令和3年5月12日(水曜日)知事定例記者会見

司会:
 おはようございます。
 それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。

 初めに、本日の発表案件が2件ございます。1点目は、新型コロナウイルス感染防止等を行う宿泊施設の認証制度の創設について、2点目は、高齢者の新型コロナワクチン接種の終了時期についてでございます。
 それでは、知事、よろしくお願いいたします。



【案件】新型コロナウイルス感染防止等を行う宿泊施設の認証制度の創設について

《資料》


知事:
 それでは、お知らせが急遽になって申し訳ございませんでしたが、コロナ対策の2つの措置について発表させていただきます。

 1つは、宿泊施設の認証制度でございます。

 国から宿泊施設の感染防止対策の補助金が4月30日に出ております。それについて、昨日か一昨日、近畿運輸局長から、赤羽大臣から国交省の感染防止対策への支援、各県の知事ということだと思いますが、いろいろ検討を深めてもらえという指示があったと電話がありまして、同時にその資料を点検いたしました。宿泊事業者の感染防止対策について国交省の支援に沿ってやりますよという返事をしたのと、県は宿泊施設の認証制度以外に、飲食店の認証制度を出していますので、それと同等の宿泊施設の認証制度を導入したいということを、逆にこちらから返事をいたしました。それに基づいて急遽でありましたが、担当に検討をしてもらったのが今日の発表資料になっております。

 資料に概略が書いてあります。ガイドラインの内容は補助制度との裏腹ですが、アイデアが要るということで、ガイドラインをつくります。認証基準は県の専門家の意見も踏まえて、県独自というほどの独自性はないと思いますが、国の考え方、補助対象になるようなことにも適合した方がいいかと思いますので、それに沿ってガイドラインをつくって、感染防止対策を実施するというのが支援の内容でございます。実施される宿泊施設に県が、ゴールデンプレートですよ、プラチナプレートですよということを認証して、安全・安心の確認をしてもらうというのが一つの大きなことでございます。

 奈良県は、宿泊施設の数が大変少なくて全国最下位レベルでございますが、ホテルが大体300、宿泊施設の約半分が簡易宿泊所なんですが、合わせて742施設あります。旅館、ホテルが全国最下位レベルですが、392施設あります。簡易宿所というのが350施設あります。合わせて742施設でございます。

 導入時期については、6月初旬をめどに認証制度の開始をしたいと思います。目標は、奈良のお宿の安全・安心を認証制度で確認をしていただいて、それを推進することになります。飲食店の認証制度と同じように、現地確認を外部委託事業者にしてもらうところは県が同行する、市町村にご負担はかけないようにするという仕組みにしております。市町村に、地元の宿泊施設にこういう制度ができたからと監視をしていただくのはありがたいと思っております。

 その支援の内容でございますが、感染防止対策の強化という、いろんなことをしていただいたのに対して補助金を出しますということで、補助対象になるのは、資料の下の方に物品の購入とかサーモグラフィとかというようなことが書いてあります。これに加えて、ガイドライン、アイデアをもう少し詰めていかなければいけないと思っております。国も並行して、今、補助要綱をつくるという形で詰めておられると聞いておりますので、それとのマッチングも必要かと思いますが、県も独自で考えることは考えていきたいと思います。

 補助金の率ですが、補助対象、国の補助は2分の1補助になっておりますので、県が独自で4分の1は上乗せしようと思っております。したがいまして、補助対象経費は4分の3ということになりますが、4分の1は事業者の方の負担ということになります。上限については調整中と書いてございますが、国の補助は、最終じゃないんですが、今のところ上限が500万と聞いております。ただ、施設の規模に応じて段階があるかもしれませんし、国の段階があるのか都道府県の段階になるのかというのは、国の補助要綱がまだ最終固まっておりませんので、これからの調整になります。上限額については調整中ということにしております。国の補助率が2分の1ですので、事業費としては最大1,000万円ということにはなるんですけれども、対象の施設の規模や内容によっていろいろ違ってきて、国の補助要綱が階段式になるのかどうかもわかりませんので、そのような意味も含めて調整中ということにしております。これも6月初旬の導入目処でございますので、至急固まってくると思います。

 それから、対象は旅館業法に基づく県内の宿泊事業者、その条件もちょっと曖昧に書いておりますが、感染防止対策の認証取得に取り組むことが条件でございます。機器の導入や、いろんな施設の改造ということになると思います。補助対象となる取り組み内容につきましては、ガイドラインという形でつくっていきたいと思っております。

奈良テレビ:
 この宿泊施設に対する認証制度についてなんですが、飲食店に続いて宿泊施設も行うということで、この狙いは、どれくらいの効果といいますか、どういった期待があるのか教えていただきたいです。

知事:
 そうですね、宿泊施設も、いろいろ対策をしていただいているところと、そうでないところがあると思います。利用者の方は、やはり泊まるときには安全なところに泊まりたいという希望がおありになると思います。したがって、認証した場合には、この宿は感染リスクを下げるための手当てをできるだけ高レベルでしていただいてますよということを外で認めていただくというのが一番、ご利用に際しての便宜があると思います。それと、このような認証をいたしますと、やはり利用者の方が感染リスクを下げるための投資をしていただけると思います。しかし、感染リスクを下げるための投資をしても、それが外に出ないと、せっかく投資したのに認められていないというのは、利用者としては寂しいことですので、認証制度をすることによって感染リスク低減の投資の推進と、その利用の便宜という、2つを目的にしているように思います。

NHK:
 奈良県としては、宿泊というところにスポットを当てて、「いまなら。キャンペーン」というのを夏頃に計画されているかと思うんですけれども、この認証制度で認証を得た宿泊施設というのは、何かそのキャンペーンにおいて優遇といいますか、何らかのメリットというのを今、連動して考えていたりされているんでしょうか。

知事:
 制度的に関連づけるかどうかというのがあり得ると思いますけれども、そういうことになっても「いまなら。」で、想定だとコロナの感染者がずっと減ってきて、県内の「いまなら。」をしてもいいよという状況になったと。発売したときに、行けるところを探そうと。すると、認証されているリストというのがサイトででも出てくると、認証されているリストを優先的にしようよとご家族が判断される可能性は高いと思います。それは制度の効果でなしに、認証の情報がそのように選択されることに影響を与えるという効果だと思いますので、それは一つの効果としておかしくはないと思います。そこにしか行っちゃいかんとか、そういう制度的なことは今考えておりません。



【案件】高齢者の新型コロナワクチン接種終了時期について

《資料》


知事:
  新型コロナワクチンの接種の終了時期についてでございます。これまで、先日の対策本部会議におきましては、コロナワクチンの接種の市町村の対応状況は、64%ぐらいでした。対策本部会議が午後1時からでしたので、市町村の対応を聞いた時は、午前10時の締切りでございました。対処措置の中で、指導医の指導の下、研修医5名を派遣します、今200名の研修医がおられますということを発表しました。それに基づいて39市町村のうち26以外でできないという理由が、例えば接種会場をつくったけれども、医者が来るのは1日か2日ですという理由でしたので、その残りを研修医が埋めるということでどうでしょうかと、再度研修医の派遣の方法を対策本部会議で決めましたので、それを基に市町村と調整をしていただいたところでございます。

 これは昨日のことになりますけれども、研修医を派遣することにして、高齢者接種の7月末までの接種は可能かどうかということを再度調整をしていただきました。接種終了が8月以降としていた市町村もあったようですが、そのようなことを重ねますと、全市町村の高齢者ワクチンの接種終了時期が7月末までとなりましたので、そのご報告でございます。

 研修医のワクチン接種会場への派遣というのは、先ほどの接種会場はできたが、接種医が少ないので稼働率が1日、2日であるため7月末に完了しないということに対して、研修医の派遣で埋めますよということを追っかけて申し上げたということでございます。

 それと、報道資料にも入れておりますが、接種対象者と接種者の移動手段の確保ということになります。高齢者の接種会場への移動または接種チームの訪問接種の移動に対して、地元のタクシーを使うことを市町村と共同で検討を始めるように指示をいたしました。移動手段については厚労省からの補助が出ておりまして、関心のある市町村がおられますので、接種会場に来られる足が高齢者にとっては特に必要かと思います。また、ここでの対策本部会議の後、県議会の対策会議にご報告いたしましたときにも、在宅で出かけられない高齢者に対しても接種可能になるような手段を考えてほしいというご意見が、公明党の大国議員からもありましたので、それも踏まえて何か手段はないかと考えて、地元のタクシー会社を使うと。接種医と看護師を乗せて在宅の高齢者の方を回るということは、これは割と新しいアイデアかもしれません。そういうことも検討を始めたいということです。

NHK:
 ワクチンについて、移動手段の確保の部分ですが、これは基本的には在宅、つまり赴いて接種を進めるという部分に関しての足の確保を県と当該の市町村で、例えば補助金を出すみたいな形で運用することを想定されているという理解でよろしいんでしょうか。

知事:
 厚労省の補助金の中で、地元のタクシー事業者の方を使って、ご自宅から接種会場へ移動してもらうということを考えておられる市町村はぼつぼつあるということは承知をしております。今度は、接種医が少ないから、接種対象者に来てもらう、足を利用して来てもらうというパターンなんで、これは接種者、医者は田舎で少ないわけですので、それでも2日ぐらいしか確保できないというのが実情だと。そういたしますと、対象者に来てもらうのにタクシーを使おうかという時に、それは全部じゃないんですが、それも推奨したいんですけれども、厚労省がワクチン対象の補助金を出しておられるということがありますので、それを使ったらどうですかということ。これは市町村の判断になりますが、それを推奨するというのが1つと、それに加えて、奈良県は研修医を派遣いたしますので、例えば2日しかしない接種会場がある。あとの4日を研修医がそこにずっといるのか、4日行く間に、1日か2日はその集落を回るということも可能かなと判断するわけでございます。

 市町村とそういうことも相談しなきゃいけませんが、2種類、とにかく早く打ちたい方は来てください。しかし、また別途4日行く間に、1日、2日は研修医が回りますから、どこを回るかを市町村言ってくださいねということの調整、その移動手段は市町村が確保、補助金の対象が市町村になっています。研修医を派遣するのは県の仕事にさせていただきますけれども。マッチングが要るということになります。今日は一日この家を回ってくださいよということになると思います。注射の回数は、在宅を回ると移動の時間も取りますので、やはり接種回数は下がってくると思いますが、集団接種会場に来てもらったほうが効率的で回数は増えると思いますけれども、そのような2つを考えようということでございます。

