平成29年2月20日(月) 平成29年度奈良県当初予算案記者会見

司会:
 皆様、おはようございます。
 ただいまより、平成29年度奈良県当初予算案及び平成28年度2月補正予算案知事記者会見を始めさせていただきます。

 まず、荒井知事より平成29年度奈良県当初予算案について発表していただきます。引き続きまして、一松総務部長より平成28年度2月補正予算案について発表をさせていただき、その後、記者の皆様からご質問をいただきたいと存じます。

 それでは、荒井知事、よろしくお願いいたします。


案件:平成29年度奈良県当初予算案について

知事:
 それでは、私からは「平成29年度当初予算案のすがた」、「平成29年度予算案の主な取組」、「平成29年度の主なプロジェクト」の3点の資料でご紹介させていただきます。

 まず、「平成29年度当初予算案のすがた」です。1ページ目の「一般会計の予算規模」ですが、平成29年度当初予算は、4,778億4,900万円です。前年度の当初予算比では、173億円、3.5%のマイナスです。下欄の棒グラフを見ていただきますと、前年度の当初予算は4,951億円ということで、ここ数年の棒グラフの高さを見ますと、特に高くなっています。その前の平成27年度、平成26年度においては4,700億円台です。平成25年度は4,500億円台まで落ち込んでいますが、これは補正予算に多くの予算が積まれている状況です。平成24年度以降は4,700億円台の規模で推移しています。平成28年度は多少高い当初予算だったため、3.5%の落ち込みです。

 歳入予算、歳出予算の概要を申し上げたいと思います。2ページ目になりますが、「歳入予算の概要」は、主要な一般財源が4年ぶりに35億円の減少です。結果のほうで財政調整基金の取り崩しが出てくるんですが、歳入予算に計上されますので、財政調整基金32億円の取り崩しになって、特定財源と言われます県債などは166億円の減少です。

 その内訳を、3ページ目以降で簡単に見ていただきたいと思います。一般財源の中で大きな部分を占める「県税等」ですが、法人事業税が増収になっているものの、株式等譲渡所得割県民税、配当割県民税などが、ご覧のように落ち込んでいます。また、地方消費税清算金は29億円のマイナスということで、全体で46億円のマイナスになっています。「地方交付税+臨時財政対策債」などがその穴埋めに使われるわけですが、11億円のプラスにとどまっています。「分担金及び負担金」はマイナス、「国庫支出金」も前年度との関係で11億円のマイナス、繰入金はややプラス、諸収入はその年度の変わり目で事業の減、また宝くじ収入の減などで29億円のマイナス、県債が89億円のマイナスですが、これは平成28年度に完了した事業などがありますので、平成29年度は少し端境期といった状況です。県債については後ほどご紹介しますが、県債残高がかつてないほど減少になりました。これはいいことであり、118億円の減少ということです。また、交付税措置分も30億円の減少となっており、後ほど県債の経年変化についてはご紹介します。

 5ページ目の「歳出予算の概要」ですが、義務的経費と言われる人件費、公債費などは31億円の減、投資的経費も122億円の減、一般施策経費は全体としては減ですが、社会保障関係経費が増加しています。

 その内容を簡単にご紹介します。6ページ目ですが、「人件費」は1,492億円と大きな比重を占めますが、14億円の減少。「公債費」は利子の低下により、16億円の減少。それから投資的経費の中で重要な歳出項目になる「普通建設事業費」は116億円の減少、これは先ほど申し上げました大型プロジェクトの端境期というのが大きな要素だと思います。「災害復旧事業費」は過年度の復旧事業が一段落したことによる減少です。

 次のページですが、「物件費」は減少。「補助費等」ですが、社会保障関係経費などはここに入りますが、1,332億円と大変大きな額となっております。いろんな社会保障経費は増えていますが、再生可能エネルギー等導入推進事業などが減少、また県税収入が減ることによって県税交付金も34億円減る結果、「補助費等」は22億円の減少です。社会保障関係経費は増加していますが、その他の要因で全体としては減少ということです。「貸付金」も、「奈良モデル」推進貸付事業費の見直しによる減少。「繰出金」は11億円のプラスです。

 以上が歳入歳出ですが、財政健全化に向けた取り組みは引き続き行います。8ページ目の「財政健全化に向けた主な取り組み」に記載のとおり、「(仮称)奈良県行政経営改革推進プログラム」を3年間の計画として実行していきたいと思います。「県税の徴収強化」の面では、先般、税制調査会において発表した地方消費税の清算基準の抜本的見直しが、奈良県にとっては大きなテーマです。それと、県税徴収強化におきましても、市町村と連携した「奈良モデル」を実行していますので、徴税強化に向かいたいと思います。

 9ページ目ですが、「税外収入の確保」については、ここに書いてありますように大変細々とした取り組みですが、引き続き実行いたします。「未収金対策の強化」も手抜かりのないようにしていきたいと思います。「県有資産の有効活用」については、ファシリティマネジメントという観点で、市町村と協働して県有資産を有効利用していただくという取り組みを行っており、記載のとおり旧五條高校、西の京自動車学校跡地などが対象になってきます。

 10ページ目ですが、「財源措置のある有利な県債の活用」は、交付税措置のある県債を中心に活用してきました。後ほど県債の残高についてご紹介申し上げます。「人件費の抑制」について、自主的な給与抑制措置は継続します。人件費に大きく関係する「職員定数の見直し」ですが、知事部局の増減はゼロです。教職員は、児童生徒数の減で97人減ります。それから、「既存事業の見直し」を引き続き実行いたしました。

 次は、11ページ目に「平成29年度当初予算の財政状況」と書いていますが、ここで申し上げたいのは、32億円の要調整額が発生しましたので、財政調整基金の取り崩しにより調整させていただくということです。前年度も22億円の要調整額が発生しましたが、退職手当債という県債の発行で対応いたしました。今年は、財政調整基金が積み上がってきていますので、その取り崩しにより調整を行わせていただきたいと思います。

 13ページ目は、一般会計歳入・歳出(性質別)の内訳、14ページ目は、一般会計歳出(目的別)の内訳です。15ページ目の「県債残高及び県税収入の推移」をお開きください。県債残高が過去10年間このように推移していますが、平成29年度予算の特徴は、県債残高総額が、県政史始まって以来というと大げさな言い方で恐縮ですが、118億円の県債残高減少の予算になっています。平成27年度の決算では約4,000万円県債残高が減少した経緯がありますが、これほど大きな額の県債残高が減るのは初めてです。

 それと、グラフを黄色と青色で分けていますが、黄色のほうは交付税措置のない県債残高を減らす努力をしてきたもので、青色のほうは国が交付税として後追いで県に交付してくれる県債残高ということです。県の借金には間違いありませんが、県にとりましては、青色のほうが増えても、国が肩代わりしてくれるという類いの借金の部分です。県独自の財源で返すべき借金は黄色のほうですが、財政健全化の観点から、これを減らすという努力を行っており、平成20年度から平成29年度の間で約725億円減ってきています。これは大きなことだと思っています。県税収入、自前の収入で返すべき自前の借金が4倍を下回るようにというメルクマールをつくっていましたが、平成25年度から4倍を下回って、今3.4倍になり、県債マネジメントという観点からは健全性を維持できているという状況です。

