令和4年6月21日(火曜日)知事定例記者会見
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令和4年6月21日(火曜日)知事定例記者会見
【発表案件】
○「いまなら。キャンペーン2022プラス」の実施内容の一部変更について
【質疑応答】
○参議院議員通常選挙について
○自死職員損害賠償請求訴訟判決への対応について
○近畿日本鉄道株式会社による鉄軌道旅客運賃の改定申請に関する公聴会について
○リニア中央新幹線建設促進期成同盟会への静岡県の加盟について
○DMG森精機株式会社の奈良への本社移転について
司会:
おはようございます。
それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
初めに、本日の発表案件についてでございます。本日は、発表案件が1件ございます。「いまなら。キャンペーン2022プラス」の実施内容の一部変更についてでございます。
それでは、荒井知事から発表いただきます。
【発表案件】「いまなら。キャンペーン2022プラス」の実施内容の一部変更について
知事:
今言われたように、「いまなら。キャンペーン2022プラス」の実施内容の一部変更の発表でございます。
この一枚資料に書いてありますのが全容でございますが、奈良県の「いまなら。キャンペーン2022プラス」は、6月8日に発表いたしました。その後、観光庁から約10日ばかり遅れて6月17日に、類似と言ってもいいかもしれませんが、キャンペーンの需要喚起策が発表されました。少し観光庁と奈良県の案が違いますので、一言で言えば、観光庁が奈良県独自の案を上回っているものは上乗せをして実施するということ、それから、奈良県の独自案、6月8日案が観光庁を上回っている場合は、県の上回っている分をそのまま実施するという考えでございます。観光庁案と奈良県独自案のいいとこ取りをしようというのが、今回の変更案でございます。
具体的に申し上げますと、予算額は、観光庁はまだ示されておりませんので、県の予算額を69億1,800万円をそのまま実行いたします。対象は、県の独自案と観光庁の案は同じでございますので、県の独自案をそのまま実行いたします。実行の時期でございますが、観光庁案はこの7月前半から8月末まで当面ということでございますので、7月前半よりも奈良県の独自案は7月1日からということで少し早いので、早く実施する独自案は変更なしにします。終わりのほうは2月28日ということで、今のところ遅いですので、早く始めて遅くまでするという奈良県独自案で実行したいと思います。
割引率ですけれども、奈良県は一律50%、観光庁案は一律40%でありますので、これは奈良県の独自案を採用して50%といたします。上限5,000円は、奈良県独自案と観光庁案は変わりませんので、奈良県独自案そのまま5,000円とします。交通付旅行商品というのは、上限8,000円まで観光庁案が上乗せされておりますので、観光庁案を採用いたします。
地域クーポン券について、観光庁案は、平日3,000円、休日1,000円でございます。奈良県独自案は、県民3,000円、他県民2,000円でございます。これをいいとこ取りということになりますと、県民につきまして、平日は3,000円、休日3,000円、これは奈良県独自案を採用したいと思います。観光庁案は、県民であっても休日は1,000円ということになっておりますが、観光庁案を採用いたしません。
それから、他県民割でございますが、観光庁案は、県民と他県民との差はありませんので、奈良県では平日2,000円でございましたが、観光庁案は平日3,000円という案でございますので、観光庁案を採用して、他県民でも平日3,000円にするということにいたします。休日は、奈良県独自案は他県民でも2,000円でございました。観光庁案は、休日は1,000円でございましたが、観光庁案を採用しないで奈良県独自案を採用するということにいたしました。
繰り返しますが、いいとこ取りしますということになります。観光庁案であれ、県独自案であれ、上振れしている分はその案を採用しますというのが一部変更案の内容でございます。
ちょっと具体的に書くと複雑になりますが、県が6月4日に先走って発表して、観光庁が全国割にするよということを6月17日に発表されて、同じような趣旨の観光需要喚起策でよかったのですけれども、観光庁案が県独自案を上回っているところもありましたので、それは採用するということが基本的なことでございます。しかし、県独自案のほうが上振れしているところもありますので、それはそのまま採用しますという案でございます。
