令和4年7月7日(木曜日)知事定例記者会見

【質疑応答】
○新型コロナ対策について
○近畿日本鉄道株式会社による鉄軌道旅客運賃の改定申請に関する公聴会について
○改正刑法における受刑者の更生について





司会:
 おはようございます。
 それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 本日は、発表案件はございませんので、ご質問をお受けする形で進めさせていただきます。



新型コロナ対策について





司会:
 それでは、ご質問のございます方、早速でございますが挙手にてお願いしたいと思います。
 読売新聞さん。




記者:
 新型コロナの感染が全国的に増加傾向にありますけれども、例えば、今、県で考えている対策とか、あるいは「いまなら。キャンペーン」への影響というのがあるようでしたら教えていただけないでしょうか。




知事:
 コロナが全国的に増えております。奈良県も同様の波があります。その波の形は従来とあんまり変わってないんですけども、波が増えつつあります。
 それと、奈良県の今までのやり方について大きな点が2つあると思いますけれども、県のトリアージ方針を決めまして、入院の必要な方は入院をしてもらうという方針であります。入院の必要でない方は自宅で療養して医療を届けるというトリアージにしたわけでございます。やみくもに経過観察の人も含めて入院させずに、コロナ病床と通常病床との折り合いをつけるというのが大きなトリアージの目的になっております。
 現在のところ順調に運営されております。入院の必要な方というのは、大多数、7割ぐらいだったと思いますけれども、コロナにかかっておられるんだけどもそのほかに治療が必要な、例えば、妊婦さんであるとか、認知症であるとかという方がコロナ病床で治療をしていただいております。そのような方々はコロナ病床を埋める患者さんということになっております。したがって、感染者が増えたときの病床の逼迫というのが大きな課題になっておりますけれども、奈良県の場合は、そのような形でしておりますので、逼迫度を緩和する措置をトリアージでしたということにもなりますので、今のところそのような逼迫の傾向はございませんというのが報告の1つでございます。
 一方、実際に増えてきておりますので、将来、病床が逼迫すると、やはり今、通常病床に戻しているものを、また戻すという措置をとることになると思います。今、通常病床のほうを優先してそちらに移した病床が数百ありますので、それを戻すというふうにしたいと思います。増嵩に対する病床との関係については、奈良県ではトリアージ方針に従ってやるということと、将来、病床が逼迫してくると、そのようなことも考えるということになります。
 もう一つは、感染者数が増える大きな要因として、クラスターがあります。特に若年者の感染者が多いということになりますと家庭や学校、あるいは高齢者になりますと施設とかでの感染というふうになりますので、新型コロナ感染対策責任者を設置しておりました。今度は、学校、保育園でもクラスター対策が必要かと考えまして、7月4日に登録していただくんですけど、実践責任者を出してくださいということを呼びかけました。それがクラスター対策ということになります。
 今申し上げましたようなことを資料に整理してありますので、幹事社さんに見ていただいて、よろしければお配りさせていただいていいですか。