NHK:
 全ての市町村が高齢者に関しては7月末までにという見通しが立ったとの回答があったということですけれども、これについて、県としてはどのように受け止めていらっしゃるのか、改めてお聞かせください。

知事:
 そうですね。前回の対策本部会議におきましては、64%しか完了しないという報告をいただいてましたので、それをそのままここにご報告いたしました。26市町村ということで、残りの13が8月以降になります。その理由が、接種者がいないということでしたので、たまたま接種者の確保について研修医を使いますよということをその日の午後に発表して再調整をしたら、それでもマッチングが要るわけで、具体的なマッチングはこれからということになりますが、5、6、7月の2か月半の実行機会がありますので、その間に研修医の調達と場所の確保と、接種対象者の予約などの案内を、市町村と一緒にやらなければいけないと思います。64%だったのが、研修医の派遣で100%になったということは、ある程度うれしいなと。接種医がいないことを反映して、研修医の派遣を思い立ったわけですが、その結果100%の7月末接種完了になることはうれしいなと思っております。


質疑応答

型コロナウイルス感染症対策について

奈良テレビ:
 先日の対策本部会議で、コロナという見えない敵は、鉄道の沿線上で多いんですよという話がありました。対処措置の中で、駅で検温をするということが含まれてはいたんですが、大型連休中だとか、措置の期間中はどれくらい行っておられましたか。

知事:
 そうですね。まだ私のところに報告が来ておりませんので、至急その確認をして、要請に対して鉄道事業者が応えていただいたかということを報告させていただきたいと思います。他もばたばたしていますので、私は気になっていたんですが、まだ確認がとれておりませんので、どの駅で検温等の実行をしていただいているのかを次の会議までにご報告したいと思います。

奈良新聞:
 昨日で対処措置の1期目が終了しまして、改めてその評価をお願いします。

知事:
 対処措置1期目ということで、これは対処を緊急事態宣言と同じように並行してやってきたわけでございますが、この国がとっております感染防止対策全体の総括ということにも関わってくると思います。その総括の議論が一部のマスコミの、東京を中心とした方がいろいろ書いておられますが、そのようなことは大変参考になります。総括のポイントは幾つもあると思いますので、我々は一生懸命考えなければいけないと思います。そのような中での奈良県の対処措置の総括となってくると思います。総括といってもまだ十分できる状態ではありませんし、まだ1期ですので総括はなかなかできないんですけれども、総括の中のポイントと考えますと、緊急事態宣言でも対処措置でも、要は効果のあるところに玉を打っているかどうかという論考は随分出ています。要は効果があったかどうかということに議論がある程度集中してきております。

 蔓延防止措置が、その前2週間されていたわけですけれども、緊急事態宣言が適用されて、なかなか高止まりということがあって、高止まりのところはどういう総括をされているのかなと第一に興味があります。それを高止まりの都市との10分の1の波という、どういうわけか10分の1の波ということは、その感染のエリアというのは行政区画関係ないですから、1つは大阪圏の、経済社会構造は大阪圏と一緒だなという感じはするわけですけれども、その中での奈良県の防止対策、何をすれば効果的かということ、それに一番頭を悩ませているわけでございます。

 それは何か。そういうタイプの地域の効果性が国から発出されるのは大変ありがたいんですが、国が最近いろいろ言われているのは、緊急事態宣言でも人の流れを止めると感染が減るよということで、それと飲食店の時短要請をすれば減るよという。ただ、最近の雑誌の中でも、時短要請は効かなかったという論考、ああいうのを受けると、どのように国の議論が進んでいるんだろうかと関心を持ちます。本当に玉が当たればいいんだけどもと思います。

 国の全体の感染防止の戦略と、我々フロントで知恵も武器も少ないのに工夫している者との、総括というのはあまり大きな意味はないと思います。全体の総括の中で、ああ、そういうことなら奈良の対処措置もこういう意味があったのか、あまりいい効果にならなかったかという総括は、引き続きしていきたいと思います。ぜひご一緒に考えていただけたらありがたいと思う次第でございます。これは皆様というよりも、関係されているいろんな事象を分析されている方にということでございます。だから、なかなか総括ということまでは出ないなという感じが正直なところですね。

奈良新聞:
 ポイントの中で、人の流れが3府県から奈良県内にやって来るというのが一つの大きなポイントだったと思います。今日の朝日新聞に掲載されていますが、奈良公園にゴールデンウイーク期間中に県外ナンバーが5割ぐらい来ていると。人の流れに関しての効果については見えていると思うので、そこはどうですか。

知事:
 これも議論のあるところで、国は、人の流れを止めると感染発生者が減るよと、おっしゃっているんですね。偉い専門家の方がおっしゃっている。人の流れが減ってくるとその分感染者も減っているかというと、減っていないという事例なんで、人の流れを止めることが効果があるのかどうかという総括がすごく大事なので、これは奈良県だけの総括ではなく、全体の総括をしてほしいな。

 ウェブの知事会で、私が効果検証してくださいねと言ったことは、なかなか知事会全体の意見というわけにはいかないが、そういう思いを持っておられる方はある。効果検証してくださいねということも叫びました。今の人の流れが奈良県に来ていますねというのは、それが本当に心配なことなのかということの効果検証は分からないところがあります。それでうつっているのかということが一番のことで、なかなか見えないことなので一概に言えないんですが、いやしかし、来たら怖いんじゃないか。

 その思うのは、一つは、パチンコをしに来る人がいれば怖いねということが何か月か前にありましたね。大阪ナンバーがパチンコ店に。ところが、奈良のパチンコ店でうつった人の検証はゼロですよね。来た人はいるかもしれないけれども、奈良に大阪の人が来てパチンコ店でうつしたという効果は報告されていないんです。だから来てもいいよとまでは言えません。目障りだという点までは分かるんですが、それでうつしたんですかという点はこれから追求しなければいけないということだと思います。実効的な本当のリアルな検証が必要だということを知事会で叫んでおります。

奈良新聞:
 質問は、結局この措置によって人の流れを抑えられたかどうか、その有無です。効果があるかないかというのは分かるんですが。

知事:
 だから、人の流れを抑えるということはあまり言ってないんですよ。効果があればいいなと思います。それは国の方針ですねということを今、確認しているわけで、国の方針で人の流れを抑えたら感染者が収まりましたということがあれば立派ですねということですけれども、奈良の対処措置は、大都市の、大阪市がだあっと出ると、想像ですけれども、飲食店でわあっと、要は盛り場感染、そこが発生源になっているように見えるんですけども。そこに行って帰ってくる人がうつって帰ってくるというのが、大阪圏の衛星都市のような感じですね。ずっと見ると、東大阪市、八尾市から順番に裾野になってきていると。これはどういうことかということを誰かに分析してほしいんですよね。

 それが、他の衛星都市、福岡から佐賀にうつるとか、松山のある愛媛にうつるとか、ぽつんぽつんと、石川にうつるということが。石川に行ってうつっているのはどのようにうつっているのか。石川に行って会食をされて、あるいは集団で会食されてうつっているかもしれない。日本の戦いの特徴ですが、その分析をやっていないので効果検証してくださいねということを叫んでいるわけなんです。だから、思い込みは一番怖いということが基本にあると思います。

 思い込みは怖いですよということは言って、ここに敵がいるから、ここに弾を当てましょうと言ってもらったら、我々鉄砲担いで撃ちに行く、前線の兵隊ですのでそのようにしたいと思いますが、人の流れを止めるというのは、今までの経験だと、パチンコに来る人を、来るな、来るなと、こうは言ったんですけれども、しかし、遠慮されてはいたけれども、来た人がうつした形跡がない。だから来てくださいとは言えない。だから奈良公園に来られた方がうつしたかどうかは、これからの話だと思います。怖かったのか怖くなかったのかというのは、これから検証しなければいかんという話だと思います。

奈良新聞:
 最後に、今回の独自の対処措置は、人の流れを止めるというのが目的ではなかったのですか。

知事:
 人の流れを止めるというよりも、奈良でうつさないようにしてくださいねということが基本ですね。それは、人の流れを止めるとうつらないかどうか、あるいはそれが一番有効なところはどうかというのはまだ不明なところがございますので、少なくとも想定だけれども、大阪で飲食店時短があって、じゃあ奈良に飲みに来て、奈良でうつすということはやめてくださいね。だからこちらは時短しましょうというのが、この対処措置の一番大きなポイントだったと思います。流れというより、うつしに来ないでくださいねと言えると思います。

奈良新聞:
 最後に1点だけ、やはりこう考えたら、緊急事態宣言や蔓延防止措置を出したほうが、県外者にとったらインパクトもあって、それなりの効果はあったんじゃないかなと推察されるんですが。

知事:
 それも仮定の議論ですね、あったかどうか。だから、緊急事態宣言で来るなと言えば来ないよというような理屈になるんですが。緊急事態宣言を使えということになるんですけれども、そのように来ないんだったら緊急事態宣言を適用しないで緊急対処措置宣言とすればよかったですかというような理屈の言い返しになるわけです。宣言の効果があったかということですね。緊急事態宣言と言っても、緊急事態というのは対処も何も入っていないですね。宣言という言葉だけということを言われており、緊急事態の何とかの対処の目標があって、その宣言ですよというのが普通の作戦なんですが、緊急事態の宣言をしたら収まるというのは、戦争ではそういうことはめったにないんですけれども、それは国の方針だから、補助金を出して、飲食店に弾を打とうよと。こういうことだったんです。それが効くかどうか今、議論されているわけですから、よく見ないといけませんね、冷静に見ないといけませんねということが1つなんです。

 その時に、来ないという効果があったのかどうか、来ないと感染がうつらないかという点が1つと、人流抑制の感染抑止効果ということになると思います。これは誰もなかなか効果の検証をしてくれないものですから、知事会で検証してくださいねと叫んでいるということが1つと、そういう抑止があればそもそも人が来ないんだからうつらないよという理屈になる。そのときは、その宣言で抑止するのが効果かどうかというのがもう一つのポイント。

 だから、そういう意見があることは承知していますけれども、いつも言うように、そういうことでどういう効果があるんですか、効果のめどなしに叫ぶというのが日本の戦いの特徴ですから、勝ってくるぞといって叫ぶというのが日本の特徴ですから、あまり僕はそういうのは戦いに勝てないなと思っています。

日経新聞:
 重ねて伺いますけれども、要するに効果というのはどのように検証すればいいかとお考えになりますか。それと、対処措置の中で、緊急事態宣言について、要請しないということはちゃんと活字に書かれているんですけれども、蔓防の要請をしないということについては、言葉で説明されましたが、どうも腑に落ちないんですね。改めて重ねて伺いますが、どうして蔓防を今要請しないんでしょうか。

