令和5年3月20日(月曜日)知事定例記者会見

【発表案件】
○令和5年4月1日付人事異動について

【質疑応答】
○南部東部地域の振興について
○大規模広域防災拠点の整備について
○八尾空港の奈良県への移転構想について
○山辺・県北西部広域環境衛生組合による新クリーンセンターの土地取得について




令和5年4月1日付人事異動について





司会:
 おはようございます。
 それでは、知事定例記者会見を始めさせていただきます。
 初めに、本日の発表案件についてでございます。
 本日は、発表案件が1件ございます。1、令和5年4月1日付人事異動についてでございます。
 それでは、荒井知事から発表いただきます。お願いいたします。




知事:
 恒例になっておりますけども、4月1日付の人事異動について、その規模的なこと、内容の特徴的なことをご説明させていただきます。
 1つ目は、規模でございますけども、4月予定の人事異動の規模は1,030名程度でございます。昨年より30名程度多くなっております。このうち、課長級以上が180名程度、課長補佐級が220名程度となる見込みでございます。また、定年退職者及び勧奨退職者の数でございますが、100名程度でございます。昨年より10名少ない状況でございます。
 2つ目のご説明は、人事派遣、人事交流の促進でございます。人への投資という課題でもございますけども、人材育成をするという観点でございます。新たな取組といたしまして、国への職員派遣では、財務省とデジタル庁への派遣を新規に行います。
 財務省は、まだ調整中でございますけど、主計局の可能性もございます。民間企業との交流では、新たに、みずほ銀行と三菱地所の2社へ職員を派遣いたします。また、相互の人材交流を3つの会社といたします。ソフトバンク、日本政策投資銀行、三菱UFJ銀行でございます。このように、国の組織、また、民間の立派な組織への人材派遣、人材交流によって、奈良県の県庁人材の育成を図っていきたいと思います。これは大きな特徴の一つだと思います。
 3つ目でございますが、来年度から初めてでございますが、職員を海外の大学院へ留学させる制度を行います。職員1名になりますけども、海外の大学院へ留学させることにいたしました。外国は秋の入学でございますので、令和5年秋の入学を予定しております。
 4つ目でございますけれども、女性の管理職への登用、女性の登用ということでございます。奈良県庁の女性管理職の人数は着実に増えております。このたびの4月の人事異動によりまして、本庁課長補佐級以上は19.1%になります。管理職の課長補佐級以上の5人に1人は女性になる奈良県庁でございます。なお、民間の企業の女性の管理職割合は、奈良県は13%台でございますが、全国2位のレベルであることも付言させていただきたいと思います。また、この目標は、令和8年4月時点では22%以上という目標を掲げて実行してまいってきております。この過去数年間で女性の管理職の割合が着実に増えておりますので、今後ともこの目標に向かって努力を積極的に行いたいと思っております。
 私からの説明は以上でございます。




司会:
 ありがとうございました。




司会:
 ただいま発表いただきました案件について、ご質問ございます方は挙手にてお願いをいたします。
 読売新聞さん。




記者:
 この民間企業への人材派遣、いわゆる人事交流なんですけども、この辺の具体的な狙いといいますか、どういった効果を期待されてのことなのか、教えていただけますか。




知事:
 どこでも人を育てるときのやり方というのは、組織の中で固まっているといけないと、皆さんも思っておられると思いますが、どの業界であっても、外に向かったオープンですというのが大きなことだと思います。とりわけ、世界が変動している中で、同質な者同士が固まってる組織というのは危ないですね。皆さんもひしひしと感じておられると思います。だから、県庁も同質性がやっぱりあると思います。世の中、異質な者同士の寄り合いになってきて、異質な者とどう折り合うかというのがグローバル化の最大の課題だと私は思いますので、そのようなグローバル化が進む、世界が変わる中で、同じ色に染まった人たちが集まる組織ではなく、いろいろな考え方を持って、イノベーションをする、ソリューションをする、能力を発揮するというような人材が必要だということは、県庁の働き方改革の条例に明記していますけども、そのような条例の精神を実行するための民間事業への派遣というようにご説明したいと思います。




記者:
 例えば、人事交流というのは、逆に来ていただく方もいらっしゃる、その方たちにどういった効果を期待されていますか。




知事:
 相互交流と派遣と、どちらにしろ、異質な考え方、進んだ考え方に触れ合うことができるというのがグローバル化の潮流だと私は思います。行政でもそうなってきたというように認識をしていただければと思います。異質な考え方に触れ合って、イノベーションが起こるということは自明のことだと私は思います。




司会:
 続いて、毎日新聞さん。




記者:
 民間との相互交流を都道府県がやるというのは、全国的に見ると、どのような状況でしょうか。




知事:
 あるんじゃないですか。どうですか。




担当課:
 例はございます。決して奈良県が初めてということではありません。一部に都道府県で既にやられている取組ではございます。以上です。




記者:
 例えばどういうところがありますか。




担当課:
 確かなところ、手元にありませんが、大阪府、兵庫県、近いところではそういったところでも取り組まれているというようには聞いてございます。以上です。




記者:
 ここに載っている会社さんと、交流するわけですけど、どういうようにして人材を探したというか、その交流するこの企業が選ばれた経緯は、どういうようにして選ばれたんですか。すごく大企業が多いと思いますが。




知事:
 結局、個別のコネじゃないかなと。詳しく聞いてませんけども、こういう会社と接触されて、この辺りどうかと。その企業の名前を見ると、立派な企業ばかりですね。企業、役所もそうですけども。立派な組織に勉強に行くということは、皆さんも大事ですよ。海外留学も大事ですよ。全然違ってきますから。いや、皆さんに差し戻すと失礼な話ですけど、お互いに大事だと思ってもらえたらと思います。人材が日本の国力の全てだと思いますので、人材の育成に取りかかるというように、その意気込みを感じていただければと思います。




