平成29年11月17日(金曜日)に開催された国の文化審議会において、奈良県内に所在する4件の建造物を登録有形文化財(建造物)として登録するよう答申がなされました。
<登録有形文化財奈良県内の登録状況(平成29年11月17日現在)>(pdf 167KB)
佐埜家住宅及び豊崎家住宅写真(pdf 1138KB)
●佐埜家住宅
奈良町の中心部に位置する。主屋は嘉永3年(1850)に建てられた町家で、主要構造部に当初材が残り、保存状態は良好である。表屋造(注1)の構成を取り、通り土間に簡潔な架構をみせるなど江戸末期の伝統的な奈良の町家の特徴をよく伝える。渡廊下は、中庭側の手摺や建具の意匠や基礎に煉瓦を用いる点が建築当時の特徴をよく伝え、奈良の町家の伝統的な中庭空間を構成している。旧能舞台は、後世に倉庫へと改修されているが、建物当初の部材がよく残り、本舞台や後座(注2)の構えをよく伝える。町家に付属する能舞台として希少な遺例。
・佐埜家住宅 主屋(さのけじゅうたく しゅおく)
所在地 奈良市中新屋町
建築年代 嘉永3(1850)年/昭和中期・後期改修
構造・形式・規模 木造2階建、瓦葺、建築面積88平方メートル
・佐埜家住宅 渡廊下(さのけじゅうたく わたりろうか)
所在地 奈良市中新屋町
建築年代 昭和前期
構造・形式・規模 木造平屋建、瓦葺、建築面積12平方メートル
・佐埜家住宅 旧能舞台(さのけじゅうたく きゅうのうぶたい)
所在地 奈良市中新屋町
建築年代 江戸末期/昭和中期改修
構造・形式・規模 木造平屋建、瓦葺、建築面積37平方メートル
●豊﨑家住宅
江戸時代末期以前に建てられた町家でありながら古式を示している。表構え、土間と居室からなる平面構成、天井や箱階段をはじめとする造作等が古い状態をよく伝えており、近世に遡る奈良の町家の例である。
・豊﨑家住宅 主屋(とよさきけじゅうたく しゅおく)
所在地 奈良市西新屋町
建築年代 江戸末期/明治前期・昭和初期・同57年・平成28年改修
構造・形式・規模 木造2階建、瓦葺、建築面積72平方メートル
注1 表屋造(おもてやづくり):近世の町家形式の一つで、表通りに店構え、奥に居室を設けるもの
注2 後座(あとざ):能舞台において、本舞台後方の床板が張られた部分