平成29年2月16日(木)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、ただいまから知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は3件案件がございます。知事から発表していただきますので、よろしくお願いいたします。


案件:地方消費税の清算基準の見直しについて
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 きょうは発表案件が3つもございますが、順次説明して、その後、併せてご質問を受けさせていただきます。最初は、地方消費税の清算基準の見直しの奈良県の考え方の取りまとめを今の時期に行うことができました件でございます。少しややこしいですけれども、簡単にその趣旨をご説明させていただきたいと思います。

 去年、地方消費税の清算基準の見直しについて、奈良県は中央にいろいろと働きかけをいたしました。その結果だと思いますが、現行の表の中にありますけれども、販売統計の「75%」は変わっておりませんが、人口比率「15%」が「17.5%」になって、従業者比率が「10%」から「7.5%」になったという結果でございました。

 また、与党の税制改正大綱では、30年度、税制改正に向けて地方税の税収を最終消費地の都道府県により適切に帰属させるため、地方公共団体の意見を踏まえつつ統計データの利用方法等の見直しを進めるとともに、必要に応じ人口の比率を高めるなど、抜本的な方策を検討し、結論を得ることになりました。この趣旨を受けて、地方公共団体の意見として取りまとめて、これからの議論に供したいといったような内容でございます。

 地方消費税の清算基準は、地方消費税は消費地で帰属させることが大きな目的、それがないと地方消費税の根幹が揺らぐ内容でございますが、その消費地の帰属についてなかなか統計上、難しいところがあります。需要の統計があれば消費地というものははっきりわかるんですけれども、今の現状では消費の把握の相当部分を供給側の統計、販売統計によっておりますので、困難、限界があるということが基本的な問題点でございます。

 事業者の所在地で販売統計は収集されます。県民に販売したものも大阪で集計されます。そのようなデータでいろいろ勉強いたしましたが、地方消費税収は最終消費に応じて的確に各都道府県に帰属させることは、やはり限界があるのではないかという点が、現在までの勉強でわかったことでございます。

 これは、地方消費税は大変大きな額になってまいりましたし、社会保障の大きな財源になってまいりますので、その偏在という、理屈の立たないことがあれば、今後、増税に向かって問題が発生するのではないかというように、奈良県ではかねてから考えてまいりました。納得感のある税制体制、体系といいますか、配分の基準にすべきであるということが基本的な考え方でございます。それが適正にされていないということが、販売統計によっているからでございますけれども、需要統計というのはなかなか整備されないので、清算基準は販売統計によるということを当面前提にしながら、是正すべきところは是正をするということが提言の考え方の基本でございます。

 提言の内容について、簡単に申し上げます。統計データの利用方法の見直しの提言の1つ目(1.)は、清算基準における従業者比率の廃止ということでございます。代替指標を人口に統一するということを提言しております。経緯をよく調べてみましたが、従業員数をとる理由はないものと判断いたしました。

 提言の2つ目(2.)は、販売の統計データから最終消費を把握するということに限界があると思うものを幾つか、3つのパターンで上げております。最終消費地が販売統計から入手しにくいと思われるデータでございますが、例を挙げますと、店舗販売以外の販売ということで、インターネットなどでございますが、長崎のジャパネットたかたの販売は全国に散らばっておりますが、長崎の消費ということで計上される可能性があるということで、それは除外までは至りましたが、それでは、どこに帰属しているのかということが分からなかったものを、人口で帰属させることが基本ではないかということが考え方でございます。

 それは通販でございますが、通販のほかに家電・家具・寝具などでございますが、大きなメーカー、大塚家具のようなものが東京、大阪や全国の各都道府県に満遍なくあって、家具・寝具を買うときに、全て奈良で住んでいるから奈良で家電を買うというわけではなく、多少安い、大阪のヨドバシカメラで買って帰っても、消費地は明らかに奈良の住民にとっては奈良であります。ところが、その販売統計の消費地がどこかということは統計上、明確に出てこないということがわかりました。販売統計の限界ということになりますが、そのようなものは納得感がむしろ大都市に偏り過ぎる、販売地に偏り過ぎるということがわかってまいりましたので、そういうものはそのデータで配分に、清算に利用する項目から除外をして、その分は人口統計に替えていこう、人口代替に替えていこうということでございます。それがどこまで入るのかということは、統計の中身を見ながらです。