知事:
 よろしいですか。
 それでは、今、幹事社さんのお許しが出ましたので、4枚資料を配らせていただきます。話す前に資料を配ったほうが分かりやすかったかもしれませんけれども。
 今、申し上げましたようなことがここに書いてありますが、資料でいいますと、1枚目の感染者の波について、大阪との連動がまだ続いておりますが、このように波が上がったり下がったりという形になってきているというのが特徴でございます。全国的にもそうでございますけれども、素人の推察ですけど、この波が上がるときに株が変わっているかもしれないんですね。第六波と言われるのはオミクロンという株で、オミクロンの1、2、3、4、5と、出てきていますので、そのオミクロンの性格はどうなのかということは少しはっきりしませんが、これは推察では言えないんですが、今まで総じて言われているのが、感染力はオミクロンになって強くなって、だからこんなに、アルファ、デルタに比べて波の山がすごく高いということは言われているけれど、感染者あたりの死者率というのを並べるとわかりやすいですが、毒性は弱くなると言われております。
 これはちょっとはっきりしてほしいところですが、毒性が強い、弱いというのは専門家の領域なので専門家の方々に期待するところでありますけども、時々言われるのは、感染力が強くてこれだけ感染者数は増えるんだけども、毒性が弱いから死者が少ないと。俗説か正説かという部分は大きなことであります。正しく見るというのが、この感染症、安全保障の一番大事な点ですので、その点、私が言い過ぎにならないように、そういう説があります、といって、こう言っているところであります。今日は死者数の数字は出ていませんけども、死者数はとても少ないです。
 これは今までも申し上げてきましたが、日本の統計では、死因が例えば心筋梗塞であっても何であっても、コロナに感染していると、すべてコロナの死者数に計上しております。数字を大きく取るのはいいんですけれども、コロナが死因じゃないというコロナ患者さんが、奈良県では4割おられるということが分かっております。それが全国的にどうなのかという発表はありませんが、コロナにたまたまかかって、腎臓病とか心筋梗塞とかで亡くなられ、お医者さんがコロナが原因でないとはっきり書かれている方が4割おられるわけですので、その毒性の強さということに対してのもう少し客観的な状況が出てくればいいなと思っております。毒性と感染力というのは、大きな重要ファクターであるというふうに思っております。
 ご質問は、感染者が増えたのにどうするのかということですが、今さっき申し上げましたような、入院治療というのが大きな要素であります。入院治療に事欠かないようにしたいというのが1つです。
 それから、ご質問の中に、「いまなら。キャンペーン」はどうするのかという話がございました。「いまなら。キャンペーン2022」の6月までの結果は出ており、約2万人にご利用いただきました。「いまなら。キャンペーン2022プラス」は感染防止と日常生活の両立という方向性でやっております。中国と違って、ゼロコロナではなく、ウィズコロナという方向であります。日本はウィズコロナでやっているように見えますけども、ウィズコロナだということをあまり明言されないような傾向があります。奈良県はウィズコロナでしたいということを言っておりますので、医療提供体制とか、県内の感染の状況とかを踏まえながら、「いまなら。キャンペーン2022プラス」は、現時点では、当初の予定どおり事業を継続していきたいというふうに思っております。




記者:
 ということは、「いまなら。キャンペーン2022プラス」は、全国対象というのは変わらずということでよろしいですか。




知事:
 そうですね。




記者:
 ありがとうございます。




司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問はいかがでしょうか。
 NHKさん。




記者:
 今の質問とも関連するんですが、今月末には全国知事会議が予定されているかと思うんですが、それへの影響、予定の変更だとか、どのように検討されているか、お伺いできますでしょうか。




知事:
 全国知事会議は対面で3年ぶりにいたしますので、7月末頃に奈良県で、約3日間ぐらいの開催になります。奈良県の方針ということでだけではなく、全国知事会議の対面開催が是か非かという点も微妙になってくるわけでございますが、今のところ全国知事会では、対面で開催するという方向で準備を進めています。急激に変化があるかもしれませんが、7月末まで多少、時間がありますので、今のところ対面でやる方向で進めていくということになっております。いずれにしても、対面でやる場合には、コロナの感染対策には十分気をつけてやることになります。会議の仕方あるいは見学の仕方、視察の仕方についても、対面でありますので、コロナ対策は十分気をつけてしたいと思っております。具体的なコロナ対策は今詰めておりますし、大体出来上がってきているんですけれども、それを知事会事務局と連携を取りながらといいますか、報告しながらやろうかと思っております。今のところ、その対面をやめるというような方向の話はまだ出ておりません。




記者:
 分かりました。ありがとうございます。



近畿日本鉄道株式会社による鉄軌道旅客運賃の改定申請に関する公聴会について





司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問いかがでしょうか。
 関西テレビさん。




記者:
 近鉄の値上げにつきまして、来週公聴会があると思います。周辺の自治体からもいろんな意見が出ているところです。奈良県としての事業に協力を迫るようなものじゃないかというような、天理市のほうからもそういう意見があったりしますが、公聴会の直前の定例会見でございますので、これまでと同じような方針でこの公聴会に臨まれようとしているのか、それとも少し今までと違う感じに、知事、なってきているのか、どういうふうに臨まれるのかちょっと教えていただいてよろしいですか。