記者:
 それで、民間に派遣するのは4月1日付で、出すのが4月1日付で、受け入れるのは6月以降というのは、いつか決まってないのですか。




担当課:
 基本的には4月から相互に始めたいと考えております。ただ、記載がございますように、三菱UFJ銀行に関しましては、奈良県への受入れは6月以降になろうかというようになっております。以上です。




記者:
 知事としては、民間から来る方はどういうような部署につけようと思っているのでしょうか。




知事:
 具体的に何か決まっているか分かりませんが、その人材派遣、相互交流の精神に沿いますと、民間の方が行政の仕事はどうしてるのかを知っていただくいい機会だと思います。だから、どういう部局というご質問の背景には、どういう手伝いをするのかという考えがちらっと見えたように思いますけども、こちらから派遣するでも、どういう手伝いをするのか。手伝い要因として人要るよと。東日本大震災のときはいろんな手伝いだった、もう手伝いのために行きなさいということだった。ところが、手伝いをしていると勉強になるんですね。手伝いに行くと勉強になるんですね。その研修生といって奉られる必要はないです。研修生で行くと勉強になりますよ。お勧めしたいぐらいです。全く違うタイプの人が違う組織にはいるんだと。役所の間でもそうです。役所の間の霞が関の人事交流もすごく大きく意味がありましたし、東京のほうで経験した、官民の勉強交流というのもとても大きい意味がありました。昔の役人のウエムラさんという人が提唱して、いまだに続いていると思いますけど、官民交流、官官交流というのはあんまりなかったのですが、最近はどんどん増えていると思います。それは、人材育成の大きなこと。人材育成の中で、最近は、その付き合ったところに、うちの会社へ来いよと、転職のきっかけにもなっているように聞きますけども、それは最近、私はあまり知りませんけど。とにかく交流をしてると人は伸びる、異質なものに触れると人は伸びるということを実感しています。触れ合うことでいろいろなアイデアが出てくる。




記者:
 触れ合うというのは分かりますが、例えば銀行から来られる人は財政課とか、例えばソフトバンクから来られる人は広報広聴課とか、そういうような位置づけなんでしょうか。




知事:
 専門性で手伝わせるということを超えて、新しいところでチャレンジしてくださいということにしてほしいと思います。専門性をどこで生かすのかという上から目線ではなく、違う組織の中で、違う育ち方をした人がどのように生きるのか。外国の企業へ行くと、全くそうだと思います。その中で、国際機関にしろ、国際的な組織にしろ、私はどういうことをできるのかということからアピールしないと生きていけませんから。だから、その中で、どのような役目を果たせるかということを探していただくのが最初になると思います。これをしなさい、この手伝いをしなさいというやり方でないほうがいいかと私は思います。この課題に対して、あなたの考え方はどう思いますかというようなことから始まったらいいと思います。ご質問で、何の手伝いをさせるのかというのとちょっと違うと思いますが、そのようなことはするのではなく、ここでお互いの勉強をしてください、将来の人材の育成のためですから。すると、期待されるいい人材が来られるんですよね、お互いですけど。期待される人材を派遣し合うということがあると望ましいと思います。




記者:
 例えばせっかく銀行から交流で来るということで、例えば民間の会計の感覚というか、それを行政に取り入れるために、例えば財政課に入れたりするのかなと思ったのですが。




知事:
 違う、違う。
 堅く考えないほうがいい。マスコミの人が来たら、マスコミのノウハウ、専門性をどう生かすのか、そう考えるのではなく、背景が多様な人がこの行政の中でどのように動いてもらうのかということを、もう裸でチャレンジしてもらうのがいいかと私は思います。お互いさまですけど、違う組織で、違う組織の泳ぎ方を勉強する、今、グローバル化の波の中で、日本人がシュリンクするというのはもったいない。違う組織にも泳ぎに行こうという人は、日本人、ちゃんと泳いでると思います。大げさに言いますが、そのようなことがこの条例の中の精神だと思います。




記者:
 それと、もう1点だけ、民間に派遣する人と、次のページでは、海外の大学院に派遣させる人というのは、若手職員ということでいいですか。




知事:
 そうですね。




記者:
 入庁何年目ぐらいの若手ですか。




担当課:
 30代前半を中心に考えてございます。以上です。




記者:
 それは手挙げ制というか、応募制ですか。




担当課:
 留学に関しては、手挙げで募集をさせていただきました。民間企業の派遣に関しては、通常の人事異動と同じように、こちらからの指名ということでお願いをするということでございます。以上です。




記者:
 ありがとうございます。




知事:
 留学は、妻帯者でもいいのか。




担当課:
 はい、大丈夫です。




知事:
 よかった。年代ですね、独身でも、妻帯でも、私は独身で行きましたけど、妻帯者の留学も多くて、妻帯者だと家庭交流が結構あって、学校に行って、本読んで、試験答案出して帰るというようなのではなくて、向こうの家庭と交流するということもあります。妻帯者のほうが交流の範囲が広がります。条件でもありませんけれども、費用の関係で妻帯者を排除するという心配があったんで。要は勉強に行くという、何を学ぶのかと、またご質問あるかもしれません。いやいや、全部学ぶんですよと、体験ですよというように考えてくれてると思います。




記者:
 大学院はこれも、他のところもやっているところがあるんですよね。




担当課:
 都道府県で海外留学を職員にさせるという例は確認をしたところ、ございませんでした。国の人事院でやられているということで、そのスキームを参考に相談させていただいて、実施することとさせていただいたものでございます。




