寄生虫による食中毒について

特定の寄生虫を原因とするヒラメ等魚介類及び馬肉の摂取に関連した有症事例は食中毒事例として取り扱われます。

 近年、「食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢の症状を示し、その後速やかに回復し、軽症で終わる」という事例が全国的に報告されいています。これらの事例では、以前より知られている食中毒菌やウイルス、化学物質等が検出されず、また、されたとしても症状と原因物質が一致せず、原因不明の食中毒事例として扱われていました。


 厚生労働省がこれらの事例を調査した結果、平成21年6月から平成23年3月までの間に同様の症状での報告が198件確認され、そのうち135件(68%)がヒラメ、33件(17%)が馬肉を喫食していたことがわかりました。平成22年10月にはヒラメを喫食した534名中113名が下痢、嘔吐などの症状を呈する原因不明の食中毒事例も報告されています。

                         
 平成23年4月、厚生労働省において、生食用生鮮食品(ヒラメ等魚介類及び馬肉)に由来する原因不明の食中毒事例についての審議が行われ、特定の寄生虫が原因であることが新たにわかりました。平成23年6月以降、当該寄生虫を原因とする有症事例が発生した場合は食中毒事例として取り扱われることになりました。

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食中毒発生件数

   厚生労働省では、食中毒統計資料が掲載されています。

 統計資料を基に平成25年~平成30年度の原因物質別の食中毒事件数は次のとおりです。

 ノロウイルスやカンピロバクターを原因物質とする食中毒が多く発生していますが、近年、アニサキスを原因物質とする食中毒事件数が急増しています。

 食品の低温流通システムなどの発達により、遠隔地で水揚げされた新鮮な魚介類が容易に食べることができるようになったことやアニサキスの感染を食中毒として届出をするという認識が医療関係者の間で定着したことなどが急増した要因として推察されます。

予防と対策

○県民の皆様へ

 ・魚を丸体で購入する際は、新鮮な魚を購入して、速やかに内臓を取り除いてください。
 ・内臓を生で食べないでください。

一般的な料理で使う程度の量や濃度(塩・わさび・酢など)では、アニサキス幼虫は死滅しませんのでご注意ください。

●事業者の皆様へ

 ・新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除いてください。 

 ・魚の内臓を生で提供しないでください。 

 ・目視で確認して、アニサキス幼虫を除去してください。

 ・冷凍してください。 (-20℃で24時間以上冷凍)

 ・加熱してください。(60℃なら1分以上)

 事業者様向けリーフレット(厚生労働省)(pdf 149KB)

症状

(胃アニサキス症)喫食後、2~8時間後に、激しい腹痛、悪心、嘔吐を生じます。

(腸アニサキス症)喫食後、10時間後以降に、激しい腹痛、腹膜炎症状を生じます。

※多くが胃アニサキス症です。
※激しい腹痛があり、アニサキスによる食中毒が疑われる際は速やかに医療機関を受診してください。

特徴

 アニサキスとは寄生虫の一種で、本来はクジラやイルカに代表される海洋ほ乳類の消化管に生息します。人に食中毒を起こすのは、その幼虫で、長さ2~3cm、幅は0.5~1nmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。

 アニサキス幼虫は、サバ、アジ、イカ、イワシ、サンマなどに寄生します。魚介類の内臓に寄生しているアニサキス幼虫は鮮度が落ちると、内臓から筋肉に移動することが知られています。

 アニサキスが寄生している魚介類を生で、または、加熱が不十分な状態で食べると食中毒(アニサキス症)が起こります。

 アニサキス(厚生労働省HPより)(厚生労働省HPより)

原因

症状

予防と対策

予防と対策

    馬肉をマイナス20℃(中心温度)で48時間以上冷凍処理すると、食中毒を防ぐことができます。

症状

    食後数時間で、一過性の下痢、おう吐、腹痛などの消化器症状が起きます。症状は軽度で、速やかに回復します。

原因

 以前は、全国的に食後数時間で一過性のおう吐や下痢を発症し、軽症で終わる原因不明の食中毒が発生していました。 こうした事例において、馬肉の刺身を食べていた例が多くみられたことから、厚生労働省などが調査をしたところ、ウマに寄生したサルコシスティス・フェアリー(Sarcocystis fayeri) がヒトに下痢症状等を引き起こすことがわかりました。