観光庁案が追加で発表あったなかで大きいのは、上限8,000円というのが追加されたというのが目立ちます。奈良県独自案では、一律50%というのが目立ちます。それと、県民、他県民3,000円、2,000円にしておりましたのを、観光庁案は、平日、休日3,000円、1,000円とされてますので、休日1,000円というのは観光庁案を採用しないということが大きいと思います。以上でございます。
司会:
ありがとうございました。
本件の関係、ご質問はよろしいでしょうか。
参議院議員通常選挙について
司会:
それでは、その他の案件を含めましてご質問ございます方、挙手にてお願いをいたします。
NHKさん。
記者:
まず、時世柄でお伺いいたしますけれども、明日、参議院選挙が公示日を迎えますが、参議院選挙に関して、ご自身の期待ですとか、それからどういった選挙になってほしいかというような思いについて、まずお聞かせいただければと思います。
知事:
参議院選挙で、ご自身のとおっしゃいましたが、私自身、参議院議員の経験がありますので、ちょっと個人的な思いということになりますと、あまり触れることはないと思います。触れてもいいのですが、長くなりますので触れませんが、県知事の立場というか、政治家の立場として参議院時代は宏池会におりました。派閥でいろんなことが違うんですけれども、岸田さん(岸田文雄 内閣総理大臣)と机を並べてというか、このような席で、宏池会はお弁当やラーメン、おすし、うな丼などがずっと置いてあって、好きなのを取って自分の好きな席に行って食べるという木曜日の派閥の会合がありました。年代の高い人は高い人で集まられますし、年代の似たような人は似たような人で集まるという傾向がありまして、衆参問わず、林さん(林芳正 衆議院議員)とか岸田さん、塩崎さん(塩崎恭久 元衆議院議員)は近くにおられた。そのように机を並べてということがありますので、私から見れば、今度の政権に対する反応ということに大きな焦点があるように思います。参議院選は、よく言われますように政権選択の選挙ではありませんが、政権の安定性を問う選挙であると思います。
日本は衆参両院で、予算案は衆議院優先ですけども、法案などは同等以上の権限が参議院にありますので、安定性に大きく関係いたします。与党・自民、公明の安定性というのがどの程度になるかというのは関心事項で、私も関心を持っております。
今の時代、世界が大変不安定になってきている中でございますので、政権の安定性というのは大変重要であろうかと思います。また、日本の岐路といいますか、方向を決めるのに、政権が安定してますと深掘りの議論ができるのが常でございます。憲法だけでなく安全保障の話、経済の振興あるいは社会保障と経済、雇用と経済がどのように深掘りされるかいうことは、政権運営の中の大きな課題であろうかと思います。
また、新しい日本の社会構築といいますか、デジタル田園都市構想というふうに打ち出されております。地方を日本の牽引力に、東京を田園都市となかなか呼びにくい面もありますので、地方の田園都市を日本の経済社会の牽引力にしようという、宏池会ならではの、大平さん(大平正芳 元内閣総理大臣)以来の構想が入っているように感じます。そのようなのは大きなことでございますので、憲法と安全保障の関係、それから雇用も含めた社会保障、あるいは教育と日本の成長、経済発展の課題、教育・雇用と経済発展ということになってもいいかもしれませんが、連合の立ち位置なんかもそれに関係すると思います。
それと、新しい発展の中で、イノベーションとグリーンといいますか、環境政策というのも大きなこと、それは田園都市構想と結びついていると思います。そのような3つの大きな事項は、私から見ても、地方から見てもということになりますが、関心事項でございます。
今度の選挙では、そのような論点が深掘りされることを期待いたしますけれども、そのような大きな論点は、選挙のときだけの論点となり、選挙のときはどうしてもチャレンジャーのほうは一点張りになってしまいます。これがおかしいからどうだということを追及するのがチャレンジャーのスタンスであることが常でございます。あらゆることを選挙のときに議論すると、どうしても検討が進んでいる与党のほうが深掘りした議論を展開する傾向がございます。そのような選挙の際の与野党のハンデはあるというふうなことを有権者としてはしんしゃくをしていただいて、野党もいいこと言ってるなということがあれば、次の政権ができて以降の議論にも影響すると思います。選挙後の政治・政策の議論に、いい論点が反映されるようにいうことを願っております。