知事:
 どういう効果があったかというのは、毎日の感染者の発生が抑制されたというのは目に見える効果だと思います。蔓防を適用するのに、効果があっただろうかという仮定の議論をいたしますと、蔓防を適用しているところが感染者数が減っていれば、ああ、ああいうことをすれば減るんだなということになっていたと思います。効果のあることは、いつでももう率先してやりますよと言って効果のある措置を探しているわけです。ところが、蔓防は、大阪府の場合、何週間か適用されて、蔓防を適用したら増えるのかという状況になってきたわけですので、やはり適用しても効かないんだなという印象を持ったことは確かでございます。効く措置は率先して適用したいということは全く変わりません。

 奈良に蔓防を適用すれば効くよと、そうおっしゃっても、どのように効くのかということがよく分からないのというのが実際の私、一番フロントで弾を撃つときの感じでした。まだ何が効くのか分からないまま感染防止措置をやっているこの国の状態だとは思いますが、効くことがあれば率先してやりたい。効くかもしれないと言われて、実績があるのが山梨方式でした。山梨方式で飲食店認証制度をやるときに、アクリル板をつけるとか、そういうもので隔離をすると感染者が減ったという実績を基に、山梨方式を適用しないかと赤澤副大臣(=内閣府副大臣)から電話がありまして、それはやりたいよと言いました。西村大臣からは、アクリル板をつけるのもいいねと。それはやりたいですねと西村大臣に言ったんですが、蔓防の時短と一緒でないと、その時はアクリル板の補助が出ないということでした。アクリル板だけまずできたらいいなということでやったら、赤澤副大臣から、山梨方式の認証制度でやるという制度が新しくできたと伺いましたので、対処措置の中に入れて適用するという経緯になったものでございます。ちょっとでも効果が見えたら飛びつきたいという気持ちは、繰り返しになりますけれども、変わりません。

日経新聞:
 要するに、特措法の24条の9項で時短要請をしていますが、これは蔓防でなくてなぜこれを選んだのか、もう一回改めて。県民の方が多分関心一番あると思うので。

知事:
 そうですね。奈良県の時短要請は、蔓防ではありません。奈良で飲食店が感染源になっているという証拠がなかったので。蔓防は大阪府下で、東大阪市や八尾市などは適用されてない状況でしたので、奈良市の飛び地に蔓防を適用するのはどういうことなのかということも疑問に思っていたんですが、緊急事態宣言が適用されて、東大阪市も含めて大阪府下全部で時短要請されると。時短要請されると、あるいはお酒の提供を禁止されると奈良に来られるかもしれないということがありました。奈良の越境感染、うつす人が来るかもしれないと防御のつもりで時短要請をしたということでございます。防御する場所がどこにあるかというのは、県から見たらよく分かりませんので、いろいろ沿線とか調べていますけれども、これは市町村が、うちは怖いよと、防ぎたいよとおっしゃるところに県は乗っていこうというのが、県の防御的時短要請だと思っています。

日経新聞:
 もう一回、重ねて。長崎と熊本が蔓防適用を申請しました。それから三重県も申請して、同じ大阪の生活圏にある名張や伊賀も蔓防の適用地域になっています。そうすると、近鉄の沿線で遠い伊賀と名張が蔓防地域になっていて、手前の大和八木は蔓防適用ではないという、何か県民や一般の市民から見たら、よく分からない構造になっている。

知事:
 こちらも、おっしゃっているところはよく分からないんです、正直言って。蔓防を適用すれば収まるよと言っておられる方の意味がよく分からないんです。だから何度も繰り返して言いますけれども、形ではなく、こういう効果がありますからねとおっしゃれば、率先してやりますよということでございます。

 蔓防は、飲食店の時短というので、発生源としての飲食店を抑えようということで、岐阜にも三重にもそういう飲食店の盛り場がたくさんあるように聞いております。福岡市も、福岡県も蔓防の適用を申請されまして、福岡市と久留米市が発生源だと認定されて、蔓防は発生源対策かなという印象を持っております。

 沿線で防ぐ対策というのは、蔓防と時短では似たようなことなんですけれども、狙いは違うように私は今思います。岐阜県も三重県もやっているからしないのかという、もしそういうご意見がおありになるんでしたら、それはそうなのかなと疑問を感じざるを得ません。奈良は、蔓防を適用する飲食店街というのが本当にないんですよということを西村大臣に何度も言ったんです。こちら(第20回新型コロナウイルス感染症対策本部会議)の資料では、飲食店クラスターは3%、9名だけなんですよね。飲食店という、その場所で問題だというのはですね。盛り場がないと言うんですよ。それならそうだなと西村さんもおっしゃっていましたので、蔓防の思想とちょっと事情が違うというのが奈良の、私の感覚なんです。間違っているのかなと思いながらしていますが、岐阜、三重で、周りの沿線だからしないのかとおっしゃるのは、分析豊かな日経新聞とは思えないようなご意見だと思います。

日経新聞:
 要するに地元の実情を知っている首長は盛んに、宣言、蔓防せよと言っているわけですよね。多分知事も実情をご存じだと思うんですけれども、首長さんもそれ以上にご存じだと思うんですね。今回のその決定のプロセスがよく分からないんですね。特措法24条9項をなぜ土壇場で選んだのか、そこら辺を説明していただけませんでしょうか。

知事:
 効果があるかどうかと、繰り返しになりますけど、効果があるならしますよということ。同じ真似をしろというのには。同じ真似をしていれば戦いに勝つんだったら、日本軍は勝っていたはずなんですけれども、なかなか勝っていなかったなという気もするもんだから、こういうコロナの戦いも、現地の様子を分析しながら、十分じゃないですが、分析しながらこうしなければいかんなというのが一番我々フロントの分析者、かつ先頭者ということですので、その実勢とか実態が近郊でも違いますねと知事会でも言っています。

 福岡県の近郊、佐賀や長崎に広がっていますけれども、熊本かな。熊本でも結構盛り場があるんですよね。福岡県の盛り場は福岡市に集中していますけれども、北九州市とか、そういう拠点があるところが、ちょっと私にもわかりませんが、盛り場感染かなと思われた時期がありましたね。だから飲食店に集中しようよ、時短しようよという国の流れになってきてるのかなという理解もしています。

 奈良は盛り場感染という実態がないということを西村さんに何度も言いました。そういう実態が出てくれば適用すればいいねとおっしゃっていました。今度は防御的な時短要請ということになりますので、押しかけられると困るから時短をしたいというのが今のところでございます。蔓延防止だと、補助金が、国が8割、県が2割ですので、奈良県のように市町村と1対1でやると負担が大きいじゃないかというお金の問題が出てきている。お金の問題があるから、効果があってもなくても蔓延防止、緊急措置事態宣言しろよという言い方はおかしいと思うので、効果があるからしろよというのと、営業が困るからしろよというのとでは趣旨が全然違いますよね。

 ちょっと議会でもまぜこぜになって、営業が困っているから金を出せよという意見と、防がないといけないから、蔓延を防止しないといけないからというのと2つあるんですが、困っているから営業を補償しろよという意見の方が強いような気がする。そうなると、飲食店だけですか、同じような近くにあるパーマ屋さんもお客さんが来てないですが営業補償するんですかという議論に発展するので、なかなか難しい。私ごときが言うような議論じゃないかもしれませんが、なかなか難しい議論になると思いますが、いつも関心を持っていただいてますので、その議論をやはり尽くして、いいことがあればしたいということには変わりません。こういう効果があるからしたらと、どういう効果が出てくるのかというのは、もう少し経つと出てくるかもしれませんね。

 もうそれだと遅いと言われるかどうかということになるんですが、感染抑止と医療と、受皿と、これはまた別のことなんです。受皿はしっかりしてないといかん。医療の関係は、知事が積極的に対処しなければいけない分野になると思います。感染防止は、宙に浮いたような話で、なかなか難しい点があるなと思っていますが、他もやってるからやれと言われて、いや、効果があるならやりますよというのが端的な返事であろうかなと思います。

日経新聞:
 最後に1点。知事は、人流を抑えることについては、あまりコロナ対策として効果がないという認識だと受け止めたんですけれども、それは笠原さん(=奈良医大感染症センター長)もそのようにおっしゃっているんですか。知事のその考えは非常に少数派のような感じがするんですね。知事会で叫ばれたといっても、どの知事も賛同しないのは、知事の考えが少数派だからだと思うんですけれども、アドバイザリーの笠原さんはどういうお考えなんでしょうか。

知事:
 国の対策について、効果が見えないからしないと言っているだけで、効果がないかどうかは見てみないと分からないですよね。効果があれば即座に適用しますよ。国からこういうことをやったらどうかというお誘いがあると、今日の宿泊施設認証でも、こういうようなことはしますよと言っているぐらいですから、効果があればしたいなと思うんですが、ありきたりで敵のいないところにばかり弾を撃ってるんじゃないかとも見える。

 それは効果がないと言っているのかと言われると困るんですが、そういう戦いだと困るなということを言っているだけで、いや、弾が当たったよと、感染者がこれだけ減ってきたよということであれば真似しますけれども、その中で大都市の飲食店が集中しているところへの対策と、ばらばらしているところへの対策はやはり違うのかなと。ばらばらしてるところへの対策も国が示していただくとありがたいんだけどなと思っております。それを知事会でも言っております。実例に即した対策の案を教えてもらったら実行しますよという言い方をしておりますので、決して国のやっていることをしないというわけではありませんけれども、あるいは他の県がやっていることをしないというわけではありませんけれども、効果が見えるようでしたら、ということです。やはり都市の生活の実例、実態が違うように思うんですよね。

 奈良は飲み屋もありますけれども、ベッドタウンですので、大阪で働いて飲んで帰って、家でごろんするというのが生活の大きなところです。そのような中での飲食店中心対策というのは、やはり効果が低いのかなと思っています。緊急対処措置で出しましたように、奈良での感染の主流は家庭での感染なんですね。家庭と、仲間のお付き合いと、クラスターですので、そのクラスターをどうするかということに、いろんな知事は腐心されています。奈良県も、福祉対策でも腐心をしております。それはそれなりの抑制効果があると思います。クラスターの福祉対策の効果と蔓延防止とは全く関係ないですね。飲食店と福祉対策というのはどこかでつながるかもしれませんが、相当間接的なように思いますので、福祉のクラスターというのはもっと喫緊の課題だと思いますし、家庭での感染防止の効果があればと思いますので、いい策があれば。家庭内の感染防止というのはなかなか手が出ないからできないんだよと聞こえるわけですけれども、これは日本の緊急対策の一つのパターンだと思います。