 次にサービスでございますが、社会通信とか学術研究、例えば物品の賃貸、わかりやすくはリース・レンタル業でありますと、レンタカーを借りますと消費地というのは余計わかりにくいです。旅行サービスは主にそうですけれども、どこか全国を動き回ります。あるいは学術研究の大学のサービスというのは、どこで消費が行われているかということはわかりませんので、そういうものを仕向け地といいますか、どこのサービスと考えるかということが一番大事でございます。その大学のある場所あるいは社会通信、通信などは特にそうですが、リース業で、貸し出すところが消費地というわけではないということです。そういう曖昧なものは除外をして人口統計に替えていこうということを提言しております。帰属地が販売統計からはどうもおかしいと思われるところは除外をして、人口に代替していこうということが基本的な考え方の一つでございます。

 もう一つは、非課税取引を行う消費に関するデータは除外をしたらどうかということ。これはわかりにくいかもしれませんが、卸と小売を今は分けておりません。統計は卸も小売も同じような統計になっております。非課税の場合は、例えば医療サービスは非課税になっております。最終消費は我々が払うわけですが、その間に診察機械とか検査機械は消費税を払って病院に納入されております。それは非課税になっておりますので、それまでの機械の納入はどこが消費地かということがわからないわけであります。病院で非課税になっているものや、土地の売買などは非課税になっております。その非課税の場合に、土地売買がその消費に入っていますと、何が消費なのかということが明確にならないまま消費額に計上されているという、根本的な問題点が惹起されています。それは今までもわかってはおりましたが、はっきりと仕分けをされなかった、仕組みとしてされなかった。その仕方は、販売統計のデータから除外をして、帰属地を人口にするということが基本的にいいのではないかというようなことでございます。消費地がはっきりとわからないままの統計を利用しているというのが、このパターンでございます。

 3つ目は、中間消費が排除されていないデータは、これは難しいかもしれませんが、卸と小売を分けなければいけないということが基本的な課題で、最終消費は小売になるわけですが、中間の卸の、例えば本を会社に売るとか、個人に売るのが最終消費、会社は最終消費かどうか、ということがありますが、そのような厳密な区分けがされていない。とりわけガソリンなどは、会社に売るガソリンと最終消費者である個人に売るガソリンとで、仕分けが難しいわけであります。そういうものがあるのに、一緒にデータとして入っていたということがおかしいということになりますので、中間消費が混ざって統計で出ているものは統計から排除をして、人口に置き換えることがいいんじゃないかという提言でございます。この一連の販売データで、最終消費が曖昧になったり、バイアスがかかっているものは排除して人口にしたほうが納得感があるのではないかということが、この具体的な提言1.、提言2.の内容でございます。これはどのようなデータに人口代替がふさわしいかということを統計を見ながら研究をしてきましたが、まだまだ研究をしたほうがいいような内容ではあろうかと思います。

 提言の3.でございますけれども、東京、大阪などは、近隣の方が通勤しやすいので、昼間食事をしたり、家電を買ったり、買い物して帰られる率が結構高いわけでございます。だから消費が、販売統計上、東京などに集中してしまうと。埼玉、神奈川の消費が多いということで、これは昼間人口、夜間人口の比率に類似するんじゃないかということで、昼夜間人口の比率で割るとバランスがとれるんじゃないかという内容でございます。

 提言の1.、2.、3.の内容は今ご説明したとおりでございます。販売統計の比率は75%が40%以下になるべきだという、大変ドラスティックな提言になっています。人口比率のほうは、従業員比率はやめるべきと言ってきておりますので、60%以上になります。この調査がさらに進めば、もっと上の数字になるかもしれないというような予感がするほどでございますけれども、今までの、提言2.の中での、販売データで考えた時に帰属先が、これでは少しおかしくなっているということをいろいろ調べてみますと、人口、そのような利用は除くのが、60%以上になってくるというところまでわかりましたので、清算基準案としては人口比率60%以上というように提言をこの時点でするものでございます。

