はじめての万葉集

 





 

 この歌は、柿本人麻呂が妻を亡くした後に涙を流し嘆き悲しんで詠んだとされる歌群のなかの一首です。山に葬られた妻のことを思いながら、呆然と山道を歩く男性の姿が目に浮かぶようです。
 長歌には、彼女が幼い子供を置いて亡くなったことが描かれています。また、直前の短歌では、去年一緒に眺めた秋の月が今年も同じように照っているけれど、彼女だけがここにいない、とこれからもずっと続く妻の不在を、美しい表現で嘆いてもいます。
 「引手の山」とは耳慣れない地名ですが、衾田陵(ふすまだりょう)(西殿塚古墳(にしとのづかこふん))のある天理市中山町の道を「衾道」と呼んだ可能性が指摘されています。そして「引手の山」とは、長歌に「羽交(はがい)の山」とも詠まれた竜王(りゅうおう)山を指すとみられています。
 「衾(ふすま)」とは、和室の仕切りに使う建具の「襖(ふすま)」でも、小麦を粉にひいたあとに残る皮の部分の「麬(ふすま)」でもなく、寝る時にからだの上にかける長方形の寝具のことをいいます。麻や紙などの素材で作られていたといい、袖や襟を付けた形のものもありました。平安時代頃まで用いられていたという古典的な寝具ですが、使い方が同じ後世の掛け布団も「衾」と呼ぶことがあるようです。
 この歌では、そうした「衾」を名に持つ「道」が詠まれ、「引手の山」という地名に続いています。寝具の「衾」は「引」き寄せて寝ることから、「衾道」と「引手の山」とを関連付けて表現したと考えられています。
(本文 万葉文化館 井上 さやか)


山の辺の道

 日本最古の道と言われる山の辺の道。いにしえの人々が行き交ったこの道は、今も「記紀・万葉集」ゆかりの地名や伝説が残り、数多くの史跡に出会え、訪れる人を「古代ロマンの世界」へと誘います。


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