日本の選挙はいつも選挙の論点と、その後の政治の論点と分けて編集・構成されることが多いように思います。選挙のときの論点だけで終わることのないように、それはずっと続いているものだと思います。今の時代の大きな論点を、与野党がどのように触れておられるのか、その後の政策討議に与野党のスタンスが影響するように思いますので、その点よろしくお願い申し上げたい気持ちでいっぱいでございます。以上でございます。
記者:
ありがとうございます。ちなみにですが、各紙の論評などを見ていて、有権者の中でどういったことが主な論点になりそうだとお考えでしょうか。例えば、国際情勢でありますとか、物価高でありますとか。
知事:
今、有権者の論点とおっしゃいましたが、論点を形成するという過程も大事でございます。アジェンダといいますけれども、アジェンダを誰が提示するのか。有権者のみか。いつも、有権者の論点という言葉にそのような皆様の考え方が率直に表れているように思います。皆さんもアジェンダを出されておりますので、それは誘導ではなく、皆さんプレスのアジェンダというのは大変大きな意味があろうかと思います。あるいは、マスコミ出身の評論家や政治家のOBもそうですけど、今の論点はこうだということを、声高に語っておられます。何がこの今の日本にとって大きな論点かという、アジェンダの設定が一番大事かと思います。有権者の意識と日本の真のアジェンダが一致することが望ましいと思います。
有権者の論点というのは、どうしても有権者の身近なことにアジェンダが偏りがちでございます。どちらかというと、身の回りにどれだけ配慮してくれるのかというのが有権者の傾向としてあります。それにNHKさんが沿われるのか沿われないのかというのは大きな分かれ道だと私は見ておりますが、そちらの、有権者という言葉からは沿われるつもりかなと、こう思ったりもいたします。間違っていることを期待いたしますけど、大きな論点と先ほど申し上げましたのは、このような大きな選挙では論点も大きいほうがいいかというふうに願っております。身近なアジェンダも大事でございますが、その身近なアジェンダが将来に影響する大きなアジェンダであることを願っております。
すると、身近なことにどれだけ配慮するかということを競うよりも、社会保障が孫子の代まで安全なのか、SDGsということが外国で言われ始めた中で、Sという字をサステーナビリティーといって、日本の有権者あるいはマスコミ、政治家が使うようになりましたが、日本は割とサステーナブルな要素が強いと思いますけども、本当のサステーナブルはどのようにするのがいいのか。やはり安全保障がサステーナビリティーを破壊するということは、ヨーロッパ、大陸国では常でございます。感染症がサステーナビリティーを破壊するというのが常でございます。その危機管理ということは、社会保障を達成する上でも安全保障と密接な連携がございます。その連携をどのように深掘りして議論してくれるのかといったことも、有権者の一部の方は期待されていると思いますので、政治家がそのような有権者の声に沿って議論を展開されることを強く期待いたします。
記者:
ありがとうございました。肝に銘じたいと思います。
司会:
ほかにご質問はいかがでしょうか。
毎日新聞さん。
記者:
明日、参議院選挙の公示日ですけれども、知事は、どこかの陣営の出発式に参加される予定とかあるんでしょうか。
知事:
もう明日出陣式ですけども、自民党からも呼ばれてないですよね。普通は、私のときは、県知事に自民党公認候補のときは来ていただいたなというふうに思い出すんですけども、今はあまり知事は呼ばないのかなと思ったり。この場合は、押しかけるということはあまりないですので、力がないから呼んでもしようがないと思われているのかもしれませんが、そのような事情で明日行く予定はございません。
それと、午後ですけども、県議会も質問が始まりますので、来たときの言い訳に議会があるというのはお断りしやすい面もあります。しかし、午後ですので、出陣式は朝ですから断る理由にもならないと思いますけれども、多分、秘書課で抑えているわけでもないと思いますが、私のところには、普通は出欠の調整といいますか秘書課がしてくれます。まだそういうお呼びがなかったと思います。
