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松山家住宅主屋南棟ほか4件の登録有形文化財登録について

松山家住宅主屋南棟ほか4件の登録有形文化財登録について

 

  平成27年7月17日(金)に開催された国の文化審議会において、奈良市内の松山家住宅主屋南棟ほか4件の建造物を登録有形文化財(建造物)として登録するよう答申がなされました。


●松山家住宅主屋南棟(まつやまけじゅうたくしゅおくみなみとう)
  所在地      奈良市西新屋町(ならしにしのしんやちょう)
  建築年代     江戸後期/平成12年改修
  構造・形式・規模 木造平屋建、瓦葺、建築面積97平方メートル
 松山家は「奈良町」と呼ばれる奈良旧市街の中心部で戦前まで米問屋を営んでいた。主屋は南北通りに東面して2軒の町家が雁行して建つ。南側を主屋南棟、北側を主屋北棟とし、主屋北棟の背面に渡廊下と麦蔵が続き、敷地最奥部に米蔵が建つ。
 主屋南棟は、木造平屋建、切妻造桟瓦葺、平入で正背面に庇を付け、南側の間口1間半を通り土間、北側の間口3間を居室とする。正面は居室部に平格子、土間部に太格子をたて、庇上の外壁は黒漆喰塗で虫籠窓(むしこまど)を穿つ。前面の建ちが低く、2階に居室を設けない形式は古風であり、近世に遡る町家として価値がある。現在は豆腐料理店として活用されている。

●松山家住宅主屋北棟(まつやまけじゅうたくしゅおくきたとう)
  所在地      奈良市西新屋町(ならしにしのしんやちょう)
  建築年代     文政12年(1829)
  構造・形式・規模 木造2階建、瓦葺、建築面積97平方メートル
 主屋南棟より後退して建ち、つし2階建、切妻造桟瓦葺、正背面庇付、南側の間口1間半を通り土間、北側の間口2間を居室とする。正面に丸太格子をつけ、庇上の外壁は黒漆喰塗で左右に虫籠窓を穿ち、両端に袖壁を設ける。建立当初は大戸口に摺り上げ戸を入れ、シモミセ正面に蔀と揚店を構えていたことが痕跡より推定される。棟札により建築年代が明らかで奈良町の近世町家の基準作ともなり、歴史的景観の形成に寄与している。
 
●松山家住宅渡廊下(まつやまけじゅうたくわたりろうか)
  所在地      奈良市西新屋町(ならしにしのしんやちょう)
  建築年代     昭和前期
  構造・形式・規模 木造平屋建、瓦葺、建築面積26平方メートル
 主屋北棟背面から後方に続く渡廊下で、切妻造桟瓦葺とする。中庭に面する北側は手摺りを設けた板敷の廊下とし、南側には舞良戸や下地窓を入れた浴室、便所を配す。吹き放しの廊下は丸太桁に柱を立てないため、開放的な空間を生み出している。奈良町家の中庭の特徴をよく示す瀟洒な建物である。

●松山家住宅麦蔵(まつやまけじゅうたくむぎぐら)
  所在地      奈良市西新屋町(ならしにしのしんやちょう)
  建築年代     昭和前期
  構造・形式・規模 土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積45平方メートル
 渡廊下の後方に南面して建ち、桁行6.9メートル、梁間4.9メートル、土蔵造平屋建、切妻造桟瓦葺で、正面に庇を付ける。外壁は漆喰塗とし、両側面と背面の下部は堅板張、正面の足元はモルタル仕上げとする。内壁は中塗仕上げとし、荷摺木(にずりぎ)を残す。米問屋を営んでいた商家の穀物蔵として旧状を伝える。

●松山家住宅米蔵(まつやまけじゅうたくこめぐら)
  所在地      奈良市西新屋町(ならしにしのしんやちょう)
  建築年代     昭和前期
  構造・形式・規模 土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積71平方メートル

 敷地最奥部に東面して建ち、桁行7.9メートル、梁間5.9メートル、土蔵造平屋建、切妻造桟瓦葺で、正面に奥行の広い庇を付ける。外壁は漆喰塗、内壁は中塗仕上げで荷摺木を取り付ける。また、柱と梁には2階床があったことを示す痕跡が残る。規模が大きく、米問屋としての盛期を伝える土蔵である。現在は飲食店として活用されている。

 

 

松山家住宅画像

(松山家住宅主屋南棟および主屋北棟 外観)




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