知事:
 公聴会に挑みますのに、市町村からの意見が出ております。県の公述に出るスタンスは、基本的に地域と鉄道事業者の共存共栄というのが基本ラインになっております。そのための意見だというように思っております。今回、県から行った意見の照会に多数の意見が寄せられているのは歓迎でございます。どのように扱うかということでございます。
 県の主張に同調する意見も多いように思いますけれども、県の主張とは異なる趣旨のご意見もございました。天理市長ぐらいなんですけれども、各市町村でそのニュアンスはいろいろ違う意見があるようなので、それ本来であれば自分で公述してもらうのがいいんじゃないかと、私は、賛成の公述もありますので、いいのではないかと思うのですけれども、知事が公述するので俺の意見はこうだと寄せられるのは歓迎と、反対意見でも、異論があっても歓迎ということを申し上げたので、そのような意見を近鉄にどのように届けるかという形を考えておりますが、その言葉の、公述の時間は限られておりますので、公述の言葉に反映される、することができる部分は反映していきたいと思いますが、たくさんの意見が出ておりますので、それぞれはなかなか反映できませんので、今考えておりますのは、その出てきた意見を、このような意見が出ておりますと、地域との共存共栄という形での呼びかけで、どのような地元の意見か、地域の意見かということは、ぜひ参考にお聞きくださいという形でお届けできたらというように思いますので、公聴会でも私の言葉で、そのような参考資料として、こんな意見が出ておりますので、資料として出しますので受け取っていただきたいというような意見を申し述べようかと思っております。で、後日でもいいんですけれども、お渡ししたいと思います。その後のぶら下がり会見があるように聞いておりますので、そのときには、その市町村の意見を公表といいますか、皆様にもお渡しできたらというように思っております。
 なお、今日時点でどれだけの意見照会があったかという、ちょっと資料がありますけど、これもちょっと幹事様にお許しを得て、具体的にこうというのは大部になりますので、よろしいですか。
 どのような意見が出たということを、その件数の数字ですけれども、お渡ししたいと思います。
 届いた意見、延べ56項目でありますけども、24市町村から届いております。それを分類いたしますと、これはこちらの判断ですけども、公述の趣旨に沿った見解のものと、異なる見解のものというように分けております。総論で4件ありますけども、全部私、中身を見てないのですが、ちょっと概要を見ておりますけれども、4件の中で、一定の理解はできるがと書いてあるのを、この右の異なるほうに一応入れてあるということで、これは今日お渡しすればいいのですけど、公述のための参考意見ですので、公述のときに届けてから公表ということにさせていただきたいと思います。件数としてはこのような件数でございますので、今日この件数のみの公表ということでお許しを願いたいと思いますけれども。