 提言内容はそのように、今までの延長からは大変ドラスティックなものになっていると思います。これからその統計についての見直しもありますので、統計をどのように最終消費地がわかるような統計にしていくかということは大事なんですが、統計とはなかなか難しいものです。例えば家電の販売メーカー、ヨドバシカメラでも、その販売地、消費地はどこかということの統計が入っているんですが、何割が奈良だとか京都だとか、事業所の判断で書くことになっています。それでは裏づけデータがないので、根拠もなしに記入者が書いていてもおかしくない、あるいは消費地というのはそもそもわかりにくいと思います。店舗で購入した方に、あなたはどこにお住まいですか、と聞いて、それを積み上げているわけでもないから、勘で清算基準の消費地を決めているようにも思います。これは統計の見直しをすると、大変細かい手間がかかりますので、そちらの限界もあるのではないか、と思います。すると統計を整備するよりも、人口基準で課したほうが合理的ではないかということが、今の結論になっているものでございます。

 これから提言して説明を展開していきたいと思いますが、奈良の税制調査会のメンバーでこのように勉強しながら提言していただきましたので、それをもとに説明を開始したいということが、今日の趣旨でございます。

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案件:奈良県ドクターヘリの運航開始について
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 2つ目でございますが、ドクターヘリの運航開始でございます。

 お手元の資料では3月21日に運航開始でございます。3月19日の日曜日の午後1時30分から運航開始式を実施いたしますが、その前に、3月の2日ぐらいから調査、訓練をいたしますという行事のご案内でございます。ドクターヘリは、和歌山、三重が整備されておりまして、当時、1件30万円ぐらいの運航委託でお世話になっておりましだが、奈良は特に南部の需要が多いと思いますので、奈良県のドクターヘリも整備して、和歌山、三重と共用する、共同利用するようなやり方を考えております。

 ドクターヘリでございますので、基幹病院が必要です。基幹病院は県立医科大学の病院が基本になりますが、常駐先として南奈良総合医療センターにヘリポートを整備いたしましたので、まずそこで対応できる患者はそこに運ぶ、南奈良総合医療センターでは対応できないという重篤な患者が発生すれば、県立医科大学まで運ぶ、場合によっては奈良県総合医療センターまで運ぶということを考えております。この3病院体系とドクターヘリが準備されますと、南の方の、救急面での安心が格段に増すと期待しております。運航については、和歌山、三重と共同してやりますので、お互いに整備の期間は代わりのヘリが飛んでもらえるといったことになります。

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案件:国道24号(奈良市域、橿原市域)の渋滞対策方針をお知らせします
《資料》 (新しいウィンドウが開きます。)

知事:
 3つ目のご報告でございます。国道24号の渋滞、橿原と奈良市付近、これ奈良市付近でありますと大宮通りと三条通りの交差点、また橿原市内になりますと中和幹線とか大きな横の通りとの交差点が渋滞箇所になっております。これは京奈和自動車道の高架、立体交差化ということを今、工事を進めていただいておりますけども、まだ7年ぐらいかかる見込みでございますので、当面の渋滞対策として、国道がメインでありますので、お願いをしておりました。その内容がまとまりましたのでご報告する次第でございますが、報道資料でございますが、地図のほうがわかりやすいかと思います。国道24号の地図がございますが、朝日新聞の総局があるところですね。

朝日新聞:
 はい。

知事:
 この地図全体で、奈良の北部が大変混雑しておりますというのが1ページ目でございますが、その次で、その地図で柏木町の地図が出ております。6車線化というお願いをしておりましたが、奈良の高架橋をくぐります時に、南へ行くのが2車線、2車線で来たのが、1車線、1車線に狭まって、これで渋滞があるんじゃないかということがあります。南行きを3車線にいたしますと、降りてくる道が広がります。南行き3車線化を実現していただくというのが一つ大きなことでございます。柏木町の交差点まで3車線化をしていただきます。柏木町の交差点渋滞は、東西の通行が多いということもあり、ここの信号の長さも関係しておりますので、柏木町のこの左折、右折レーンの増設という、交差点の改良を行うことでスムーズに通す工夫をしてもらうことになりました。国道のメーンは、縦は国道で国の管理ですが、横は県道でございますし、信号の管理は県警でございますので、三者が相談して、今ここまで参りましたという報告です。

