はじめての万葉集

 



 『万葉集』には約四五〇〇首の歌があります。その中で、少なくとも一五〇種類以上の植物の名前が約二〇〇〇首もの歌によまれています。この連載では、植物がよまれた県内の歌をご紹介します。
 この歌には、「咲く」から「佐紀」を連想させて、佐紀沼のスゲを笠に編んで着ける日を待っていて年がたってしまった、とあります。次の二八一九番歌「おし照(て)る 難波(なには)菅笠(すがかさ) 置き古(ふる)し 後は誰(た)が着む笠ならなくに」と一組の歌になっていて、こちらは女性側が、あなたを待ち続けてすでに年をとってしまった、と返した歌です。どちらの歌も、結婚することをスゲの笠を着ることにたとえて表現しています。
 『万葉集』に「佐紀」と詠まれた場所は、現在の奈良市佐紀町に、二条町、山陵(みささぎ)町なども含めた広い地域だったと考えられています。「佐紀沼」や「佐紀沢」とあることから、沼や沢の多い場所だったようです。
 スゲは水辺に生える植物で、笠や蓑(みの)の材料としてよく使われていました。カキツバタも、湿った場所に育つ植物です。濃い紫色の大きくあでやかな花を咲かせ、その美しさから、美女のたとえにもなりました。
 この歌の表現の中心は佐紀沼のスゲで編んだ笠にあるのですが、カキツバタという名前が最初にあることで想像をかき立てられ、花咲く佐紀の地と相手の女性との美しさが思われます。
(本文 万葉文化館 井上 さやか)



 カキツバタとは、湿地に群生する植物です。まっすぐに伸びた茎の先に、濃い紫色の大きくあでやかな花を咲かせます。花を衣に摺り付けて色を移す、花摺(ずり)の染料にもしたようです。今回のお話の舞台の近く、法華寺(奈良市)などで、5月上旬から下旬にかけて美しい杜若を見ることができるそうですよ。
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