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藤原宮跡 ふじわらきゅうせき

記入年月日 2017/09/28

藤原宮跡 南から
藤原宮跡 秋のコスモスと香具山
藤原宮跡 春の桜と菜の花の競演
所在地
橿原市高殿町、醍醐町、別所町、飛騨町、四分町、縄手町、木之本町、法花寺町
区分
遺跡 | その他
指定内容
国指定特別史跡・世界遺産暫定候補・日本遺産

※各歴史文化資源へのご訪問の際は公開日・公開時間・料金等を別途ご確認ください。

歴史文化資源の概要
藤原京は、中国的な条坊制を採用したわが国最初の本格的都城です。694年から710年に平城京へ遷都するまで、持統・文武・元明天皇3代の16年間にわたる都でした。大宝律令の制定により律令国家が名実ともに完成し、ここを発した遣唐使は初めて「日本国」の国号を諸外国に伝えたなど、「日本国はじまりの地 橿原」の舞台です。 藤原宮は藤原京の中枢部で、その周囲を大垣と呼ばれる掘立柱塀で囲まれた、約1km四方の宮殿です。この藤原宮の周囲約5km四方におよぶ藤原京の遺跡は、現在の橿原市・桜井市・明日香村にかけて残っています。また宮殿を守護する聖山と考えられた大和三山の中央へ宮殿を配置し、『万葉集』にも詠われたその情景は、今も藤原宮跡から三方に三山を望むことができます。 昭和9年(1934年)に始まる発掘調査でその所在地が確定したため、昭和21年(1946年)11月21日に国の史跡に、次いで昭和27年(1952年)3月29日に特別史跡に指定されました。平成19年(2007年)にはユネスコの「世界文化遺産」候補として暫定一覧表に記載され、平成27年(2015年)と平成29年(2017年)には「日本遺産」の構成文化財にも認定されました。
地域にとって大切な歴史文化資源である、その理由
710年の平城京遷都後、昭和9年(1934年)に始まる発掘調査で現在の場所と判明するまで、藤原宮の所在地については謎とされ、長く論争が繰り広げられていました。大極殿の基壇跡はその間、鴨公(かもきみ)神社鎮守の森として地元の信仰に支えられ、その姿をとどめたことが文献からうかがえます。毎年7月には、地域による神事が今も続けられています。 長年にわたる発掘調査で歴史的名所としての重要性が高まり、橿原神宮と今井町重要伝統的建造物群保存地区に並ぶ、橿原市の観光名所となっています。今後も橿原市の生きた歴史教材として、また世界遺産をめざす「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の中核資産として、また日本遺産「日本国創成のとき~飛鳥を翔た女性たち~」と「1400年に渡る悠久の歴史を伝える「最古の国道」~竹内街道・横大路(大道)~」の構成文化財として、その保存と活用が求められています。
「記紀・万葉集」との関連とその概要
『日本書紀』と『続日本紀』には、天武天皇5年(676年)の藤原京の造営着手を語る「新たに都つくらむとす。」から、持統天皇8年(694年)の藤原京遷都、文武天皇大宝元年(701年)正月記事にある律令完成と国家成立を象徴する「文物の儀、是に備れり。」や慶雲元年(704年)の遣唐使による初の「日本国」の国号を伝える「答えて曰く、日本国の使いと。」の記載など、和銅3年(710年)の平城京遷都までの正史が記されています。また『万葉集』には持統天皇の御製歌や、藤原宮の役民の作る(よめる)歌(巻1-50)では藤原宮の宮殿の材木を遠く近江国から運ぶ様子、藤原宮の御井の歌(作者不詳、巻1-52)では大和三山に守護された藤原宮と天皇を讃える願い、を詠んだ歌が収められています。
当資源と関連する歴史上の人物とその概要
天武天皇:676年に新都(藤原京)の造営に着手、天皇を中心とした律令国家の首都を目指した天皇
持統天皇:志なかばで亡くなった夫の遺志を継いで皇位に就き、藤原京を完成させた、天武天皇の皇后
文武天皇:天武天皇と持統天皇の孫で、701年の大宝律令完成や702年に遣唐使を再開した、藤原宮2代目の天皇
元明天皇:707年に早世した文武天皇の母で平城京へ遷都した、藤原宮3代目の天皇
高市皇子:天武天皇の皇子で、持統天皇を助けて藤原京造営を推進した太政大臣
藤原不比等:藤原鎌足の子で、高市皇子の死後に実力者の筆頭となった右大臣
当資源と関連する文献史料
『日本書紀』、『続日本紀』、『万葉集』、皇円著『扶桑略記』、卜部兼方著『釈日本紀』、賀茂真淵著『万葉考』、本居宣長著『古事記伝』・『菅笠日記』など
他地域の関連する歴史文化資源
飛鳥宮跡(明日香村)、平城宮跡(奈良市)、長岡宮跡(京都府向日市)、平安宮跡(京都市)など歴代天皇の宮殿遺跡、世界遺産暫定一覧表記載「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」の構成資産(橿原市・桜井市・明日香村)、日本遺産「日本国創成のとき~飛鳥を翔た女性たち~」構成文化財(橿原市・高取町・明日香村)、日本遺産「1400年に渡る悠久の歴史を伝える「最古の国道」~竹内街道・横大路(大道)~」構成文化財(大阪市・堺市・松原市・羽曳野市・太子町・葛城市・大和高田市・橿原市・桜井市・明日香村)
問い合わせ先
橿原市役所 魅力創造部 世界遺産・文化資産活用課
電話番号
0744-21-1114

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