ウォッチャーからの主な質問について

平成16年度食品表示ウォッチャーよりの質問と回答

1.生鮮食品について
【野菜の表示】【牛肉の表示】【魚の表示】【米の表示】【もち米の表示】

2.加工食品について
【自家製の加工食品の表示】【うなぎの表示】【ローストビーフの表示】

3.期限表示について
【本日付けの表示】【賞味期限切れの表示】

4.牛肉の個体識別番号
【パックされていない場合】【カレー肉】

5.その他
【有機JASマーク】


1.生鮮食品について

【野菜の表示】


次の品目は原産地として複数の記載があり現物に表示がなく、どちらも原産地が不明であるがこれでもよいか?
  • 洋人参      青森県 兵庫県 長崎県
  • ジャガイモ    長崎県 鹿児島県
  • ブロッコリー   長崎県 福井県
  • トマト       愛媛県 岐阜県

JAS法の規定では複数の原産地のものを混合した場合にあっては重量の割合の多いものから順に記載することとなっており、すべての産地名を記載してあれば問題ありません。
 根拠
生鮮食品品質表示基準 抜粋
第4条(2)原産地
・・・ただし、同じ種類の生鮮食品であって複数の原産地のものを混合した場合にあっては当該生鮮食品にしめる重量の割合の多いものから順の記載し、・・・・


【牛肉の表示】


「○○県産」と表示されている中、1種類だけ「国産」と表示されていて少し不思議に思いました。


牛肉の表示は生鮮食品品質表示基準により規定されていますが、まず、「国産品」の場合国産である旨を、「輸入品」の場合は原産国名を記載することとなっており、「○○県産」等のはメリット表示となっていますので、「国産」という表示は誤りではありません。
 参考  
生鮮食品品質表示基準 抜粋
イ 畜産物
(ア)国産品(国内における飼養期間が外国における飼養期間(2以上の外国において飼養された場合には、それぞれの飼養期間。以下同じ。)より短い家畜を国内でと畜して生産したものを除く。)にあっては国産である旨を、輸入品(国内における飼養期間が外国における飼養期間より短い家畜を国内でと畜して生産したものを含む。)にあっては原産国名(2以上の外国において飼養された場合には、飼養期間が最も長い国の国名)を記載すること。 ただし、国産品にあっては主たる飼養地が属する都道府県名、市町村名その他一般に知られている地名を原産地として記載することができる。この場合においては、国産である旨を省略することができる。


牛肉を購入したら裏に加工者名がかいてありました。
生の牛肉も加工されているのでしょうか。


食肉の表示については、食品衛生法、JAS法等の規定を盛り込んで「食肉に関する公正競争規約」に総合的にまとめられています。その規約のなかで「加工とは包装をいう」[第3条2(4)]と定められています、つまり加工者とは食肉を包装した者というという意味で表示されています。
 
ちなみに事前包装された食肉の表示に必要な事項は以下のとおりです。
1.食肉の種類・部位・用途など
2.原産地
3.冷凍の場合はその表示
4.100g当たりの単価及び販売価格
5.量目
6.消費期限
7.加工(包装)所の所在地、加工者の氏名または名称

 参考  
公正競争規約とは?
 各業界がそれぞれの業種に応じた、より具体的で適切な表示の方法を業界のルールとして自主的に定めたもの。

【魚の表示】


魚の輸入方法は知らないので疑問なのですが、ノルウェー産の生さけに解凍と表示されていません。冷凍せずに輸入できるのでしょうか?チルドなのでしょうか?


農林水産省に照会したところ、最近では真空パックし冷蔵した状態(つまり冷凍でない)で輸入されることもあるとのことでしたので、解凍の表示のないノルウェー産の生さけがあっても不思議ではありません。



【米の表示】


夏にカタログにて購入した北海道産のきらら397を絵柄も北海道そのもので購入したが、販売店○■米穀(株)大阪府▲■市・・。産年の記入段の反対面記載されていて表面を見ると小さく印刷印でおされています。精米年月日も反対面記載で同じく小さく印刷印でおされています。お米のただしい表示の仕方なのでしょうか?


質問の内容から購入されたお米の表示は以下のようになっていたと思われます。

名 称 精   米
原料玄米 産 地 品 種 産 年 使用割合
    北海道      きらら397    反対面記載    100%
内 容 量 5kg
精米年月日 反対面記載
販 売 者 ○■米穀(株)大阪府▲■市・・

「産年」と「精米年月日」の欄に反対面記載とあり小さく印刷印(ゴム印でしょうか?)でおされていることについてですが、「精米及び玄米の品質表示基準」の規定(備考 6)では この2項目については表示欄に記載箇所を表示すれば、他の箇所に記載することができますので、問題ありません。ただし、表示に用いる文字の大きさは日本工業規格に規定する12ポイン ト(内容量が3キログラム以下の場合は8ポイント)と規定されています。



お米の産年が表示のないものがあるが、これは未検査米ということでしょうか?


