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石舞台古墳 いしぶたいこふん

記入年月日 2023/10/13

石舞台古墳
石舞台古墳石室内部
所在地
明日香村大字島庄・祝戸
区分
遺跡 | 古墳
指定内容
国指定特別史跡

※各歴史文化資源へのご訪問の際は公開日・公開時間・料金等を別途ご確認ください。

歴史文化資源の概要
 石舞台古墳は、明日香村島庄に所在する自然石巨石を積み上げた横穴式石室墳です。我が国において屈指の巨石墳で、現在、古墳は国営飛鳥歴史公園内に史跡公園としてあり、墳丘土がないことにより石室の組み方がわかることから、飛鳥のランドマーク的存在となっています。
石舞台古墳は古くから墳丘上部の封土を失い、石室の天井石を露出させていたらしく、各種の文献にその記述がみえます。もっとも古い時期のものは宝暦元(1751)年の『古跡略考』で、「嶋圧村 石塚 内方二間外東亜四間余南北六間余石太屋といふ陵にや…」とあります。また明和 9(1772)年の本居宣長による『管笠日記』にも「嶋の庄といふ所には。推古天皇の御陵とて。つかのうへに岩屋あり。」との記述があります。嘉永元(1848)年の暁鐘成の『西国三十三所名所図会』には、松川半山、浦川公佐による絵とともに、「島荘村の道の傍田圃の中にあり。(略)高さおよそ二間ばかり、周およそ十間ばかり。大石を以て積みかさねしものなり。伝えて云う、天武天皇を仮に葬り奉りし古趾なりとぞ…」とあります。
 古墳の封土は羨道の天井部の位置まで失っていて、昭和 8 (1933)年での状況は水田の中に玄室の天井石だけがみえる状況でしたが、昭和 8・10(1935)年の発掘調査により墳丘の下部は方形を呈することが確認され、昭和 37 (1962)年及び 59 (1984)年の保存整備により、墳丘及び空濠・外堤等が掘り出され、復元されています。
 これまでの調査成果より、墳丘は一辺約 55m の方形を呈しており、その周囲に幅 5.9~8.4mの空濠があり、斜面に石を貼っています。さらに外側には上面幅 7m の堤が巡ります。このことから、石舞台古墳は空濠・外堤を有する方墳であることがわかりますが、墳丘の上部が方形であったのか、円形であったのか、つまり方墳であったのか、上円下方墳であったのか明らかではありません。
 石室は玄室と羨道からなる両袖式横穴式石室で、玄室は長さ 7.5m、幅 3.48m、高さ 4.70m、羨道は長さ ll.5m、幅 2.6m、高さ 2.4m です。石室全長は 19.08m となります。玄室奥壁は二段積み、側壁は 3 段積みです。天井石は前石が大きく、推定 77 トンにもなる巨石を使用しています。玄室床面には三方の壁際に開渠の排水溝が巡っていますが、中央で小石を詰めた暗渠となって羨道を貫いています。石室は本来の墳丘土が除去され、石室の組み方が外観できるようになっています。
 石室内からは凝灰岩片が出土しており、本来は家形石棺が安置されていたものと推定されます。石舞台古墳は外堤の下層から 6 世紀後半から末にかけての小古墳が検出されており、これらを潰して造られていて、石舞台古墳の築造時期は、石室の構造等から 7 世紀前半と考えられます。
 古墳の被葬者は、古墳の規模や築造時期、島庄という地域、他の古墳を潰してまで造営できる有力者であることから、蘇我馬子の桃原墓の可能性が高いと考えられています。また石舞台古墳に隣接する島庄遺跡では 7 世紀前半の大型掘立柱建物と方形池が検出されており、これが『日本書紀』推古 天皇34 年の条にある「飛鳥河の傍に家せり。仍ち庭の中に小なる池を開けり、仍りて小なる嶋を池の中に興く、故、時の人、嶋大臣と曰ふ。」の記述と合致する可能性が高いことから、周辺が馬子の支配下にあったことがわかります。
地域にとって大切な歴史文化資源である、その理由
 江戸時代から観光名所として認識されており、現在も本村のランドマーク的存在となっています。本村内に所在する遺跡の中でも最多の来場者を誇っています。
「記紀・万葉集」との関連とその概要
石舞台古墳が所在する地が現在も島庄と呼称されており、蘇我馬子が居住したとされる「嶋」との関連性が窺えることに加え、石室の年代観から7世紀前半頃の造営であることが推測されることから、『日本書紀』推古天皇34年の条に記されている蘇我馬子の「桃原墓」と考えられています。
当資源と関連する歴史上の人物とその概要
石舞台古墳の被葬者が蘇我馬子であることが古くから指摘されています。さらに蘇我氏一族が傍らで駐在しながら古墳を造営したことが『日本書紀』に記されており、様々な歴史上の人物を想像することができます。
当資源と関連する文献史料
『日本書紀』
当資源と関連する伝承
古墳の名称である石舞台は、狐が女性の姿に化けて古墳の上で踊ったことに由来するという説があります。
他地域の関連する歴史文化資源
石室の構造が類似する古墳として、桜井市に所在する谷首古墳などがあります。他にも石舞台古墳と同様に石室石材が露出しているが他地域に点在しており、その●●の石舞台などと親しまれている事例もあります。
問い合わせ先
明日香村教育委員会事務局文化財課
電話番号
0744-54-5600

掲載されております歴史文化資源の情報は、その歴史文化資源が地域にとって大切であると考えておられる市町村、所有者、地域の方々により作成いただいたものです。
見解・学説等の相違については、ご了承ください。