 16ページ目です。もう一つの調整ツールである「財政調整基金・県債管理基金の残高の推移」ですが、このように過去10年間をご覧いただくと、とりわけ財政調整基金が10年前は81億円でしたが、平成28年度は257億円まで積み上げてきました。来年度は差引き約29億円を取り崩し、要調整額に対応したいと思っています。

 17ページ目ですが、自前の収入である「県税の推移」です。経年変化は上段のとおりですが、下段は「県民1人あたり法人2税・個人県民税・地方消費税の推移」です。1人あたりについては、法人2税・地方消費税の割合が上がってきていることが見てとれます。例えば、平成20年度の3本のグラフですが、真ん中の個人県民税が突き抜けており、だんだんその支えである両方のグラフが伸びてきて、平成29年度では3本の支え、3本柱のような雰囲気になってきています。法人2税・地方消費税の割合が1人あたりに換算すると増えてきているということです。これは、個人住民税に特化していた奈良県の税源を、なるべく経済、法人の収入、また消費税による収入に変えようと心がけてきた結果が、このような形で表れたのだと思います。増税や国の税制の変更があったおかげという面もありますが、税制、税収構造がこのようになることは、奈良県にとってバランスがとれていい方向だと思っています。

 18ページ目は将来のことですが、平成29年度は要調整額32億円の処理ができましたが、平成30年度以降も要調整額が発生する見込みであり、いろいろな工夫をして、将来、要調整額が必要にならないように努力をし、財政規律を引き続きしっかりと守っていきたいと思っています。

 次は、「平成29年度予算案の主な取組」という資料でご説明をさせていただきます。1ページ目を開いていただきますと、「平成29年度予算編成にあたっての考え方」ということで、従来からこのような考え方で示していますが、とりわけ丸の3つ目は、先ほど財政規律のことについて申し上げましたが、「持続可能な財政運営の維持」という言葉で記載しています。財政規律は大事ですので、その維持と「必要な施策の実現」を両輪で行いたいと思います。幸い、県債残高の管理については、財政運営が健全ですので、必要な施策を用心しながら将来の財政に傷つかないように運営していきたいということです。

 どのような分野かというのが2ページ目に記載していますが、「経済の活性化」と、「くらしの向上」の2つにしたいと思います。「経済の活性化」は、とりわけ奈良のように税収が弱いところは、経済を活性化して税収を上げて、将来の財政が崩れないようにするという大前提があるわけですので、徐々にですが、経済の活性化を目指した成果が出ており、税収の成果に反映できるように願っています。

 「くらしの向上」は、いろんな分野で、その都度ごとに知恵と工夫を重ねている分野です。また、奈良県において「南部地域・東部地域の振興」は、地域政策として大事な項目です。さらに、基本的な考え方で、インフラ、基盤整備と、「奈良モデル」と言われる奈良独特の取り組みで、市町村との協働を行政運営の中心的な考え方にして取り組んでいきたいと思います。「住んで良し」「働いて良し」「訪れて良し」を目標にする考え方に変わりはありません。

 3ページ目から、具体的な項目を若干ご紹介申し上げたいと思います。「産業構造の改革」と言われる経済活性化の第1番目の柱ですが、県でできる大きなことは、国内外への販路拡大です。いろんなことを手がけていますが、来年度も引き続き行いたいと思っています。

 それから、奈良県は中小企業が多いわけですが、中小企業でも起業していただいて、グローバルニッチトップを目指す企業が増えるようにしたいということで、いろんな取り組みを続けてきています。

 4ページ目ですが、「企業誘致」が過去10年間で大変な成果が上がってきましたが、やはり人気が出ている地域になって引き合いが続いており、工業ゾーンがまだ足りないということです。京奈和自動車道周辺、また京奈和自動車道の南側が開通しますので、御所市、五條市周辺の土地について、工業ゾーン造成などを実行していきたいと思います。

 企業誘致の項目で上がっていますが、仕事と子育ての両立、とりわけ女性支援ということで、企業支援にも取り組みたいと思います。

 「消費地奈良の魅力向上」という項目に書いていますが、「ホテルを核とした賑わいと交流の拠点整備」については、平成29年度からいよいよ工事が本格化する時期を迎えます。後ほど資料でご説明申し上げます。

 企業に効率を上げていただくための支援措置をいろいろと実行しています。また、奈良県独自の取り組みとして、「漢方のメッカ推進プロジェクトの推進」を過去3年、4年と続けていますが、生薬の生産などが軌道に乗ってきているということです。

 5ページ目ですが、経済活性化の中の「県内就業の促進」です。働き方改革を標榜していますが、まず就職支援、マッチングの面で、女性・若者・障害者・離職者などに焦点を当てた県独自の取り組みを進めていきたいと思います。それから、学と職との接続を強化していくため、「実学教育の充実」の中で、インターンシップの拡大を重点化していきたいと思います。それから、スキルアップは従来から行っていますが、県の高等技術専門校の訓練科目を広げていきたいと思っています。「働き方改善の促進」については、昨日も「働き方改善シンポジウム」を実施しましたが、今、経済的に大変閉塞感のある日本経済の出口は、働き方改革にあると思って、働き方改革を実行していきたいと思います。

 6ページ目からは「観光の振興」ですが、まず従来から進めていて効果が出てきている「誘客プロモーションの充実」です。首都圏を中心としたプロモーションの中で、来年度からは興福寺の中金堂落慶をテーマにした観光プロモーションを進めていきたいと思います。海外からのインバウンドも増えてきて、奈良がだんだん知られるようになってきていますが、引き続き海外への情報発信に取り組みたいと思います。

 県内の「巡る奈良」というテーマとして、JRが実施しているデスティネーションキャンペーンを見習い、「県内版デスティネーションキャンペーン」を実行したいと思います。天川村などを最初のデスティネーションにしていきたいと思います。「バス運賃キャッシュバックキャンペーン」も大変効果がありましたので、冬期に限りますが、引き続き実施していきたいと思います。

 7ページ目ですが、「観光振興」の項目での新しい取り組みとして、「国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭」を全国で初めて一体開催しますが、9月2日にオープニングが始まります。また、「平城宮跡にぎわいイベント」は、春・夏・秋・冬とそろえるように努力してきましたが、去年4つの季節のイベントがそろいました。だんだんと平城宮跡をにぎわいの一つの舞台にするという雰囲気になってきています。奈良公園におきましても、「なら瑠璃絵」、「なら燈花会」など、奈良公園を中心としたにぎわいイベントを、県民のイニシアチブで行われてきていますので、引き続きご支援申し上げたいと思います。「ムジークフェストなら」は、奈良県庁イニシアチブの取り組みですが、大変なじみになってきました。「馬見丘陵公園イベント」は、花をテーマに実施しており、こちらも盛り上がってきていますので、引き続き実行していきたいと思います。

 「おもてなし力の向上」は、奈良で一番不足しているテーマですが、いろんな面で努力を重ねていますので、おもてなし力が向上することを切に期待しています。

 また、「自転車ルート整備」にも引き続き取り組みます。

 8ページ目になりますが、「大宮通りプロジェクトの推進」として掲げていたいろんな項目の姿が見えてきました。1つ目の「平城宮跡周辺の魅力向上」は、平城宮跡の朱雀大路西側地区と呼ばれるものが、平成29年度中に完成という時点まできました。「平城宮跡周辺の街路渋滞対策」についても、やはりこの際実行していきたいと思います。それから、「ホテルを核とした賑わいと交流の拠点整備」は、県営プール跡地の活用です。だんだんと形が見えてきました。奈良公園の周辺におきましても、周辺環境を維持しながら、さらにアメニティを充実させる「奈良公園及びその周辺の魅力向上」という取り組みに向かいたいと思います。「奈良公園移動環境の整備」につきましては、「(仮称)登大路バスターミナル」の整地が進んでいますが、建設に向けて予算をお願いしたいと思っています。