記者:
 では、都道府県では初めてと見られるとしてもいいですか。




担当課:
 はい、そう理解をしてございます。




記者:
 知事自身が運輸省のときされたということもあるんですか。




知事:
 日本の役所で人事院の留学制度ができて、私で5期目なんですけども、その頃、やっぱり中央省庁の役員も海外経験させようというのは、随分、今まで外交は外務省とか、内政はその他の役所とか、色分けが多かった。だから、マスコミでも、国際報道は留学、あるいは、派遣経験はあるけど、内政はないかどうか分かりませんけど、内政も海外経験あったほうがいいかと思います。余計なこと、いつも考えますけど。それと、県庁ではありませんが、NAFICですね。あそこは、BCCと提携しましたので、今度、短期留学になります。BCCの研修生が、選んでBCCに派遣するということも今検討中だと思います。そこから、今、スイスとの交流がありますので、スイスの森林関係は、短期ですけども、派遣したりしています。友好提携のある中央政府と職員の相互交流も今しておりますし、それも海外の団体との交流ということは、また、研修、働き方改革の精神で、充実することを期待しています。




記者:
 この海外派遣について、予算計上はされていましたか。




担当課:
 はい、しております。




記者:
 分かりました。ありがとうございます。



南部東部地域の振興について





司会:
 それでは、その他のことも含めまして、ご質問ございます方、挙手にてお願いをいたします。
 読売新聞さん。




記者:
 今、国もそうなんですが、全国的に人口の減少が非常に深刻な問題となっております。奈良県においては、以前からの問題ではあろうかと思うんですけども、東部、南部に対しての対策というのが、ひょっとしたら全国に対してのモデルになる可能性もあるという中で、以前から知事は取り組まれてるテーマではあろうかと思います。こういった過疎が急激に進行していて、地元の人たちも困っているような地域に対しての考え方というのをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。




知事:
 人口減少として一つで捉えるのではなく、社会増減と自然増減で分けて考えるべきだと思います。社会増減は、若者などの流出ということになりますので、国全体の人口に影響するのは、社会増減、外国人の要因が一番大きく、人口増減を考えるとき、国全体と地域との社会増減を考える。だから、人口減少といって十把一からげにしないほうがいいということがポイントの一つでございます。社会増減と自然増減で、自然増減は、高齢化社会になりますと、自然減の最大は死亡でございます。だから、それをどのようにするかというのはありますけど、自然増減は、ある程度予測されるものでございます。高齢化が進んでも、寿命が倍延びるわけでもありませんので、ある程度予測されます。社会増減は、地域の移動ということがあります。自然増減は死亡と出生者の割合で、日本で人口減少というと自然増減が大きなターゲットになっています。読売新聞さんのご質問で、南部東部の人口減少についてどうかということですが、これは自然増減の要因よりも、社会増減が大きなインパクトだというふうに思います。したがって、その区別が大事だというふうに申し上げた次第でございます。
 その2つの区別の中で、南部、東部の質問がございました。南部、東部の社会減は、若者の域外流出というのが最大の課題だと思います。それが地域の出生率の低下につながっている。特に女性が域外に行き、適産期の女性が少ないというのが奈良県の特徴でございました。それが地域の社会減につながるのは、働く場がないからだということがよく分かってきています。時間がかかりますけれども、働く場を南部でもつくる、奈良県でつくるというのを最大の目標にしてまいりました。15年間で大きく変わってきております。奈良県の社会減が止まりつつあります。むしろ昨年は社会増になってきています。社会増になって、月々で社会増の月が出てきます。その要因を調べますと、日本人の増よりも、外国人の社会増がプラスに寄与してるということが分かってきています。外国人の社会増減については、日本全体でも大きな要素になってきている。外国では、当然、人口増減というと、社会増減として外国人労働者が入ってきてますので、その観点を入れて見るということにもつながります。南部、東部でも、若者の社会減というのを食い止めるには、雇用というふうに思って努力をしてまいりました。ベッドタウンの性格は一挙には変わりませんが、県外の就業者の割合がもう随分減ってきています。減少率は日本一ということでございますので、大きくベッドタウン性が低下しているということが見受けられます。南部は大阪府への通勤は遠く、ベッドタウンにもなれないので、麓で止めるしかないわけでございますが、五條市、御所市、橿原市、あるいは榛原、桜井市で止めるという人止め策をしてまいりました。その地域の雇用が充実してきて、止まりつつある実感があります。それは、基本的な人口の構造対策でございますので、ご家庭の、地元で働く場所があればという願いもかないますが、時間がかかります。一朝一夕にできませんから、この16年間してきたことが実を結びつつあるという実感がしております。大きな課題で、日本の人口減少、奈良の人口減少、南部、東部の人口減少というふうに分ける中で、自然増減、社会増減というふうに分析が必要かと思います。




記者:
 ありがとうございます。
 その中で、個人的に注目しているのが、近年、県のほうで東部、南部に古くから伝わる伝統工芸の品物だったり、特産物、そういったものに着目して、首都圏等にも売り出していこうじゃないかという動きもあろうかと思うんですね。雇用といいますか、産業という面から考えたときに、過疎地域だから何もないじゃなくて、実は特に奈良県のような場合は、昔から実は気づいてなかっただけで、眠っていた技術だったり、いろんな特産品があるんじゃないかと。そういう魅力を発掘することによって、地元の産業が盛り上がり、そういう社会減を食い止める、あるいは、地域の誇りを醸成するだとか、そういった考え方というのはいかがでしょうか。