 それと、知事会では、香港とか台湾ではワクチンもまだ行き渡ってないのに感染が随分抑えられた。日本と何が違うのか調べてくださいよと叫びました。わかれば、真似したいと。日本の対策の真似はしかねるけれども、台湾や香港の真似はしたいと。ただ、実態がわからないものだから、また記事にもなかなか出ないものだから、ちょっと真似ようがない。それで知事会で、国で調べて検証するようにしてくださいよと叫んでいるところでございます。言い訳みたいな答弁になっておりますけれども、私の正直な感じということでご容赦ください。

産経新聞:
 知事はかねてよりずっとエビデンスを大事にするということをおっしゃっていたので、数字に基づいて質問したいんですけれども、奈良市が設置されている奈良公園周辺の人流計のデータで見ると、ゴールデンウイーク中、特に晴れた5月3日ですとか、先週以前の休日と比較すると、倍近い人の流れになっています。そこから考えると、この緊急対処措置には人の流れを抑える効果がなかったのではないか、こういう疑義が出てくるんですけれども、知事はどのようにお考えでしょうか。

知事:
 ぜひ声が真実かどうか、フォローしてください。奈良公園感染がどのように出てきたかというのをフォローしていただけたらと思います。まだよくわからないですね。奈良公園に人が来るから感染が拡大したかどうかという点には関心があります。

 奈良市の感染増の原因がどこなのかということを検討対象にしています。ずっとこの流れの感染者の増、奈良市の増を見ると、ゴールデンウイークに奈良公園に来たお客さんが増えたから感染者が連動しているかどうかというのを、一つ外形的に検証しないといかんですよね。それぐらいはしてるんですけれども、大阪府の感染者が減ってくると奈良市も奈良県も減ってくる傾向はあるんです。これは奈良公園に人が来るかどうかは全く関係ないんですよね。どうしてそんなことが起こるのか不思議に思っているんです。

 だから実証的に戦わないとというのが、繰り返しになるんですけれども、今おっしゃったように、この人流を、奈良公園に来るのを止めるということについて、来るのを抑制してくださいよと言いましたけれども、大阪府でも他県へ行かないようにと知事に言っていただいてますので、そういうことは宣言の中に入っているのか知らないけれども、あまり聞いてもらえなかったということが実際にあると思います。移動ということについてはですね。

 人の流れが越境してどういううつし方をするのかという点が不明なんですね。奈良公園を歩いて帰られてうつしたかどうかというのを、奈良公園を歩いて、奈良市の飲み屋に行ってうつしたよということがあれば、もう少しリアル感があるんですけども、それはなかなか実証のしようが難しいものだから、わかればいいなと思っていますけれども、架空の原因をつくるのは戦いに負けるもとだと私は思っていますので、本当に敵のいるところを発見したい。奈良公園なのか、どこの飲食店なのか、あるいは奈良でうつるのはどういうパターンなのか。従来から変わっていないような感じがするんですが、それはなかなかまだわからないところですので、検証を続けたいと思います。

産経新聞:
 当然今、知事がおっしゃったように、奈良公園に人が来た、イコール感染者が増えたかは今後の検証だとは思うんですが、今おっしゃっているように、それで感染者が増えたのか、あるいは関係がなかったのかも分からない状態なので、ということは、少なくとも人の流れを抑止する効果はなかったということでよろしいでしょうか。

知事:
 いや、人の流れが感染者を抑止する効果はあるんですかということは、まだ疑問ですよということは最初にあるんで、それは先ほど奈良新聞に理解しましたと言っていただきました。人の流れが感染者の抑止に効果があるか。私は、大都市はある程度あるんじゃないかなと思うんです。大都市の、例えば昼の流れ、夜の流れとかおっしゃっているじゃないですか。夜の流れを止めると効果があるよというのが、時短などになってきていると思います。それは大都市風だなと。大都市が収まれば奈良も収まるというパターンがずっとありますので、大都市対策には大いに期待しているんですけれども、その大都市の流れが奈良に来ないようにということは、この緊急対処措置の内容になっていますけれども、奈良が震源地になるというのは、家庭と社会活動とクラスターになってますので、その第一次は大阪関連ということがあります。そのパターンはずっと変わってないんですね。ずっとずっとフォローしていますけれども。

 奈良公園に来られるのは、逆に奈良公園への人流が増えたり減ったりしても、あまり感染者の増減に影響しないというような結果が出てますので、人の流れが影響あるのかなという点が一番大きなもの。影響があれば、奈良公園に来なければ感染者が増えないということがあれば、奈良公園に来ないでくださいねと、こう叫ぶわけです。奈良公園に来る若い人は、奈良公園を歩いていて誰にうつすんかと思って歩いておられるのかなと思ったりもするもんだから。東京でも美術館でうつるかどうか論争があるじゃないですか。都の美術館を閉める、国の美術館を閉めるというような論争があるじゃないですか。そんなのに注目をしてるんですが、奈良市が市の美術館を閉められるので、県の美術館も閉めようということにいたしました。それは市と同調しましょうという観点。効果がよくわからないけれども、心配だから閉めようということには同調しましょうということですので、効果が本当に分からないと何もしないというわけでもないつもりです。

産経新聞:
 効果があったかなかったか、よかったか悪かったかの検証は今後になると思いますが、今後の検証のために今伺っておきたいのは、人の流れを抑止する効果が緊急対処措置にはなかったと認識されていますでしょうか。

知事:
 国の緊急事態宣言にもあまり効果的なのもなかったんじゃないでしょうか。人の流れが止まってきましたか。大都市の人の流れのほうが大事だと思います。それは、奈良はなかったかということの答えではないんですけれども、奈良は往来するのをやめてくださいねというお願いはしました。うつさないお願いはしました。なかったということはないんだけれども、宣言というぐらいはありますが、それに沿って奈良県の人は随分引っ込んでおられますよね。不要不急の外出を抑えてくださいという効果は十分あったと思います。むしろ往来で、大阪からの人は奈良に来ないでください、その効果なかったのかというと、大阪府の知事が他県に越境しないでくださいねと言われた効果もなかったなとは思います。

毎日新聞:
 東京オリンピック・パラリンピックについての考え方をお尋ねします。東京でも感染者が増えていて、全国でも緊急事態宣言の区域が広がっていますけれども、知事は、今の状況でもオリンピックはやるべきだというお考えなのか、あるいはこういう条件だったらというお考えなのか教えてください。

知事:
 オリンピックをする場所でうつすかどうか、あるいは通過されるところでうつすかどうかという観点から見ると、会場は全国ではなく東京都中心なんですね。北海道なども少しありますが。会場対策が十分かどうかというのは一つ大きなことだと思います。会場対策で、会場でうつるようだと困るなとは思います。その点については、この離れているところまでは、オリンピックは東京であってもうつることはないだろうと思います。その上で、会場対策は十分かどうかという点は心配すけれども、今、無観客、あるいはどれほど入れるかということであります。

 最近、テレビ生活も多いんですが、大リーグがアメリカであれだけ感染しててもやってますよね。大リーグがやっているということがあると、ああいうやり方も考えておられるのかなと想像いたします。大リーグがやれるような環境でオリンピックもされるといいなと私は思います。個人的には、感染防止を十分されて、できるんじゃないかなと思っています。だからオリンピックをしたら、日本人は同調性が強いので、全体に広がっているからと、またわあわあと騒ぎになってこれがいかんということにはなりますけれども、オリンピックから直接うつるということはない。オリンピックをやると皆騒ぐからうつったんだとなるかもしれないという心配は、日本人特有のお祭り好きで、そういう心配はするんですけれども、テレビでおとなしく見ていると、他のところはうつらないだろうなと想像いたします。

 会場で、東京都は大変だなと思うんですが、東京都はむしろ選手閉じ込め対策みたいなことを考えておられるように思います。選手閉じ込めをして、会場でテレビで放映して、全世界にオリンピックの実況を見てもらうという、大リーグ方式みたいなことかなと想像してるんですけど、これはよくわかりませんが、私の感じだと、それだったらできるんじゃないかなという感覚を持っています。詳しくは分かりませんが。

 できれば、していただいたほうがいいと思います。

毎日新聞:
 県内でもコロナの病床は増えていっていますが、一部の方からは、コロナ専用病院をつくったらどうかという意見もあるやに聞いています。以前も聞きましたが、知事は、県内でのコロナ専用病院については、もう全くつくる考えはないですか。

知事:
 うん、専用病院というのはどんな病院なんだろうかなと思うんですけどね。大阪府で言われているような病院はね。これも、こういう病院だったら意味があるなという実例があれば、本当にしてもいいかと思うんですが、今の奈良の実情だと、病院の問題は、重症病床は逼迫していると。本当に逼迫しているんです。重症病床の逼迫に対応するためにICUに持っていくと、ICUの患者にうつすんじゃないかということがありますので、ICUの同じ病床でも分離をして、ICUが空いているときにはそのスタッフを使えないかと。ICUはICUの病床数にスタッフがある。だから最近よく言われるのは、病床とスタッフの、この両方がないと病床と言わないよと。病床だけを置いているカラ病床というようなものが、これはキャップ制だからそういうことを病院、その数が、実効がなかったというのが日本の医療の病床数ということであったと思いますが、ICUの病床に空きがあるときに、臨時でもICU病床を、その場所ではなく、近くでそのスタッフを使うことは可能か、検討してもらっています。質問自身にはないんですが、重症対応ICU活用ということ。重症病床が一時でもぽっと上がるかもしれないという心配はしています。そのときに、ICU病床が空いていれば、そのICUのスタッフをコロナ対応に使う。ICUがいっぱいだともちろんできないわけですが、人が一番大事だからということ。

 すると、ICUの病床と隔離しなければならない。そのゾーニングの補助が国からあるらしいんですが、そんなことまでしてコロナ患者を受け入れるという病床は少ないんですけれども、日本のコロナ対応専用病床と言いますが、専用性がなくても病床の集中性かなと思ったりします。イギリスのコロナ患者を受け入れている病院は、1,800床あるうちの1,400床をコロナ病床に転換している。そういうことが可能なんですね。5割以上コロナ病床を持っている日本の病院はどこもないんじゃないでしょうか。分散的なんですよ。それもありがたいんですが、2床、2床、2床とか、分散的なんです。で、やっと400床確保している。重症病床も分散的。やはりそのときに活躍してくれたのは県立の病院ですね。直接お願いする立場にあるから、これはありがたい。国立系病院はなかなか奈良にはない。大都市にはあるはずなんですが、あまり活躍が目立たないなという気もします。ところが、ヨーロッパは国の病院ばっかりだから、2,000床あるうちの1,500床コロナにしろと言ったら、全てその通りになってしまうから、ものすごく効率的といいますかね。集中治療が、それで乗り越えてきたような感じがします。