 それから、橿原市の区域でありますけれども、これも行かれると、混んでるなと思われる箇所であります。土橋と曲川と新堂ランプ、この3つが混むところでございますが、それぞれ抜本的な改善はできませんが、右折レーン、左折レーンを整備することによって、後ろに詰まるのが、少し緩和ができないかといった対策をしてもらうということでございます。

 このようなことが、国道事務所も今日ご発表になりますので、同時発表ということでございます。24号線の朝日の支局前が多少緩和されるといいと思います。特に南行きは混みますので。

 長くなりましたが、発表は以上でございます。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、発表案件に関するご質問をよろしくお願いいたします。

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質疑応答

地方消費税の清算基準の見直しについて

時事通信:
 地方消費税のところで、政府の統計改革において説明いただきました中に、知事の見立てというか見通しとしては、販売統計は、これからこの詳しい資料になるんでしょうが、標本調査になるんですか。

知事:
 よくご存じですね。

時事通信:
 そうすると、この落差がなくなってくれば、という考えですか。

知事:
 販売統計が、今の現状でも、消費地帰属の証明力が十分かということが調べた内容であります。さらに標本統計になってくると、今の需要統計の標本統計と似たことになるのではないか。それだったら需要の帰属を計るので、需要統計を利用しても同じじゃないか、大差がないじゃないかという意見は出てくるように思います。需要統計をどのように利用するかということにもなると思いますが、販売統計はやはり大変ですので、販売統計で消費地帰属まで報告させようというのは逆行することになると思います。統計の改革も、事業者の方にあまり負担をかけないようにいうことでありますので、GDPにしろ全体として正確にわかればいいということです。

 個別に正確にわかるのと、全体を正確にというのは、統計の手法が全然違うわけであります。GDPとか大きなのは、全体が正確にわかればいいというので統計改革。個別の統計に負担をかけないようにというのもその反映でありますので、この消費の帰属の販売統計を利用するというのは、個別の統計の信頼性があるからと言ってきたんです。しかし、どうもそうでもないし、また、標本統計になると余計そうでもなくなってくるというのはご指摘のとおりでありますが、それは今後どのようにその統計改革が行われるかということと、方法としては販売統計をこの消費の帰属に使えるように精緻にしようというのではない、逆のほうになってきていると思います。すると代替指標の提案ですけれども、代替的な措置を、統計上の代替措置、今度は事業統計の活用ということも考えなければいけないと思います。これはまだ県レベルで国全体の統計のどうこうというほどの勉強をまだしておりませんが、関心は持っております。

 今、方向としては、販売統計が今後どうなるか、簡素化されるという見込みがあると、余計に消費地帰属の根拠として利用しにくくなるんじゃないかという感覚は持っております。じゃあどうすればいいかということが、一つの課題であろうかと思います。思い切って人口統計にするか、需要統計をどれだけ利用できるかというのがポイントだと思います。

時事通信:
 販売統計の実態をさらに調査するということは、まだまだ今回指摘されたこと以外にも課題はありますでしょうか。

知事:
 販売統計の見直しが中央でされていますので、それから問題意識を、去年の提言とも関係して随分持ってきていただいていますので、それを教えてもらいながら、この消費地帰属にどの程度の信頼性で利用できるかどうかということを見ていきたいと思います。先ほども言いましたように、販売統計の項目の立て方にもよると思います。販売統計自身が卸と小売を分けていない統計というのは、消費税の帰属では使えないようにも思います。すると、その分は今、人口統計と言っていますが、何か違う方法があるのか。卸と小売を分けて、販売統計を出すというのは、考えてみれば難しいです。これは卸で売ったのか、最終消費、これは自分で使うんですか、他人の人が使うんですかというのは聞いて統計を作るわけではないですから、そもそも目的が違いますので、そういうようなことを、さらに勉強を進めたほうが、その精緻な仕分けができるという感じは持っていますので、引き続きの勉強はしていきたいと思います。

時事通信:
 去年の年末の取り組みというと、外野から見ていると、奈良県が孤軍奮闘しているという感じがするのですが。この年末にかけては、例えば他県との連携はどうなのかなと思いますが。

知事:
 そうですね、知事会に税財政検討小委員会がありますので、そのメンバーに、昔入っており、脱退し、もう一回入らせていただいて、そこで富山県の石井知事、本当のベテランというか見識者でおられますけれども、そこで意見を言うこともできるだろうと言われました。