知事:
 それも有力です。伝統産業をさらに生かすというポイントですが、一本足打法になる可能性があります。その地域で、2本足、3本足が必要です。ということは、その新しい産業を誘致する、各国とも今、外資なり、内資の投資、新しい産業は工業、製造業が中心になります。あるいは、観光業。観光業は田舎でもできますので、観光業と製造業が世界の各過疎地と言われるところが求めている最大のポイントです。奈良県も同じでございます。その例でいきますと、例えば宇陀では、京奈和自動車道に産業集積があって、製造業が随分来て、工場立地という形でありますし、奈良市中心にホテルが出てきたのは雇用の創出のために16年間やってきて、随分進んできたというふうに思います。それを、今の宇陀や桜井などというのは、道路が離れているので、できないかということでありましたけれども、田舎の伝統産業、林業、農業、畜産というだけでなし、それはあって、もちろんいいんですけども、プラス製造業が来る田舎ということ、それはスイスやドイツはそうなってます。それは日本の国のつくり方というふうに思います。一極集中、大都市集中で、放っておくとそうなります。大都市で稼いで、効果を地方に回すという、トリクルダウンと言われるやり方は私は古いと思います。地域地域がそれぞれ雇用も充実し、富士山型ではなく、青い山脈型と言ってるんですけども、小さな峰がどんどん大きくなる。その峰が大きくなるのは、伝統産業だけではなく、新しい産業を小さな丘の上に積み上げる、あるいは、併存するというやり方でございます。これは、日本の国の形を大きく変える一つの考え方だと思います。それが民間の力だけでは変わりませんので、地域地域が工夫して変わるというやり方ができると思います。そのきっかけが田園都市建設構想であります。地域地域に、田園都市というのは、東京につくろうという人はあまりおられないと思います。地域に田園都市をつくるというのは、地域の峰を上げて、青い山脈をそれぞれ上げてつくりなさいという発想でありますので、田園都市、あるいは東部であれば高原都市という言い方をしています。
 高原都市で何ができるのかというと、製造業は物が動きますので、中間財、物が動きますので、物の輸出とか、移出、それには幹線道路、物流が大きな道路でございますので、それのための道路というのは重要事項でございます。奈良県は今まで道路がなかったのがだんだんできてきて、しかし、幹線道路と近いというメリットがあります。本当の僻地だと本当に大変でございますけども、幹線道路が走ってるのにアクセスするということ、京奈和自動車道をはじめ、東部では香酔峠という、名阪にアクセスする縦の道路の強化が必要。香酔峠ができると大型トラックが入るようになります。すると、宇陀でも製造業ができる。製造業の誘致に向かいたいと思います。そのような高原都市の構想、田園都市の構想。
 もう一つは、移出、輸出のインフラをつくるというのも地域の行政の大きな役割でございます。大規模広域防災拠点の平時の利用ということを言われます。何も使わないともったいないじゃないかという質問が事務所の中でありました。そのときには言ったんですけれども、貨物輸送基地にする考えもありますねと。貨物輸送は荷物が集まれば、高価な部品を世界のどこでも中間財で届けるのは頻繁でございますけども、日本はそういう輸出、航空貨物による輸出基地というのはあまりございません。旅客のおなかに積んで輸出するのがたいそうでございます。貨物航空の専用の全日空の会社もありましたがなくなりました。だから、大規模広域防災拠点の平時利用のアイデア、まだもちろん決めておりませんけれども、貨物航空機の基地にして、奈良県の産物を海外に輸出するというのもアイデアとしてあると思います。それは田舎のほうの産業振興に資すると思います。五條市に航空貨物特性のある製造業が集まる可能性があります。貨物航空で輸出ができれば、そこに立地すると。貨物航空特性の高い高価なかさの小さい部品、かさが大事ですので、空気を運ぶのではなく、多少重たくても航空貨物は大丈夫です。かさが小さく高価なものの部品メーカーが集まってくれればと思います。東部でも、五條市までは行きやすいですので、空港に行くアクセスがあれば十分だと思います。そのような発想もできる。それは青い山脈を高くする一つのアイデアというふうでございます。




記者:
 分かりました。よく柿やイチゴを海外に輸出したらいいんではないかというのも知事がおっしゃるような方法もあろうかなと思います。
 ちょっとせっかくの機会ですので、私の疑問を解消したいなと思うんですけれども、いいですか。




知事:
 どうぞ、歓迎です。




記者:
 まず、道路事情が大切だ、これはやはり取材をしてても、よく指摘されるとこです。プラス工場等も今誘致が進んでいて、実際に奈良県に来る企業も増えていると思いますが、そういった方に話を聞くと、若者は同じ仕事があるならば、やはり大阪や名古屋に行くと。それが大都市への憧れと言っていいのかどうか分からないんですけども、やはり大阪や名古屋に仕事が見つかったら、そっちのほうに流れていくという傾向があるという指摘もあります。仕事が、雇用があるというのはまず大前提だと思うんですけども、プラス、地域のブランディング、例えば県の東部や南部に自分たちが暮らしていることに対して誇りを持てるだとか、自分たちはいいとこに住んでるんだとか、そういったブランディングもしていかないと、ひょっとしたら社会減というのは止めれないんじゃないかと思うんですが、その辺り、いかがでしょうか。