 9ページ目は「農・畜産・水産業の振興」です。TPPの成立は流れそうですが、国際化路線は必要です。「国内外への販路拡大」については、だんだんとブランド力が上がってきていますので、引き続き実行したいと思います。農に関連して、6次産業化で食に結びつけるということでNAFICを整備してきました。NAFICは大変人気がありますが、もう少し幅広く周辺を利用していただけるよう、NAFICを核にした周辺整備のアイデアを広げて実行させていただきたいと思っています。国の地方創生の交付金の対象にもなっています。農の「ブランド化の推進」は引き続き実行していきたいと思いますし、「担い手対策」は最重要課題です。

 10ページ目ですが、「林業・木材産業の振興」について、引き続き「県産材の安定供給と加工・流通拡大」について取り組みたいと思います。県ができる首都圏または外国への販路拡大は、割と効果的でした。

 また、「森林環境管理制度の導入」については、スイスとのお付き合いが始まりましたので、スイスを見習った森林環境管理制度を導入すべく、来年度予算を計上し、進めさせていただきたいと思っています。

 11ページ目は「健康づくりの推進」です。「健康長寿プロジェクトの推進」を行っていきたいと思います。また、「がん検診の推進」も行いたいと思います。

 それから、「地域医療・介護・福祉の取組の推進」の、「地域医療の確保・充実」の中にはいろいろとありますが、「新奈良県総合医療センター」が平成30年の春に開院します。また、そのアクセス道路の整備も進んでいます。この予算が200億円という大きな予算になっています。ドクターヘリが平成29年3月に運航開始しますが、その予算も計上しています。

 12ページ目の「地域医療提供体制の構築」が大きなテーマです。その中の新しいものとして、「(仮称)医療安全推進センターの設置・運営支援」を行いたいと思います。

 それから、「地域包括ケアの構築」がこれからの大きなテーマですが、まちづくりと深い関係がありますので、医大周辺、平松町の県立病院跡地のまちづくりに県として主体的に取り組みたいと思います。また、そのほかの地域包括ケアは、関係者と連携強化を図りながら取り組んでいきたいと思っています。

 13ページ目の「福祉の充実」ですが、「福祉・介護人材の確保」、また「障害者支援の充実」については、奈良県の障害者雇用率が日本一になりましたが、民間の方の大変小まめな努力の結果だと思います。県としましては障害者支援の中で、移動支援を新しい項目として手がけたいと思っています。

 それから、国民健康保険の県単位化が、平成29年度の大きなテーマですので、それに向けた経費をお願いしています。

 14ページ目「少子化対策・女性の活躍促進」ですが、「子育て支援」、「児童虐待対策等の充実」、「女性の活躍促進」についてお願いしたいと思います。

 15ページ目は「学びの支援」です。「教育力の充実」にはいろんなテーマがありますが、「奈良県教育振興大綱」をつくることができましたので、奈良県独自の「奈良県教育サミット」を中心に、その実行を図っていきたいと思っています。

 それから、「県立学校の教育環境の充実」の中で、空調設備などが不足しているという声が従来からありましたが、学校の耐震化工事の目途がついてきましたので、空調整備にも取りかかっていきたいと思っています。

 「私学の振興」は、私学の自主性を重んじるという方向での補助金の充実に努めてきましたが、全体としてこのような額を引き続き計上していきたいと思います。

 「文化の振興」は、先ほど「観光の振興」でご紹介申し上げたものと重複しますが、奈良県独自の「歴史文化資源の活用」という項目で、奈良の仏像を、フランス・パリのギメ東洋美術館とイギリス・ロンドンの大英博物館に、オリンピック協賛という意味を兼ねて展示を行う、その開催準備の予算を計上しています。それから、オリンピックイヤーの次の年に、没後1400年を迎える聖徳太子を顕彰する、「聖徳太子プロジェクトの推進」についても予算を計上しています。

 それから、「(仮称)奈良県国際芸術家村の整備」は、このような文化振興の一環になりますが、地方創生拠点整備交付金の配分がありましたので、2月補正での予算化を行い、いよいよ施設の整備を図っていきたいと思っています。

 17ページ目の「スポーツの振興」では、従来からの「スポーツイベントの充実」は引き続き予算を計上していきたいと思います。これから行われます「関西ワールドマスターズゲームズ2021」の開催準備についても、県内市町村で開催予定ですので実行していきたいと思います。

 「スポーツを楽しめる環境整備」の中で、「自転車ルート整備」については独自の取組で、「京奈和自転車道」という名称で整備を行いたいと思います。後ほど資料でご説明を申し上げます。

 「安全・安心の確保」ですが、先日「大和川流域総合治水対策協議会」を開催しましたが、大和川流域の総合治水対策については、条例化も含めて実行していきたいと思います。基盤整備に関わりますので、32億円の予算を計上しています。

 それから、19ページ目は「景観・環境の保全と創造」、「エネルギー政策の推進」です。「きれいでくらしやすい生活環境の創造」では、「ごみ処理広域化奈良モデルの推進」ということで取りかかっていますが、具体的なプロジェクトが幾つか出てきています。市町村の財政が大いに助かるプロジェクトだと思います。

 20ページ目は、「くらしやすいまちづくり」ですが、市町村とのまちづくり協定が進んでおり、まちづくりの具体的な案が幾つも出てきています。時間はかかりますが、今取り組まないと、まちづくりは一気にできるものではありませんので、県民との対話を大事にし、各地域の事情に合わせた取り組みを着実に推進していきたいと思います。

 「くらしを支える公共交通の確保」の中で、奈良交通(株)との連携協定に基づきバスロケーションシステムを全面的に整備する取り組みを行いたいと思っています。国の交付金が3分の1出るプロジェクトになります。

 それから、21ページ目ですが、「南部地域・東部地域の振興」で、いろんなプロモーションの仕組み、仕掛けがだんだんと目立ってきており、南部地域を訪れる方も増えてきました。引き続き予算をいただいて、まず、南部・東部を訪れてもらえる地域にし、交流人口が増えるようにしていきたいと思います。また、まちづくりの協定も、十津川村、川上村から提案がありますが、地域でコンパクトに住めるまちづくりにも協力していきたいと思っています。

 最後に22ページ目の「効率的・効果的な基盤整備」です。インフラ整備はその都度大きなプロジェクトが一段落するのですが、その繰り返しということになりますので、大変大きな額ですが、予算計上してインフラ整備を続けたいと思います。「協働の推進及び市町村への支援」については、奈良県では協働の推進と「奈良モデル」による市町村との連携が大きな柱になっています。市町村との連携は、まちづくりのみならず、県域水道、ごみ処理広域化、またファシリティマネジメントといった部分で着実に進んでいますので、具体的な成果がこれから出てくると思います。

 その次に、「平成29年度の主なプロジェクト」をご紹介申し上げたいと思います。

 1ページ目ですが、「仕事と子育ての両立を推進する企業への支援」ということで、企業主導型保育事業が国ではじまりました。従業員のための「従業員枠」の保育所が基本ですが、「地域枠」を設けることも可能となっています。その負担は、他の保育事業を害さないように利用者負担相当額が決められていますが、事業主による軽減も認められています。この事業を推進する意味で、事業主負担をされる場合は県が2分の1を負担するという取り組みを開始したいと思います。

