 今の資料の一番最後の結果のところで、食品衛生法違反には該当しなかったというふうにおっしゃって頂いたんですけども。この検査をするのにJAとかならコープさんの協力を得ましたっていうふうにおっしゃって頂いたんですけども、JAさんとかならコープさんとかっていうと独自でも色々と努力されていると思うんですね。で、その他の一般の安売りスーパーとか、そういうふうな流通のところではどうなんでしょうか。検体というか、モニタリングというか。そういうものでは。

○議長
 モニタリングの対象をもう少し広く拾い上げることができるのでは、というようなご意見ですね。

○事務局
 資料3の14ページでございますが、上の段の県産モニタリングの分についてJAさんとコープさんにご協力頂いているということで、下の表の39検体については流通品の抜き取りということでございます。その中で先程申し上げましたように、77検体のうち県内産が64検体ということでございますので、38検体以外にその流通品で県内産を分析させて頂いているというところでございます。

○議長
 よろしいでしょうか。
 協力して頂いているJA、コープ以外のところからの製品についても農産物についても検討は出来ているというご返答だと思んですが。

○事務局
 県内産26検体を流通段階で抜き取り検査させて頂いて、38と併せて64検体というところでございます。

○議長
 他にございませんでしょうか。

○委員
 今のところで関連しますので、我々生産者団体ということで、現在生産者団体の組織は主な部会を7部会まとめまして、その代表4,800人を正規の流通会員として本店が指導しております。それを地区に6箇所にまた跨ぐ訳でございますが、いろんなことで、生産履歴並びドリフトの問題、農薬の適正使用、それから適正農業規範と、いろんな指導を受けている中で機会ある度にその話をしてまして、生産者のところでは辛抱しているということで。先程出ていますように、県内産モニタリングの中でいろんな指導を受けながらそういうことをやっております。それでその部会で出るのは逆に、我々はそういう指導なりを守ってちゃんとまあ頑張ってやっているよと、逆に海外からの水際でちゃんとやってくれているのかな、こんな意見も逆に出たりして。先程委員がおっしゃいましたように、私もその輸入品の中国・アメリカの主要商品のところの検査をですね、逆に先程の委員の意見と一緒でございますけれども強化してやってほしいなとこう思っております。

○議長
 貴重な意見を賜りありがとうございます。
 時間の関係もありますので、特にご質問がなかったら次のテーマに進みたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、委員からの直接の提案ということではありませんが、2つ目のテーマとしてBSE関係の問題で20ヶ月齢以下の牛のBSE検査について検査方針が変わって来ているということですので、事務局から先ずご説明頂いて、それについて意見交換をしたいと考えます。資料6が事務局からの説明にあたって必要になるかと思います。
 それではよろしくお願い致します。

○事務局
 それではBSEに関して若干情報の提供ということも含めまして説明させて頂きます。
 皆さん方ご存知だと思いますが、平成13年の10月に全頭検査、牛のBSE簡易検査について全頭検査が始められました。そのときに費用については国が全て負担しようということで、検査にかかる費用については国が全部補助で現在までやってきているところです。
 それが平成16年の9月に食品安全委員会に対し、BSEの検査の月齢について色々な中間科学的検証をお願い致しまして、厚生労働省と農林水産省が平成16年10月15日に月齢を21ヶ月以上にするということについて、食品の健康影響評価を諮問した上で平成17年の8月から、BSE検査の対象月齢を21ヶ月齢以上とするというBSEの特別措置法がございますので、そのなかで規則改正を行いました。
 そのときに国民の方々の不安を解消するリスコミを行いながら3ヵ年、国が21ヶ月齢未満の牛について検査をする場合においても、国で費用については面倒をみようということで3ヵ年の経過措置が講じられて来ました。
 それが来年20年の7月に国の補助がなくなるということで国から通知が来ました。
 それを受けて、国の方と致しましては20ヶ月以下の牛について検査を止めるように全国一律にお願いしたいと通知が来ましたので、参考として付けさせて頂いております。
 今私どもも全国の自治体の調査をしながら、奈良県としてどうしていくか検討を加えている訳ですが、自主検査をそのまま国からの補助がなくても続けていくというところもございますし、費用弁償については行政がそのまま出すとか、業者にいくらかの何がしかの負担をして頂くとか、色々なことはございますが、そのまま自主検査を続けていくというところもございますし、これをこの機会を捉えて止めるという意向を示しているところもございます。
 ただ、まだほとんどの地方公共団体、都道府県の方は、まだ未定というところがほとんどでございます。本県についても、現状と致しましてはまだはっきりと、その20ヶ月以下についての県民の方々の不安が払拭されたのかどうかというところもございますし、それと畜産団体とか食肉業界等々との話し合いがきちっとまだついていないということもございますので、まだ現状のところでは未定ということですが、早急に色々なところと検討しながら決定を、自主検査をそのまま続けていくのか、ただ、続けて行く行かないについてもやっぱり他府県の動向もたいぶ影響される訳で、奈良県だけが止めて他の近畿府県がやるというということになったら奈良県の牛が売れなくなったりとか、色々なことが出てきたりするので、他府県の動向もだいぶ影響があると思いますのでそのことも加えながら検討を加えていきたいと思いますので、参考として付けさせて頂いております。

