回転台によるホウレンソウの包装作業の省力化

ホウレンソウ経営で、調整・包装作業は全労働時間の約70%を占め、経営規模拡大の阻害要因となっています。産地では、包装機械を個別に購入する事例が増えていますが、充分な省力効果があがっていません。そこで作業の流れを円滑にし、包装機械の効率を最大にするため回転作業台を試作し、作業ラインを組み立てました。

回転作業台は厚さ12mm直径90cmの合板製の円形の回転部分と台座部分からなり、中心軸は直径12mmのボルト、回転部はキャスター3個で支持します。包装機械は市販の簡易包装機を使用しました。

古葉とりと根切りをすませたホウレンソウを卓上に並べ、改めて計量し袋詰めするという慣行の方式では、作業者2人組みの場合、1人当たりで1時間に25.4袋(1袋200g)を作ることができます(ライン0)。

ライン0に包装機械を利用すると1人当たり1時間で28.4袋で、省力効果はほとんど認められません(ライン1)。

ライン1に回転作業台を組み込むと、1名が古葉とり・計量・根切りしたホウレンソウを回転作業台上に置き、他の1名は台を回転させるだけでホウレンソウに手が届きます。こうすると作業の流れが連続し、調整後のホウレンソウの移動と改めて束を整える工程が省略でき、1人当たり1時間で35.1袋と早くなります。包装作業に空き時間が生じるので、袋詰め作業者は4.2袋について1袋の割合で調整作業者と同じ作業を行ないます(ライン2)。

作業者を3人に増やし、調整2名、袋詰め1人とすると、1人当たり1時間で42.6袋と、さらに早くなります。袋詰め作業者は5.6袋について1袋の割合で調整作業者と同じ作業を行ないます(ライン3)。

作業者4人(調整3名)としても1人当たり1時間で41.4袋で、ライン3以上には早くなりません(ライン4)。簡易包装機と回転作業台の組み合わせに最適な作業者数は3ないし4人と考えられます。ライン3,4では、ライン1に比べて34%、ライン0に比べて40%と、ホウレンソウの調整・包装作業時間を大幅に節約できます。調整・包装時間の短縮により、ホウレンソウの経営規模の拡大が期待できます。

写真:試作した回転作業台



処理できた袋数
(1人1時間あたり)
ライン(0)* 25.4
ライン(1) 28.4
ライン(2) 35.1
ライン(3) 42.6
ライン(4) 41.4
* ライン(0)は包装機械を使わない手作業の場合。
 作業者の配置はライン(1)と同様

表:各ラインによる作業の所要所要時間

 

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