 しかし、日本の病床対応は違う。これもそういうことを言う人が出てきていますので、聖域ではないということですね。こういう危機管理は聖域をつくっちゃいかん。幅広く実態に沿った議論が一番望ましいと思います。病床についてはそういうことで、専用病床をつくるかどうかというご質問でしたが、今の日本の病床提供の中で通常医療との兼ね合いというのも、医療提供体制には問題がものすごくあると思います。それを、この際にちょっとずつでも緊急対応できるようにと思いますが、ぱっと1つつくったら解決するというほど簡単ではないように私は思います。

毎日新聞:
 ワクチンについて、知事ご自身はワクチンの接種については済まされたのか、あるいはもうご案内が来ているのか、いつ頃打たれる予定があるのか、その辺りを。

知事:
 私まだ打っていませんけれども、大和郡山市に今住んでいますので、高齢者のワクチンが出てくると打てるんじゃないかと言われています。もう始まっていますので、その順番を待っているという状況です。

毎日新聞:
 案内は届いたんですか。

知事:
 案内は来て、調整しています。私も打てるようです。トップでもないしラストでもないようなところだと聞いておりますので、行けるときに行かせていただきたいなと思っています。

関西テレビ:
 知事、先ほどから効果があるかどうかというところが、奈良の施策を進めるべき大きなポイントだということだと思うんですが、そもそもその効果があるかどうかというのは、これをやった場合とやらなかった場合というのを同じ条件で比べないと効果に有意差というものは実証できないはずなんですね。

知事:
 おっしゃるとおりですね。

関西テレビ:
 なので、蔓延防止措置をやった大阪府は現状として減っていない。さっきおっしゃっていましたが、蔓延防止措置をやらなかった大阪府というデータはないので、もし蔓延防止措置をやらなかったら増えていたかもしれないという可能性はもちろん考えられますし、蔓延防止措置に効果がなかったというのを実証することはできないんですね、この場合だと。それでも各府県の知事は、効果があるだろうというような、エビデンスがないかもしれないけども、もちろんコントロールができないから効果があるかどうか分からないけれど、あると信じてやるというスタンスを今、国全体でとっているウイルスなんですね。未知のウイルスなので。

 そこで奈良県は、効果があるかどうかというのを見てやるというのは、ある種、もう感染拡大時期には何もできないということになってしまうんじゃないかと思うんです。増えていることを手をこまねいて見ているしかないということになってしまうんじゃないかと危惧しているんですが、どうなんでしょうか。

知事:
 いい質問だと思います。最初の効果のあるなしは、ウィズ・ウィズアウト分析という手法です。やった場合とやらない場合。ウィズ・ウィズアウト分析というのは基本です。やった場合とやらない場合を調べられるのか。奈良県は、やらない場合だから効果がなかったか、あるのか。そのうちわかってくると思います。やらない場合のケースですよね。それは今のところ変わらない。やってもやらなくても動向は変わらないというデータのように思います。やらなかったから奈良から(感染者数が)伸びたという証拠は今のところないんですが、そのためにやっているわけじゃないんですけれども、ウィズアウトを大阪でしなければいけないのか、他でするのか。類似のところでするしかないわけなんで、ウィズ・ウィズアウト分析というのはとても大事だといつも思っています。

 もう一つは、戦い方で、日本にない戦い方、オペレーションリサーチという戦い方ですね。これはアメリカ軍が第二次大戦のときに発明した戦い方なんですが、潜水艦に、日本は百発百中でいけという、百発百中思想ですよね。潜水艦の爆雷を当てるのに、アメリカ軍は、最初わざと外すんです。潜水艦のなるべく上のほうで爆発させる。そして、その距離を測る。その次は、下のほうで爆発させて、距離を測る。その距離が分かれば3発目は命中という、オペレーションリサーチという思想なんです。オペレーションリサーチという思想が、日本にないのがとても残念だと思っています。今のアメリカのいろんな産業でもやっているのは、皆オペレーションリサーチですよ。ウィズ・ウィズアウト分析とオペレーションリサーチですよ。

 オペレーションリサーチで考えると、さっき言った、弾が当たっているかどうか分からないんですよ。当たっているか当たってないか気にしないで打てというのが日本軍。今、同じようなことをやっているように思います。アメリカ軍だと、こちらに撃つのとこちらに撃つのとわざと分けるんです。どのように当たって敵が死ぬかということを観察するのがオペレーションリサーチなんです。戦い方でオペレーションリサーチという日本語はなかったんですが、日本軍は戦い方で負けたように思うんですけれども、同じような戦いだなと。同じところに撃って玉砕しろというのが日本軍の戦い方ですので、玉砕するかどうかもちろん分かりませんけれども、先ほどのウィズ・ウィズアウト分析が大事だということに追加して言うと、オペレーションリサーチという考え方が入れば、コロナに限らず、日本の戦い方はすごく上質になると思っています。

 それで奈良はどういうことかということなんですが、現地の司令官がみんなこちらへ撃てと言っているけれども、そちらに撃っても奈良では敵がいませんよということを言っているような感じです。飲食店が主力の敵じゃありませんよ、家庭に撃つ弾はないですかといって知事会で叫んでいるような感じなんですよね、ちょっと比喩的に言うとですね。わかっていただけるかどうかわかりませんが、そのような状況で、戦い方についても仮定にありますけれども、よく考えないといかんと思っています。

関西テレビ:
 その例えは非常にわかるんですが、今回の新型コロナウイルスは、現在進行形で進んでいて、奈良ではお亡くなりになっている方もいるという状態で、簡単にいえば、効果があるなしを見極めなければならないという状態から前に進まない可能性があるんじゃないかと思うんです。大都市ではない奈良と同じようなところというのは、具体的にじゃあどこの県を参照にしようというお考えなんでしょうか。

知事:
 奈良の戦い方で、今、亡くなられている方もおられるとおっしゃいましたが、亡くなられている方の率は奈良県は幸い少ないんですけれども、それは医療だと思います。医療の手当ては、これは積極的に介入できる知事の最大の責任だと思います。死亡をなくす、重症化をなくすというのは最大の責任だと思います。医療崩壊を起こさないように感染者を減らすというシナリオですけれども、医療をまず確保し、感染者もやる、両方でやらなければいかんというミッションがあると思っています。

 感染者を防止するのはどういうことか。医療は医療で、国は知事に任せているという言葉もあるんですけれども、これは先ほどの医療のワクチン接種も含めて国もいろいろ言ってきてくれますので、知事の役割のほうがはるかに大きいと思いますけれども、これは各地の状況の違いがあると思います。それは医療の対応の違いというのも一つの地域の違いで、これが一番大きなことだと思います。

 感染防止の対応の違いとか、効果性というのは、なかなか感染防止の実態がよくわからない。効果の実態、その感染の実態がよくわからないというのが実情だと思います。医療はほったらかしにして、あるいはワクチンをほったらかしにして感染が完璧に抑えられたというのはあまりないんですが、香港とか台湾ではそのようにやっているが、日本とどうして違うのかというのは知事会で何度も叫んだことです。日本の中での、この戦いで専門家が言っているからというのは、いや、本当にそれに説得力があれば従いますよということです。その他ではこうやって、できた実績は日本でやってないから、それこそウィズ・ウィズアウトは、いい例が近所にありますので、それを調べないのかなと思って、こう叫んでいるんです。それがわかれば奈良のやっていることに、今でも進行形とおっしゃいましたが、いつでもぱっとわかれば国と相談してでもできますけれども、国の相談場所は、なかなかこれまた司令部が分散しているように思いますので、なかなか難しいように思っています。

関西テレビ:
 奈良県で調べようと思わないんですか。

知事:
 うん、調べていますが、奈良県では能力に限界があります。香港のことを調べに行けたら調べに行きたいですけれども、行く余裕もないですから。台湾でどうかということをなかなか調べられないですよね。いい例があると、情報を集めたりしているんですが、奈良で調べられたらすばらしいと思います。外国のいい例というのは、本当に日本になかなか情報はないんだなと思っています。奈良県でできることであればしたいと思います。落ち着けばできると思いますけれども。

関西テレビ:
 奈良は、ウィズアウトというか、待ちの姿勢ということじゃないですか、現状は。でも、今それですごく感染が低い県だったら別にいいと思うんですが、10万人当たりの感染者数が全国トップ5からなかなか漏れることもなく、知事は病床確保が知事の仕事だとおっしゃっていましたけれども、病床、重症も含めて、病床使用率はステージ4の状態からずっと動いていない状態が続いています。ずっとウィズアウトだからこの状態になったんじゃないかという意見も当然考えられると思うんです。自分で効果検証して効果が期待できる策を打たないままずっと待ちの姿勢でいるのであれば、どんどん感染が拡大してしまって、病床も逼迫している状況というのは、これは県の責任ではないんですか。

知事:
 そのように判断されるのは勝手ですけれども、感染の実態が分からないで判断される風習がありますので、それはご勝手にということになりますけれども、そうかどうかは必死で検証していきたいと思います。大阪と奈良との関係というのはすごく密接だということが外形的に分かっていますので、大阪が減ってくると奈良は減るというのが今のところの情勢で、大阪は減ったのに奈良が増えたということであれば、もうまいったということになるんですけれども、それが一番の奈良の指標の見どころだと思っています。大阪が減れば減る。今までどんどんそのようになっています。大阪で、大阪の感染源、マグニチュードの大きいところ、大阪市対策だと思いますけれども、それをやってもらうととても影響があるなと。

 大阪市ロックダウンがもしロンドンみたいにあれば、大阪に勤めにも来るなと、給料は渡すよということが確保されれば、奈良は第一次感染がなくなるわけですので、随分大きなことだと思います。日本の社会経済状況は、ベッドタウンとしての奈良は、東大阪とか八尾から大阪市に来るなとなかなか言えないのと同じように、奈良からは、越境といいますけれども、同じことですね。東大阪にうつるのと生駒、奈良市でうつるのと同じことですから、同じようにうつっていると。東大阪市のほうがもちろん多いわけですけれども、その沿線感染というのに対してなかなか、大阪の震源地から震度が延びていることは見えるんですが、どのように延びているかというのは想像はできるんです。

 防止ということになると、例えば、大阪市に生駒の人が勤めに行きました。大阪市で一杯飲んで帰りました。隣のお客さんからうつって帰りました。家庭にうつしましたというのが典型的な奈良の例なんですけれども、それに手がなかったのかというと、なかなかないんです。手があれば教えてもらったらしますよというのが、今の典型的な例の実情なんです。もう正直に言いますと。そういう感染の奈良の実情に対して、どうすればいいんですかというのが西村大臣との問いなんです。