記者:
ありがとうございました。
自死職員損害賠償請求訴訟判決への対応について
記者:
続いて、2点目としてお伺いしたいんですけれども、今月の14日、元県職員の西田幹さんの自殺についての奈良地裁の判決に対して、県は判決を受け入れて控訴しないということでコメントを既に出されておりますけれども、改めてこの判決についての受け止めと、知事としてのお考えについてお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
知事:
県職員の死亡でございます。判決の中には、県の過失ということが認められております。それを受け入れた当事者でございますので、県行政の責任者として、職員が自死されたという結果を招いたことは大変申し訳なく思っている次第でございます。コメントでも発表させていただきましたが、遺族の方にも手紙でそのように書かせていただき、人事課長からお伝えさせていただいた次第でございます。そのような気持ちでございますので、非常に残念であり、改めてご遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げたいと思います。
また、判決を受け入れたということでございますので、その判決に対する対応ということも質問の中に入っているかと思いますけれども、その点についてお答えしてよろしいでしょうか。
まず、応訴をした趣旨でございますが、公務災害認定というのは無過失責任でございます。それに対して、損害賠償請求は過失責任の有無を問うものでございますので、過失の有無によって損害賠償するかどうかということよりも、過失の内容を具体的に明らかにしてほしいと思っていました。労働環境というのは、大変奥深い、難しいテーマでありますので、裁判所に、この職員の自死を通じて管理者の過失の内容を具体的に明らかにしてもらって、それを今後の再発防止策につなげるというのが、応訴の一番の理由でございました。
今回の裁判は、具体的に言えるかどうかという点については別にいたしまして、裁判所から県の過失があると判断されたことを真摯に受け止めたいと思っております。職員が自死されたという結果は重大でございます。ご遺族の願いでもあります再発防止に、より早く取り組みたいと思っておりましたので、判決を受け入れることにした次第でございます。
職員の方の自死以来、県庁の勤務環境は、私から見ても著しく改善が図られてきていると思いますが、まだ完璧ではないように思います。これまでの取組に加えまして、職員の健康管理や勤務時間管理のより一層改善に努めたいと思っております。
以上に述べたような気持ちでございますが、さらに具体的な改善の動きとして、新たに労働安全衛生に関する有識者会議を立ち上げて、本県職員の労働安全衛生、特に勤務時間管理などの、より適切な確保に向けて有識者に意見を伺い、職員の健康管理や勤務時間管理の一層の改善に向けた、より踏み込んだ対策を検討していきたいと考えております。以上でございます。
記者:
ありがとうございます。ちょっと事務的な確認になりますけれども、知事から言及のありました、遺族に対してお手紙を出されたというのはいつのことになるのかということと、有識者会議というのは、いつ頃立ち上げるご予定でしょうか。
知事:
ご遺族の方に人事課長がお会いしましたのは、6月14日に控訴しないと判断した後、6月15日でございます。その際のご遺族のコメントも報告を受けております。ご遺族からは、再発防止に早く取り組むようにというお言葉があったようでございます。このようなことが二度と起こらないよう再発防止をしっかりしてもらいたいという、ご遺族からのお言葉があったということを伝え聞いております。
再発防止の有識者会議は、早急に立ち上げたいと思っており、8月を目途に、労働安全衛生の見直し内容、検討内容を取りまとめて公表させていただきたいというように思っております。
司会:
ほかにご質問いかがでしょうか。
毎日新聞さん。
記者:
先ほどの有識者会議なんですけれども、これはもう既に設置したんでしょうか、それともこれから人選をしていくということなんでしょうか。
知事:
