奈良伝承

 

 
 赤膚焼(あかはだやき)は、1583年、豊臣秀吉の弟で、大和郡山城主の秀長が、愛知県常滑(とこなめ)の陶工を招き、赤膚山で茶器を焼かせたのが始まりとされています。窯元は、奈良市に4軒、大和郡山市に2軒あります。乳白色の柔らかい風合いと、奈良絵文様が特徴で、湯飲みや花瓶、壺、皿、などさまざまなものが作られています。
 
赤膚焼って、赤い肌をしているから、そう呼ぶんじゃないんですか?
 確かにそう思われている方も多いようですが、この土地は古くから赤膚山と呼ばれていたことから、名前の由来は地名から来ているともいわれています。また色合いも、青っぽいものからピンクっぽいものまで、その時の焼き具合、季節などによっていろいろあるんです。

釉掛けをしている古瀬さん
 
赤膚焼には特徴的な絵がありますが、あれはどれにも付いているんですよね?
 奈良絵は赤膚焼の特徴ですが、ないものもあります。源流は、東大寺の大仏さんの台座に描かれている図様にあるといわれ、赤膚の器等にマッチするようデザインされています。奈良にちなんだものも多く描かれています。
 
では、そんな赤膚焼はどうやって作るんですか?
 簡単に言いますと、
(1)成形
 まず原料の土を赤膚山から掘り出し粘土をつくります。それをろくろや型を使って形を作っていきます。

成形

(2)乾燥
 形ができると、乾燥に適した場所に保管し、丁寧に乾燥していきます。

乾燥

(3)素焼き
 乾かした後、素焼きをします。
(4)釉(ゆう)掛け
 その後、「わら灰(ばい)」(藁(わら)を焼いた灰)を主成分にした釉をかけます。この釉をかけることで、丈夫で美しい製品に仕上がります。
(5)本焼き
 釉掛けして乾かしたものを本焼きします。登り窯では、季節や天候等を考慮して、ゆっくりと時間をかけて1300℃くらいまで温度を上げていきます。

本焼き

(6)絵付け
 本焼きが終わると完成です。そこに奈良絵などを描いたりします。

絵付け
 
一つずつ手作りだし大変ですね!
            小さい頃から後を継ぐことになっていたんですか?
 いえいえ、私は三姉妹の末っ子だったので、期待もされていませんでしたし(笑)、違うことをしようとも思っていましたね。ただ、父のつくる姿は近くで見ていたし、芸術の勉強もしていたので、姉二人が嫁いだ後は、自然と赤膚焼を始めようと思うようになり、父を師匠として教わっていました。そして、3年前に父が亡くなり、私が堯三を襲名することになったんです。
 
お父さんの教えで一番心に残っていることはなんですか?
 「いろんな角度から見て、初めてものの本質が分かる」ということですね。陶器も一つの点ばかりにのめり込んでいたら、全体のゆがみが見えなくなります。この奈良も、外国の大学で勉強するようになって、初めてその良さに気付くようになりました。
 
では、最後に今後の目標を教えてください。
 赤膚焼は、地元の人に愛され、何世代にもわたり使われ続け、育ってきました。「人に使ってもらって初めて完成する」と父が守り続けてきたこの赤膚焼を、一人でも多くの方に知ってもらいたいです。そして、世代を超えて愛用していただける品を世に出し続けるのが目標です。

江戸時代から使われ、国の登録有形文化財に登録されている登り窯
 
赤膚山元窯
古瀬 堯三
奈良市赤膚町1049
0742・45・4517
0742・45・6726
www1.kcn.ne.jp/~akahada/
手づくり体験・絵付体験あり(要予約)。その他の窯元の作品など、赤膚焼は「きてみてならSHOP」(近鉄奈良駅1番出口からすぐ)などでも購入できます。


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