 2ページ目の県営プール跡地、大宮通りの「ホテルを核とした賑わいと交流の拠点整備」です。NHK奈良放送局が放送会館の発注業者を決められたようですが、奈良県が整備する施設の発注業者は決まっており、予算がいよいよ本格化します。平成29年度、平成30年度、31年度が大きな予算になります。このスケジュールに書いてありますように、平成31年度末の完成を目標に予算を用意していきたいと思っています。

 それから、3ページ目の「国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭」の予算です。5億円ほどの予算をお願いしたいと思っています。国の補助の裏打ちもあります。

 4ページ目の「平城宮跡にぎわいイベント」では、平城宮跡の春・夏・秋・冬のイベントがそろってきましたので、来年度は、全体として3億5,000万円の県予算でお願いをしていきたいと思います。

 5ページ目の「平城宮跡周辺の魅力向上」では、今、平城宮跡の朱雀門前西側地区の造成工事を行っていますが、間もなく建築工事が始まります。平成29年度中に完成をすべく、実行に取りかかっています。また、阿倍仲麻呂遣唐1300年の年にもなりますので、「阿倍仲麻呂“遣唐”1300年記念プロジェクト」関連のイベントを、この場で行いたいと思っています。

 6ページ目は、「奈良公園及びその周辺の魅力向上」のいろんな項目を載せています。7ページ目では、吉城園周辺地区の整備」を記載していますが、新しい取り組みが開始されてきており、県有地である吉城園と知事公舎を、奈良の文化に触れることができる品格の高い空間づくりということで、文化庁の許可もいただきながら、事業者の公募をしています。本年3月下旬にも優先交渉権者を決めて基本協定を締結し、6月に文化庁に現状変更許可をもらえば、オリンピックイヤーまでに開業ができるという取り組みです。

 同じく、8ページ目の「高畑町周辺地区の整備」です。ある方のお屋敷になっていた保養地ですが、それが裁判官の官舎になるなどの変遷を経て、現在は県有地になっています。従来からある公園ゾーンを残して、前面の奈良公園、浮見堂周辺の公園とあわせて交流ができ、またアメニティがあるゾーンに整備します。宿泊ゾーンは後ろにつくりますが、公園の中の敷地ですので、高い建物は建ちません。せいぜい2階建ての建物しか建たない地域です。本年4月上旬に優先交渉権者を決めて基本協定を締結して、6月に文化庁に現状変更許可をもらいたいと思っています。

 9ページ目の「奈良公園移動環境の整備」の一環として、「(仮称)登大路バスターミナルの整備」に関する予算となっています。平成29年度予算は2億2,400万円の交通対策事業と、13億円のバスターミナルの整備に関する予算です。ターミナルの全体事業費は47億円になっています。債務負担行為が21億円ついて、この予算をお願いしたいと思っています。

 10ページ目の「NAFIC周辺施設の充実」ですが、図面ではNAFICがA、B、Cの各施設の真ん中にあります。AもBもCもそれぞれ段差はありますが、活用できる地域ですので、Aについては「農と林の直売所」、Bについては「NAFICセミナーハウス」、Cは「漢方・薬草をテーマとした集客施設」というコンセプトで予算をお願いしています。補正予算では、セミナーハウスの整備の予算を計上しています。A、Cについては、基本構想の策定になります。Bの「NAFICセミナーハウス」は、都市住民の方が来られて交流事業、またNAFICと連携したセミナー事業、またゲストハウス、シェアハウスを利用して、NAFIC学生の宿泊所、また夜間学習所、またその施設を他の訪問者に泊まってもらうといった、多角的な運営を念頭に置いた交流施設をつくらせていただきたいと思っています。

 11ページ目は「新奈良県総合医療センターの整備、アクセス道路等の整備」です。新奈良県総合医療センターの整備に取りかかっていましたが、いよいよ平成30年春に開院します。平成29年度予算としては、最終的な予算である200億円を計上させていただいています。また、関連するインフラ、とりわけ道路の整備として、「城廻り線」、「石木城線」などの整備を完成させていきたいと思っています。

 12ページ目の「社会保障関係経費の状況」ですが、社会保障関係経費として、平成29年度は985億円の計上です。対前年度23億円の増加で、ほとんど一般財源での拠出になります。そのうち、「社会福祉」は328億円で、その中身は、障害者福祉、高齢者福祉、児童福祉、母子福祉、生活保護の5項目になります。

 13ページ目の「社会保険」ですが、介護保険、国民健康保険、後期高齢者医療の保険には県の負担があり、451億円の予算になっており、16億円の増です。

 「保健衛生」の医療、病院、疾病予防対策、医療提供体制確保ですが、206億円の予算です。昨年に比べますと8億円ほどの減、医療提供体制の整備が一段落して端境期となっています。

 14ページ目の「(仮称)奈良県国際芸術家村の整備」ですが、「(仮称)国際芸術家村」の整備に本格的に取りかかりたいと思っています。イメージ図にあるように、伝統工芸施設、農村交流施設、情報提供施設(道の駅)、屋外体験施設などとなっています。

 15ページ目の「自転車ルート整備」ですが、これまで自転車ルートの整備を検討してきましたが、ルートが決まりましたので、その整備に向けた予算の計上です。「京奈和自転車道」と言っていますが、京都の嵐山から和歌山港まで180キロメートルぐらいあり、その中心部分になる奈良県部分が75キロメートルあります。木津川のような堰堤を利用することはなかなか難しいので、一部河川の堤防を利用しますが、奈良県独自の自転車道の整備ということになります。また、これと関連して「農村周遊自転車ルート」の整備も行いたいと思います。奈良の平地は大変走りやすいので、このような自転車道の整備により、観光振興にも役立てていきたいと思っています。

 16ページ目の「連携協定を締結した市町村の取組への支援」ですが、「奈良モデル」の一つとして提携をしてまちづくりを進めようと協定が結ばれてきています。具体的な個別協定まで進むように努力をしていますが、平成29年度は、この市町村との連携によるまちづくりに4億8,400万円の予算を計上させていただいています。長期的な取り組みになりますが、将来、県の支援が大きくなる可能性があり、効果が期待される取り組みです。

 「平成29年度の主なプロジェクト」として以上ご紹介させていただきました。

 私からの説明は、以上になります。ありがとうございました。

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案件:平成29年度奈良県当初予算案について

総務部長:
 続きまして、私のほうから、平成28年度2月の補正予算案の概要について、1枚紙に基づいてご説明させていただきます。

 既にご説明させていただいた内容の中から、2月補正予算の概要を示した形になります。補正予算の規模になりますが、補正予算額は19億5,200万円になります。補正後の総予算額が5,115億7,200万円になります。

 主な事業内容ですが、2つの柱がありまして、平成28年度の国の2次補正予算で措置されました地方創生拠点整備交付金を活用した事業と、また、国の補正予算等を活用したその他の事業という2本柱となっています。地方創生拠点整備交付金の活用については、さらに(1)、(2)に分かれまして、(1)は「(仮称)奈良県国際芸術家村整備事業」、(2)は「NAFICを核とした奈良の食の魅力創造拠点整備事業」になります。この地方創生の交付金は、拠点整備に加えまして、周辺的なソフト事業についても交付していただける交付金ですので、ハード事業にあわせてソフト事業も盛り込んでいます。

