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木造薬師如来坐像 もくぞうやくしにょらいざぞう

記入年月日 2022/04/21

木造薬師如来坐像
尊顔
所在地
大和高田市南本町7-17
区分
彫刻 | 神像・仏像
指定内容
市指定有形文化財

※各歴史文化資源へのご訪問の際は公開日・公開時間・料金等を別途ご確認ください。

歴史文化資源の概要
 長谷本寺は初瀬街道(横大路)に面して所在する寺院で、本尊の木造十一面観音立像および兜跋毘沙門天立像は県指定有形文化財に指定されています。
 木造薬師如来坐像は境内の薬師堂に祀られています。かつては街道傍らに薬師堂があり、本像はその本尊と伝えられますが、一般的な薬師如来と異なり、定印を結ぶことや改造の痕跡が多い現況からは当初からの尊格を伝えているか不明です。本像の頭体幹部は前面と後面で表現が異なり、後面材の粗削りで粒が大きい螺髪や平面的な背中は前面材の温和な表現とは一線を画します。耳は左右で時代が異なり、右耳の耳廓が鎬立つ形は平安時代中期の像に通じます。後面材のみが広葉樹とみられる材を用いるのも時代の違いに起因するとみられ、古像の背面のみを生かして他の箇所を補ったものと考えられます(寄木造り)。後面材の内刳りや割首も補修の際に行われたものと思われます。表面には漆箔が施されています。制作年代は平安時代と考えられます。
地域にとって大切な歴史文化資源である、その理由
 平安時代中期に遡る十一面観音立像と兜跋毘沙門天立像が伝来しますが、本像も当初部分はこれらの像と近い時代に製作されたとみられ貴重です。加えて、中世以降、浄土信仰の拡大に伴って真言系寺院が衰退していく中、当地域に残された本像は貴重であり、仏教が大和にどのように展開していったかを考究するうえでも重要です。また、本像は各時代に補修を重ねながら今日まで伝来した古像であり、初瀬街道(横大路)が東西に貫く大和高田市の歴史を伝える遺品として高い価値を有します。現在は宗教法人長谷本寺および関係者によって大切に管理されています。
問い合わせ先
大和高田市教育委員会事務局教育部生涯学習課
電話番号
0745-53-6264

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