 今のところ、どのように公述するかということについて、今までの公述書の意見を基本になりますけれども、地域との共存共栄を基本にした意見ですよというラインで申し述べたいと思いますし、このような意見も出てますのでということで、一々は詳述できませんけれども、参考資料としてお渡ししたいと思いますということを公述書の意見の中で述べたいと思います。言える意見、部分があれば、ちょっとこれ、その中身を見てからでありますけども、反映できる部分あれば、ちょっとしたニュアンスにもなるかもしれませんが、反映していきたいと思います。
 それと、公述の意味というのが、このように首長も地域との共存共栄というのを、鉄道経営でとても大事かと思っております。今までの認可、運賃認可というのは、値上がりがずっとしている時代の認可のやり方で、もうその担当もして、運賃認可の、その直接ではないけども、物価局というのがあって、そこにやる担当もしておりましたので、その値上がりがものすごくしているときの時代でございますが、抑えるというのがすごく大きなことでありましたので、抑える意見がたくさん公述で出るのも分かっているので、公述というのはあまり重く言われなかったような気がいたします。
 今は、値上がりがないので、地域との共存共栄、鉄道経営の持続力というのが大きな意味になってきていると思います。このような物価がおさまってきて、値上げしようにもできない時代というように、経営から見るとそのように見えるかもしれませんので、それを、実は経営デザインのアカウンタビリティーだと思います、説明責任と言われるようなことが必要だと思いますので、今までの反対意見を抑える狭い意味の公述だと、アカウンタビリティーが十分でなかった。
 多分、当時のことは、これだけの値上げ申請は抑える、切下げ、足切り率というのがものすごく大きな要素になっていました。それは政府の役割であったのですけれども、原価主義ですので、その原価が上がってくれば値上げするというのは基本でございますけれども、それをどのように説明するかという点が地域との共存共栄の要だと思っておりますので、このような地域の意見が出るのは、私自身が出るその根拠・動機ということにもなりますけれども、地域との共存共栄が図られることが望ましいと思います。
というのは、皆さんご案内のように、価格というのはマーケットで決めるというのが基本になっておりますけれども、鉄道は地域独占でありますので、電力もそうですけども、電力もちょっと参入が僅かにありましたが、地域独占の一番典型的な、極端なのが鉄道事業。並列すると、競争があった時代で共倒れにならないようにということになってきています。地域独占にあぐらをかかないようにというのが大きな、官の、認可当局の目標になることは、従来からも間違いございません。そのときに利用者に対して必要なのは説明、アカウンタビリティーをちゃんと認可当局もしてもらうということになろうかと思います。地域独占の見返りということになりますので、その意見の公述というのはとても大事かと従来から思っておりました。
 運輸審議会ができた、これ認可当局がやるのではなくて、運輸審議会という独立機関がやる公述でありますので、それをどのように認可の作業に反映させるかという運輸審議会の存立も問われるような今、時代になってきているという時代認識がありますので、公述というのを、地域の声が上がるのは、私はこれだけ市町村の声を届けていただいたのは大変望ましくて、力強いことだというように思っております。ちょっと余計に付け加えさせていただきましたが、以上のようなことでございます。