知事:
 おっしゃるとおりだと思います。地域で暮らして、実質気持ちがいいというのと、気持ちの中には、誇りという面もあると思います。ヨーロッパの例をよく出しますけど、スイスとドイツなんかは、地域の誇りがすごいです。そのために、雇用も、スイスの田舎ばかりに見えるところが、日本の所得の倍あるんですよね。どこで所得を稼いでいるのかいうことなんです。すると、皆さんもお持ちだと思いますが、会社への誇りが人生の誇りと一致してたのが、今度は、住むところの誇り、あるいは、周りのお付き合いの誇りというふうになってくるのも一考だと思います。江戸時代は、地域の誇りが優先していました。あるいは、身分の誇りがあった。身分がなくなったから、むしろ誇りの元は自分のアイデンティティーへの誇り、地域への誇りとなればいいと思います。そのような意味は、誇りを強制するわけにいきませんけれども、それをブランディングとおっしゃったのは、醸成するということだと思います。その地域の誇りを持てるようにする。実際、比べてみると、誇るべき内容である面が奈良県の場合、非常にあるように思います。こんなに暮らしやすいところはないと。
 そうすると、あと、働きやすいところをどうするかというようなことが一つありますので、若者が大都市に憧れる、花のお江戸ですので、花のお江戸で経験すると、また帰ってこられた人にも取材してください。どうして帰ってきたのって。もう分かったからいいよとおっしゃる方が多いと思います。カナダのノバスコシアという、もう本当の田舎に行きましたけれども、その生活のレベルが高いんですね。何で稼いでおられるのかな。今年の夏はフロリダに家族で行くんだとか。所得が高いというのと、視野が広いというのが、ああいう国の中でも、日本の過疎よりももっとカナダは過疎がすごいです。カナダの過疎の状況を見ると、一緒に行った過疎地出身の政治家も日本の過疎なんか過疎じゃないなと言っておられました。その中での高度な生活様式というのは可能でありますので、日本もそこそこだと私は思いますけれども、今、読売新聞さんの言われた地域の誇り、住んでいる誇りというのは、どういうふうに持つかというのは大事なことであると思います。強制はできませんけれども、それは比較すると分かる話ですね。住んでみたら、一番分かると思います。ですから、いろいろ住んでみて、奈良県を選ばれる方も多いんですよね。そのときに、年配の人はそういう傾向が強いのですが、若者に選ばれるという、その移住の選択する時に、どこがいいのかなというふうに選ばれる、退職後も選ばれますし、就職時も、会社で選ぶのではなく、地域で選ぶというのが、今、読売新聞さんの言われた地域ブランドがその選択の大きなアイテムになるかどうかというふうに思います。それは、努力する必要のある、値打ちのある目標だというふうに思います。




記者:
 分かりました。そういった意味でいうと、ちょっと東部、南部に戻りますけども、いろんな技術であったり、自然であったり、歴史であったり、そういったものも、そういった要素になり得るということでしょうか。




知事:
 そうですね、働きやすく、暮らしやすいというのを、やっぱり欠けてるところがあったと思います。暮らしやすい中で、奈良で欠けていた最大は医療だったと思います。医療は行政が関与して確保できる分野でありましたので、それは随分成功したと思います。あるいは、健康とか、その楽しみ、生活の楽しみというのは、一つであります。もっと欠けていたのは、働き、雇用ということがありましたので、日本全体で雇用が集中しているのが大都市、特に東京ということになりますので、雇用が、青い山脈が地方でできると、日本の構造が変わってきて、しかも、先ほど読売新聞さんがおっしゃった出生率、人口減少に対応する一番がこういうことだと私は思います。特に若い女性が地域で生き生きとしてくれるというのが一番大きなことで、奈良はそれに向かってチャレンジを始めておりますので、出生率も上がってきてますですよね。上がって、出生率が大変低かったんですけども、その大変構造的なことで。
 今の時点でのまとめて言うと、若い女性の働き場所がなかったのかというのが一つですね。適産期と就職期と重なっていますので、そういう場所が地元であれば、親もいるし、少子化でありますので、女性の働き手というのはすごく大事でありますので、それが多少、仕事も面白い、給料も高い、パートでもいいんですけど、副業が可能でありましたら、それも大事。会社に依存すると、あちらに行け、こちらへ行けと、転勤を拒否したい方もおられますので、地域で働くということを、地域雇用戦略ということになりますけども、ドイツが復活したのは、地域雇用戦略の従事をしたからだと言われて、シュレーダーという人のシュレーダー改革、シュレーダーさんはロシアとつながってちょっと。しかし、シュレーダー改革をもろに享受したのはメルケル政権、15年続いたメルケル。日本はまだシュレーダー改革がまだ行われておりません。奈良県では、シュレーダー改革を目指して、勉強会をもう10年前からやり始めています。その地域雇用戦略、働き方改革、いろんな条例で出てきていますので、成果が見えるのも、徐々にでもありますけど、見えつつあるという実感はしています。




記者:
 分かりました。すみません、お時間ありがとうございます。



大規模広域防災拠点の整備について





司会:
 ほかにご質問はいかがでしょうか。
 毎日新聞さん。




記者:
 もう知事選前の最後の会見でもあるので、ちょっと聞いてみたいんですが、知事が力を入れてる大規模広域防災拠点、五條の、2,000メートル滑走路も要らないんじゃないかという、そんな声もあるだろうと、知事も聞かれてると思うんですが、その2,000メートルの滑走路に関して、知事としては、将来ですけれども、この事業をやり遂げた後、完成した後なんですが、空港法上の例えば空港にする、羽田と奈良の民間の定期便などを就航させたいなと。あるいは、羽田は無理だとしても、札幌だとか、ちょっと遠いところとの民間の、完全民間の路線をできたらなという意味で、空港みたいな感じにしたいなという、できたらなという知事の期待というか、そういう思いというか、そういうのはあるんでしょうか。