○議長
 はい、ありがとうございました。
 裏面に今までの経過が書いてあります。厚生労働省が、平成17年時点で3年間経過措置として20ヶ月以下の国庫補助を行うという説明が書いてあり、表面が3年間経ったので国庫補助を止めにしたい、止めるにあたっては一斉に止めないと色々問題が生じるので止めるとしたら一斉にという趣旨のようです。ある自治体は独自の検査をやって、ある自治体はやらないということは却って混乱が起こるので、全ての自治体で自主的な検査を止めて頂けないかというような通達です。具体的には20年7月ですから来年の7月末を過ぎると国庫補助が出ないということになるという経過です。
 念の為にお聞きしますが、21ヶ月以上については従来どおり全頭検査するということですね。

○事務局
 それについては法律で定まっておりますので、国の全額補助でやるということになります。

○議長
 如何でしょうか。

○委員
 奈良県におかれましても努力を頂きまして消費者の理解も相当に進んできた事実があると思うんですね、ただここにも書かれておりますように理解の度合いがございますので、この間の全頭検査を継続して来たことによる新たな科学的知見というような表現が一部にあるんですけども、継続すべしという意見も学者の中にはあるように聞いております。
 消費者全体の意向としましては継続をやはり願う人も多いという実態だと思いますので、奈良県におきましては、資料3のところの3ページに一部データが出されておりまして検査頭数がございますけれども、継続する場合の年間の費用はどの程度なのか、費用対効果といいますか、安全施策としましてこういう分野にも奈良県独自に対応する必要があるのかどうかという判断をする場合に、費用的な問題の検討もやはり消費者も関心があろうかと思いますので、生産者も負担をされているという状況もあるように聞いておりますけれども継続する場合にはどういったデメリットがあるのか、行政が国全体で止めたいという意向は聞いておりますけれども、継続することをいわれている県もあるように聞いておりますしそういう見解についてはどうなのか、この件数自身が増えているのかどうかというのもあるんですが、その辺りの判断は奈良県としましては特にBSEが発生した県でございますのでどういったご見解かということをお伺いしたいと思います。

○議長
 資料3の3ページの一番下の表中の数値で、21ヶ月未満179頭ですね。

○事務局
 はい。
 平成16年度におきましては牛の全体の件数が3,991頭に対し、20ヶ月齢以下が132頭、平成17年におきましては3,718頭に対しまして174頭で、平成18年は、3,184頭に対して179頭、比率でいいますと若干高くなっているというところはございますが、それでも5,6%ということになります。
 費用対効果ということで費用の面なんですけども、16,17,18を平均して、19年度についてはまだ現在進行中で分からないんですが、20年以降がどれだけの頭数があるかということになりますと、大体170~180頭ぐらいの頭数でいくんではないか、その費用が約40万円弱かかります。まあそれが高いのか低いのかというところはあるかと思うんですが。

○議長
 170、180頭で総額40万円かかるということですね。

○事務局
 1頭あたり大体2千円弱ぐらいの費用で済むと思いますので、大体40万ぐらいの費用がかかる訳なんですが、それでも高いのか低いのかということは色々検討の余地はあるかと思いますが、そのことも踏まえまして色々今後検討して参りたいと思っております。

○議長
 他の委員ご発言ございませんでしょうか。

○委員
 資料云々ではないんですが育ち盛りの子供を抱える親としては、やはりその食の安全というと非常に重要なことだと、私も考えております。
 今、近隣の自治体との足並みが揃わないということが問題だと、却ってそれが不安を与えるのではないかというお話がございましたが、私は足並みが揃わないのが当たり前ではないかと、むしろそれぞれの自治体が何故全頭検査を止めるのか或いは続けるのかというそこの根拠、そういう情報をきちんと開示していくと、そこのところが非常に重要ではないかというふうに私は思います。
 その点について何かコメントが頂ければと思います。以上です。

○事務局
 近隣の府県との整合をもって言いましたらですね、その安全性の問題云々ということではなくて、例えば奈良県では食肉流通センターが1ヶ所ございます。大阪には大阪市と大阪府に2ヶ所、合計3ヶ所ございます。検査を1箇所がやって1箇所がやらないということになると、牛の入っていく、処理されるところが限定されてしまうということで、そういう混乱も生じるということで、ある程度の整合が必要ではないかなという意味合いで申し上げましたので、安全性については当然色々な開示をしながらやっていく必要が出てくると思います。

○議長
 今委員がおっしゃたことの一つに、県は基本的に検査をやらないでもいいという立場にあるのかどうか、最終的にどうするのかは別として、科学的な知見としてどういう評価をしているかという基本的な認識に関する質問も含まれていたかのように思います。私自身もそこをどう県がお考えなのかお聞きしたいと思います。基本的に安全と安心は違いますが、安全という立場から言うと、県の科学的な知見というのが、厚労省がおっしゃているように21ヶ月未満は全頭検査しなくても大丈夫という認識に立っておられるのかどうか、如何でしょうか。

○事務局
 ペーパーにも書いてありますが資料6の裏のページの1(2)に、16年は350万頭で、現状は725万頭程の牛を検査しております。その中で要するに20ヶ月以下のものについてはBSEの発生が、発生がないのか検出が出来ないのかというところは分かれるとは思いますが、学者によっても色々ございますので、ただ検査してもそれだけのものが発見できないのであったら検査する必要がないのではないかという食品安全委員会の考え方で、20ヶ月以下のものについて外されたという経緯もございます。
 そういうこともございまして、県の意見としてはなかなか統一的な意見は言えないとは思うのですが、私個人の意見と致しましては、20ヶ月以下については現実的には検査はしなくても大丈夫ではないかなという考え方をもっております。
 ただこれは県の他の機関との関係とか上層部とか色々検討を加えていく必要が出てくると思いますし、それと今後のことになるかと思いますが米国の輸入ルートの関係もまた出てくるかと思いますので、今後どういうふうな推移をもっていくのか注意しながら、また検討を加えていきたいと思っております。