記者:
 今のにちょっと関連して、今回の公聴会に出てくる話ではないんですけれども、知事の基本的な今の考え方をちょっと聞きたいことが1つありまして、隣の三重県では、近鉄から採算の取れなさそうな線をこう分離をして、近鉄から分離をして、こういう民営方式というようなところを導入しているところも幾つかあります。大分先の話かもしれませんけれども、これは、このやり方というのは奈良県に合うのか合わないのか、今の時点での知事のお考えを教えてください。




知事:
 三重県と奈良県と、そのほかの県も同じなんですけれども、鉄道、JRを見ていただくとよく分かると思いますけれども、バスでもそうなんですけども、線路の廃止の権限はどこにあるのかということになります。廃止するのは、勝手に、地域独占だから廃止するのも勝手にできますよということなのは、今までそうだったんですけども、廃止する場合はさすがに地域と相談しなさいよという、従来は行政指導的にやっていたのですけども、だんだん法制的に地域と話合いをしなさいよということになってきております。
 そのときは、その廃止も視野に入れるとどのように地域との共存共栄になりますかと。廃止が嫌だったら、バスの場合はちょっとやや進んでおりますけれども、補助金を出すから廃止しないでくれというのが一つの典型的なパターンであります。
 三重県の場合でも、過去に例がありましたが、ある線を廃止するのに、地元でやりますからと、あるいは補助しますから廃止しないで、あるいはもう一つは、路線の性格を変えて、住宅路線でありましたけれども、観光地を振興するから、お客が増えるから、それは共存共栄の道ですねというようなことはやっておられました。
 それぞれのことがありますけど、奈良県では、私の感覚では、あまりそういう共存共栄の呼びかけに答えがなかったなという感じがいたします。それがもう一つの大きな動機でありますけれども、それに呼びかけて共存共栄の道を探ろうじゃないですかというようなことは、値上げのときしかなかなか聞いていただけないなという感覚があるのですけれども、日頃から聞いていただいているとそのような道もあるのかなという感じもいたしますけれども、値上げのときに声高に言うのも恐縮なところがあるんですけれども、やはり大きな値上げのアカウンタビリティーというのは、地域住民との大きな会話が発生する場でございますので、その地域の会話で、鉄道独占的な権限を付与されている鉄道会社がどのように納得感のいく、値上げの納得感とともに、地域との共存共栄の納得感をぜひ示していただくのが、将来、持続力のある安定した鉄道経営ができるキーだ、キーファクターであるのではないかと私は思っておりますので、そのような将来のことをおっしゃいましたですけれども、将来がそのような形になれば大変ありがたいし、そのときに地域の繁栄のために補助を出すのはやぶさかではありませんし、そのようなことも続けております。
 どのように出すかというとこの、その接点が必要でございますので、そのようないろんな鉄道経営についてのやり方、本業と兼業というので、例えば兼業の場合に、その地域の地域産業を入れるのか、近鉄の関係だけにするのかといったような、もう大変細かいことなんですけれども、駅ナカビジネス一つにしてもそういうことがあり得るんですよね。地域との共存共栄だと、できるだけオープンにしましょう。あるいは鉄道駅の構内でも、近鉄関係のタクシーだけ入れるというような構内権というようなやり方あるんですけど、もう少しオープンでタクシーを入れましょうというようなことはあんまり知られてないんですけれども、そのようにオープンのほうが地域とのサービス、接点はよくなるというように思っています。
 そのような経験をもう随分嫌というほど、この近鉄との間ではなしに全国でしてきましたので、うまくやっている鉄道は、どちらかというと値上げをされなくても繁栄するというようなことはあります。近鉄の路線構造というのもあるんですけれども、それにしても地域との共存共栄の道を探られておられる施設は関東で随分見てきましたし、国もそういうやり方を応援してますので、接続ということで随分応援して、だから関東の鉄道網のサービス水準と関西の鉄道網のサービス水準って、私から見れば随分差がある。関西はこれからだから、鉄道網のサービス水準、網というサービス水準が、これは接続ということになりますけども、上がると地域のパワーがすごく上がります。東京との一番大きな違いは、鉄道網のサービス水準だというように、私の持論ですけれども、思っておりますので、将来にとおっしゃっていただいたのに、ちょっと鎌かけて随分追加、追加の言葉を述べましたけれども、将来のためには地域との共存共栄ということ、独占されている鉄道会社にとっては、とても責任のある大事なポイントだというように思っております。




記者:
 やっぱり今までの近鉄というのが、共存共栄に向けてのいろんな県からのアプローチに、あまりこう温かくなかったというか、冷たかったとか、そういうようなイメージなんですか。




知事:
 そうです。




記者:
 ありがとうございました。



改正刑法における受刑者の更生について





司会:
 ほかにご質問いかがでしょうか。
 読売新聞さん。




記者:
 今に即した話ではないんですけれども、犯罪を犯した方の話で、今の拘禁刑がつくられて、非常に出所者の更生というところに重きが置かれているような流れに感じるんですけれども、県にかがやきホームを創設されて、知事の例えば出所者に対する基本的なスタンスだとか、将来的な考え方というものがあれば、教えていただけないでしょうか。