知事:
 大規模広域防災拠点でございますので、広域防災機能が堅持、維持されないといけない性格で、当然でございます。それは、実は2,000メートル、固定翼が来るというのは、物資の輸送上、防災拠点としては必須だと思っています。それは2,000メートル要らないよという方たちが出てきておりますので、いや、要りますよと。例は東日本大震災で山形空港が2,500メートルで、山形空港が大活躍しました。あそこに物資を、東日本に物資を運ぶのに道路が、高速道路が寸断されてますので、山形空港が一番よかったんです。もう物資があふれるぐらい集積された。山形空港の意味は物すごく大きかった。同じようなことを五條で考えています。2,000メートルは必須だと思います。2,000メートル要らないよという方たちに対して、実際そのような候補もおられますので、絶対要りますねということを申し上げています。
 その上で、すると、この前のあれでも、平時遊ばすのではないのと、もったいないのではないか。防災拠点だから、何も役目がないのが一番いいことで、防災機能だけでございました。ただ、2,000メートルあると、平時で防災機能を阻害しない範囲で、いろんなことができる可能性があります。それは、一つは、物資の輸送という、防災機能の延長で物資の搬入、搬出という貨物輸送基地構想ということはあり得ると、まだもちろん決めていません。あり得る。2,000メートルがあって、基地があり得るということでございます。もう一つの理由は、今、毎日新聞さんがおっしゃったように、空港というのは旅客の羽田便があるのを空港と、空港整備法上の空港と、こう言ってるんですけど、それは空港整備法の補助が出るんですけども、五條が東京の定期便があるのかどうかというのは、ちょっと課題です。それは需要によりますので。まだそこまで私は考えていません。空港としての活用は、ほかの地域との移動ということはあるかもしれません。すると、路線、旅客定期便というのはあるかもしれませんけど、まだそこまで、まず、防災機能と、発想としては、貨物航空基地まではあり得るかなというように思っています。
 その一つの空港の例で、但馬空港というのがありますけども、兵庫県の北ですけども、東京便は出てないんですね。東京便が出ないと補助金がなかなか出ない、援助が出ないという空港整備の仕掛けがあります。一方、能登空港というのもありますけど、能登空港というのは、空港整備法上の空港になったのですけども、あそこを、能登だから、新幹線があったら、それでもいいかというような感じになってきましたけども、能登空港から羽田便を出してもらっておられます会社に、そのために地元の補助を出されてるという状況です。だから、地元の補助まで出して東京便をやりますか、その値打ちがありますかという判断になると思います。だから、リニアが来る中で、東京便の飛行便がどのような意味があるのかという検証が必要だなと思います。否定的には考えておりませんけれども、リニアが来ても東京まででありますので、北海道と奈良の五條を結ぶというような手は、北海道と結ぶのだったら、北海道のおいしいアスパラなんかが来てもいいかというような感じはあるんですけど、それは貨物輸送の発想でありますので、貨物、北海道の農産物は、貨物列車で運ばれてるんですが、青函トンネルのを通るのがなかなか、新幹線と併用、これからどうなるのかという課題がありますけども、ヨーロッパは貨物航空がもうどんどん飛び始めていますので、アメリカもそうですけど。割と安い輸送形態、トラックの人件費から来ると、随分安い面がありますので、そのような遠距離との貨物輸送、繰り返しになりますが、可能性はあります。旅客というのは、どこと結ぶかというような、また、これも。
 あとは、自家用機ですね、自家用機の基地が日本にありませんので、このような五條のような大都市に近いところは、自家用機の基地になる可能性、これはもう別にそんなにウエルカムで進めたいということではないんですけども、よく引き合いの例に出すんですけれども、イーロン・マスクというのは、自家用機持ってるんですけれども、京都に家があるんですね。だから、京都に行くのに、五條に自家用機で来て、京奈和自動車道で京都に行くと速いよということを、できたらお勧めしたいなと。ちょっとした笑い話みたいですけど。すると、東京オリンピックがあったときに、菅官房長官に地方消費税の配分基準で陳情に行きましたけども、航空行政してたのをよく知っておられますので、オリンピックの前で、自家用機の発着基地はないかと言われてるんだという雑談がありました。アメリカには30万機あるので、自家用機でオリンピックを見たいな、ラグビーを見たいなという人が多いのですね。自家用機で来て、仲間数人と飛んで来て、羽田とか、成田とか、大空港、なかなか降りられないんです。大空港も自家用機1機の着陸料はもう何十分の1ですから。だから、そのちょっと離れたところの大都市、離れたというか、大都市に競技場にその日のうちにすぐに行けるような自家用航空基地というのは、空港整備法上の対象になってなかったという面もありますので、今度は、大規模広域防災拠点でありますけれども、自家用機の使用がある程度、防災機能を阻害しない範囲で使うという考え方もあり得る、あり得るという程度、アイデアだけでありますので、それに向かっているということではありませんが、そのような考え方もあるというように思います。



八尾空港の奈良県への移転構想について





記者:
 これも知事選前の会見なので、今の大規模に絡んでなんですけど、以前ちょっと知事が経済団体の講演でちょろっと話されてましたけど、以前、今、もうすっかり維新の牙城というか、になりましたが、大阪府の八尾市に、八尾空港というのがありましたが、八尾空港をこの五條に移転するという、そんな計画、話が実際に向こうの当時の市長らとされたと。二階さんも入ってるのか分かりませんけど、そういう話もあったと聞いたんですけど、こういう構想というのはまだあり得るのか、もう完全になくなってるのか、もし可能な範囲で。




