果樹の育種・栽培に関する研究

  カキを中心とした果樹の新品種育成や品種選定を行っています。また、高品質・省力・生産安定技術を開発しています。

  新たな高品質甘柿品種の育成

 10月下旬~11月上旬に収穫できる優良な甘柿品種がないので、栽培が容易な、県オリジナルの甘柿品種の育成に取り組んでいます。具体的には、渋柿と甘柿を交配してできた個体のうち「遺伝子解析」により甘柿と判別した個体を高接ぎし、早期に着果させ品質評価を行っています。また、奈良県原産であり完全甘柿のルーツとされる御所柿の有望な系統や生産者により持ち込まれた有望な枝変わり個体を接ぎ木し、果実品質の調査を行っています。  交配系統 交配系統

御所柿

御所柿


ハウス柿の収穫時期予測法の開発

  本県のハウス柿栽培は全国シェア率約8割を誇りますが、収穫時期を予測・制御する方法がないため、市場から求められている時期に、出荷できていないことがあります。逆に、出荷が集中して単価が下落するといった問題も生じています。そこで、ハウス柿の計画生産・計画出荷を実現するため、収穫時期予測法の開発に取り組んでいます。            
            果実カラーチャート

 果実計測

ハウス柿収穫時期予測果実測定

 

脚立を使わないカキの低木栽培技術の開発

 カキは樹高が高くなりやすいため、栽培に脚立が必要で作業性が悪く、危険を伴います。近年、カキのわい性台木やジョイント栽培法が開発され、脚立を使わない低木栽培ができるようになりましたが、それぞれ専用苗が必要です。しかし、現状では専用苗は入手しづらい上、低木栽培の生産性や省力性は、一部の品種でしか明らかとなっていません。そこで、奈良県で開発したカキの幼苗接ぎ木や大苗育苗技術を利用した低木栽培専用苗の育成方法や、県内主要品種の低木栽培における収量性、省力性の検討を行っています。

ジョイント栽培

        ジョイント栽培

  通常の台木   通常の台木
   わい性台  わい性台

カキの重要病害虫の発生生態と防除

   主に‘刀根早生’などの渋柿の果皮に帯状の模様が出るチャノキイロアザミウマによる被害が平成27年に多発しました。そこで、粘着トラップを用いた発生源の探索や発生消長の調査を行い、増加要因の解明を行っています。また、発生ピーク予測に基づいて防除適期を検討し、確実な防除を実施できるように調査を行っています。

チャノキイロアザミウマ
チャノキイロアザミウマ

チャノキイロアザミウマ被害果
チャノキイロアザミウマ被害果

粘着トラップ

 粘着トラップによる
発生源・発生消長の調査

イチジクの安定生産技術の開発

    本県のイチジクは県北西部中心に産地があり、国内第7位の

シェアですが、露地栽培が主体です。単価の高い6月出荷のため

には加温による施設栽培が必要ですが、被覆したままにすると

高温障害が出たり、逆に被覆を除去すると梅雨時期の降雨によ

り品質が悪化して、安定生産の妨げとなっています。そこで、

イチジクの低コスト型の早期出荷技術を開発するとともに、障

発生条件の解明や対策技術の開発に取り組んでいます。            

 イチジク

イチジクハウス

ワインに適したブドウ品種の果実品質研究

 近年、国産ワインの醸造が盛んになりつつありますが、現状、県内にはワイナリーがありません。しかし、奈良県は海外からたくさんの観光客が訪れており、県産ブドウを用いたワインが消費される可能性があることから、県内の気象条件のもとで栽培可能なワイン醸造用品種の検討を行っています。

ブドウほ場  ブドウ果実