イチゴの病害

イチゴの病害

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疫病

被害の特徴と発生形態

疫病罹病株のクラウンは外面から中心部に向かって褐色している。根腐病罹病株の根の中心柱が赤褐色になる。病原菌は卵胞子の形態で土壌中に生存し、遊走子を放出し伝染する。疫病は気温30℃前後の高温時に発病が多い。発病株は昼間しおれ、朝夕にはしおれが軽くなる。根腐病は気温22℃前後の比較的低温時に発病しやすい。慢性型では定植後生育が進まず、下葉から葉の縁が紫赤または紫褐変して枯れ上がり、青枯れの状態となる。


灰色かび病

被害の特徴と発生形態

主として果実に発生し、褐色の病班に灰色のかびを生じる。菌核又は菌糸で越冬し、翌年胞子を飛散して主として花弁、柱頭に感染し幼果が侵される。老化葉・枯死葉は最初の伝染源となりやすい。促成・半促成栽培では開花期から発生が始まる。イチゴ以外の多くの植物に寄生し、気温20℃前後でハウス内の多湿が続くと発生しやすい。


うどんこ病

被害の特徴と発生形態

葉の裏面や果面に白い霜のようなかびを生じる。春先4月~5月及び9月~10月頃に葉に発生し始め、風媒により蔓延し、開花期以降では、がく・果梗・果実に発生する。盛夏には病原菌は被害葉内の菌糸で越夏し、気温の低下と共に再び増殖し始める。一般に湿度が高いほど発病しやすい傾向にあるが、乾燥状態でも発生は多い。


炭そ病

被害の特徴と発生形態

ランナーや葉柄に黒色で細長くへこんだ斑点を葉には円形黒色班を生じる。根冠の外側から内側に向って褐変して株は萎ちょうする。仮植床では7~9月、本圃ではビニル被覆後の高温時に発生が多い。ランナー・葉柄ではややくぼんだ黒色の紡錘形病斑となり、クラウンでは托葉から内部に向かって暗褐色に腐敗する。伝染源は発病親株による場合と土壌中に残った発病残さによる場合がある。病斑部に形成された胞子が雨のしぶきなどにより飛散し、伝染する。


芽枯病

被害の特徴と発生形態

新芽、葉柄基部が侵されて褐色し、葉はしおれて枯死する。病原菌は土中で菌糸や菌核で生存しており、気温22℃前後、多湿条件下で発生する。
特に植え付け後、過乾過湿、肥料あたり等生育障害を受けた場合に多発する。被害部には後に灰色かび病菌が寄生しやすい。


萎黄病

被害の特徴と発生形態

はじめ小葉の1枚が黄化し小型になる。クラウンを切断すると褐色している。病原菌は主に厚膜胞子の形態で土壌中に生存し、伝染源となる。発病最適地温は25~30℃で仮植床では7~9月、本圃では3月以降被害が大きい。軽症であっても被害株を親株に使用すると病原菌がランナーを通じて移行し、子苗全部に感染する。


黒色根腐れ病

被害の特徴と発生形態

根が赤褐色から黒褐色に変色し、地上部は生育停止、萎凋する。株疲れ・肥料当たり等不適切な栽培管理で発病が助長される。土壌伝染する。


菌核病

被害の特徴と発生形態

果実・果梗などがはじめ水浸状に腐敗し、後に白色菌糸を生じ、菌糸が集まった白色塊から黒色の菌核が形成される。多犯性の菌で、発病は18~20℃の比較的低温、多湿条件で多発する。病原菌は菌核で越冬・越夏し、春・秋にキノコ状の子のう盤から子のう胞子を飛散させる。


じゃのめ病

被害の特徴と発生形態

主に葉に発生し、葉柄・ランナーも犯す。葉では最初紫色の斑点を生じ、後に拡大して周辺部は紫褐色、中央部は灰白色となる。春・秋期に露地栽培で発生が多い。病原菌は被害残さと共に越冬し、翌春降雨により拡大する。


葉枯病

被害の特徴と発生形態

葉・葉柄・がくに発生する。葉では紫褐色の斑点を生じ、やがて葉全体が黄~褐色に変色し枯死する。枯死葉の表面には小黒粒(分生子層)が見られる。病原菌は被害残さで越冬し、翌春分生胞子が飛散して伝染する。比較的低温期の肥料切れした下葉に発生しやすい。


青枯病

被害の特徴と発生形態

株全体が青枯れ状に萎凋枯死するが、症状の軽いものは気温の低下と共に回復する。病原菌は多犯性の細菌で、ナス科の他多くの植物を犯す。病原菌は土壌に棲息し、移植等で生じた根の傷口から侵入するほか、剪定等のハサミでも伝染する。


輪紋病

被害の特徴と発生形態

葉・葉柄・ランナーに発生し、葉では初期紫褐色の斑点で、後に拡大して輪紋を生じた大型病班となり枯れ上がる。古くなった病斑上には黒色小粒点(柄子殻)を生ずる。病原菌は被害葉の柄子殻で越冬し、梅雨期から降雨により柄胞子が拡散する。


ウィルス病

被害の特徴と発生形態

主なウイルスはストロベリー・モトル・ウイルス(SMoV)、ストロベリー・ベインバンデング・ウイルス(SVbV)、ストロベリー・マイルド・イエロウ・エッジ・ウイルス(SMYEV)、ストロベリー・クリンクル・ウイルス(SCrV)があり、いずれもアブラムシ伝染する。これらウイルスの重複感染により草勢の減退、生産力の低下が著しくなる。


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