 これは理屈の話ですので、「大都市から取るのか」と、大都市はそう言うと思いますけれども、そういう予算の配分ではなく、理屈をどう立てるかということを議論しましょうよという、奈良県の損得から多少離れて、基本的には奈良は消費が多いのに、消費税の配分は全国の40数位、ラストレベルということは、どうもおかしいと思います。消費のほうの消費統計といいますか、需要統計からすごく高位になっているのが、清算統計、清算の基準からすれば40数位というのは、いかにもおかしいなということから、この勉強が始まったわけでございますので、基本的には改善されると、消費の量に応じて、地方消費税帰属に応じて配分されることになると思いますが、ただ、そのためだけではなく、そういう思いを持っている県の数は多いと思いますが、ただ、全体の額が決まった中での配分、清算の基準でありますので、うちの県の税収が減るじゃないかと言われる都道府県もおられます。しかし、それは政治的調整でやるのではなく、理屈を立てないといけません。しかも社会保障経費に増税分を充てると言っておられるのだから、納得感の発生しない地方消費税の清算基準に基づく増税というのは問題ではないかということが基本的な発想であります。理屈が立つようにこのような勉強をしておりますので、ほかの県の方にも、こういう理屈のほうが真っ当じゃないですか、と訴えていきたいと思っています。

時事通信:
 基本的に知事会の枠の中でということですか。

知事:
 知事会の枠の中です。それと、税制の改正は去年、党税調の方にも説明に行きましたので、機会があれば政府等の要職の人にも直接、陳情に行きたいと思います。知事会でまとまるかどうかはちょっとわかりません。利害が対立しますので。理屈はともかく、俺は損になるから嫌だという都道府県は必ず出てくると思いますので、それで調整して持ってこいというのはおかしい話なので、理屈がいいかどうかを国で判断していただきたいということを言っております。理屈の問題だと基本的に思っております。

時事通信:
 例えば、ほかの知事さんたちと連盟的なものを作ることはお考えですか。

知事:
 政治運動化はあまりふさわしくないと思いますが、このような発信をしますと、この意見に賛成だという知事さんは結構おられます。ただ、数で決められるのかというと、調整じゃないんだから、理屈が立つかどうかよく吟味してくださいということのアピールが基本であります。奪い合いをしなさいというのはいかにもおかしい話であります。そういうことでないように、理屈が今まで少し脆弱だったように思っていましたが、やはりすごく弱いなと思います。販売統計を見ていますとそのように思ってしまいましたので、それでは、それを皆知られていない面があるので、知っていただいて、その上で理屈の立つ方策で判断してもらうのがいいんじゃないかというような、政治判断は理屈での判断というのが必要かと思います。損得で引き合いをするというのは、大変低いレベルの政治になるんじゃないかと心配しています。

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国道24号の渋滞対策スケジュールについて

朝日新聞:
 国道24号の件なんですが、これは大体のスケジュール感でいうと、どのぐらいで今後進んでいきますか。

知事:
 ああ、スケジュール書いてなかったですね。

担当課:
 詳細は、午後また説明の時間を設けます。

朝日新聞:
 わかりました。ありがとうございます。

知事:
 国道事務所と一緒に発表するようでございますので、先駆け発表で、スケジュール感が書いてなかったですね。そんなに時間はかからない工事だと思います。

司会:
 それでは、その他の事項も含めてご質問よろしくお願いします。

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関西広域連合のドクターヘリとの関係について

奈良新聞:
 ドクターヘリですけれども、関西広域連合のドクターヘリとの関係というのは、何か変わるんですか。

知事:
 変わらないですね。関西広域連合が運航主体とされましたけれども、結局、実態的には大阪府のドクターヘリのような感じ、しかも鳥取と兵庫は北のほうの北但馬のほうでされています。やっぱり地域性がありますので、北但馬のほうのドクターヘリと共同するというのも、場所が離れていますので、共同できるのは和歌山、三重が一番良いと思います。ドクターヘリの利用頻度が多いのは紀伊半島の南部だと思いますので、やはり和歌山、三重で十分だと思います。