知事:
 よく聞いておられますね。あり得ると思います。八尾空港は、1,700メートルあるんですけれども、国の航空で二種空港という、大変グレードの高い空港ですけども、定期便は飛んでおりません。1,700だし、なかなか飛べない。周りは住宅地になってます。住宅地になっていて、空港というのは、制限表面って、この角度があって、そこにビルが建てられないのですね。その空港の滑走路の制限表面にはビルが建てられない。だから、なくなると、まちになりますので。滑走路の空港の敷地、物すごいべらぼうでありますし、あそこの道路が滑走路で寸断されてて、あそこに行くとすごく回らないといけないですね、住宅地で。だから、すごく道路状況が悪いんです。滑走路がなくなると、まちづくりが全然変わってくるというように当時の市長は言っておられました。だから、八尾空港廃港は歓迎だということでございました。しかし、今、主要航空と言われる航空事業がありますので、それをどこに持っていくの。主要航空というのは、撮影とか、観光とか、自家用機、セスナなんかの自家用機の基地になってますので、八尾空港はある面、近畿の自家用機の基地になっています。そのような空港の需要がどこに行くのかということが課題であります。五條空港ができると、五條の人たちのそういう八尾空港の機能が来てもいいよという地元の方の同意があればと。私は県営空港になっても同意が必要だと思ってますけども、同意があれば、八尾空港の移転というのも随分、現実味を帯びてくるというように思います。




記者:
 ありがとうございました。



山辺・県北西部広域環境衛生組合による新クリーンセンターの土地取得について





司会:
 ほかにご質問いかがでしょうか。
 毎日新聞さん。




記者:
 この間、大和高田市議会で市議が質問したり、あと、一部の週刊誌で記事が出たりしているんですが、天理市内に、10市町村ぐらいがつくっている広域事務組合が巨大なクリーンセンターを建設する予定です。その本体の施設の土地をめぐって、天理市が天理教と60年間の賃貸契約を結んでおり、この賃貸料が高過ぎるんじゃないかと。単純に年間の賃貸料に60を掛けると、実際に購入した場合の金額よりも3倍ほど高いんじゃないかという指摘が一部からされておりますが、知事は、前々から、奈良市の問題もあったもので、土地の鑑定評価などにはかなりこだわってきたので、この賃貸料などについてもかなり関心というか、疑問などを持ってるのかなと思います。これは奈良モデルの一端でもありますので、県の補助金も絡んでくると思うのですが、知事は、これについてどういうふうに考えてるんでしょう。




知事:
 ご質問ありがとうございます。大事なことで、事態を正確に県民、あるいは、関係市町村の住民に知っていただきたいという思いはございます。ちょっと整理してフォローいたしますと、天理に建設されますごみ処理場は10市町村が集まってやる広域ごみ処理場で、アイデアとしてはいいと思っております。その用地が借地になっているということを2年ほど前に聞きました。もっと早くから知っているとか、紙に書いてあるといったような、その説明は、私は本当に知りません。担当課も承知しておらず、説明もなく知らなかったということなんですけれども、用地は、実は補助の対象になっていません。国の補助の対象にも、県の補助の対象にもなっていません。だから、その用地自体は、10市町村で、高いのか、もっと安い方法があるのかというときに、承知しておられるかどうかが問題だと思います。その首長も最初は知らなかったという人がいたものですから、天理市長だけがちゃんと知っていてやったのかというふうに疑いを持ったんですけれども、その後、10市町村はそれで知ったというように聞いております。60年で3倍高いと、費用負担が住民にかかってきますので、住民が知ってるかどうか、承知の上でいいということであれば、その土地の取得の費用は地域の住民の方々の費用でございますし、国、県の補助対象外でありますので、そのことについてとやかく言うことはないと思います。住民の方々が了解されてるのかどうかということが一つであります。
 その上で、上物については、補助対象の可能性があるということを明言してます。これは、広域の奈良モデルの補助金でございますので、上物の補助金はすごく大きな補助金になります。そのときに、もうその上物の補助金まで決まったのではないかという話が出ておりますけども、今まで出した補助金は、調査の補助金でありますので、ソフトの補助金です。ソフトの補助金が出たら、ハードの補助金が必ず出るとは決まっていませんので、ハードの補助金を出すかどうかは、これからでございます。ソフトというのは、調査事業、計画をつくる事業で、これについては2分の1まで補助しておりますので、国の交付金と同額で、今まで7,600万円ほど補助しています。それで決まったはずだということではなく、ハードについてはまだこれからだということでございます。そのハードの補助金は、工事完成後に出します。これは令和8年度ぐらいだと聞いておりますので、そのときに、ハードの補助金の対象になるかどうかというのが課題になると思います。出すとまで決めてませんが、出さないとも決めてないというのが実情です。
 これは、ハードの補助金を出すのは公金からでございますので、用地は高く買ったけども、住民も納得してるからこれでいいと思っているといって申請いただくのがありがたいことだと私は思います。住民が納得されてますかということは、一つ、質問としてあると思います。その上で、立派な広域化のごみ処理場だということで申請があればいいと思います。内容についても、ちゃんと効率化して、費用節約を自分でもするから、住民の負担にならないようにさらに県も補助しますよという財政支援の補助金ですので、いや、無駄があるけど、補助金を出してほしいということだと、ちょっと抵抗があります。その財政運営の効率化という要項上の観点で、土地取得に3倍の経費がかかってもいいんだという住民の納得があった上で申請書が出てきたときにどう判断するかということになります。こちらも公金でございますので、透明性、公正性というのが必要だと思います。行財政運営の効率性を助成する、取組を支援するということが補助要項の一番の趣旨でございます。それに資するかどうかという判断は、私の一存でするわけではございませんので、公明性、公正性の判断ということになりますので、県で補助採択の是非を検討する有識者の委員会をつくって判断を仰ぐのも一案と、今、考え始めたところでございます。3倍にも上る高い金額での用地取得は、住民の納得を得られてるんでしょうかという懸念は持ってることは確かでございますけれども、その上で、住民も納得してるからいいんだと、用地取得は補助対象になってないので、高い負担は住民に背負わせるから、県はあんまり考えないでくれという態度もあり得ると思います。
 それはそれとして受け止めて、上物のハードの事業費は264億円と大変膨大な額でございます。国の交付金が98億円出ますが、県の補助金も約19億円出る予定でございます。大変膨大な額をこの事業に出すわけで、これも公金の支出になりますので、その公正性、公明性の観点の判断というのも、国も法の趣旨から見てどうかということにもなる可能性ありますので、その点は、公正な判断は必要かと思いますので、有識者に判断を仰ぐというのも一考かと思います。住民が知らない場で決められるというのはそもそもおかしいというふうに思います。事務的に聞きますと、年間の土地取得は、利用すると5%の収益があるという計算なので、奈良県は借地での公共事業は当然しません。大規模広域防災拠点もそうです。借地はあり得ない。それと、天理の場合、なら歴史芸術文化村を県で作りました。最初、天理市長が用地取得されました。用地取得できましたと言ってこられたので聞くと借地だというので、借地は駄目ですよということで、もうやめようということではね返しました。ですので、県の意向はよくご存じだと思います。結局、これの用地取得はかないました。それで、国の補助金、県の補助金をつぎ込んで、安定した施設運営ができるということを確保したつもりでございます。ほかでも、ちょっと借地が残っている運動施設があるんですけど、できれば借地を解消したいと思っています。過去の40年も前の借地でございますので、これからできるだけ解消して、公共施設、公的な施設は所有権に基づく安定した公的な運営ができるようにするというのが基本だと思います。公金を使いますので。その土地の年間の利益率が大きくなれば、借地料が上がってきますので、5%というのが多分借地料に跳ね返っていると思います。それを住民が納得されてるのかというふうに懸念はいたします。
 しかし、これは補助の対象ではございませんので、住民が知っておられるのかなというような懸念でございます。住民の方々のご認識はどうなのかな。その上で、上物の246億円もの事業の申請があれば、その適切な判断をする必要があると思いますので、公明性、公正性の確保のために有識者に判断を仰ぎます。だから、まだ私の立場はニュートラルなんですね。やはり公金を使う立場ですから、当然のことだと思いますけど、要項上、公明性、公正性が確保されるようにということだけは申し上げたいと思います。