産地・品種・年産を表示しようとする場合は農産物検査法に基づく検査を受けないといけないというルールがあります。
ご質問の表示に関しては以下の2とおりのことが考えられます。

その1.袋詰めしたお米が単品の場合


 名 称 精   米
原料玄米  産 地 品 種 産 年 使用割合
    奈良県     ヒノヒカリ    ?????      100%
内 容 量 5kg
精米年月日 平成16年10月3日
販 売 者  ○▲米穀(株)奈良県▲■市・・
このケースでは 産地・品種が表示されていることからこのお米は検査米であり年産が記入もれであると考えられます。


その2.袋詰めしたお米が複数原料米を使用している場合

名 称 精   米
原料玄米 産 地 品 種 産 年 使用割合
複数原料米
 国内産
   ○○県 ・・・    ヒカリ        16年         70%
   ■▲県 ・・・    こまち      ????       30%
内 容 量 5kg
精米年月日 平成16年10月3日
販 売 者  ○▲米穀(株)奈良県▲■市・・

このケースでは品質表示基準に基づき表示されており検査米と考えられます。
「■▲県 ・・・こまち」の産年が複数(たとえば、15年産と14年産)である場合上記のように産年を空欄のままでも問題ありません。


 参考  
※玄米及び精米品質表示基準 抜粋


・・・・原料玄米のに産地、品種又は産年について証明を受けたもの(以下「証明米」という。)が含まれている場合にあっては、当該証明米について(イ)の規定による「国内産△△%」又は「○○産 △△%」の表示の次に括弧を付して産地、品種及び産年の3つの表示の項目の全部又は一部をそれぞれに対応する使用割合と併せて記載することができる。



その1.このお米の表示は正しいのですか?
その2.あきたこまち単一銘柄とおもいきや表示は複数原料米になっている。
その3.産地県名を表示しなくていいのでしょうか?
名 称 精   米
原料玄米 産 地 品 種 産 年 使用割合
複数原料米            
国内産                                100%
(            あきたこまち  表示面上部記載     100% )
内 容 量 10kg
精米年月日 反対面記載
販 売 者 奈良県◇▲・・・・・

お米の表示については「玄米および精米の品質表示基準」(平成12年3月31日農林水産省告示第515号)に定められており、
  • 産地・産年・品種 が同一でない場合は・・「複数原料米」等と表示します。
  • 産地、品種及び産年の3つの表示項目の一部を表示する場合にあっては表示する証明米について表示項目をそろえることとなっています。
 つまり上記の例(産地・産年・品種が同一でないので「複数原料米」となっている)では、複数の産地で収穫された証明米で、品種は「あきたこまち」100%、産年については(表面に記載された年産)というお米の表示であり、表示ルールに則った正しい表示です。


【もち米の表示】


もち米の表示 産年未記載、これで適正ですか?
名 称  も ち 精 米
原料玄米 産 地 品 種 産 年 使用割合
複数原料米
   国内産                             100%
内 容 量  1.4kg
精米年月日 この面の左側に記載
販 売 者 奈良県◇▲・・・・・

これも先の質問と同様で もち米についても「玄米および精米の品質表示基準」が適用になります。
 よって上記の表示は 産地、品種、産年が同一でないもち米が入っていることをあらわしており適正な表示です。 ( なお、この表示の場合、未検査米の可能性もあります。)


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2.加工食品について

【自家製加工食品の表示】


自家製の商品に加工食品の表示は表示しなくてよいのでしょうか?

自家製の商品が、そこで製造されていて、直接販売されているのであれば表示の必要はありません
 根拠
加工食品品質表示基準(平成12年3月31日農林水産省告示第513号)第3条
飲食料品を製造し、若しくは加工し、一般消費者に直接販売する場合または飲食料品を設備をもう
けて飲食させる場合は、加工食品に表示すべき事項を表示する必要がない。


【干し柿の表示】


奈良県では干し柿の加工した巻き柿がお土産としておおいですが、これも今後原産地表示になりますか。

加工食品の原産地表示につきましては前回送付しました「加工食品の原料原産地表示リーフレット」にありますように生鮮食品に近いとされる20品目群の加工食品について主な原材料の原産地表示が義務づけられたところです。ただし、この新しいルールは平成18年10月まで経過措置期間をもうけておりますので、当面の間原産地表示はこの20品目群に限定される模様です。
 今後新たなに加工食品の原産地表示が義務化されるかについては国の方で検討中です。
(なお、「干し柿」そのものは乾燥果実にあたりますので原料原産地の表示義務があります。)


【うなぎの表示】


うなぎを購入した。日本産の場合は県まで表示していますが、他国では中国産等国名の表示になっているが、それでよいのですか?