 奈良で飲んでうつった、その人が、生駒に帰ってきてという実例がほとんどないものだから、そこで止まっている。家庭の中でうつされた人が、幼稚園へ行ってうつした、学校に行ってうつした。あるいは子どもさんが勤めておられる福祉施設に行ってうつしたと展開するのが奈良の典型的な実例なんです。それをどのように止めるかということに腐心しているんです。震源でなかなか止まらないというような実感です。

 国の対策は、やはり大都市を抑え込もうと。これは正しいことだと思います。大都市から広がっていることは確かですので、大都市を抑えれば、その周りも抑えられるということは正しいと思います。周りをどのようにするかというのはなかなか正直難しい。周りはこうしろよという体系的な手がないということを国に知事会でも言っているところなんです。衛星都市のような実態に適したような体系をつくれないものかということを言っています。まだないと言ってもいいんじゃないかなと思います。

 大阪は、やっぱり大都市中心の対策をする。これは適切だと思います。同じようなことを、例えば百貨店の休業要請、奈良県で全部するんですかというようなこと、商業施設への要請というようなことはよく考えなければならない。効果があればする必要があると思いますけれども、それをしないから奈良の感染者が増えているかというのは、まだちょっと判断されるのは早いんじゃないかと、私の立場からは申し上げたいと思います。

関西テレビ:
 今おっしゃったように、大阪、奈良関連というのは、もちろん奈良の大きなファクターとしてあると思うんですけれども、4月の対策本部会議の前に、ウェブで各市町村と情報共有会を行われたと思います。その中の資料には、家庭外かつクラスターでもない感染が4月18日ぐらいまでの時点で280人ぐらいだったかなと思います。その中で、県内感染が170人で、大阪関連の感染が80人ぐらいというのを表した図がそちらでは出ていて、簡単に言えば県内感染のほうが大阪関連感染よりも2倍以上ですというデータが、私たちマスコミには公表されてない図には示されていたのに、翌日の対策本部会議の資料では、そのデータだけなかったんです。先ほどおっしゃっていた大阪関連というのを主張したいがために、そのデータを資料に載せなかったのかなという邪推をしてしまうんですけれども、そこはどうなんでしょうか。

知事:
 深い観察ですけれども、それは間違っています。わざわざ大阪からのを落としたわけではありません。というのは、今度の緊急対処措置は、奈良県内でどう対処するかということを中心にしていますので、大阪からうつってきたことは間違いありませんので、それまで言っていた大阪ゆかり、行ってうつされたというのか、あるいは付き合ってうつされたという、4分の3がそういう大阪の人との付き合いでの感染というのは分かっていて、これは一次感染と言っているんです。今度は、主流が二次感染、奈良県での家庭での感染、奈良県内での友達とのお付き合いによる感染、それと勤務地やクラスターでの感染のボリュームが大きくなってきましたということを反映して、それが主流になってきた。最初、大阪の感染の一次がほとんどだった。二次が膨らんできたということを反映して、二次対策は大事だということになってきたものと思います。構造は変わってませんねと、変わったようには見えませんよと何度も言っていますけれども、その一次感染大阪、二次感染奈良での家庭、それから友人との接触、クラスターというパターンはやはり変わっていないんですが、それをどうするかということですけれども、先ほどの大阪でうつされた量というのは、全体で比べると減ってきています。割合としては減ってきていますけれども、それは単に奈良での県内感染がボリュームとして増えている状況にあるよというだけの話で、大阪が減ると順次減ってくる。県内の対策をしていれば順次減ってくるというシナリオは想定しているんですけれども、そのとおりになるかどうかを注視しているわけなんです。

 その中で、わざわざ言わなかったのかというと、そういう魂胆はないというだけのことなんですけれども、見立てをこのようにすればよく分かるよというアイデアがありましたら、それに従うのは全くやぶさかではないんですが、効果的な経路遮断、笠原先生は経路遮断ですので、経路をどう遮断するかということに腐心しています。経路を遮断すればウイルスは3日で死ぬと言われています。人にうつさないと3日で死ぬ。だからすごく必死なので、経路を遮断する。その経路は何なのか、見えない敵の経路をどう遮断するのが効果的か、それを外形的な、統計でしか分析できないんですね。日本の疫学調査というのは、実際にもう1年以上前に加藤厚労大臣が言われましたが、発表されたことはありません。疫学調査をいろいろ実態的にしてもらうとありがたいんだけれどもとも、知事会で言いました。

 これは、それこそ知事でも疫学調査できるじゃないかとおっしゃれば、多少は必死でやっているつもりですが、なかなかその、例えば大阪府のどこの市町が増えているんですかというデータは今までなかったんですけれども、それを取ってこちらで幼稚な分析を始めましたので、国で統合的な、同じレベルのデータがあれば、我々でも、どこから来てうつっているのかということをもう少し詳細に研究できると思います。大阪の、大阪市のどこかという、もう少し具体的な経路、場所が特定できれば、随分違うということは近畿の知事会でも申し上げたことがあるんですけれども、疫学調査といっても、今、臨床の体の中の疫学って酸素をあげてコロナだけですから、あとは社会行動の、うつさない抑制ということが主流になっています。それでも香港とか台湾が成功している例があるので、学ぶところはないだろうかというのが奈良県の思いです。

関西テレビ:
 疑問としては、家庭内感染が増えているというのがメインにあると今おっしゃいましたけれども、家庭外感染も当然データとしてはあって、だからこそ先ほどの、おとといの対策本部会議では、沿線のデータであったり、ウェブ知事会では線路がコロナウイルスを運んでいるんじゃないかという発言もされているわけであって、もちろんそちらも一つ重要なファクターだと思うんです。奈良県の感染対策として、ずっと言っておられたことでもありますし。純粋に、まず県内のほうが多いというデータを、対策本部会議資料は県民が見られるものですから、なぜそれを示さないのか。示しても、そこまで資料の構成上、大きく外れるとか、そういう感じは全く見受けられないので。

知事:
 では採用できるか考えてみます。全くやぶさかではありません。今回の対処資料は、奈良県の感染の特徴をずっとやっていますので、メインの主役を登場させているということです。今おっしゃった家庭での感染は大きいんですけれども、家庭外感染、家庭外クラスターと、3分の1ずつだと分かった範囲ではなくて、これはわかってくる量は増えていますので、大体このパターンは変わらない。わからない人でもそのようなパターンに落ち着いてくる、わかってくれば落ち着いてくるというのが今までの実績です。

 すると、今の家庭外感染というのは、友人との交流、(第二期奈良県緊急対処措置)24ページ目になるんですが、仕事、親族との交流、学校部活動が思いのほか少なくて7%ということですけれども、福祉サービスというのが36、これは学校と福祉サービスはクラスターに入れられているから少ないという面もあると思いますが、したがってここでのメインは、友人との交流、仕事というのが大きな要素。仕事は、ちょっと幅広いと思いますので、職場での感染ということ、場所にもあると思いますけれども、笠原さんがおっしゃるのは、この友人や仕事というのは、知ってる仲間で感染し合うということであるので、知ってる仲間でも気をつけなさいよという注意があります。これは今までの大都市でやっているのとまたちょっと違う、場所よりも人との接触、相手との接触です。

 これは中国の報告ですけれども、両方マスクしていると、マスクしていないウサギは66%感染するんですが、両方マスクをしていると1%になるということをテレビでおっしゃっていました。両方マスクというのは随分効くということはおっしゃっていました。会食する場合でも、友人との交際で会食するという場合、その会食の場所が悪いのか、友人が悪いのかということが普通はあると思います。友人が感染者でなかったら、そこでうつらなかったかもしれないという人がたくさんおられるわけですが、友人とでうつさないように、これは割と難しいんです。うつさないようにしなさいよということは、なかなか命令できないのが実情で、このコロナとの戦いの一番難しいところじゃないかと思いますが、そのためにはマスクをしてうつさないようにというのが一番大事なことかと最近分かってきています。両方マスクをしているとほとんどうつりませんよということを、実証的に言っている。

 国の専門家の方は、笠原先生がおっしゃっているような、実証という、これは中国のお医者さんですが、実証的に説得性を持って数字で示してほしい。1%しかうつらないということを、県で研究してやるところまでいきませんので、そうすればいいんだよということを、人の流れを止めるというのは少し曖昧な感じが私はするものですから、人の流れがあってもうつすシチュエーションにならないようにという方が効果的かなと。そのためにはこういうケースでうつるんだよということを実証的に言ってもらうのが一番いいのかなと。これは個人的な感じなんですけれども、それをどんどんどんどんお願いしていくというパターンが1つあると思います。

関西テレビ:
 とはいえ、家庭内は3分の1で、家庭外とクラスターが3分の2なので、同じような力量というか、強度で示すべきデータの1つがないことに、別に恣意的ではないとおっしゃってましたが、スタンスが分からないので、いつの間にか今、奈良県内の感染拡大をというスタンスになってましたけども、でも一方で全国知事会では大阪が云々という発言もされてますし、一貫したスタンスが全く見えてこないことが、一つ県民の不安への増長にもなっているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

知事:
 例えば家庭内感染とか、工夫はされていますが、効果的な対策は国からもほかの知事からもなかなか出てこないというのが実態かと思います。もちろん探していますが、ほかの知事から、「このようにやれば家庭内感染が防げたぞと、防げるよ」という非常にいいアイデアがあれば、お互いにちょっとした工夫をして、山梨方式ではありませんけど、これは効いたよというのを言い合うというのが知事会の勉強の仲間ですので、それは報道で言われるだけではなく、実際に言葉でああだこうだと、資料をずっともう見ていますが、なかなかない。この家庭内感染とか、クラスター感染。クラスター感染は、笠原先生のおかげで割と二度とその場所では起こらないような傾向になっているとは私は感じていますけども、仕事での感染、家庭外での友人との接触の感染、家庭内感染というのは、なかなか手がない状況で、これは奈良県だけではなかなかないだろうとは思うんですが、奈良県でも手が打てれば、それが一番、家庭内での感染を抑えるのは、いつの、どのようなシチュエーションになっても一番大事なことであろうかと思っていますので、笠原先生の、家庭内感染防止の7か条のようなものを言って、家庭内感染が発生しないようにお願いしたい。