○議長
 基本的には食品安全委員会で結論付けられた見解を、踏襲することを基本に、県として対策を立てていこうという姿勢ですね。如何でしょうか。科学的知見というのはなかなか難しいところもありますが。
 何か他にご発言ございませんでしょうか。

○委員
 ほんの少しでもはっきりしないところがある場合は、やはりその40万には代えられないと思うんです。それは急に今すぐ結果が出る問題じゃありませんのでBSEに関しては、やはり後悔しないというか、ほんの少しでも不安が残る限りは、科学的にはっきりしない限り私は検査をすべきというと変ですけど、今日はこのことだけを聞きたいと思って出席したんです。それでやはりこのことは本当に慎重に、検査したから、出なかったから、国がそう言うから、補助を打ち切るからいいっていうことではないように思います。またよく分かるように私たちにきっちりとその根拠を教えて欲しいと思います。

○議長
 ありがとうございます。
 ほかの委員如何でしょうか。他の発言ありませんでしょうか。

○委員
 私も同じ意見なんですけれども、やっぱり子供達の将来のことを考えますとちゃんとした検査を最後までやって頂きたいと思っております。

○議長
 ありがとうございます。

○委員
 パーフェクトな安全というのは実際には確保出来ない訳なんです。国が今まで実施しました340万頭検査して一つも陽性が出なかったというのは、科学的根拠として推測統計的な判断を含め、それの妥当性の評価が非常に大事だと思います。
 当然これには費用がかかることですから、私も消費者の一人ですけれども、むろんより完全に近い安全を求めることについてはやぶさかじゃないんですが、可能性に限度があることですから今340万頭やって陽性が一つもないというのは普通常識的に、例えばO157なんかは牛の糞便の汚染率なんて米国ではもう50%といわれているんですね、和牛なんかでも十数%という畜産学会誌の報告がありましたけれども、それの検出率に比べたら遙かに低い訳です。
 100%の安全が求められないという前提にたって、この現在までの検査結果は、やはり評価すべき一つの判断基準じゃないかと思うんですが。しかし費用が案外そんなにかからないようですから、安心の為には検査が続行されても良いとも思いますが。
 この判断は非常に難しいところですが、どこかでその限度を引かないといかんと思うんですね。消費者としての当然の希望は希望としても、国の一つの方針というのもやはり何らかの形で評価せざるを得ない現状じゃないかなと思います。当然そうなりますと県としても、多くの背景を持つ問題ですので全国の都道府県の対応も参考にしながらご対応なさったらいいと思います。ただBSEの発生県でもありますのでより慎重な対応は必要かと思います。

○議長
 ありがとうございます。
 様々な意見を出して頂くことが懇話会の重要な役割です。意見を参考にして県の方も考えて頂くということになりますが、なにかございませんでしょうか。
 科学的な根拠というのもなかなか難解な所もありまして、見る人によってはまだまだ不十分だという意見もありますし、これで十分だという人もあって、事の重大性で評価が分かれてくるところだと思います。一方はもっと慎重にというご意見ですし、そういう考えを代表して言って頂いていると思いますし、他方は違う評価の仕方で、340万頭検査してもまだ出ないんだから、確率論的に言うと非常に小さなものであるから、またパーフェクトに0というのは考えにくいから、国の考え方もそれもそれでいいのではないかというようなご意見ですね。

○委員
 奈良県も大和牛という県内産の牛肉、質の高い、消費者に安全安心で消費して頂ける牛肉ということで、県も色々力を入れておられる関係上、やはり1頭約2千円というのは高いか安いかは別として是非とも継続をして頂いて、生産者の立場としては、県民の皆さんに一層信頼を頂ける体制を今採っておられる訳ですから、是非とも認めて頂きたいなと、私は肉の方は分からないんですがそのような希望を申し上げておきます。

○議長
 貴重な意見ありがとうございます。
 他に、どうぞ。

○委員
 他の疾病との相対的な評価から見ますと340万頭で0というのはですね、普通はそんなに低い検出率の疾病はないのではないか、専門的に言っているわけではないのですが、議長のご専門のお立場からは如何でしょうか。

○議長
 なかなか直ちに比較できるものですか、どういうものと比較していいのかちょっと思いつかないんですけども、340万頭分の0ですね。確率論ですから、実際には次の1頭で出てくるかも分かりませんけれども、340万分の1というのは凄くリスクは低いというように考えますね。

○委員
 普通肉牛が出荷される場合は飼育期間が30ヶ月ぐらいあると聞いていますが、20ヶ月齢以下の若い牛がと場に出ることはあるんですか、ちょっと専門外なので私も知りたいと思ってですね。

○事務局
 例えば乳用牛のホルスタイン種とかそういうもので雄が生まれた場合は、当然乳が出ませんので肉用として飼育される訳です。ホルスタインなんかの場合は結構大きくなる率が高いですので、ある程度若くても出荷される場合がございます。
 それとホルスタイン種と和牛とかけ合わせてF1という雑種の場合でも、早めに出荷させることによって肉質が柔らかくというところがあったりすることで20ヶ月以下が出てきたりすることはあります。

