深める 歴史文献で訪ねる奈良

大和名所図会で見る
今昔
壺阪寺(高取町)

図会の右端には壺阪峠が見え、その麓にあるのが壺阪(坂)寺です。703年、弁基上人によって創建され、目の観音様として信仰を集める十一面千手観音菩薩像を本尊とします。壺阪寺は、平安時代には定額寺(官寺に準じる格式のある寺)となり、清少納言が「寺は壺坂。笠置。法輪。」(枕草子)と書いたほどの名刹でした。図会に描かれている伽藍は、その後、火災によって焼失し、現在の伽藍は1827年に再建されたものです。明治時代に浄瑠璃や歌舞伎として演じられた「壺坂霊験記」の舞台としても有名です。

奈良県立図書情報館所蔵 大和名所圖會より

ここが見所

壷阪寺がインドで行った慈善活動に対し、インド政府から贈られた石仏です。製作期間4年7ヶ月、インドと日本の石工たち延べ8万人の手によって完成しました。1983年開眼、高さ20m、重さ1200トンの世界最大級の観音立像です。