出会う 奈良県歴史文化資源データベース

矢部の綱かけ やべのつなかけ

記入年月日 2017/10/06

矢部の綱かけ
綱の巡行
所在地
奈良県磯城郡田原本町大字矢部
区分
民俗 | 無形民俗文化財
指定内容
町指定無形民俗文化財

※各歴史文化資源へのご訪問の際は公開日・公開時間・料金等を別途ご確認ください。

歴史文化資源の概要
 矢部の綱かけは毎年5月5日に、当地の各班の当屋を中心に行われる行事です。 当日は村の役員や綱を持つ人達が伊勢音頭をはやしながら、当屋宅を出発して村中を練り歩きます。 ミニチュアの農具や牛の図の木版刷り、稲苗を入れた竹かごが綱の先頭に付けられ、慶事のあった家には綱を持ち込んで家人に巻きつけます。  最後に集落の南の小字ツナカケにある木に綱がかけられます。参加者は、かけられた綱の前に整列し、僧侶が導師となって経が唱えられます。終了後、ミニチュアの農具と牛の図の木版刷りが各戸に配られます。
地域にとって大切な歴史文化資源である、その理由
 この行事がいつ頃から行われているかは不明ですが、綱をかける場所の小字名がツナカケであることから、明治以前に遡ると思われます。  綱やミニチュアの農具(カラスキ、マグワ、スキ、クワ)、牛の図の木版刷り、供えられる稲苗や、綱をかける場所に村落の重要な農業用水路があることから、この行事には豊作祈願を主体とする農耕儀礼の側面が強く見られます。また、綱を人に巻きつける呪術的行為などからも、古風な民間宗教儀礼がよくとどめられており、貴重です。
当資源と関連する文献史料
『和州祭礼記』『田原本の年中行事』『大和の野神行事(上)』 『田原本町史』『田原本町文化財調査年報 25』
当資源と関連する伝承
 綱かけをする木を破損するとタタリがあると言われています。また、昼(12時)までに綱をかけ終えなければいけません。
他地域の関連する歴史文化資源
 奈良盆地には農耕儀礼として、野神行事が行われている地域があります。田原本町の周辺ではノガミや蛇巻、綱かけという名の行事が多く確認され、矢部の綱かけもそれら野神行事のひとつと考えられます。
問い合わせ先
田原本町教育委員会事務局 文化財保存課
電話番号
0744-32-4404

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