○議長
 確か食品安全委員会がこういう見解を出すときにリスク評価をしていたはずです。汚染牛ばかりを食べる訳ではないですから、汚染牛を食べるチャンス、一生の間にどれぐらい牛肉を食べるかということを全部込みにして、そのリスク評価をしていたと思います。
 その値は食品安全委員会のパンフレットなどにも掲載されていたように思いますが、0ではありませんけれども1万分の1よりもっと低いレベルだったと思います。タバコと比べると、ヘビースモーカーの場合100の1というリスクですから、肺ガンになるリスクはですね。それに比べると明らかに低いBSE発症リスクだったとは思います。しかし、そういうリスクと、安全という話と、また安心という話はちょっと違って、そこら辺の調整がこの問題はとりわけ難しく、色々論議が長引いているということになるかと思いますし、また見方も色々違ってくるということのように思います。
 今いろんな立場からお話を頂いて、意見も出して頂いたので、県の方におかれてもさらに検討を重ねて頂くということになるかと思います。科学的な知見というのを分かりやすく県民に説明していくということが更に重要ですし、県民が自己判断できるような情報開示していくという事も大事です。それからホームページに掲載していればそれでいいという話ではなくて、いろんな会議、会合と言いますか、そういうところで情報を提供して、もっと広く意見交換をしていくという事が重要なのではないかと思います。もうあと1年ですから、出来る限り手を尽くして頂くという事が必要ではないかと思います。
 非常にセンシティブな問題で、そんなに簡単な解決策はなかなか無いと思いますが、貴重な意見を多々頂きましたので、この問題はこれで終了にさせて頂きたいと思います。

○委員
 議長、安全の定義には最新の科学的知見を持って客観的に評価するものと言われているんですけれども、議長のお立場からされますと、最新の科学的な判断、知見に基づいた客観的な評価に値するかどうかですね、今の件が、これについてはどうお考えでしょうか。

○議長
 詳細には検討しておりませんけれども、基本的には食品安全委員会の結論を尊重します。ここでは十分検討された上でリスク評価をされている、そこの科学的根拠というのは現時点では最新のもので、ベストのものに基づいてやっていると考えております。
 そういう点でここに出されている結論は科学的な評価として正当なものと私は考えています。そこら辺の科学的な評価は、それぞれの方の考え方や専門性によっても随分違いますので、あくまで私個人の意見であります。さらに文字通りリスクコミュニケーションを県で努力して頂くということで、このテーマ終わりたいと思います。
 少し時間進行遅れがちなんですが、3つ目のテーマである食品企業における企業姿勢のあり方、品質保証体制の確立、それから4つ目のリスク評価におけるリスクとハザードの認識、これ2つを一緒に資料8に基づいて説明頂きたいと思います。

