日本の国造りに励む大国主神(おおくにぬしのかみ)のところへ、海を照らしてやって来た神が協力を申し出ます。この神、大物主神(おおものぬしのかみ)を大国主神が三輪山に祀り、国造りが完成したと『古事記』に記されています。 大神神社のご祭神は大物主神。ご神体は三輪山です。神が神を祀ったとされる我が国最古の社と称され、国の成り立ちを記した『古事記』の要所にたびたび登場します。 その一つが大物主神の神婚伝承。初代天皇とされる神武天皇の皇后は「三輪の神の娘」でした。矢に姿を変えた大物主神が川伝いに恋する乙女のもとへと流れ、夫婦となって生まれた姫君です。神武天皇は笹ゆりが咲く狭井河(さいがわ)のほとりでこの姫を見初(みそ)めて結ばれました。 またその後、崇神(すじん)天皇の時代に国が滅びるほどの疾病が流行(はや)ったときも、大物主神が現れます。大物主神の子孫、意冨多々泥古(おおたたねこ)が大物主神をお祀りすることで疾病は止み、国は平和を取り戻しました。 境内には今も笹ゆりが咲き、薬井戸がある摂社の狭井(さい)神社とともに、疾病平癒の鎮花祭を行っています。 国のまほろば、大和国一宮の大神神社には、このほかにも幾多の神話伝承が伝わります。国造りの神様は、遥かな時を超え、医薬や酒造、縁結びなど暮らし全般の守り神として人々に親しまれています。
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