有識者会議の設置はもう既に、控訴しないと決めたときに職員に指示をいたしましたので、その設置については内々は決まっております。これは知事部局の中でできます。具体的な有識者の名前はまだ私には届いておりません。人選ということになりますと調整が要りますので、まず普通なら、こういう人たちでいいですかということが私に届いて、オーケーを出して調整するという過程に入りますが、まだそこまでいっておりません。
記者:
知事として、いわゆる第三者、専門家にその提言をしてもらおう、第三者に委ねようというふうに決めたのはどういうところで、どういう理由で有識者に話をしているんですか。
知事:
第三者という言い方でくくられますが、今まで労使のほうは、労と使が紛争すると、その例外として司法解決をすることが多かった。今度の裁判でも、労使紛争として司法解決になり、日本は司法解決にいく傾向がとても強い。ところが、労使の労働環境の裁判判断は専門性が要りますので、今回の裁判もそうですけども、労使の労働安全衛生についての裁判所の能力ということが大変問われる裁判でございました。裁判員制度というのがあるぐらいですから、有識者制度があってもいいなと私は思っております。専門性の高い裁判は、そういうことを聞くというのが必要かと思います。
今の日本の司法制度では、裁判所の職員が調査をして裁判官に報告するということになっていると思いますが、公に有識者会議ということはないと思いますが、そのような方法で専門性を高める裁判が出たほうがいいのではないかと思います。司法が当てにされると思いますけど、裁判所が専門性がそれほど高くない判断をいたしますと、現場に返ってくるわけでございますので、現場の判断を、有識者から意見を伺い、専門性を上げたいというのが実情であります。
専門性を上げるというのは、関係者であってもなくても、第三者というような裁判の言葉を使わなくても、専門性のある判断、有識というのがとても大事なことだと思います。労働安全衛生についての有識者というのはなかなか難しく、ちょっと私自身も頭に浮かびませんが、確かにおられますし、何十年も前に労働安全衛生の研究所が労働省の外郭団体でできております。それは公害とかを受けての医療的な措置でありました。これは大変なことでございました。だんだんよくはなっているんですけども、今度はメンタルの要素の労働安全衛生というのを、まだまだこれから深めていただきたいと思っておりますが、奈良県庁の職場でそのようなことがありましたので、これを機会に深めていきたいと、有識者の知見を集結させたいという思いでございます。だから、第三者という言葉よりも、有識者のほうが適切、気持ちとしては適っていることでございます。
記者:
ありがとうございました。
司会:
ほかにご質問はいかがでしょうか。
読売新聞さん。
記者:
今の質問に関連して、有識者会議の前に、これまで県としても、判決の前から職務改善に取り組んできたという話も聞きますけれども、もともとこれまで取り組んできた県の取組について、教えていただけますか。
知事:
判決と、これまでやっておりますことの現時点での評価ということでございますが、裁判所の判断は、取りまとめて言えば、長時間労働に起因する鬱状況を認識したのであれば、長時間労働をさせないための具体的な措置を取るべき、これが割と大きなことだと思います。その具体的な措置としては、県では、早期の帰宅の呼びかけをしておりました。早く帰りなさいという呼びかけをしておりました。裁判所の判断では、それでは不十分だというふうに判断が示されたように思います。それが有識者会議にかける大きな論点であろうかと思います。
その状況になれば、早期の帰宅の呼びかけだけではなく、長時間の残業をさせないための具体的な措置を取るべきという指示が司法であったわけで、これは具体的になかなかないので、有識者会議をやろうということに結びついています。
退庁命令というのを出さないといけないかどうかということを有識者会議に諮りたいと思いますが、退庁命令というのは、残業命令の裏腹であると思います。退庁命令があっても自宅で仕事するだけだというのもちょっと困るので、そういう全体の労働の密度も含めた管理というのは管理者の責任であると思います。それこそ皆さんの職場、いつも見ていると大変だなと思ったりいたしますので、割とうまく手を抜くところがあればいいかと思いますけれども、自主的な労働者の判断に任されているというのが日本の職場の実情でございますけど、その退勤の管理を個別的にしないといけないというような傾向になって、個別的な退勤管理はどのようにするか、これはまだまだ探求しなければいけないことだというふうに思っております。