ご質問の「うなぎ」が生鮮の状態か蒲焼き等の加工食品の状態がの2つの状態が考えられますのでケース毎にお答えします。
 その1.うなぎが生鮮の場合
 国産品にあっては生産した水域名又は地域名(水揚げされた港名か港のある都道府県名)を、輸入品にあっては原産国名を記載することとなっており、つまり国の表示基準では外国産の場合は国名を表示することとなっています。

 その2.うなぎが加工食品の場合
 原料の原産地について、国産品にあっては、国産である旨を、輸入品にあっては原産国名を記載することとなっており、つまりこのこのケースでも国の表示基準では外国産の場合は国名を表示することとなっています。

・・・・・・ですから外国産のものは国名が表示されてよいことになります。


【ローストビーフの表示】


ローストビーフは加工食品なのでしょうか。?肉の部位や原産地が全く表示されていない。

国の見解では加工食品となります。よって原産地の表示義務はありません。


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3.期限表示について

【本日付けの期限】【賞味期限切れ】


  1. 魚の賞味期限(消費期限??)は本日付けでした、これよいのですか?
  2. 見切り商品をワゴンで販売されていた、賞味期限が1,2日すぎのものもあった、販売してよいか?

表示された期限をすぎた食品を販売してよいか?については国の見解は以下のとおりです。

 食品等の販売が禁止されるのは、当該食品等が食品衛生法上問題がある場合、具体的には食品衛生法第4条、第6条、第7条、第11条等に違反している場合ですので、仮に表示された期限を過ぎたとしても、当該食品が衛生上の危害を及ぼすおそれないものであればこれを販売することが食品衛生法により一律に禁止されているとはいえません。
 しかしながら食品衛生を確保するためには、消費期限及び賞味期限のそれぞれの趣旨を踏まえた取り扱いが必要です。
 まず、消費期限については、この期限を過ぎた食品については飲食に供することを避けるべき性格のものであり、これを販売することは厳に慎むべきです。
 また、賞味期限については、この期限を過ぎたからといって直ちに食品衛生上問題が生じるものではありませんが、期限内に消費されるよう販売することが望まれます。
よって
1.については設定された期限をすぎていないのであれば適正と判断されます。
2.については「賞味期限」ですから、設定された期限を過ぎたとしても、品質を保持していると考えられますが、それを販売することには注意が必要です。

 参考
  「消費期限」と「賞味期限」については平成15年7月に食品衛生法・JAS法において以下のとおり用語・定義の統一がおこなわれました。
用語 定義
消費期限 定められた方法により保存した場合において腐敗、変敗その他の品質に劣化を伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日をいう。・・・製造日を含めておおむね5日以内で品質が急速に劣化する食品に表示する期限表示
賞味期限 定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。・・・品質が比較的劣化しにくい食品等の表示


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4.牛肉の個体識別番号

【パックされていない場合】


パックされていない牛肉などの個体識別番号はどうすればわかるのでしょうか?

 牛肉のトレーサビリティ法において食肉小売店が個体識別番号を表示する場合には「容器」・「包装」・「店舗に見やすい場所」のいずれかに、牛の個体識別番号又はロット番号を明瞭に表示することとなっています。
 質問のように対面販売の食肉専門店で販売されているようなパックされていない牛肉はショーケース内に商品を陳列した同一商品を盛った「トレイ」ごとに個体識別番号を表示します。
 商品のプライスカードに、個体識別番号を記載するのが基本ですが、店頭に表示ボード(ホワイトボード、黒板)を掲げ、記号や色分けで個体識別番号又はロット番号を表示し、プライスカードには、それに連動した記号や色を記載している場合もあります。
 最近はインターネットより取得した家畜改良センターの「牛の個体識別情報」を店頭に表示している専門店も多くみられます。


【カレー肉】


「国産牛カレー」という名の商品には個体識別番号が表示されていないのは適正ですか?

 牛肉のトレーサビリティ法において個体識別番号をしなければならない牛肉(特定牛肉)の定義は「食用に供される牛の肉であって牛の肉であって牛個体識別番号台帳に記載されている牛から得られたものであって、加工したものや挽肉・製造過程で副次的に得られる小間切れ等は該当しないとなっております。
 「国産牛カレー(肉)」については一般的に販売牛に牛1頭を角切りにしたいわゆる単品と食肉の整形過程(端材)において副次的に得られた「小間切れ」に分かれます。
 このようにカレー肉については表示が要らないのではなく、カレー肉が「小間切れ」であれば表示不要となります。

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5.その他

【有機JASマーク】


中国産のたけのこに有機JASマークがついていたがそういうことはあるのでしょうか?

 有機農産物については、認定機関から認定を受けた生産者等がその特定JAS規格に適合するものであるかどうかについて格付け又は格付けの表示を行い、有機JASマークの貼付されたものでなければ「有機○○」「オーガニック○○」等という表示ができなくなりました。
 輸入された、有機農産物等に格付けの表示をし、「有機○○」等の表示をするためには1.認定をうけた外国の製造者等が特定JAS規格による格付けをおこない、有機JASマークを付した有機農産物を輸入するケースと2.農林水産省の認定をうけた輸入業者が外国の政府の証明書が添付された輸入有機農産物等に有機JASマークを付けるケースの2つの方法があります。
 よって外国産の野菜に有機JASマークがついている場合もあります。

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