 (1)の「(仮称)奈良県国際芸術家村整備事業」ですが、国際芸術家村の整備、それから民間ホテル事業誘致というようなコアな事業に加えまして、文化振興、伝統工芸という観点から、記紀・万葉プロジェクト、文化資源の収集整理・活用推進、あるいは奈良の伝統工芸等の魅力発信といった整備を上げさせていただいています。(2)の「NAFICを核とした奈良の食の魅力創造拠点整備事業」についても同様でして、セミナーハウスの整備や基本構想策定等を行いまして、プレミアムセレクト販売あるいはブランド認証制度、マルシェ開催に対する支援、新規就農希望者に対する研修なども実施させていただきます。

 2番目の柱につきましては、介護や、農業、あるいは子育て支援に関する補正予算を計上する予定で、離職介護人材に対する再就職準備金の貸付原資の積み増しや、みつえ高原牧場の牧さく整備あるいは結婚応援のさまざまな取り組み、安心こども基金の積み増しについて計上させていただいたところです。

 私からの説明は、以上です。

司会:
 ありがとうございました。
 それでは、これより記者の皆様からの質問をお受けさせていただきます。質問される方にはマイクをお渡ししますので、挙手をお願いいたします。

 それでは、よろしくお願いいたします。

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質疑応答

平成29年度当初予算案の性格と新年度に対する意気込みについて

奈良テレビ:
 まず、新年度予算を簡単に言い表しますと、どのような表現で言うことができるのか、それが1問目です。

 それから、2問目ですが、厳しい財政運営の中、今回の予算を踏まえて、新年度に向けた知事の思いや意気込みをお願いできたらと思います。

知事:
 そうですね、予算の性格ということになりますが、予算の総額が減ったということも性格の一つです。国の予算は、それぞれの政権がその時期に向ける思いがこもった予算になるケースがあります。経済活性化や国全体の大きなマターがあるので、国の予算でしかできない事項があります。各県の地域の予算の性格づけというのは、その都度の知恵と工夫によるので、経済の中で製造業が大きな割合を占めている地域は、円安になると輸出が伸び、地域が発展して雇用も確保できるということが起こりますが、そうでない地域もあります。その地域の生活を悔やんだり喜んだりしても仕方がないので、地域のその時の実情に応じて予算を実行することが各県の予算だと思います。

 各県の実情あるいは置かれた地位というのは、よく見ると本当に違っています。隣の県とも随分違ってくるということも普通です。こちらで大事だと思っていても、隣の県はそんなことはもう済んだよと涼しい顔をされることもあります。この10年間県政を担っていますが、奈良県はとても遅れたところが多い。こう言うと少し悲観的になりますが、遅れたことが多いと思って県政に取り組んできました。例えば医療ですが、知事就任の月に、医療がとても弱いということを痛切に感じたので、10年かかって医療体制の整備を進めてきて、私個人から見ると、医療の提供については集大成の時期を迎えたというような思いです。

 また、奈良県は経済が遅れていて、ベッドタウンでしたので、GDPや稼ぎを表す県民所得の中心が住民税で、それを中心に財政運営を行っているという県です。その基本的なところはまだ変わりませんが、脱ベッドタウンと言ってもう7~8年になりますが、先ほどご説明した県民1人あたりの県税収入で見ると、県民税一本足打法ではなく、三本足でしっかり立てるような雰囲気が出てきました。GDPに象徴される生産と消費が税制の方にも多少反映し、そのような雰囲気が出てきたということです。国の税制改革の影響は大きく、国にも助けてもらい税収も多くなってきたところです。メタボ指標を見て、遅れているところをリフトアップしようということでやってきました。奈良県の遅れているところは何かということを、今もサーチライト方式で探して取り組んでいますが、最近目につくのは、働き方や、教育振興です。他県との比較になりますが、住まいの方は割と良いのですが、絶対的なレベルではありません。それともう一つ、遅れていたと思っているのは、おもてなし力、観光振興の「訪れて良し」の分野です。やはり宿泊施設が全国一少ないということに象徴されるように、観光地としての奈良県は、観光産業が立派な観光地とは言えない、観光資源のある観光地にすぎないと揶揄されてきたことは悔しく思っていましたが、宿泊施設の整備も形が少し見えてきました。

 すなわち、長い目で見れば10年、あるいはここ数年をとってみて、そのような形が見えてきた時期での予算ということになります。来年度に限ってという性格づけはなかなか思いつきませんし、私の主観的な見方になるかもしれませんが、奈良の色々な芽が吹き出してきて、バラエティのある予算になってきているように思います。

 各地域の事情があって、それを克服するように各知事が努力されますが、奈良県の場合は翻ってみれば、医療が弱かった、観光の基盤が弱かった、道路も弱かった。しかし、道路が弱かったので、それをだんだん整備していくと工場立地がよくなってきた。この方向づけで走ればいいのではないかという想定というか判断のもとで、さらに力強く進めたいと思います。医療のほうは10年間取り組んでいるので大分完成してきました。企業誘致や経済でも、企業誘致の面で大分良くなってきましたが、これからも進めていき、工業ゾーンを造ります。まだ、おもてなし力が不足しており、ハード面でも施設が少ない。気持ちのサービス度も、まだあまり良い評判をとるまでにはなってない。

 そして、食について、「うまいものなし」と言われていることを回復するために、うまいものが食べられるというブランド力を観光においてその実行力を上げようと思います。地域ブランドを上げるために経済活性化という路線を歩んできましたが、農業については、まだ量的には大変少ないのですが、その努力について効果があるというところまで確認ができるようになってきました。一言で言えないのは申しわけありませんが、今申し上げましたような感じを持ちます。もう少し、さらに力強く進めさせていただければ、とてもいい姿が目に見えてくるように思います。

奈良テレビ:
 ありがとうございました。

知事:
 財政との関係ですが、財政を気にしながらもちろん投資をする。今申し上げた将来の投資をしていこうということです。奈良は、医療、産業、観光など色々な分野において、将来への投資の力が弱かったように思います。しかし、投資財源の捻出として国の予算をなるべく使わないといけない。他県にはあまりないと思いますが、県債残高の中に占める自前財源で返済すべき県債残高を減らすということで、10年間で700億円も減ったことは嬉しいことです。このように成果を見てみると喜ばしい。この傾向が続けばいいなと、いい兆しだなと思いますが、118億円も県債残高が減るということは、財政規律の面からも、今までの努力の面からも大変嬉しいことです。自前で返す借金を減らすという目標は、やはり良かったのかなと思います。

奈良テレビ:
 ありがとうございます。

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奈良県財政の今後の見通しと平成29年度新規事業について

朝日新聞:
 今回、県債残高が減ったということなんですけれども、他方で財政調整基金を取り崩すような形になっていると思います。将来見通しでも、要調整額が増えることになっていますが、県では、今後具体的にどのように取り組もうと思っているのか、また、何か見通しなどがあればお伺いしたい。もう1点、今回、新規事業としては、前年度と比べて少し減っているという印象があるのですが、そのあたりはどういうことでしょうか。例えば、大型プロジェクトの取り組みにより新規の取り組みが減ったということでしょうか。