そのような踏み込んだものにするには、やはり有識者の論点が要るように思っております。今まで退勤管理ということが十分ではなかったと思っておりますが、この事件以来、ある程度進んできたように思いますけれども、ある線を越えないようにするにはどのようにすればいいかという課題が含まれているように思います。その点は、有識者の知恵を借りなければいけないかなというふうに思っているところでございます。
具体的な措置ということを裁判所が言っておりますので、具体的な措置というのはどのようなものがあるのかということを真摯に考えたいというふうに思っております。
近畿日本鉄道株式会社による鉄軌道旅客運賃の改定申請に関する公聴会について
記者:
続いて、このまま3点目をお伺いしてもよろしいでしょうか。
司会:
はい、どうぞ。
記者:
別件でありますけれども、来月行われる近鉄の公聴会でありますけれども、改めて、こちらでどういった意見をお述べになろうと現時点でお考えになっているかどうかということと、改めて、どういったことに関してご自身の疑問点というか、ご質問で明らかにしたい部分があるかというところについて、お考えをお伺いできればと思うのですが、いかがでしょうか。
知事:
7月14日であろうと思いますが、公述させていただくことを考えております。公述の内容でございますが、この前、公述人としての論点を運輸審議会に届けました。そのような内容が中心になろうかと思いますが、大きなことで言えば、鉄道会社の運賃改定は、地域独占、価格形成は、競争による価格形成というのが基本でございますが、その例外措置として認可ということがあります。それは独占を前提に、同じところを競争で鉄道を走らせるという、インフラは無駄を発生させるという観点でございます。そのために法律をつくって、国の認可にかからしめているわけでございますけれども、競争による価格形成が基本であることは間違いございませんので、疑似競争といいますか、認可の際には、ほかの他社と違って遅れているとこがあれば、認可当局は指摘しなければいけないというのが、当然その仕組みにあるわけでございます。それは他社との経営効率の比較ということに、これは大概運賃の改定のときは認可当局は必ずするものでございます。それを改めて他社との比較というのを、利用サイドから見たことを論点を列挙しておりますので、それは認可当局もお答えになっていただきたい論点であろうかと思っております。
もう一つは、このような地域で営業されております地域経済主体でございますので、地域との共存共栄ということが法律の精神にも、その認可の営業区域を持たれているものにもあると思います。電力は広域でありますけれども、独占になっておりますが、効率性を日本の国は追求してきたということでございますが、電鉄も、ある点できますと大変独占的でありますので、その地域との共存共栄という意欲が薄れてしまうのが多いわけでございます。
関東の私鉄と比較いたしますと、関東の私鉄は、ネットワークが割と網の目になっておりますので、競争状態がかなりあります。同じ路線で、複数の路線で行けるODといいますか、こっから向こうに行くというのは複数の路線選択が可能であります。運賃がどちらが安いかということを見て選択されることも可能になって、独占であるとはいいながら。関西のほうは、そういうことはあまりありません。これは地域の発展に大きく影響してきたと思っております。複数の選択が可能で、電鉄会社が競争に基づくサービス改善を図っていれば、関西の自力は随分上がってきたというのが私の持論でございます。関東は、世界有数の鉄道ネットワークがいい地域でございます。これは東京の発展に大きく寄与してきたというように思います。
競争は、鉄道だけの競争ではなく、マイカーとの競争、バスとの競争、あるいは幹線との競争というのがありますので、それとの比較を運賃改定の際に当局がされるのが常でございますので、怠っていたとこがあればペナルティーがあるということが認可当局の責務でございますが、その際に、地域との共存共栄が図られている関東の私鉄であれば、人口の変動があっても共存共栄の、共栄の道筋がある程度見えてきております。近鉄の場合、共存共栄の精神が低いように私は思っております。その点を追及したいと思いますし、人の共存共栄を具体的に図れるようにということが大きな願いでございます。
