出会う 奈良県歴史文化資源データベース

蛇穴の蛇曳き汁掛け祭り さらぎのじゃひきしるかけまつり

記入年月日 2017/09/06

蛇曳き汁掛け祭りの様子
藁で作られた大蛇
所在地
奈良県御所市蛇穴540 野口神社
区分
民俗 | 無形民俗文化財
指定内容
市指定無形民俗文化財

※各歴史文化資源へのご訪問の際は公開日・公開時間・料金等を別途ご確認ください。

歴史文化資源の概要
江戸時代の文化年間には確実に行われていた祭礼です。 田植え初めの時期に五穀豊穣を祈願して行われるこの祭礼は、藁で長さ10m以上もの大蛇を作り、集落内を曳きまわして各家の前で大きく揺さぶり囃したてます。 以前は味噌汁を見物人に掛ける作法があったといい、大変珍しい内容といえます。 地元には役行者に結びつけた起源説話もあり、奈良盆地南部の野神祭りの典型として重要な祭礼です。 平成26年(2014年)に市の無形民俗文化財に指定されました。
地域にとって大切な歴史文化資源である、その理由
江戸時代より続けられてきた伝統ある祭りであり、地元にとっても人間関係の希薄化が進む現代にあって、地域住民のつながりを強くする祭りとして非常に大切な行事です。 またこの行事には、毎年多くの見学者が訪れており、観光・地域活性化の面でも大きな役割を果たしています。
当資源と関連する歴史上の人物とその概要
行事の起源説話において役行者が登場します。 役行者(役小角)は、御所市茅原で生まれた飛鳥~奈良時代に実在した呪術者であり、修験道の開祖とされている人物です。御所市に所在する葛城山や金剛山の中で修業したといわれており、古文書の中でも鬼神を操る姿が様々に描かれています。
当資源と関連する文献史料
奈良県教育委員会 1986年『大和の野神行事(下)』
当資源と関連する伝承
地元に伝わる起源説話として以下のようなものがあります。 「近隣の長者の娘が、役行者に恋をしたがふり向きもされなかったことから、蛇身に化けて後を追った。驚いた村人がその蛇に味噌汁をぶっかけたところ蛇は穴に隠れた。それからは娘の供養に野口大明神と崇め、祭典では汁掛け行事を行う。」
他地域の関連する歴史文化資源
大和の野神行事としての類例は、現在約40箇所が知られており、そのうち藁で蛇を作る例は約半数です。橿原市地黄のスミつけ祭り(県指定無形民俗文化財)や天理市新泉の一本木サン(市指定無形民俗文化財)、川西町下永のキョウ(町指定無形民俗文化財)などがあります。
問い合わせ先
御所市教育委員会文化財課
電話番号
0745-60-1608

掲載されております歴史文化資源の情報は、その歴史文化資源が地域にとって大切であると考えておられる市町村、所有者、地域の方々により作成いただいたものです。
見解・学説等の相違については、ご了承ください。