知事:
 ご質問ありがとうございます。奈良県独自のやり方をしておりますので、東京では更生のことを随分聞かれるんですけれども、あまり地元で聞かれないものですから。罪を犯した方をどのように扱うかということは、国の哲学といいますか、国柄が表れてくるところがあります。
 今まで日本の刑法は、中国の刑法、律令の令はあまりまねなかった。ドイツ刑法をまねたことが多く、独自の刑法制度があったように思います。明治の刑法でドイツ刑法をまねた中でドイツには拘束刑というのか、保留して懲役でない刑の種類があるのですけれども、今度の改正は、それに近いのかなと思います。
 すると、受刑の間は、司法の制度の中で扱われる。そのときに懲役で、作業をするのか、作業しないで禁錮と懲役とその間の、裁判、司法制度の中で更生に向かうようにということは、いろんな種類の犯罪者の特性がある世の中になってきて、その中で大きいのは依存症です。アメリカには銃依存症、薬物依存症など、また麻薬が随分世界的に大きなビジネスになってきていますので、すごく深刻な話です。銃も大きな産業になって、麻薬も大きな産業、東アジアでもすごく大きなビジネスになってきた。海上保安庁にいたから麻薬取締りというのは大変大きな仕事でありましたので、それに関連する罪を犯した、あるいはその被害者とも言えるような罪の犯し方、麻薬の使用などの影響で罪を犯したというような方がたくさんおられます。それに対して、懲役刑というのは更生に結びつかないんではないかという判断が司法の中でもあったかと思います。
 更生に結びつくには、依存症を断ち切るというような作業が要るのですが、依存を断ち切るための研究が日本であまり行われてないようで、また、それは司法の中でのなかなか進まないというような思いがありまして、奈良で更生の条例をつくって福祉の分野でやりましょうというのが、奈良県のみでありますけれども、大変評価されております。
 そのときに、依存症というのをどう扱うかということで、ネバダ州立大学で研究が進んでいると聞きましたので、ネバダ州立大学まで勉強に行ってもらおうかと思っています、それはギャンブル依存症ですね。依存症には、麻薬や銃などもありますが、もう一つギャンブルというのがあります。ギャンブル依存症というのは、今度IRでも大きな課題になっております。どのような治療をされるのかというのは全く分からないんですけど、それを勉強に行こうかと思っています。国を挙げての、その犯罪を犯す原因を断ち切るという気迫がもう少しあったほうがいいのかなという思いで、奈良県では、更生に向かう中で依存症を断ち切る勉強もしようかと思っています。
 国は、大変奈良のやり方を応援していただいておりますので、国からの支援も絶大なんですよね。 財政支援ではないんですけれども、フロントで、すごく今まで例のないことがたくさんありますので、手探りでしておりますが、今のところ相当順調にいっております。
 そのような状況でございますので、今の受刑者の扱いの分類が、懲役、禁錮と2つが拘禁刑にされたというのは、司法制度の中で、拘禁している間でも更生を心がけようかというようなことが、大きなことではないかなというふうに感じております。
 それに、課題は、満期出所された人は司法制度から離れてしまいますので、司法制度から離れた人たちをどのように受けるかというのが、そのシステムが日本の国ではないんですよね。厚生労働省が普通は主役で、それは福祉の世界です。アメリカだと州政府が全部引き受けるんですね。日米知事会議で彼らの自慢のトップは、これだけ更生させた、教育で更生させたというのが自慢なんです。オクラホマなどの知事が自慢することのトップがそれなんです。日本の知事でそんな自慢できる人は誰もいないな、不思議だなと思った経験があります。それは、日本でも知事ができることです。アメリカは教育制度が全部州で完結していますので、その一環としてされるわけですけども、日本は教育もしますけれども、更生は、私の感じでは、愛情だと思います。愛情が不足して罪を犯されたように思いますので、愛情を遅まきながらつぎ込むということを更生の基本にしています。
 だから、かがやきホームで雇用した者が企業等に就職した後、その企業等を離職したとしても、もう一度、かがやきホームへ帰っていらっしゃいということにして、それは条例に明文化しています。取組としては、私から言うのも変ですけど、日本においては先進的な取組だと思っております。法務省も更生には大変熱心になってきていただいていますので、協力が絶大であります。感謝いたしますけど、日本は出所しても犯罪者という烙印を押して世の中に出すという風習がありますので、法務行政の延長、特に出所者の更生、烙印を断ち切るというようなことを奈良県では考えておりますので、受刑者の、その刑の仕方が変わって、弾力になってきていると思い、いいことだという感想を持っております。




記者:
 ありがとうございます。




司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問いかがでしょうか。ご質問はよろしいでしょうか。
 幹事社さん、よろしいでしょうか。
 それでは、本日の知事定例記者会見を終了いたします。ありがとうございました。




知事:
 ありがとうございました。




※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

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