3つ目になりますと、運賃のときだけ、政治家の選挙と同じでございますが、言って済まされるというのは、共存共栄の精神からするとずっと持続的に、サステーナブルな共存共栄の体制、プロセスというのが、運賃改定が頻繁なときはそれがチェックされておりましたけども、最近は、デフレですので運賃改定がなかったというので、そのチェック機能が少なかった。これは割と不幸なことで、会社にとっても不幸なことで、会社の中でその会社の繁栄を図ろうと、競争に打ち勝とうというガッツが少なくなる傾向がどの会社でもあります。競争というのはとても大事かと思います。そのような今後のプロセスを、できれば共存共栄のための対話のプロセスを確立していただきたいというのが大きな願いで、取りまとめますと、そのような3つの願いを込めた陳述にしたいと思っています。
記者:
以上です。ありがとうございました。
リニア中央新幹線建設促進期成同盟会への静岡県の加盟について
司会:
よろしいでしょうか。
ほかにご質問はいかがでしょうか。
共同通信さん。
記者:
リニアの関係です。今月に入って、静岡県が、全国のリニア沿線の都府県でつくる期成同盟会に参加したいというような申入れをされました。これは、その9都府県の意向を確認して、その後どういうふうな対応を取るかというのを決められるかと思うんです。なので、今、ボールは各都府県のほうに投げられたような状況になっていますが、知事の現時点での考えとしては、この静岡県の申入れについてはどのようなお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
知事:
期成同盟会に入会したいという静岡県の意向がありましたので、会長の愛知県知事からご下問がありました、賛成か反対か。奈良県は直ちに、賛成です、受入れ歓迎ですという答えを送りました。愛知県知事がそれを認めるかどうか、どのように検討されているのかどうかの報告はまだ来ておりません。しばらく時間がたっておりますけれども。ほかの県も、全部は調べておりませんが、賛成されている県も多いように聞いております。全県については分かっておりませんが、何県かは賛成されたと聞いております。
記者:
静岡県の対応をめぐっては、環境問題を理由になかなか着工に時間がかかったりとか、そういったスタンスがあるのにもかかわらず、この促進期成同盟のほうに入られるというのはいかがなものなのかという考え方が、一方であるかなと思うんです。
知事:
静岡県知事の入会申請書というのを読みましたけれども、甲府市付近、山梨と品川は賛成ですと。長野と名古屋は賛成ですと。それから、名古屋以西を促進してもらうのも賛成ですと書いてあった。静岡問題は、水問題があるので、これは東海と協議して進めますと書いてありますので、今言われたように、静岡が進まないと入ってはいけないのかどうかというのは、判断と思います。私は、そこまで言っておられるんだから、静岡の水問題はさておき、全線開業に向けて賛成しておりますと、こう静岡県知事が言っておられるので、いいんじゃないかというふうに思いました。
そのような状況が、今度の岸田総理が、2023年の「骨太の方針」で、名古屋以西の環境アセスメントを2023年から開始するようにということを書かれて、先日、三重県に来られて、私と三重県知事を呼ばれて両県知事も協力するようにと、こういうご下問があったのも、その一環と思っております。といいますのは、西のほうから進めることによって静岡問題が矮小化という、そこを突破しないとできないということではなく、周りが仕立てて、全線開業がやはりJR東海にとっても国民にとっても最終の目標というふうに思いますので、静岡を先にやるか、ちょっと遅れるかという選択だと思いますが、「骨太の方針」では、西のほうも早くしなさいと。岸田総理が三重県で言われた言葉の中で、2037年の全線開業を図りたいと。そのために前倒しの財政投資をしたんだというお言葉がありましたが、2037年、15年後の全線開業というのは大きな目標でありますので、それに向けて西のほうにも手をつけるようにという政権の意思だというふうに受け止めております。
これは、攻め方として、鉄道はできるところから早くやればということが従来からしておりましたので、難関箇所というのは必ずどこかで残りますが、東海道線においては丹那トンネルでありましたけれども、そのようなことが残りますので、それを最初から突破してというのは、理屈上は大変いいんですけども、水問題が解決するのを待って西のほうをするという策もあると思いますが、西のほうを同時並行的に進めて、水問題はちゃんと解決しなさいという路線に入ったのかなと、私の解釈ではそのように思っています。それは正しい方向だというふうに思っています。