○委員
 それでは説明をさせて頂きます。
 私がこのテーマを出させて頂きました背景は、先程の事務局のご挨拶の中で最近の一連の食品企業におきます不正行為のご紹介がございましたが、ああいう一連の表示偽装の問題、賞味期限の改ざんの問題等々含め、こういう問題が当県内で起きない為の予防対策とし、特に今、国の食品安全基本法の対策の中心になっておりますリスク分析手法という国際的な食品の安全確保のための手法、これを用いたやり方で我が県内におきましても、考えてみればどうかというところが一つの背景でございます。
 一応2つ出させて頂いておりますが、このテーマは共に関連しておりまして、2つ目のテーマは1番目のテーマの一部でございます。そのように一つご理解頂けましたらと思います。
 一つは食品企業におきます企業者のあり方と品質保証体制の確立、その中のリスクアナリシス(リスク分析手法)の一つでございますリスク評価におけるリスクとハザードの認識ということです。ちょっと専門的になりましてご理解頂きにくい部分があろうかと思いますけれども、なるべく分かりやすく説明させて頂きますので、宜しくお願い致します。
 まず最初の食品企業における企業姿勢のあり方と品質保証体制ですが、今日はあくまでもこの内容を説明させてもらうよりも課題提起でございますので、ざっとお話申し上げて、後程具体的にご意見を頂く時点におきましては更に詳しい資料をご提出してというふうに考えております。宜しくお願いします。
 国際的に一般品のリスクマネジメントにおきまして今日取り上げておりますリスク分析手法、リスクアナリシスという手法が食品の安全性の確保におきましても採り入れられています。我が国におきましては食品の安全性の確保に関わる基本的な法律であります食品安全基本法の中に、「施策の基本的な考え方」として大きく採り入れられております。
 今日はこの現実を背景と致しまして、まず提案の理由としましては、ちょっと読まして頂けますと「現行の法体系と行政の人員と予算の実態がありまして、先の食品企業におきます一連の不正行為は行政における監視指導だけでは防止できない」だろうと。
 この現実を踏まえまして国際的な食品の安全確保システムでございますし、また我が国の食品安全基本法の「施策の策定に関わる基本的な方針」、これは同法の第11条~21条、これはですね皆様の資料の3枚目にですね、食品安全基本法の概要が入っております。
 それを見て頂けますとちょうど真ん中のところに「施策の策定に係る基本的な方針」として第21条でございまして、事務局の方で各々のこのリスク分析手法の主要な構成要素でありますリスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーション、これに線を入れて頂いておりますので、後程見て頂ければと思います。
 このように食品安全基本法に取り入れられておりまして、その構成要素の一つでございますリスクコミュニケーション、当懇話会もその場の一つではないかと思いますが、ご出席の委員の皆さん方は各々リスクコミュニケーションにおきます当事者、これは専門的にはステークホルダーと言いますけれども、ステークホルダーの皆さん方が出席頂いておると。
 当然この食の安全安心につきまして県の各々の分野を代表しての皆さんでいらっしゃいますので、特にその中でですね、食品安全基本法の関係者の「責務と役割」、これは先程見て頂きました施策の上のところに出ております。例えば消費者のところを読ませて頂きますと、食品事業者は責務になっておりますが消費者は役割になっておりまして、消費者の役割を見ていきますと、「食品の安全性確保に関し知識と理解を深めるとともに施策について意見を表明するように努めることによって、食品の安全性の確保に積極的な役割を果たす」という事が書いてあります。法律ですからいいことが書いてありますけれども。こういうことを一つの前提と致しますと、このステークホルダーの皆さん方のそれぞれの立場から意見を出し合って頂き、当会におきます食品の安全安心を確保する為の具体的な対策を一つまとめてみればどうだろうかというのが、一つの提案の理由でございます。
 そこで各々の立場でご意見を出して頂くところに一つ大きな意義がございまして、それを全体としてまとめて県へ意見を具申させて頂き、またそれなりに活用して頂くということを考えて、提案をさせて頂きました。
 ここで一つ専門的な言葉が出てきますので、リスクアナリシスとはということで資料を付けさせて頂いております。4枚目の資料で、主な構成要素と致しましては、リスクアセスメントは一般的にリスク評価といわれています。我が国の食品安全基本法はちょっと堅苦しい言葉になっておりますが食品健康影響評価という言い方となっております。
 これとこの評価でもって確認されましたリスクに対してそれをどう防ぐかというのがリスクマネージメント、各々リスク評価とリスクマネージメントの取り組み状況を関係する全体(ステークホルダー)で共有化していくのがリスクコミュニケーション、こういうふうに一つご理解を頂けましたらと思います。
 我が国の食品安全基本法、これは一番基本になる訳ですけども、そこの食品安全確保の取り組みの骨子になっておりますリスク分析手法という考え方を背景にして、実際にこの問題を考えていけばどうかと、それは一つの理屈でございまして、それでは実際にどういうことについて各々出席者の皆さん方からご意見を頂ければいいのかというのが、資料のその1(3)でございます。
 これはあくまでも一般的な項目でございまして,1から9その他がありますが、1から8まで、一応一般的な取り組みの具体的事項を挙げております。当然これは企業・個人のモラルの問題が最初に出てきます。それから今回のミートホープの問題の農水省の対応を見ましても、このコンプライアンス、いわゆる法令順守が、非常にその必要性が強調されております。それから内部監査システム、これは内部告発のシステムでございます。それから5がいわゆるリスクマネージメントの主体でございまして、これ全体がリスク分析手法に関わるのですけれども、一般的にはこういう取り組みが言われております。
 それから法整備、今回もミートホープの問題につきまして、特に業者への監視指導が十分に行われなかった理由と致しまして、JAS法では業者間取引が除外されておりましたので、ミートホープが加ト吉の北海道工場の方へ納入する製品が業務用であった為除外されたし、トレーサビリティ法からいきますと加工品であった為除外された、法としてもこういう不備な点があったようでございます。こういう点の法整備なんかも必要だと。
 それから行政の監視指導の強化、これはある意味におきまして、大きな流れ(規制緩和)から見ますと反対の方向ではございますけれども、さらに強化の必要性が、海外諸国との比較においてですね、こういうことが言われております。
 企業コストの削減の問題、これは先ほど事務局のご挨拶の中にもお話がございましたが、そういう問題も含めております。こういうことを全部含めましたものがいわゆるその食品安全マネージメントシステムでございまして、現在国が押し出しておりますのがHACCPであり、今後さらにそれが発展されたISO22000に行くだろうと、こういう一つの流れでございます。
 これに対して、今日ご出席の皆様方から色々意見を出して頂き、まとめていけばどうなのかというのが一つでございます。
 それから2枚目に入りまして、リスク評価におけるリスクとハザードの認識、これは一般的にいうリスクマネージメントとハザードマネージメント、ここら辺りがですね混同されて色々とございます、そこら辺りをちょっと整理して、それから理想論で行きますと、オールマイティに全てコントロールすることが望まれますでしょうけど、現実には非常に難しい。
 やはり重点管理というようなところが現実論としては必要だろうというところが、一つの背景でございまして、一応提案理由として読まさせて頂きます。
 食の安全・安心の確保におけるリスクとハザードは、表示問題を含め今何が該当するのか、リスク分析手法においては管理すべきリスクは具体的に何であるかを明確に把握することから始まる。この度のミートホープ社の不正行為も、肉の種類がリスク要因として管理対象にならなかったことに始まるんじゃないだろうか。
 一般的にハザードはリスク要因として認識管理され、また法及び行政により監視指導されるが、ハザード以外のリスク要因はその把握・確認が困難でございます。
 これより当県下の現況において何がハザードとして重要であり、何がその他のリスク要因としてリスク管理すべきかを、この際、それぞれの立場から意見を出し合いまとめる必要があるのでないだろうかと、こういうことでございます。
 それではハザードとは何かと、その他のリスク要因とは何かということで、ハザードにつきましては4枚目の、先程見て頂きましたリスクアナリシスの下のところに書いてございます。
 これは一応コーデックスの定義でございまして、ハザードというのはいわゆる悪さをする原因物質、ここでは健康に悪影響をもたらすという前提がついておりまして、実質的には生物学的、化学的、物理学的な原因物質となっていますが被害物質という言い方も致します。
 生物学的原因物質に、食中毒菌が挙がっておりますけれども、それ以外に一般の病原菌、寄生虫等が入ります。それから化学的原因物質は残留農薬、カビ毒、フグ毒、それから、あと我が国ではカネミ油症とかいうような工業薬品によります食中毒、そういうものが入ります。物理的原因物質といいますと、これはいわゆる硬質異物等でございます。
 こういうものがだいたいハザードでございまして、原因ははっきりしておるものです。それ以外のリスク要因というのがございまして、それが2ページへ戻って頂きまして(2)ハザードとリスクの定義の2に一応書いております。
 その他の食品のリスク要因、一般的には欠陥食品の要因でございます、破損要因、不当表示要因、量目不足、軟質異物混入、異味異臭、それから最近では環境破壊要因等々がその他のリスク要因として考えられるようになってきたと。今回のミートホープなんかの場合は不当表示に関わる原産地表示等ということになります。
 その他と致しまして、これを被害物質というリスク要因と考えることについてはちょっと抵抗もございますけれども、アレルギー物質、遺伝子組み換え食品、有機農法作物、有機農法作物の場合は表示関係の方に分類されます、いずれに致しましてもハザードでないリスク要因ですね、こういうものがあります。
 食品もそうなんですけれども、その他の企業においては、ここに参考と書いておりますように、欠陥サービス、人事・労務上のトラブルとかございまして、リスクそのものの要因が多くなります。
 こういうことを考えながら、それじゃあ食品について今我々の県内において何がハザードであり何がリスク要因か、これはもう立場によってみんな違うと思いますけれども、考えられるものを出してみて、皆さんの食品安全安心に関わるような情報が集められるかどうか。それを出して頂く提供者と致しましては、その(3)に書いておりますリスク評価の実施者として、1から5、5消費者なんかが一番多く色々な意見を頂ける、これは食品安全基本法の「消費者の役割」というところから見ましても大いに期待するところでございます。
 非常に大きなテーマでございますので今日結論を出すわけにいきませんものですから、そこにちょっと括弧に書かせて頂きましたように、皆さんのご賛同が得られるなら継続課題として取り上げてですね、次回の機会にまとめることが出来ればと、こういうことで提案させて頂きました。以上でございます。