知事:
 財政につきまして、やはり県債残高というのはとても大きなものです。将来負担の中心が県債残高ですので、県債残高を減らすということが大きな目標でした。その関係で、将来の要調整額がいつもこのように増える傾向があります。用心して出しているという面もありますが、脅しているのではなく、県の財政は国の財政支援があるととても良くなります。その中で色々と泳ぐのが地方の財政です。今のこの見通しが、この通りになることは願っていません。

 私が知事就任の際は、将来見通しはもっと暗かった。これはすごいことになると思って10年前取り組んだ記憶があります。しかし、現実には色々な努力を重ねて、先ほどの財政調整基金も10年前は81億円で、将来見通しとして何百億円の要調整額が発生すると財政課に脅された。このとおりになると大変だぞと。主観的かもしれませんが、私の10年間の経験ではそのように思います。放っておいたらという意味は、国からの財政支援もなく、県の努力もなかったら、こうなる可能性もあるということなのだと受け取っています。

 10年前の見通しというのは大変暗かったわけですが、色々な事業を行い、かつ、このように財政調整基金が積み上がってきているということも、あわせて財政の状況として見ていただきたい。バランスのとれた見方をしていただくようお願い申し上げたいと思います。

 それと、新規事業の数は、計算の仕方は色々あると思いますが、当初予算の計上で新規事業が平成28年度当初予算では360件でした。平成29年度は272件です。件数としては88件減っています。当初の予算計上で出るような予算と、当初は少ないけれども3年後に大きく出るような大型プロジェクトの両方がありますので、額としてそのように見るとなかなか比較はできませんが、昨年度の当初予算計上は360件で、157億円の予算でした。平成29年度は272件で、24億円の予算額です。これも最初に出るものと後に出るものということで、あまり単純な比較は出来ないと思います。客観的な指標がとても必要かと思いますが、エビデンスとしてはそういうことです。

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平成29年度当初予算案の端的な呼び方・今後の奈良県施策の目標・子育て支援等新規事業

奈良新聞:
前年度予算は、端的に言うと何型予算なのか。もう一つ、3本の財政の柱の形があって、知事が目標としているスキームはどういったものがあって、目標の形がどういったものなのかということと、あともう1点、「平成29年度の主なプロジェクト」の中で「仕事と子育ての両立を推進する企業への支援」が新しい発想で出てきていますが、既に企業でそういった取り組みを行おうとしているものがあるのか、そのもくろみを教えて下さい。

知事:
 毎年、県の予算を一言で表現すればと聞かれるので、考えなくてはいけないとは思っていたのですが、少し油断をして用意していませんでした。なかなか表すことができないというのが正直なところです。といいますのは、国は国会で論戦があり、県も県議会で、これを中心にやるよと大きな焦点を絞って論戦がある。ほかもたくさんあるが、国はこれをやるよということを主張してされるのが中心。県は、それだけやっていたらいいのか。もちろん国のほうは、それだけをやっているわけではないが、県のほうは、色々なことをしなければいけない予算項目ですので、抜かりのないようにというのが一番大事なことでもあろうかと思います。しかし、抜かりなくやっている予算といっても、毎年そういうことになりますので、一言フレーズにもならないんですが。

 それと、子育て支援についてですが、世の中がそういった方向に動いているから県もそのような予算をつけ出したという見方も割とあるのですが、それだけでもないんです。奈良独自の取り組みというのはやはり事情に応じてやりたいと思います。独自の取り組みとして典型的なものは「奈良モデル」という取り組みなので、予算額は少ないが、協働による「奈良モデル」の取り組みを、まちづくりでも水道でも進めてきているというのが特徴です。

 地方創生という言葉自身が、地方での創生、自分で考えてやりなさいということです。国は、これをやるから応援するという縦の予算ですが、地方創生で考えた予算には交付金をつけるということです。「(仮称)奈良県国際芸術家村」でも、県がオリジナルで色々考えたものには、国も交付金をつけるという予算のパターンが出てきています。これは新しい傾向だと思います。地方創生は知恵と工夫で行って、奈良はこのようにやるんだということを言って取れる予算があるということです。今までは道路をこのように作るから交付金をつけるということでしたが、補助金と違う交付金という予算が出てきて、10年ほど前にはバラエティのあるものは交付税でやる、交付金と認めないと、総務省と国土交通省の大きな政治の争いがありました。交付金が認められて、使い勝手がいいのでやはり交付金に対する予算の希望が多いのです。

 そのときに知事をやっていれば、交付金をたくさん使えたのにと思いますが、交付税は基本的な財源の必要性を計算しておりてくる予算なので、今は交付金が随分人気の的になっています。奈良県は県税収入が1,000億円ぐらいしかなく、借金の返済も合わせて先ほどの4,700億円の予算規模になるので、国の交付税、交付金、補助金が欠かせないわけです。県債も発行して辻褄を合わせますが、その返済は交付税で支払ってもらえるのが63%もあるという財政事情です。税金を上げたり下げたりといった国の権能とは全く違いますので、なかなか一言では言えません。その中で子育て支援という例を挙げられましたが、色々なことをしていると効果があるような実感があります。

 例えば出生率のアップは、こうしたからこうなる、こうするから税金を上げるという国の予算とは違い、出生率のアップのために色々なことをしてきて、全国のランクでは低いが、アップ率が全国平均の倍だったというのが平成27年度の統計です。とても嬉しい統計結果だと思います。どうしてなのかと思いますが、あれやこれやした結果かもしれないので、あれもこれもする予算を日ごろから心がけ、あれもこれもしていると色々な面で当たってくる。先ほど申し上げたように、色々なことをして当たってきていることが多い。障害者雇用率や、企業の誘致件数など色々な努力が当たってきており、そういう努力をするほうが地方創生らしいのではないかと考えています。

 何か大きな目玉、リーディングプロジェクトというわけではありません。宿泊施設が少ないので、やはりアメニティ度の高い宿泊施設がないとインバウンドのお客さんが通り過ぎていくというのが奈良の実情です。それを回復するために、少しでもアメニティ度の高い宿泊施設をつくると、それ自身が大変なブランド力になり、宿泊施設全体としては、ここ5年で1,000室ぐらい増えています。奈良県は地域ブランド力を上げるということで、宿泊施設の民間投資が進むという傾向が出ています。

 それから、「仕事と子育ての両立を推進する企業への支援」も新規事業ですが、色々な子育て支援の取り組みを行う中での、さらに追加した新しい試みだとご理解いただきたいと思います。国の予算、交付金でも、新しい試みをいつもしようと言っています。私の言葉で「舳先論」と言っていますが、いつも舳先に立つか艫に立つかで、全然その進み方が違う。舳先に立っていると、船がどんどん押せ押せになる。トップランナー、トップグループで予算の実行ができるということです。

 奈良県は艫に立ったり、場合によっては艫から落ちて船を追いかけるような立場で、40位理論というものがかつてあったようです。40位を過ぎないとなかなか県は動かないと揶揄されていた面もあるので、そんなことはやめて、トップテン、トップファイブに取りかかろうと言いました。地方創生はトップグループでというのが標語です。色々な新しい取り組みについては、様々な揶揄が県内からもありますが、やはり取りかかると効果があるということが実感できます。取りかかって効果があるとその揶揄がおさまるということが、過去10年間での実感です。やはり取りかからせていただきたいというのが私の実感です。気持ちの面ですが、財政規律を守りながら、新しい取り組みを積極的にやりたい予算というのが、主観的な表現です。