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ドクターヘリ運航開始式の詳細及び運航頻度について

奈良テレビ:
 ドクターヘリの件でもう一件。この運航開始式というのは、どのあたりで、どのようなことが行われるんでしょうか。

知事:
 運航開始式は、南奈良総合医療センターです。

知事:
 あわせて、今日、川上村とまちづくりの協定を締結いたしますが、十津川もそうですけれども、今、まちづくりで点検・注意しておりますのは、ドクターヘリの離発着所は新しいまちのそばに置いたほうが良いですが、可能ですか、ということを言っております。南で新集落をつくられるときに、ドクターヘリの発着所がすぐそばにあると、年をとられると、そこに住まいを集められてケアのある地域集落をつくるという目的になった集落もできかけております。ドクターヘリを呼ぶのに躊躇されなくてもいいんです。南のおばあさんはいつも救急車を呼ばずに、ヘリコプターを呼んだほうがいいというようにけしかけているんですけども、それはそのほうが効率的になるからで、もちろん救急車と同じですから無料でありますし、無料だからわざわざ病院まで運んでくれということではないですが、高齢になられますと急変対応が大きな課題になりますので、すぐヘリコプターが来てくれて、すぐ病院に運んでくれるというサービスが必要です。今まで、山の中で救急車で病院まで運んだ場合、平均して往復に1時間以上かかります。病院も少ないですので、それが激減する、時間が極めて短くなることを望んでいますが、そのようになると思いますので、そのときは、着いてから集落からおばあちゃんをおろして来るのではなく、なるべくヘリポートのあるところに住んでいてもらうことができたらと、今まちづくりのほうでも研究しています。

奈良テレビ:
 運航の頻度はどれぐらいになると見込んでいらっしゃいますか。

知事:
 年間、和歌山だと300回を超えております。年間200回、250回を超える程度でもいいなと思っております。

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イラン副大統領との会談について

NHK:
 知事、きのうイランの副大統領と会談されましたけれども、終わった後の財団側からの話だと、観光と文化の面で何か奈良県がお役に立てるのではないか、そのような何か具体的な協力の話があったようなことだったんですが、内容をもう一度聞かせてください。

知事:
 そうですね、イランの副大統領は女性の活躍促進のご担当だということで、奈良県に訪問されて、女性が一緒にたくさん来られていました。食事会でご紹介あったんですけれども、すごく学歴の高い女性ばかりで、ご自身も女性副大統領でありますけれども、イランでこんなに女性が活躍しているんだということを感じました。今、県政・経済記者クラブは女性も活躍されているのでうれしいなと思います。女性の活躍推進がメインですが、奈良とペルシャの歴史と文化のつながりを、資料をつくってご紹介いたしました。それにはびっくりされておられました。

 そのような観点で、シルクロードの東の端というのは奈良、飛鳥など、シルクロードの中心地は、中央アジアのペルシャ、シルクロードの西の端がローマとか、そんなふうにあったわけで、シルクが来ただけではなく、仏像が来た、宗教が来たというのがシルクロードであり、その長年の恩恵を日本民族は受けているわけです。昔の交流の跡をたどるというのはとても意義がある。文化的な意義があります。シルクロードの旅というのは、一時はやったんですけれども、その後、中央アジアや中東がなかなか行きにくいというイメージがあって途絶えてしまいました。途絶えるというと大げさですが、とても少なくなってしまった。もう一度シルクロードの観光をテーマに、奈良県としても働きをしてもいいですよと言ったら、とても喜んでおられました。

 もう少し言うと、私が運輸省の観光部長の時に世界観光大臣会議をしたり、今はUNWTOという国連の観光の専門機関のアジア太平洋センターが奈良にありますので、そのテーマの一つとしてシルクロード観光というのは取り上げられてきておりますが、もう少し力強くする後押しをするという役目がもしかしたらあるかもしれないと思って、シルクロード観光をさらに奨励するのはいかがですかと言ったら、ぜひ、ということでございました。これは観光交流ということであります。