○議長
 ありがとうございます。
 今ご提案頂いた内容はこれまでの懇話会でも、節目節目で委員の皆様方からご意見を頂いていたと思うんですが、それを総括的に整理して提案して頂いたことになるかと思います。
 重要なご提案ですが、専門的で分かりにくい点もあるかと思いますので、ご提案頂いた内容についてのご質問をまず承りたいと思いますが、如何でしょうか。ここはどういう意味なのかというようなご意見です。
 医学の領域の話にあてはめると予防医学ということにでもなるでしょうか。病気を発症してから治すというようなものではなくて、病気を予防しようという考え方だと思います。事故が発生しないように予め防ぐ、事故が発生しないようにする為にはどういう手段がいいのかということをみんなで考えよう、しかもそれぞれの立場の知識を持ち寄って考えてみようというようなご意見です。如何でしょうか。

○委員
 HACCPとかISOとかっていうのは、企業の側がそれを考えて採り入れるかどうかということで、私達が今ここで考えるというふうな、ちょっとなんか、違うような気が。そうじゃないんですか。

○委員
 消費者というお立場であればそのお立場から資料の項目について一般的な要望を出して頂いたら、専門的な立場からそれはどのようなやり方でやっていくと繋いでいって、最後は結論を出していくということになりますから、やり方、方法論までのご意見までを頂くとは思っていません。

○委員
 そうです。私は一応消費者ということでここに居りますので、その企業のそういう考え方を採り入れることについては、私たちはもう手がないような気がするんですけれど、ここで意見を言ってすることが役に立つわけですか。

○委員
 どういうふうなご要望をお持ちで、その安全安心に関わる目的を達成していく具体的な目標ですね、BSEであればですね先程のように検査を継続すべきとかですね、そういうような項目を出して頂いて、それをやる為に方法としてどういう方法があるか、今度は専門的な、事業者なら事業者の立場から、我々学識経験者のものは学識経験者の立場から、意見を出し合って全体として最後の意見にまとめていくということです。

○委員
 食品衛生法ですか、どこの法律に拠るのか知りませんけれど、とにかく消費者というのは義務があるということでしっかり勉強して、そして自分の意見、何かがあったらちゃんと報告するっていう消費者にも義務があるんだということはよく分かっているんですけども、私個人としては、何でも行政にして欲しい、こうすべきだというふうに言う立場、考えではないんですけれども、BSEに関しても何に関しても単純な不安というか、それがあるわけですよね。自分たちが分からないと。そしたら奈良県では検査しないんだったらやっぱり表示があったら他府県のもの、検査している県の物を買おうかっていうふうに。私だったら、少しでも分からない消費者の不安がある限りは私たちのこの奈良県の中でもしっかりとそういう不安を取り除く根拠っていうことを言う、教えるって言ったら変ですけれど。さっき言いましたように消費者は勉強しなければならないということは分かっているんですけれど、単純な不安というものはやっぱり奈良県の方で指導して頂かないとなかなか取り除きにくいなと思ったんです。
 さっき340万頭やってずっと0だったからと言われたら、あっそっかというふうに思ったんですけども、そういうことは一般の人は今のところは分かっていないような気がするんですけれも。ここでそういうことは、ちょっと私の立場としては少し立派すぎるというか。

○議長
 私の方から先に説明的に言わせて頂きますが、HACCPとかISOとかいうのは基本的に企業がやるものなので、企業外の人間がどういうふうに関与出来るのかというご質問かと思います。
 私の個人的な考え方としては、企業の専門家は専門家なんだけれども、意外と気づかない点があって、外部にいる人間の方がよく分かるというようなことがあります。そういう点をHACCP、ISOの中にも積極的に取り入れて、いわば外部評価委員とも言うべき外部の人間も入れることによってよりいいものができる。そういうふうな考え方だと思います。
 ですから消費者の立場でちょっと見当違いの意見が当然含まれるかと思うんですが、逆に非常に素晴らしい意見というのもありますので、そこら辺を積極的に取り上げていけばどうかということではないでしょうか。