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平成29年度当初予算案の規模について

時事通信:
 当初予算の額が例年より若干小さいと思うのですが、今後補正予算で少し大きな額が出る予定があるということで小さくなっているのでしょうか。

知事:
 平成29年度の補正予算は見通しがつきませんし、今の時点ではあまり期待もできないと思っています。国の補正予算が出そうだから抑えたということではありません。むしろ過去数年の間には、経済対策という意味で補正予算が出るかもしれないと思ったときでも抑えたということはありませんが、補正予算を活用しようと思って用意をしたことはあります。これは国の補正予算の取り方ですが、お金が出てから考えても遅いので、お金が出たらそれを噛めるように、「顎力(がくりょく)」と言っていますけれども、顎の力を強化して、袋だけはたくさん持っていようと思っています。補正予算でも当初予算でも、袋をたくさん持とうと、奈良の県政、財政の見込みを転換してきました。

 今はたくさん袋ができて、お金があれば行いたいというプロジェクトがたくさん出てきています。今まではお金が出たら考えるという雰囲気があったが、お金が出る前に色々考えておいて、お金が出たら実行しようといった予算の取り組みをしてきましたので、ここ数年で随分そのプロジェクト在庫が貯まってきています。その棚卸ができれば嬉しいと思いますが、これは財政を壊して行うべきではないので、財政事情を見ながら慎重に進めたいと思うプロジェクトです。しかし、そのようなプロジェクトを行うことができれば、必ず奈良県がいいことになるといったプロジェクトが幾つもあります。

 当初予算をわざわざ減らしたということではなく、各県とも調べてみますと、当初予算減の府県が結構多いように聞いています。国から来る色々なお金や、その地域の実情、昨今の実情を見ますと、当初予算をわずかでも減らされている県の数は多いように見受けられます。

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平成29年度当初予算案のキャッチフレーズ・予算編成の際に我慢あるいは力を入れた部分・県政発展に資する成果への意気込み

NHK:
 先ほど、この予算の性格づけの中で、財政規律を守りながら新しい取り組みを積極的に行う予算とおっしゃいましたが、それを端的に何のためにやるのかということを、例えば未来への投資などといった一言キャッチフレーズを教えていただきたいと思います。

 端境期で大型事業がないというお話もありましたが、知事が本当はやりたいがやれていない、この予算に関して我慢や控えたということがあるならお伺いしたい。

 もう一つが、力を入れたこととして、今回は「経済の活性化」と「くらしの向上」の2本柱ですが、それは知事が従来からおっしゃっている、「住んで良し」「働いて良し」「訪れて良し」という3つに置き換えたときに、どの項目に一番力を入れたいとお考えでしょうか。

 最後に、この予算の取り組みを冒頭の言葉のところで、今後の経済情勢や少子高齢化を踏まえると、県政発展に資する各分野で目に見える成果が求められると書いてありますが、こういうふうに目に見えた成果を出していくぞという意気込みを聞かせてください。

知事:
 予算の編成のキャッチフレーズを一言で表すということは難しいのですが、仕事の目標ということであれば多少表しやすいかも知れません。仕事を色々と続けていくための大きな手段が予算ですので、予算がないと仕事ができないのは全くそのとおりです。予算のキャッチフレーズというよりも、仕事のキャッチフレーズということになれば、未来に向けた創意工夫になると思います。未来に向けた創意工夫とは、奈良の未来は何を目標にするのかということになります。

 そのように思えば、今の奈良の経済構造あるいは生活構造を形づくってきた大きな要因は、過去40年間の社会人口増、ベッドタウン化を急速にしたということだと思います。その当時は、そのこと自身は良いことでしたが、これから急速に高齢化に向かいます。平成22年国勢調査と平成27年国勢調査の高齢化率の変化で、高齢化の一番トップを走ったのが奈良県です。28.4%という高齢化ですが、高齢化が進んだ地域はかつてのベッドタウンの住民が急速に高齢化するということがあります。次の子供が生まれるまで端境期があるということがベッドタウンの特徴です。

 10年ほど前に、奈良県全体がベッドタウンになってきていると思い、脱ベッドタウンというフレーズを作りました。10年また20年かけて脱ベッドタウンに取り組まないといけませんが、脱ベッドタウンというのは何かというと、ベッドタウン特有の現象を克服しなくてはいけないという意味です。それは、高齢化人口、高齢化率が極端に増えていくことに対応した取り組みが一つの大きなことです。終の住まいを奈良に求められた高齢者を不幸にしないという言い方は変ですが、気持ちよく住んでいただく奈良県ということが一つの大きな目標です。

 40年前80万人だった人口が、60万人増えて140万人になりました。今はどんどん総人口が減り始めていますし、日本の中で高齢化率のアップ率がトップの奈良県ということになっていますので、そう見るとおのずから高齢化社会に対する対策を放っておくことはできない。高齢化社会にどのように向かわなければならないか。社会保障の充実、医療、それから地域包括ケアはとても大事なことだということを言いたい。そのためには社会保障の財源がないとできないので、国民健康保険の県単位化ということも必須でしょう。それぞれ保険料が上がったり下がったりするという大変ミクロな感想があるとは思いますが、奈良県全体としては、医療もきちんと受けられるように充実した高齢化社会を迎えるということが大きな目標です。キャッチフレーズ的に行政はしてこなかったのかということにはなりますが、その都度そういうことを考えながら行ってきました。

 もう一つは、そのような未来に何を向けていくのかということです。そのためには若者が多世代で奈良に住むことです。ベッドタウンのまま放っておくと高齢者ばかりになります。ベッドタウンは就業する場所がないのが特徴で、必ず外に通勤に出ることになります。奈良の人も、ベッドタウンには教育機関はあるが、就業機関がない。だから外に働きに行く。奈良県全体がベッドタウンになるということは、外に就職されて若者がいなくなり年寄りばかりの街ができかけていて、奈良県全体がそのようなことになってしまうと困る。そのためには、奈良で若者が就職できるような経済活性化、税源のこともありますが、若者がそのまま居ついて、人が還流できるような奈良県づくりを志してきました。そういう志の内容は何か、未来に向けての内容は何かと問われると、高齢化社会が急速に進むので、高齢者の方を住みやすくする。「住んで良し」というのは、具体的に言うとそういうことです。

 それから、若者が奈良県で生き生きと働けるようにするために、産業を活性化して「働いて良し」になるにはまだ努力が要ります。工場もないと息子はどこで働くのかということになりますので、地域としては事業所もベッドタウンで働けるオフィスも入れてほしいということになります。

 そのオフィスの中で、奈良の特徴を生かした産業活性化で観光ということがおざなりになっていたのではないか。これだけ観光資源があるのに、その観光産業として取り上げることを怠っていたのではないかとまで思っており、観光産業の振興に一生懸命になってきました。その小さな産業で、これまでは大仏前などある一部分だけ良ければいいという奈良観光地でしたが、そうではない。大仏様は大仏前商店街のためだけではなく、あまねく広く照らされる大仏樣であり、そのご利益を広く展開しようということで、様々なイベントを平城宮跡や南和でも展開してきました。

 考えをうまく言えませんが、そのようなことをここ10年間行ってきて、それが実を結び効果として数字で出てきている。目に見えることが数字で出れば一番良い。宿泊者や訪問者が増え、その満足度が正確に計れたら一番嬉しいことです。途切れなく増えてきており、その人気度も高いという項目のはね返りをつぶさに見ています。