 もう一つは、文化の面では、松本清張さんではないですが、ゾロアスターの影響が奈良にあるということを、盛んにこの証拠として言いました。ソグド人、ゾロアスター教、それと二月堂の達陀(だったん)のような宗教風習、宗教儀礼があることは、思えば不思議であります。ササン朝ペルシャが滅びたのが651年でありますけれども、県にペルシャ人らしき人が来ていたのが660年、斉明天皇の時代ということです。滅びたすぐ後に長安に行かれた形跡がありますが、それが奈良まで来られたのではないかと思います。これは推察も入っておりますが、そのようなことがあるのと、ゾロアスター教は別にソグド人が持ってきたんじゃないかという、二つのルートがあります。ソグド人の証拠は、高松塚のスカートです。あれはソグド人のスカートであることは、明確になってきました。高松塚のイメージが湧かないと思いますが、奈良の田舎のほうにあんなきれいなソグド人のスカートの壁画があることは、本当に驚くべきことだと思います。

 そういうことの文化の、非常にユーラシアの広い文化の交流があった証拠が奈良にあるというのはすごいことでありますが、それをネタというか元手にすると、文化の面でできるのは、発掘の協力や観光交流とは別に、文化財のこと、昔、江上波夫さんや、井上靖さん、平山郁夫さんが何度もあの辺りへ行って、そのかけらを収集されました。江上波夫さんが収集されたものが奈良県のシルクロード交流館にあるんですが、副大統領は見に行っておられないと思いますが、どの程度の値打ちかわからないです。江上波夫さん、あの辺りに行くととても収集がうまくて、毎日荷物を持って帰ってこられたと井上靖さんが言っておられました。「江上はとにかく物集めがうまいんだ、がらくたばっかり持って帰って」というような言い方をされているのを、私は直接聞きました。

 奈良県はシルクロードの東の端、そういうコンセプトがあるから、何か今の文化の維持、文化資源の活用で協力できますか、というと、ゾロアスターにはとても興味がありますし、中央アジアの宗教というのも、奈良としては興味があります。毘沙門天は中央アジアの神様で、ヴィシュヌという名前の神様でありますけれども、そのような神様が、毘沙門天という、四天王に漢字の名前をつけて奈良にあらわれたというのは、どういう経緯で来られたんだろうかと、不思議でしようがないです。そのような、中央アジアは宗教のるつぼのように混ざって、長安から国際国家、隋、唐の時代に奈良が隆盛だったので、一挙に来たというように想像できます。これがまた不思議なことでありますが、そういう文化認識をもう少し明確にする役目が奈良にあるのではないかなと思います。大変広いユーラシアの交流の中で、奈良の今の文化財が、特に仏像などが残っていると思われます。

 それを向こうの文化財の発掘というものを通じて協力するというのも、向こうの観光資源の発掘にもつながりますので、ゾロアスターばかりではありませんが、イスラムも大変きれいな寺院がありますけれども、シルクロードとなると、やはりギリシャの関係、中央アジアの神様、ゾロアスターという摩訶不思議な関係がある。「摩訶」というのも、昔は「maha」と言っていた音ですが、摩訶般若波羅蜜多の摩訶ですが、不思議なことがいろいろあるのを奈良として文化資源として発掘、証明していくきっかけになればというので、協力もさせていただきたいと申し入れました。

NHK:
 今後イランという国と奈良県が協定を結ぶなど、そういう具体的なことになってくるんですか。

知事:
 そこまで発展するかもしれませんが、まだこれから業績を積み上げてということになります。

NHK:
 今の時点で、例えば橿原考古学研究所や観光部局に、何か指示をされましたか。

知事:
 そうですね、橿原考古学研究所の所長は昨日、夜の食事に来てもらいました。彼らは青木先生というイスラム関係の先生も知り合いになって、昨日来てもらいましたが、ウズベキスタンとか、ゾロアスターの遺跡の調査に行っていただいているんです。ゾロアスターは大変古い宗教でありますが、宗教の原形になっております。中陰というのもゾロアスターの概念であります。佐保川は「サッポ」という、ソグド人の集団をサッポウと言っていたんですけれども、それが佐保になっているんじゃないかと、これは荒井説ですけれども。ソグド人というのは、ペルシャ人に並ぶような民族であります。唐招提寺の4代目管長がソグド人ですね、安如宝(あんにょほう)という人です。それはもう明確な証拠がありますので、青い目をした管長さん、鑑真さんが連れてきたソグド人、仏教徒であります。