 あと、今まで自宅療養の数は比較的少なかったんですね。増えてきてますけれも、また自宅療養が減ってくるようになってきましたが、まだ多いと思います。自宅療養だと、自宅から出て、家族だけじゃなく、外出して感染させるということは心配しています。大阪とか自宅療養の多いところが、自宅療養者からの感染が増えてないかどうかという検証もあれば。しかし、そんな検証しなくても、自宅療養者はなるべく宿泊療養施設でも引き取って、これは隔離という意味があろうかと思います。感染症との隔離。その間、「人にうつすようなことをしてはいけませんよ」という隔離という意味がとても大きかったと思います。だからそれは宿泊療養のように隔離をすると。

 自宅でも隔離ができたらそれにこしたことはない、隔離というと、本人ほとんど家にいるかということになります。外に散歩も行かない、自宅療養者の散歩と健全な人か分かってない人が奈良公園に来るのが、どちらがリスク高いのかというと、自宅療養者の散歩のほうのリスクも相当あるなというふうに思いますけども、それは実態分からないままなんですね。

 だから、感染者は人と接触しないというのはとても大なき課題だと思いますが、それは宿泊療養で経過観察しますよということと隔離するという、2つを宿泊療養でやるミッションはあると思っています。今まではそこそこできていたと思いますが、少しあふれてきたので、それでも少しずつまた減らしてますけども、これが膨大になると、これは危機的だというように、大都市のなかなか難しいところだと。奈良県は、宿泊施設はとても少ないのに、コロナ対応宿泊施設に提供してもらっている割合はとても高くなってきております。これは宿泊施設に感謝しています。

関西テレビ:
 答えになってません、知事。3分の1を占める家庭内感染を防ぐのは難しい。それは各都道府県の知事もそう言っているし、防ぐような効果的な何かがまだ示されてない、これは分かります。クラスターは、笠原先生が尽力したおかげで減っているのか、少し数値は見れないですが、最新の、減っているのかどうかというお話で、先ほど、家庭外感染がその3分の1を占めているともおっしゃっていました。ただ、その内訳は県民の皆さんが見れる資料に載ってない。それは不安を増長することにつながらないですか。

知事:
 家庭外感染、(第20回新型コロナウイルス感染症対策本部会議の)24ページ目の資料に、大阪に行って感染されているというのは入ってないということでもなりますか。

関西テレビ:
 そうです。友人との交流や、仕事仲間と、という、データを表示されていますが、これが県内の感染なのか、県外の感染なのかを載せてない理由が分かりません。

知事:
 そういうことですね、分かりました。随分鈍くて、すみません。これは最初は県外、県内感染ということにしていました。これは県内、県外分けないで作成しているのかな。友人との交流、仕事というのは、大阪での仕事とか、県内での仕事と一緒にしてあるのかな。

関西テレビ:
 にしてあるはずです。

知事:
 ここで強調したいのは、家庭外感染は、友人との交流、仕事。友人との交流はこんなに多いですよというところも強調するために使った資料ですので、わざと外したつもりはないということです。しかし、大阪での交流、友人が大阪出身か、奈良出身かというのはわからないという点もあるんですが、ここでどのように表現するかということを、大阪関連の資料をどう表現するかということについては、その内容の確認と表現の仕方について、またご報告します。

関西テレビ:
 いや、分かっているはずなんです。報道機関ではない市町村長に、対策本部会議の前に資料で配っているので。この図が間違っているとか言っているわけではなくて、この図も載せた上で、県内と県外の感染の割合は載せてしかるべきなんじゃないかと。

知事:
 最初の資料はね、一次感染と二次感染というように分けてたんですよね。

 一次感染は、その初動感染。一次感染、二次感染以降を分けているのはあまりなかったと思いますが、一次感染は大阪関連が4分の3ということは分かってきた。今度は、大阪・奈良問わず全体の感染パターン、家庭、家庭外、クラスターというようにすると、クラスターなどは、奈良、大阪、関係ありません。場所クラスターは奈良で、この中で飲食クラスター、(第20回新型コロナウイルス感染症対策本部会議資料の)26ページ目ですが、医療機関、福祉、飲食店が3%というのは非常に少ないというのが奈良クラスターの実情かというので、先ほどの蔓延防止の対象が3分の1の、しかも3%を対象に弾を打つのかというのが端的な、弾を打ちにくいなというのが私の気持ちだったんですが、それをこのように見ると、もう少し中身を分析しろよとか、分析すると違ったことに見えるよということの観点がおありになるかもしれません。その分析を深めるのは全くやぶさかではありませんので、特に24ページ目で大阪関連を入れたらどうなるかということをやってみます。

関西テレビ:
 資料はエリア別内訳というのがあるので、この図も併せて載せてしかるべきなのではという、これに尽きます。

知事:
 感染資料は、地方でできる一番のなけなしの情報ですので、これにずっと力入れてきたんですが、だからそのほかの地域と事情が違うなと思い至る結果にもなってしまったんですが、この分析をさらに続けるというのは大きなパートだと思っていますので、ご示唆いただいたところを含めて、分かるように分析を続けたいと思います。

関西テレビ:
 そうですね、だったら、やはり載せるべきで、県民に示すべきだという考えです。

知事:
 県民への示し方は難しいですよね。これを今度は県民だよりに載せていきますけれども、報道の見出しだけでは、なかなかこういうようなことを入れていけないので、またいい方法があれば教えてください、県民に知らせるというのはご専門でいらっしゃいますので。

関西テレビ:
 確認で、結局そのデータはあるけれどもあえて載せなかった理由としては、対策本部会議の構成上必要とは感じなかったということですか。

知事:
 県内、県外というのも、まぜこぜにしてやっており、県内、県外に関わらず、友人との接触という類型が危険接触ですよということを言いたかっただけです。

 あえてとおっしゃいますが、その意識があまりなかった。もし載せた方がわかりやすいのであれば、直ちに載せます。隠すつもりはありませんので、直ちに載せて、その時どう解釈するかということも当然入れていかなければいけないと思いますので、ご指摘ありがとうございます。

 大阪での感染、県外での感染が多い。先ほどの混ぜ返しになるかもしれないですが、奈良公園へ来て、県内感染させた人がどのくらいいるのかわかってくればいいなと思いますけれども、なかなかわからないままだから、うつっているぞというのが飛び交うんですけどね。あまりそういうのではなく、本当にこうやってうつしたという資料が集まってくると、だんだんウィズ・ウィズアウト分析を含めて、できてくるので、よく実態がわかってくると思います。

 人間が勝ってきたのは、とにかく実態を判断するということが一番だと思います。十分ではないかもしれませんが、奈良県は実態を判断して県民に見ていただくということを基本にしていきたいと思っていますので、今言っていただいたことを十分認識して、最初答えられなかったと思いますが、おっしゃっていることはよくわかってきましたので、資料に反映していきたいと思いますし、これからもこういうタイプの資料を出すようにしていきたいと思います。ありがとうございました。

NHK:
 知事が最大の責務と位置づけていらっしゃる、医療体制について伺います。先ほども重症患者の病床の状況はかなり厳しくなっているというお話がありましたが、正直いつこの病床数を患者数が上回ってもおかしくないという状況が続いている中で、先ほどICUのスタッフに協力いただくというようなアイデアをお話しされていたかと思いますが、具体的に、仮に数字が上回った場合に備えて、重症患者に適切な医療を提供するために、どういった策を今考えていらっしゃるのか、改めて教えていただけますか。

知事:
 この前の対処措置でも、重症病床の対応として書いていますが、(第20回新型コロナウイルス感染症対策本部会議資料の)31ページになりますけれども、中等症患者の治療に対応している入院病床においても、重症患者の治療に対応できるように検討を進めているということを書いています。中等症でもそこそこの人がおられますが、重症病床ほど人がいない。しかし、臨時でも人を集めてそういうことができないかという対応です。

 重症病床患者数が病床数を上回るのが恒常的になると、病床パニック的になるので、重症病床を基本的に増やすということ、例えばICUの病床を全部コロナ病床にしてくれというようなヨーロッパ風のことをしないといけません。今ぎりぎりですが、奈良県の重症は比較的30床の中で今まで収まってきた。重症病床になると、少ない時は余ってくるものだから、その時はもったいなく見えるんですが、逼迫してくると大変だなと、こういう波。1つは、(第20回新型コロナウイルス感染症対策本部会議資料の)31ページに書いてある中等症病床の病室利用、臨時的でも病室利用ということの検討を始めます。

 今日申し上げたのは、ICUの余っている時期については、ICUの中に入れるわけにいかないから、隣室とかゾーニングをしてICUのスタッフを利用して重症患者を受け入れられないかという、その2つ目の手当てを研究してもらっているということを申し上げました。これは2つともまだこれから病院との調整ですので、重要患者が増える、増嵩を気にしながらやはり検討を進めるという今の状況ですので、うまくいざというときの手当てが、重症患者をその辺りに放っておくわけにいきませんので、とにかく必要な手当てにつなげるということは最大の責務だと思っています。

NHK:
 その2つを今考えているという中で、中等症用の病床での対応ですが、何らか設備が追加的に必要になるか、あるいはスタッフがさらに必要になるか、どちらかを考えなければいけないと思うんですが、この辺りは。

知事:
 中等症は、酸素吸入と肺炎措置をされているというのが基本的なメルクマールです。重症の方は全部人工呼吸されてるか、ECMOされてるかというわけじゃなく、酸素吸入だけの患者さんもおられ、それは重症病床だと観察がきめ細かいと聞いております。その観察がきめ細かいということを確保するには、中等病床でも観察の医師、看護師を手当てをしないといけないという方が大きなことになろうかと思います、施設的には。

 あと、コロナ対応の施設というのは、人工呼吸かECMOか、酸素吸入か肺炎措置か、中等症以上は、私、素人が聞いている限りでは、その4つしかありませんので、施設で何か設備を投資しないといけないことではなく、人を貼り付けないといけない方が大事だと。その貼り付けが日本の医療体制だと難しいと聞いていますので、中等病床でも人を貼り付けるぐらいはできるのではないかというのが、検討の対象になっています。

 これは、あふれそうになったらということなので、十分準備をして、重症病床といって確定するにはいつも貼り付けていなければいけないので、臨時でもそのバッファとして利用できる病床が重症対応病床があればという願いですので、今のご質問であれば、人の貼り付けの方がより大事かなと思っています。

NHK:
 それから、昨日発表のお亡くなりになった方のケースで、比較的症状も安定していたという中で、宿泊療養施設に入られていた方が、容体が急変して救急搬送されたんだけれども、お亡くなりになったということがありました。宿泊療養施設で1日に2回、定期的な体調観察もされていたかと思いますけれども、こうした事態を二度と起こさないために、追加的な対応を考える必要があるのか、それとも個別のケースだったということなのか、この辺りをどう見ればいいでしょうか。