○委員
 今、先生にアドバイス頂きましたご発言の内容は、私ももっともだと思います。この場というのは行政なんかに色んな意見陳情する場でもあると同時に、いわゆるリスクコミュニケーションの場でもある訳ですね。
 先程議長がおっしゃたとおりに専門はある意味において専門馬鹿ということもありまして、結構抜けている部分があるんじゃないかな、そういうところを純粋な立場から色々と消費者のご意見を頂いて、それについて当然抜けておるものであれば真摯に受け止め改善していくと、それでなければ専門的な立場においてはそれを説明していくことによってこれが安心へ繋がっていくだろうと思うんです。安心安全の定義を見ますとお互い努力するところが見えて来ないといけないのですね。それが各々の立場を代表して出席されておりますこの場における一つの目的でもあるんじゃないかなと。
 当然そのようなことで各々の立場からの発言を頂くことによって、それを懇話会としてまとめていくというところにこの懇話会の目的が一つは達成出来るのでは、こういう意味から提案させて頂いております。

○委員
 分かりました。

○委員
 提案委員のおっしゃることよく分かってますしよく理解できたと思います。
 奈良県の養鶏農業、元は養鶏協会であり養鶏組合連合会だったんですが、実は30年以前からならコープさんと産消提携するということで、特に県に指導頂いて特に安全安心の卵ということで30年前から取り組んでおります。
 ご存知の方もたくさんおられるかと思うんですけれども、卵はもともと無菌のものだったんですけれども、1986年イギリスでサルモネラSEが発見されて、産まれた時からもう卵の中にサルモネラSE菌が含まれている卵が発見されたと、我々生産者にとりまして非常に衝撃的な事件でありまして、国内でも食中毒がちょっと出たわけですね。
 それ以来サルモネラの検査をはじめ、産出検査、鶏の健康検査、血液検査を含めまして、全生産者に2ヶ月に1回抜き打ちで、抜き取り検査を実施しながら消費者の皆さんの信頼を今日まで勝ち得て続いておるわけです。卵のことですから100%確実とは言えない訳ですけども、出来る限りの努力をしながら県内産の卵、安全性を訴えて来ておるわけです。
 しかし最近だんだんと、養鶏の場合も大事業養鶏が増えまして、県内の消費のだいたい50%ぐらいしか県内産でまかなえないような状況になっていまして、非常に現在の農家養鶏は厳しい状況に追い込まれております。その中で是非ともこの卵の県内産の安全性を訴えていく面でも施策を進めて頂きたいなと思います。どうぞ宜しくお願いします。

○議長
 定刻をもう既に過ぎていますので、あと10分で終わりたいと思います。
 あと5分程この話を続けたいと思いますが、時間を少し意識して頂いてご発言をお願いしたいと思います。
 如何でしょうか。
 非常に大きな問題のご提案ですので、1、2回で済むような話ではないんですけれども、とりあえずこういう検討を始めたらどうかというようなご提案というふうに承ります。

○委員
 この趣旨賛同したいという立場で発言をします。今消費者の関心が非常に高くなっております。安全の問題、それからそれを保証する仕組みが各食品企業だとか生産者でどういう努力をされているのか、そこに関心があります。
 私どもも先般ですね、ミンチ、ひき肉の偽装事件ということで先程ミートホープ社の話題が出ておりましたけれども、大変な失敗をしたということで、この問題は加工食品が非常に多くの方々の手を通して作られているという実態に関わっておりまして、今回の商品で言えば加ト吉という取引先が北海道加ト吉という子会社を使って製造したものですが、その原料仕入先であったミートホープ社のひき肉が仕様書どおりではなかったと、北海道産という指定でなかったということで、牛肉でなかったということなんですが、今回の全国の教訓はいわゆるここに書かれております取引先の状況をしっかりと消費者は見ようと、どういう製造の実態なのか、どういうところから原料が入ってきているのか、どういふうに管理されているか、従業員がどういう状態で働いてられるかということまで含めて、今回でも地元では悪い噂がいっぱいあったわけですけれども、これをちゃんと集める仕組みがなかった、こういう話がありまして取引先の評価をしなければいけないし、従業員からも苦情とか内部告発とかがあれば受け付けれるような仕組みとか、そういう問題を広く対応する必要がある。
 顧客管理ということでいえば、ご利用者、消費者からの不満点だとかクレームだとか苦情の内容がどうであるとかということを、しっかり分析をしてですね、それでもって何を管理するのかということを決めて商品を設計し製造しなければいけないということでございます。
 結論的には今回いわゆる豚肉か牛肉かの検査を、従来は仕組みがなかったんですけれでも、この9月末から全国的に畜種検査をやる仕組みをつくります。PCRという新しい検査方式が既に開発されておりまして、比較的短期間に判定が出来るという技術が確立しておりますので、これをしっかり使って、そういうひき肉のような原料の中では非常に何%かに過ぎないんですけれども、こういうもののちゃんとした、これは出口のところの検査ですけれども、念の為やっていくことを考えています。
 あと、ここに書いていますように安全の中身としましては今いろんな要素がありまして、アレルギーの物質が含まれているとかいろんなものがあります、どこのものかということまで分かるかどうか、これは原料の仕入れ記録とか、こういうものを製造者がしっかりと自分たちでも検証して欲しいということで、内部の監査の仕組みとか、従業員からチェックをやって頂く、こういうことをしっかり状況を出して欲しいということで、そういう、調査の仕方、検査の仕方、監査の仕方を改めようということが議論されて発表されています。
 今回先生からご指摘のあります食品企業、特に奈良県内でも全国に供給されている工場がやはり数社ございまして、私この前直接に社長さんと、そういった食品企業のあり方をしっかりとやっていかないといけないですよという話し合いさせて頂いております。
 そういう立場から言いましても今回の、ISOだとかHACCPとか、色んな社会システムがあるんですけども、一番大事なことは食品の製造者と一緒に消費者が、なかなか困難な状況にあるんですけども、普段からそういうことをお互い発表しあったり交流しあったり、ネット、足を使ってですねそういうことも考えておりまして、工場の点検なんかも自ら進んでしていくという方向に見るようにしております。先生ご指摘のあります色んなハザードとリスクという考え方も改めてフードセイフティーという仕組みにまとめなおしていくと。
 今後奈良県におきましても遷都イベントもございますし、今回北海道では賞味期限の管理が実際には問題だったということで、これは以前からずっと言われていた問題なんですけれど、こういった現状があります。是非とも県の行政の方もこういう賞味期限の設定の問題だとか、県内の非常に大きくなられている食品加工場だとかそういうところがございますので、リスクの、奈良県の評判が落ちると非常に大きなダメージになると思いますので、予防的にはこういった関心をそこへもっていくこともこれから視野には入れて頂きたいというふうに考えております。