記者:
 なら歴史芸術文化村については、天理教が所有してた土地を県のが買ったということなんでしょうけど、今回の件も、土地の所有者が宗教団体だからどうということではなくて、賃貸で、この収益率が5%というところがやっぱりちょっとどうなのかということなんですか。




知事:
 負担されるのは住民ですので、それでいいといえばそれでいいわけですけども、知らない間にされたんじゃないかという心配は、他人ですけれども、あります。補助の対象になっていませんので、いや、こちらの勝手だよとおっしゃれば、そうなりますけれども、住民にとっては負担になりますねと。それを県の補助金で償うといっても、施設のほうは補助を出しますから、それはそれで、そういう申請をされてもいいと思いますけど、できるだけ効率化したいというのが補助の目的であります。ほかで無駄があるけども、こちらで補助してほしいという言い方もあり得るとは思うんですけども、すっきりしない面もあると思います。




記者:
 つまり、天理市であれば、単純に言うと、市民からの税金が3倍かかるということだと思うんですけど、それで住民が納得できるのかということなんですか。




知事:
 多分、土地の取得費用は、住民が払うごみ処理費に上乗せされるんじゃないかと思います。運営費ですから、年間の運営費で何千万か負担されます。それは、毎年税金で償うという考え方もあると思います。ごみ処理は受益施設ですので、基本的に、ハードは公的な資金、運営費は住民の使用料で償われるのが普通でございます。年間の賃借料というのは運営費になると思いますので、運営費が上乗せされるはずでありますけれども、住民の納得が前提になるんじゃないかと思います。ごみ処理の運営は市町村がされてますので、余計なことかもしれませんけれども、それがちょっと心配だとは思います。それは補助対象になってないから、構わないでくれとおっしゃれば、それまででございます。それは、税金の負担というよりも、住民のごみ処理料の負担に上乗せされる運営費だと思います。




記者:
 それが懸念されるということですね。




知事:
 奈良県の公的な支援の今の時点での収益率は0.01%なんですね。5%というのは多少高いなという印象は持ってますけど。それは、しかし、納得ずくであれば、こちらが言う話でもないかというふうに思います。




記者:
 だから、そもそも、知事としては、賃貸が悪いと言っているわけじゃなくて、賃料がちょっとどうなのかということなんですか。




知事:
 いやいや、公的な施設だと安定性の観点から、所有権のほうが望ましいと思いますけれども、やむを得ず借地ということであれば、絶対駄目だというところまではいかない。それは住民の年間の運営費に反映されるべきじゃないということで、県の公共事業は皆、借地は排除してます。今回の件は、土地代は助成の対象に入ってませんけれども、普通はごみ処理の土地を取得するのはなかなか大変だと思います。ご苦労されてるんだと思います。だから、公的な施設は県では借地はないようにやっていますし、工事の用地とか、短期の借地がありますけども、それは0.01%でやってますので、住民の方のご参考までにとは思いますけれども。長期で5%というのは随分高いなという印象はあります。




記者:
 ありがとうございました。




司会:
 よろしいでしょうか。
 ほかにご質問いかがでしょうか。
 幹事社さん、よろしいでしょうか。
 それでは、本日の知事定例記者会見を終了いたします。ありがとうございました。




※発言内容については、読みやすくするために質疑テーマごとにまとめています。
また、発言の趣旨を損なわない範囲で文言を整理する場合があります。

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