記者:
今回のその参加申入れについての賛否については、いつ回答されましたか。
知事:
それは、割とすぐに回答いたしました。お問合せがあって、大分前になります。具体的な時期が分かれば、後でまた報告いたします。
記者:
分かりました。ありがとうございます。
DMG森精機株式会社の奈良への本社移転について
司会:
ほかにご質問はいかがでしょうか。
日本経済新聞さん。
記者:
JR奈良駅の近くに、来月、DMG森精機が開発センターをオープンする予定です。そこは、東京と二本社制になって、本社が置かれるみたいなんですけれども、誘致に際しては県もかなりご尽力されたと思うんですけれども、森精機は一企業ですけれども、奈良県にとっては最大規模のものかと思います。知事の受け止め、期待とか伺えればと思います。
知事:
本社機能を奈良県に移す企業も増えてきております。森精機は、元は和歌山県の企業でありましたけども、郡山に本社を長年置いておられました。森さん自身が、名古屋に本社を置かれたといううわさを、本当は奈良に置いているんだよと常々言っておられました。二本社制じゃなかったのかなと今では思いますけれども。したがって、出したのを戻したというよりも、元から本社を奈良と思ってますよということを口で言っておられましたので、森精機については、本社をまた戻されたというような感覚ではございませんので、質問をちょっとうまく捉えられませんですみませんでしたが、森精機の生い立ちからして、本社をずっと奈良に、お父さんの時代から置いておられましたし、森さん自身も本社は奈良ですよということを言っておられましたので、いつ名古屋に行ったのかなと。本社は奈良で、税金も、本社の税金払ってますよということを最近まで言っておられましたので、ちょっとこの奈良本社というのは、実質なのか、実質はそうであって形もそうしたのか、建物を本社の建物ふうにしたのかという、ちょっと分からないので、実質は奈良も本社機能があるというふうに言っておられたので、森精機についての本社機能というのはそのように受け止めております。
ご質問で、奈良に本社があったほうがいいでしょうということについては、そのとおりでございます。小さくても本社があれば、いろんな税の配分とか、中枢機能がありますので、中枢機能で奈良の本社のメリットは、災害から安全だということが大きいと思います。工場もそうですけども、災害フリーというような面が、今まで交通が不便だということが、交通不便をデジタルで克服すると、本社機能で克服するということが世界中行われておりますので、交通不便、幹線から外れたということのハンデが少し矮小化されてきているように思いますけれども、その上で、本社機能は災害があるとやはり大変でございます。情報中枢ということになりますので、やっぱり危機管理庁といいますか、危機管理の中枢が本社機能の大きな役目でありますので、そのような危機管理を安全なとこでするという風潮が伸びてくればいいかというふうに思っております。
量的には、今まで災害にはちょっと弱いけれども、便利なとこにというふうな風潮がずっと続いておりますけれども、やはりちょっと分散して、災害があっても本社機能が、代替本社機能があるというふうに世の中動いてきているように思いますので、森さんの場合はちょっと分かりません。代替機能の本社かもしれませんけれども、代替本社機能ということは、安全なとこを一つ選んでおくというのは、危機管理上大事なことかなと思っておりますので、奈良の場合は危機管理上の本社機能あるいはセカンドの本社機能であっても、十分お役に立つのではないかなというふうに思ってきているところでございます。
記者:
ありがとうございました。
司会:
ほかにご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
幹事者さん、よろしいでしょうか。
それでは、本日の知事定例記者会見を終了いたします。ありがとうございました。
※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。
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