歴史文献で訪ねる奈良
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大和名所図会で見る
永久寺は、現在の天理市杣之内町付近に、かつて存在した寺です。図会の文中に「永久年中の草創なれば永久寺と名附けたり」とあるように、永久2(1114)年に鳥羽天皇の勅願により創建されました。寺の側には、日本最古の道路といわれる山辺の道が通っており、三輪(桜井市)と春日(奈良市)を結んでいました。図会は永久寺の門前を描いていますが、寺自体は大伽藍を有しており、「西の日光」と呼ばれたほどでした。しかし、明治初期の廃仏毀釈によって、全てが破壊され、失われてしまいました。
永久寺の建物は全てなくなり、現在では本堂付近にあった池のみが残されています。池の畔の石碑には、芭蕉の句『うち山や とざましらずの 花ざかり』が刻まれています。「内山永久寺では、他の土地の人には知られていない桜が、今まさに満開である」という意味ですが、往時の栄華が偲ばれます。