知事:
 奈良で1件最近ありましたけど、宿泊療養施設での死亡というのは、普通は、軽症から中等、重症になって亡くなられるというのが、コロナの亡くなられ方と思います。宿泊療養で重症化が発見できなくて亡くなられたのかどうかというのが大きなポイントで、今回亡くなられた方は、違うのではないかとも言われています。それは原因調査をすることになると思います。亡くなられたことで、宿泊療養、中等症というのが壊れているのかというと、私が報告を受けた限りでは、そうではないと聞いています。

 違う病院で、病院ということはコロナとは違う症状が原因で亡くなられたようだとは聞いていますので、検証が必要だということですけれども、亡くなられたから宿泊療養施設は危ないというような、短絡的なことはいつもされておりませんが、この際もぜひそういうことのないように願います。それは情報を全部言えばすぐに分かりますけれども、個人情報の関係があるので言えないということです。どこまで言えばいいのかということはありますが、重症になっていたのに見過ごしたということではないようだと聞いています。そのぐらいまでは言ってもいいかもしれません。

NHK:
 そうしますと、引き続き病床を確保するということ、宿泊療養施設で診ていく、この二本立てをやっていくと。

知事:
 そうですね、宿泊療養と一般病床と、重症でも軽症化するとなるべく移すということが必要かと思います。酸素吸入をする病院でも、例えば和歌山県知事から、軽快された患者さんを和歌山で受け入れてもいいよと、おっしゃっていただいて。南和の病院でそういう患者がおられたら、橋本で受入れがあれば、奈良の病院でもできると思うんですけども、そのような連携も可能になってくるかと思っています。

 和歌山県は、奈良で患者さんの多い北和や、大阪に近いところと離れていますので、全体としては患者が少ないですが、それでも南奈良総合医療センターで重症患者もおられますので、軽快されたときにすぐに自宅に帰られるか、もし病院が空いてなければ和歌山で受け入れられるよという温かい申出があったんですが、またそれは検討してもらうようにしています。

NHK:
 今の確認ですが、和歌山県知事から、いわゆる後方医療機関としての提供についての意思が示されたということですか。

知事:
 うん、そういうケースがあれば、和歌山もサービス提供できるからというお話がありました。ありがたいお話で、そういうケースが、特に南ですので、あるかどうかは今調べてもらっています。奈良でできるのに移すということはわざわざしなくてもいいと思いますが、奈良もあふれてくれば、奈良がとても数字的にあふれてるという情報を見て、いろいろ荒井さん責められてるみたいだねと心配していただいてですけれども、南の方の申出は、ありがたいことだと思っています。

NHK:
 一定程度前向きに検討されていると。

知事:
 そういうことですね、その実例があるかどうかということで。

NHK:
 それから、先ほどオリンピックの話題が出ました。会場がほとんど東京に集中しているので、会場での対策というのが重要だろうというお話でしたが、一方で、奈良県内でも事前合宿を受け入れたいと思っていらっしゃる自治体が、ホストタウンですね、あると思いますけれども、この辺りは、県内で何らかの対策を考えなければいけないでしょうか。

知事:
 そうですね。いざ実行となると、オリンピック期間中は緊急対処措置で、オリンピックで優勝したからといって祝賀会やビールかけをしないようにとか、そういうことですかね。何か対策の提案があれば。

NHK:
 話が整えば、合宿なり、選手たちが来る可能性がなくはないと思うんですが。

知事:
 想定や想像をしていなかったんですが、海外の選手はどうも閉じ込めて、東京で競技してぱっと帰ってもらうというような情報が流れていますので、それだったら海外の選手があまり来られることもないのかなと、今のところそういう想像をしてるだけですが、確定した情報ではないかもしれませんので、それだったらあまり海外の選手が来られることもないのかなと思っているという程度です。

共同通信:
 SNS上で、真偽のわからない情報が出回っているので事実確認をさせてください。ツイッターで県議から聞いた話として、西村大臣から緊急事態宣言の対象に奈良県を入れるように、奈良県から要望を出すようにという話があったとして、逆に知事から、西村大臣のその考えはおかしいと説教をしたという話があるんですが、まず事実であるかどうか、もし事実であれば、西村大臣はどういう理由でそういうことをおっしゃって、知事はどのようにお返事されたかをお願いします。

知事:
 緊急事態宣言を適用しませんかというお話は、電話で4回ぐらいお話を直接しましたけども、その中でありませんでした。それと、蔓延防止を適用しませんかというお話も、そういう言い方ではありませんでした。奈良の実情はこうですと申し上げたら、奈良は対象とするような飲食店街、繁華街がないんですねということをおっしゃっていました。そういうものが発生するかどうかは、市と協力して探して、探索をしたいと思いますと言ったら、それでやってくださいというだけの話でしたので、この施策をやりなさいということは、蔓延防止も含めてありませんでした。

毎日新聞:
 先ほどの和歌山県知事からの申出ですが、いつ頃にあったんですか。

担当部局:
 昨日です。

毎日新聞:
 これは、後方支援だけではなく、陽性患者ももし病床が足りなければ受け入れますよという、申出ですか。

知事:
 いや、今の軽快された方の資料できてたよね。和歌山県の申出は、事務的に接触してもらいましたので。

担当部局:
 事務的にこれから接触しようと思っていますので、和歌山知事から荒井知事へは昨日の時点でご連絡が入り、担当部局から本日中には状況確認しようと思っていますので、今の時点で、和歌山と奈良でどうこうという話にまでまだ詰まってはないですけれども、知事ルートでそういうお話がありましたので、事務ルートで確認したいと思っています。

毎日新聞:
 それは、あくまでも後方支援という位置づけだったんですよね。

知事:
 後方支援という言い方にもできるかもしれないという印象ですが。

毎日新聞:
 奈良で入院されていて軽快された方を、リハビリ的に受入れられますよという。

知事:
 奈良で、病床が逼迫して大変だと思っていただいているのではないかと思うんですが、一瞬重症患者を受け入れてくれるのかなと思ったら、それはどうも無理。そういう話もなかったですし、軽くなった人の病院受入れということですので、後方支援と言う方が。重症患者を引き受けるよということではもちろんないわけですので、逼迫しているのは重症病床だと知ってはおられるんでしょうけれども、それへの申入れではなく、軽くなってこられた方を引き受ける病床は、病院は和歌山でも用意できますよと受けとったんですが。

 会議中の電話だったので、こういう話だったよということで、今、事務的な情報交換と調整をしてもらっているという感じです。だから、具体的にどんな内容かすぐわかると思います。

毎日新聞:
 もう一つ、感染者の家族などのメンタル的な相談はありますが、感染者本人からのメンタル的な相談については、知事はどうお考えか。というのも、先日、奈良県内で感染した方ですけれども、自ら命を絶たれた方がいらっしゃったようです。そういう方が実際にいらっしゃるようで、感染した方のメンタルケアについても、知事のお考えを。

知事:
 メンタルケアの実態をどのようにすればいいか、私、専門家ではありませんけれども、メンタルケアというのは、感染しても、心配し過ぎてもいけないし、もう俺は大丈夫だといって飛び回ってもいけないと、素人的にはそんな感じがします。そのような、常時孤立させないで、接触したり大丈夫かという誰かが寄り添ってくれているという感じは、通常、健常人でも必要かと思います。感染者だけではなく、通常でも必要かと思いますが、感染者で、宿泊療養あるいは家庭内でも孤立される、孤立感があるとメンタルにもダメージがあると思いますので、なるべくそれを聞く、今度の対処措置でも書いてありますけれども、とにかくAIでも聞くよ、看護師が頻繁に聞くよというのが一つ、その様子がわかると。

 ほったらかしにすると何日も応答がないとか、問合せしなかったのでメンタルで大変弱られたというケースはあり得ると思います。それは大都市で随分あるように思いますので、なるべく声をかけるとか、健康状態の管理というように、(第20回新型コロナウイルス感染症対策本部会議資料の)43、44、45ページで電話相談などをするよと言っていますが、それらのことは、大丈夫ですかということを、あなたのことを放っていないですよというメッセージにも当然なるわけですので、メンタルの専門家ではないかもしれませんが、そのようなことをいつも言って、孤立してませんよ、いつもそばに寄り添いがありますよというメッセージを作業の中で入れるということは意識しています。

日経新聞:
 重症患者の受入れを、例えば大阪が市外に要請したように、隣県に要請するお考えはありますか。三重とか京都とか、大阪は無理でしょうけれども、滋賀などに今後要請するようなシチュエーションというのは出てくるでしょうか。

知事:
 和歌山は病床に割と余裕があって、奈良県はなかなか余裕がなくて、特に重症などいろいろなところで逼迫しているので、なかなか余裕がない状況です。奈良県は、先ほども入院で、感染症16条の2に基づいてお願いしたら、15%か20%近く、(第20回新型コロナウイルス感染症対策本部会議資料の)34ページ目の資料になりますけれども、病床を増やしていただきました。大阪に近いところの病院もあるように思いますが、これだけしか数がないので、積極的にいらっしゃいというまでもなかなかいかないのかなと今のところ思っています。余裕ができたら助けに行くとか、受け入れますよということはあると思いますけれども。

日経新聞:
 そうではなくて、奈良から例えば和歌山、京都、三重に要請するとか、そういう可能性はありますか。

知事:
 今のところあまり考えていません。実効性があればいいけれど、それぞれの知事は、みんな大変ですから、いろいろな情報を聞いています。病床のことからすれば、大きな波が来るときに、その堤防があふれると池の水があふれるというようなイメージですけれども、また下がってくると空きが出てくるのか、各地のそれぞれの波で、知事さんそれぞれ大変ですので、まだ思い至りません。

司会:
 その他にご質問よろしいでしょうか。幹事社さん、よろしいでしょうか。

 それでは、知事定例記者会見を終了いたします。ありがとうございました。

知事:
 ありがとうございました。いろいろ議論して教えていただきましてありがとうございました。大変参考になりました。今後ともよろしくお願いいたします。

(発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。)

お問い合せ先:奈良県広報広聴課 報道係  TEL 0742-27-8325

お問い合わせ

広報広聴課
〒 630-8501 奈良市登大路町30
報道係 TEL : 0742-27-8325
広報制作係 TEL : 0742-27-8326 / 
FAX : 0742-22-6904
デジタル広報係 TEL : 0742-27-8056
県民相談広聴係 TEL : 0742-27-8327 / 
FAX : 0742-22-8653
相談ならダイヤル TEL : 0742-27-1100