 県民の見られる効果と、エビデンスで出てくる効果というのは、明らかに違ってくる面もあると思っています。エビデンスのほうが客観的に計れるのではないかと思っています。将来の期待は、そのようにバランスのとれた奈良県ということになります。

 3番目の力を入れたところという考え方で言いますと、来年度予算で力を入れたところ、予算の額ということではないが、観光振興は先程申し上げた考え方で行ってきましたが、これから大事だと思っているのは、働き方改革と学校教育の充実です。

 あと、国民健康保険の県単位化、地域包括ケアシステムも随分進んできていますので、最終といいますか、大事な年だと思います。地域包括ケアシステムをつくり上げるというのは大きな項目です。

 それと働き方改革です。色々な働き方改革の指標としては、就業地別の有効求人倍率が過去の歴史で一番高く、1.40倍ということで、昨日の働き方改革のシンポジウムでも披露しました。セクター別では2倍を超えているところもあり、総じて人手不足となっています。しかし、奈良の人の働き方というのは合理的なんだろうかと翻ってみると、そうでもない面もある。これは働き方改革をしなければいけない。働く人の満足度が高くなければならない。「住んで良し」も大事だが、「働いて良し」「訪れて良し」も大事だと思います。「働いて良し」には働き方改革が大事です。それと若者が働く意欲が出るように教育改革、実学教育と就学前教育を充実させるように努力していきたいと思います。

 力の入った部分といえば、予算の額には表されませんが、働き方改革、医療、地域包括ケアの充実、それと教育の充実、とりわけ実学教育、就学前教育といったものが、今、頭に浮かぶ項目です。

NHK:
 最後に、色々なことを総動員して現に新年度の計画を実行しないといけないということの確認で、成果を出していくぞという意気込みを聞かせてください。

知事:
 そうですね、旗を大きく上げるというよりも、いつも思っているのは、アヒルの水かきで、見えないところの努力が大事だということです。アヒルというのは浮かんでいるだけのように見えるが、水の中で水かきをしている。ある一瞬を見て、その次見ると随分進んでいる。何もしていないのに進んでいる。それが数字として出ると、位置情報で進んでいるというアヒルの水かきを心がけている。アヒルの水かきは残った跡が見えない。これもいいことで、轍を残さずというのも標語です。人が歩いた道でも、俺がつくった道だという政治家は多いが、それは私が志している政治家の像ではなく、アヒルのように水面下で水かきをし、逆流になっても行くべき方向に水かきをして進んで、しばらく見ないうちにあそこまで行ったんだねと言われることがとても嬉しいことで、色々な数字を見ると、この10年前、5年前に比べて、そのように言われる数字が幾つもあります。それは、実は本当に最も嬉しいことで、幾つかありますが、県の努力だけではありません。県の直接の努力で一番嬉しいのは、自己財源で返す借金がこの10年間で700億円も減ったことです。これは日々、年々の財政の努力があってのことだと思うので、別に国に借金の返済を押しつけたわけでも全くありませんし、もう何年も前から、交付税措置のある県債発行を努力しようということをやってきて、その都度その都度の結果でここまで減ったのかということが、例えばアヒルの水かきのように進んだということは殊さら言うことでもありませんが、嬉しいことです。意気込みと言われますと、アヒルはあまり飛びはねないので、飛びはねないように着実に進めたらと思います。

NHK:
 ありがとうございます。

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財政規律実現と県政プロジェクトについて

朝日新聞:
 新年度予算で、こういう努力をしてこういう結果が出て、またこういうところに結びつけていきたいという取り組みやプロジェクト名を教えていただけたらと思います。

知事:
 財政規律が実現できるのは、予算よりも執行のほうだと思います。過去の執行の積み上げで、予算のまま執行していてもなかなか財政は良くならないが、その都度節約したり、貯金をしています。国もそうですが、県の予算はとりわけ執行が大事だと思います。執行は、議会で承認していただいた予算の中でしっかりやれよといって任されますので、一々の執行についてはなるべく節約して使おうということです。予算を残すのは恥でもなく、予算を節約して効果があればいいだけなので、限られた予算を節約して効果があるように執行したいと思います。それぞれの効果を計ることは難しいが、効果については事務的、庁内的に吟味しています。これだけ節約してこれだけ効果があったということは発表しませんが、わかりやすく言えば、これだけの予算のイベントでこれだけ人が来た、人が来ると街が賑わい、街の人が京都のようにこちらで食べて帰りませんかと客を引きとめるような努力があれば、経済的には大変大きな効果が出ると思います。しかし、奈良はそういう街でもないので、予算を使った効果が街の経済をどれだけ潤すのかということについては多少引け目を感じていますが、大きな観光地のように商売があぶれるのではありません。京都は大変景観が良くなってきました。その景観の良くなっている建物の中でたっぷりお金を使ってくださいと言っているようにも見える。

 民間の人が頑張って稼いでもらうことが地元の経済が潤う一つのパターンですので、イベントだけの経済効果だけではなく、小さなお金で民間の人も参加してもらって潤うといった複合的な効果を狙っているものばかりですので、財政を節約して効果があるようにというのは、執行の段階で工夫をするという奈良スタイルでやってきています。その小さな積み重ねが少しずつ貯金のもとになって、財政調整基金が積み上がってきたのも、実はその経過です。

 どうしてそのようなことが財政調整基金で起こったのかという問いには、全ての年の予算には歳入と歳出があり、貯金分の予算はなかなかないので、色々な予算を節約して効果が出るように行ってきています。16ページ目ですが、平成20年度の81億円が、平成28年度で257億円まで来たのも、そういう節約の結果です。時に応じて取り崩しするための財政調整基金ですので、物すごく積み上がるということはあまり目標ではない。必要な分だけ積み上がっていればいい。あればあったほうがいいが、それほど奈良県の財政に余裕があるわけでもないので、今まで節約して積み上げるようにしてきました。81億円というのはとても心もとなく思っていました。大きな予算が必要な事業があっても、財政が苦しければ吹き飛んでしまいます。

 何かの事情があったと思いますが、財政調整基金全額取り崩しという他県の予算がありました。大変なことです。来年はどうするんだろうということになります。財政調整基金があるからどんなに赤字が出てもいいという県はどこにもありません。

 奈良県は、今までのところこれだけ積み上がってきました。これからもこのような努力をしながら、財政節約を実行したいと思います。実行したいプロジェクトは結構あります。これだけを気にしているわけではありませんが、例えば文化会館は老朽化していて、耐震構造がないので、早く耐震化したいと思うのですが、やはり財源として大変大きな額になります。目に見える箱物である文化会館、美術館などは耐震化したいという思いもあります。

 そういったものには、なかなか交付金が出ないので、自前で行わなくてはいけない。「(仮称)奈良県芸術家村」などは交付金や国の補助が出るので、財政が少なくても新しい施設が作れるということになります。そのような組み合わせで、いろいろと実行する知恵としてどのようなパターンになるのか、どのようになってきたかということを、県民の方に長い目で見ていただるくように、また報道機関の皆様も知っていただくようになればありがたいと思います。

司会:
 ほかに、よろしいでしょうか。
 それでは、これをもちまして当初予算案知事記者会見を終了させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

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(発言内容については、読みやすくするために、広報広聴課で編集しています。)

お問い合せ先: 奈良県広報広聴課 報道係 TEL 0742-27-8325 hodo@office.pref.nara.lg.jp

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