 そのような不思議なことが奈良でありますので、そういう古い宗教の発掘というのは、中東を安定させるためにも、古いものも大事にするという風習が復活すれば良いのではないかと思います。イスラムも「共存」ということを言っているんだと副大統領はおっしゃっていましたので、破壊ではなく共存だと、基本的にはとおっしゃっていましたので、そういう文化の交流をすると、イスラム教に対する我々の理解も深まるんじゃないかというふうに思います。そういう地味な交流の貢献がもしできるようであれば、協力を惜しみませんと言ったら喜んでおられたので、ぜひ進めたいと思います。日本財団もそういうことをやってこられたので、日本財団のフレームで奈良県も協力してもらいたいというふうな、日本財団の中の笹川平和財団という財団ですけど、その理事長が来られて、そうおっしゃっていました。

 それと印象深かったのは、イランの民主化が進んでいるというのと、女性の活躍が進んでいることです。女性がみんなベールをかぶっておられるかというと、そうではなく、とてもオープンになっておられる。働く女性も多いというような印象ですので、伝わってくるイメージと全く違います。報道はどちらかというとアメリカ経由であり、アメリカはイランをいじめていますので、そちらから回ってくる情報は、とてもイランがいいイメージで伝わってきません。けれども、また違う情報もあるんじゃないかというふうな予感がいたします。イランへぜひ来てくださいとおっしゃっいましたけど、なかなか行けるかどうかわかりません。しかし、そのような協力、貢献ができる心がけをしたいと思います。文化、観光、それとシルクロードというコンセプト、UNWTOの活用といったようなことが、奈良県でできるフィールドになるかなと思います。

 昨日、副大統領は同志社大学へ行って講演されて、女性の活躍というテーマで、同志社大学の学生さんがとても活発に質問をされたと。日本人の方は余りこう質問されないんだけども、同志社大学の女子学生が随分たくさん質問されたというので、財団の人も副大統領も喜んでおられました。

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女性の活躍に関するイラン副大統領との会談内容について

NHK:
 奈良の女性活躍については、どういうふうに説明されたんですか。

知事:
 その話もしました。奈良の女性の就業率が全国で、都道府県別で一番低い。出生率も40位ぐらいで、女性の活躍が少ない県だからこそ関心を持っているということ。女性の活躍の阻害要因を調べましたが、一つが伝統的に役割分担意識があるようです。特に男性のほうが、女性は働きに行かなくてもいいんだ、学歴を求めなくてもいいんだというような役割分担意識の統計が、奈良の男性はとても高い率で出ているんです。だからメンタルな面がとても影響を及ぼしているようにも思いますと申し上げたら、それはイランも同じだけれども、とても開明的になってきていますよということをおっしゃっていました。すごいなという印象です。

 平和財団の理事長が、テヘランには何度も行きましたが、まちに行くと女性が闊歩されているのでびっくりしますよと、百聞は一見にしかずですよというようなご紹介をされました。今回来られた女性の勢いを見ても、とても女性が伸び伸びとされているように思いました。奈良も女性は伸び伸びとされていますが、就職の場所が少ない。これは女性だけではありませんが、産業の基盤といいますか、就職場所を整備するというのも県の大きな役目です。これは民間に任せていたということが実情ですが、そうではなく、地域政府が努力に努力をして働く場所をつくるというのは大きな課題のように思ってきておりましたが、そのようなこと、特に女性の活躍する場所を、社会的だけではなく、経済的に活躍する場所をどのようにつくるかが大きな課題だと思います、と会談のときの話をいたしました。

 それはイランも同じことで、経済対策ということで、大きな課題だとおっしゃっていました。まちでは小売に従事している女性は少ないです。会社の幹部とか専門職には女性の登用が目立ってくるんじゃないかと思います。だから女性の活躍の場所を、まちの中での小売とか売り子というような、あるいはホテルの従業員などを超えて、専門職の雇用というように仕立てていくのも一つの大きな、奈良でどのように達成するかというのは大きな課題だと思っていますので、女性の活躍についてはむしろ教えてほしいというか、その担当の副大統領でありますので、その面での関心は特段お強い。イランの国を興すのは女性だと、それは日本も同じですと言って波長を合わせておりました。そのとおりだと思います。国を立てるのは女性だと。

司会:
 そのほか、よろしいでしょうか。
 幹事社さん、よろしいでしょうか。
 それでは、これで知事定例記者会見を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

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