○議長
 ありがとうございます。
 他に特にご発言ございますでしょうか。基本的には委員からのこのご提案、是非進めようではないかというご賛同頂けたと思います。大きな問題であり、気を長くして継続しないといけないというふうに思います。
 それで具体的にどういうふうに進めるかということについては、主には提案委員と事務局の方でつめて頂いて、それによって各委員に協力というような話になるかと思います。とりあえず今日はこのご提案に賛同ということ、それから具体的に作業を進めるために提案委員と事務局とが中心になって話をつめて頂く、その後それに従った作業スケジュールをご検討頂くということでよろしいでしょうか。是非宜しくお願いします。
 そうしましたら随分長引いてしまいました。事務局との打ち合わせで長引けば報告はごく簡単に留めますということになっておりますので、報告がもう一つ議題としてありますが、手短によろしくお願いします。

○事務局
 それでは手短にご報告させて頂きます。今からご説明させて頂きますのは配布資料の2、3、4番、まず配布資料の2でございますが、奈良市が中核市になりまして監視指導計画を奈良県と別に策定されております、監視指導の集計についても別々に上がってきまして非常に分かりにくいということで、委員の方々からご指摘頂きましたので、今回資料3と4でそれぞれの監視指導計画の結果、先ほど国の説明させて頂きました奈良市版と奈良県版を添付させて頂いてるんですけれども、実際奈良県全体でどれだけ許可がある届出の施設数があるのかというのと、奈良県全体でどれだけ監視指導に回ったかというような数を示したものがこの資料2でございます。
 資料3でございますが、先ほど輸入のところで若干説明させて頂いたのですが、資料の3につきましては18年度の奈良県の監視指導計画の概要、こちらの方が1ページから12ページまでございます。この各自治体で監視指導計画を策定して監視指導を実施するということになりましたのが平成16年度から、この取り組みが法改正によってされておりまして3年間監視指導してまいりましたので、1ページから12ページまでは去年の報告を付けさせて頂いておりますが、13ページに先程も説明させて頂きましたように抜粋して3年間のデータをお示ししました。
 まず1番でございますが監視指導結果ということで、奈良県におきましては年間立ち入る施設を重要度の高いものから自動販売機等に至るまで、年に10施設に対して3回まわるよというところから5,6年に1回まわるというところまでランク分けして立入検査の計画を立てております。昨年の監視指導結果の概要が1番です。
 それと14ページは先程説明させて頂きましたので省略させて頂きまして、15ページが県内の保健所等に寄せられた食の相談でありますとか苦情、こちらの方を3年間取りまとめさせて頂いた集計でございます。3年間苦情は減少傾向にあるんですけれども、16ページに書かせて頂いておりますようにその苦情の内容の分類につきましてはほぼ一緒のような形でございます。
 但し今言いました苦情の件数は減っているということで、隠れたものの保健所とかへ届けてなかったウェイトが増えているということでは一概に言えなく、一番下の表に付けさせて頂いておりますように、講習会の開催、参加人数とか集会の理解度、それとホームページのアクセス件数も全て増加しておりますので、関心は増しております。
 奈良市さんにつきましても、去年の監視指導結果と3年間の同じような内容を取りまとめて提出頂いております。
 以上でございます。

○議長
 ありがとうございます。
 ご報告頂いた内容について何かご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 またゆっくりご覧頂きたいと思います。もし何か質問があれば事務局の方へ直接問い合わせて頂くということで、これで終了にさせて頂きたいと思います。
 当初12時と言っていたのが20分延長してしまいました。非常に熱心なご討論頂きましてありがとうございました。県の方も懇話会で発言された内容について十分考慮して頂きたい、また審議して頂く内容ではないかと思います。どうもありがとうございます。
 それでは事務局の方にお返しします。

○事務局
 どうもありがとうございました。今日は色々貴重なご意見出して頂いておりますので参考にさせて頂きながら、特に20ヶ月齢以下の牛に対するBSEの検査については、検討を加えてまいりたいと思います。
 それと委員から提案ございました案件につきましては、私どもと提案委員と十分に検討を加えて、どのようにやっていくのかということを踏まえて、進めて頂きたいと思いますので、宜しくお願い致します。
 今日はどうもありがとうございました。